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山本藤光の文庫で読む500+α

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2015年10月17日
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土佐郷士の家に生まれた坂本龍馬は、ジョン万次郎からアメリカの文明について聞かされ、まだ見ぬ世界への期待に夢を膨らませていた。嘉永六年、親友の妹と結婚の約束を交わした龍馬は一年間の江戸遊学へと旅立つ。小千葉道場で剣術修行に励む一方、佐久間象山を知るなど見聞を広めるが、折しもペリー率いる黒船が来航し、外国の脅威を目の当たりにする。土佐では、思わぬ悲劇が待ち受けていた。等身大の英雄像に挑む歴史巨篇。(「BOOK」データベースより)

津本陽『龍馬』(全5巻、角川文庫)
つも津本陽・龍馬.jpg

◎『龍馬』と『竜馬』の併読

 津本陽は歴史文学作家、と認識している方は多いと思います。ところが、初期作品はちがいます。直木賞受賞作『深重の海』(新潮文庫)は、和歌山県熊野灘の漁師村が舞台です。次作『蟻の構図』(徳間文庫絶版)は、企業小説でした。私はブックオフで『深重の海』(11刷平成13年)を見つけました。
  
 それ以降の作品は、読んでいませんでした。たまたま司馬遼太郎『竜馬がゆく』(文春文庫)の第2巻を読んでいるとき、角川書房情報誌「本の旅人」(2001年1月号より)で連載中の津本陽『龍馬』に目がとまりました。村上豊のイラストつきの連載を読みはじめたら、とまらなくなりました。必然、2人の龍馬(竜馬)を併読する形になりました。

「龍馬」と「竜馬」のちがいに疑問をもちました。「ブリタニカ国際大百科事典」では、「坂本龍馬」と記載されています。どちらの表記が正しいのでしょうか。今回とりあげているのが津本陽『龍馬』ですので、そのタイトルにしたがって原稿をつなぎます。

『龍馬(1)青雲篇』は、龍馬が17歳(嘉永4年、1851年)から書きおこされています。読み終わって、幕末時代が現代と酷似していることに驚きました。当時は攘夷論(外国を排撃して鎖国を主張)の真っ只中にありました。そこに開国を求めるペリーの黒船がやってきます。津本陽はこうした厳然たる事実に、郷土史家の細かな研究を重ねてみせます。

 龍馬には結婚を前提としてつきあっていた、お琴という存在があったこと。龍馬が海外への憧れを抱いたきっかけはなにか。19歳で江戸に修行にでたときの経緯や手続きについて。津本龍馬は細部のエピソードを幾重にも積み重ね、ひた向きな龍馬の青春を活写してみせます。

 歴史小説をほとんど読まない私ですが、龍馬に夢中になりました。龍馬は、そのまま会社へもってきたいような人材なのです。歴史小説というと、おじさんのジャンルと思われがちですが、若い人にもぜひ読んでほしいと思います。大きな夢を抱いて今を生きることを、龍馬から実感してもらいたいものです。

 ひそかな「龍馬ブーム」のようです。お手軽本を読むのもかまいませんが、司馬遼太郎と津本陽はぜひ読んでもらいたいと思います。もう1冊読んでもらいたいのは、松浦玲『坂本龍馬』(岩波新書)です。実直に史実をたどった、内容の濃い著作です。さらに龍馬の生きた時代をちがう観点から知りたいのなら、島崎藤村『夜明け前』(全4冊、新潮文庫)をお薦めします。

◎角川文庫と集英社文庫の2種類が存在

 津本陽『龍馬』が角川文庫版になったので、「山本藤光の文庫で読む500+α」作品として紹介させてもらおうと再読をはじめました。3巻を読みおえて4巻を購入しようとしたとき、なんとなく違和感をおぼえました。私が手にしているのは、角川文庫ではなく集英社文庫だったのです。

『龍馬』が文庫化されたのは、角川2005年4月、集英社2009年9月です。なぜ集英社が新たな版権を獲得したのか、あるいは角川が放棄したのかはわかりません。迷惑するのは読者です。角川文庫『龍馬』は、もはや店頭ではみかけません。つまり、角川文庫で読んでいた読者は、途中の巻から集英社文庫にしなければならないのです。これでは書棚の美観がそこなわれます。
 
 以前にも田口ランディ「電波系3部作」で1、2巻は幻冬舎文庫、3巻は新潮社文庫という不ぞろいな情景に辟易していました。『コンセント』『アンテナ』まで読み終えて、いよいよ完結篇『モザイク』だと、なんらちゅうちょすることなく買い求めてきました。気がついたのは、書棚にならべて、背表紙をみたときでした。
 
 そんな経験があるので、津本陽『龍馬』の文庫化にはピリピリしてしまいます。私のようなくやしい思いをする読者がいないようにと、願うのみです。

 さらに腑に落ちないことがあります。ウェブ上における両文庫の宣伝コピーをならべてみましょう。ほとんど同じなのです。どうなっているのでしょうか。出版社は自社の出版物を、自らが胸を張って書かないのでしょうか。ならべてみます。文章をほんのちょっといじったのが、良識とでもいうのでしょうか。

【角川文庫・津本陽『龍馬』第1巻】
 江戸遊学を控えた龍馬は、ジョン万次郎から西洋文明の発達を聞き、到来する激動の予感に胸を弾ませていた。しかし江戸では折しも来航した黒船に屈服する日本の現実を痛感する。土佐に帰った龍馬を思わぬ悲劇が襲う。(角川文庫「Web KADOKAWA」より)

【集英社文庫・津本陽『龍馬』第1巻】
 江戸遊学を控えた龍馬は、ジョン万次郎から西洋文明の話を聞き、激動の予感に胸を躍らせる。しかし江戸では来航した黒船に屈服する日本の現実を痛感する。土佐に帰った龍馬を思わぬ悲劇が襲う!(集英社文庫「BOOKNAVI」より)

 第2巻以降も、2社の文庫案内は酷似しています。ともあれ、津本陽『龍馬』は、すばらしい作品です。私は雑誌連載時からの読者でしたので、角川文庫を推薦作としています。​​
(山本藤光:2010.04.10初稿、2015.10.16改稿)​





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最終更新日  2017年11月10日 04時04分08秒
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