2302775 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

山本藤光の文庫で読む500+α

山本藤光の文庫で読む500+α

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

バックナンバー

2024年06月
2024年05月
2024年04月
2024年03月
2024年02月

カテゴリ

空白

(216)

妙に知(明日)の日記

(1580)

新・知だらけの学習塾

(564)

新・営業リーダーのための「めんどうかい」

(358)

完全版シナリオ「ビリーの挑戦」

(261)

知育タンスの引き出し

(317)

営業の「質を測るものさし」あります

(104)

のほほんのほんの本

(386)

乱知タイム

(71)

国内「あ」の著者

(24)

国内「い」の著者

(28)

国内「う」の著者

(11)

国内「え」の著者

(5)

国内「お」の著者

(21)

国内「か」の著者

(21)

国内「き」の著者

(9)

国内「く・け」の著者

(14)

国内「こ」の著者

(18)

国内「さ」の著者

(17)

国内「し」の著者

(27)

国内「すせそ」の著者

(8)

国内「た」の著者

(23)

国内「ち・つ」の著者

(10)

国内「て・と」の著者

(14)

国内「な」の著者

(16)

国内「にぬね」の著者

(5)

国内「の」の著者

(6)

国内「は」の著者B

(13)

国内「ひ」の著者B

(12)

国内「ふ・へ」の著者A

(10)

国内「ほ」の著者A

(7)

国内「ま」の著者A

(16)

国内「み」の著者

(22)

国内「む」の著者

(15)

国内「め・も」の著者

(10)

国内「や」の著者

(14)

国内「ゆ」の著者

(3)

国内「よ」の著者

(10)

国内「ら・わ」行の著者

(4)

海外「ア」行の著者

(28)

海外「カ」行の著者

(28)

サ行の著作者(海外)の書評

(23)

タ行の著作者(海外)の書評

(25)

ナ行の著作者(海外)の書評

(1)

ハ行の著作者(海外)の書評

(27)

マ行の著作者(海外)の書評

(12)

ヤ行の著作者(海外)の書評

(1)

ラ・ワ行の著作者(海外)の書評

(10)

営業マン必読小説:どん底塾の3人

(56)

笑話の時代

(19)

「ビリーの挑戦」第2部・伝説のSSTプロジェクトに挑む

(124)

知だらけの学習塾

(105)

銀塾・知だらけの学習塾

(116)

雑文倉庫

(44)

プロフィール

フジミツ

フジミツ

フリーページ

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

 ガーゴイル@ どこのドイツ 高半旅館は北方庁の高半島の高半温泉であ…
 リンク@ Re:■過・渦・蝸・禍・鍋の「つくり」の意味は?(08/18) 参考URLには小ちゃいミスがあります。 co…
 creesxuny@ erukzlyuujbn &lt;a href=&quot; <small> <a href="http…

サイド自由欄

設定されていません。
2015年10月23日
XML
1997年3月、香港近郊の養鶏場で鶏が死ぬ。H5N1型の鳥インフルエンザが世界を騒然とさせる始まりであった。それを遡ること80年前に世界を席捲した「風邪」は、4000万人を殺した。この恐るべきインフルエンザウイルスの正体を追って、永久凍土に埋葬された遺体の胸からウイルスを採取すべく、ある調査団が極北の墓所へ向かう。(「BOOK」データベースより)

ピート・デイヴィス『四千万人を殺した戦慄のインフルエンザの正体を追う』(文春文庫、高橋健次訳)
ディヴィス・4千万人のインフルエンザ.jpg

◎正体不明のスペイン風邪

1918年のスペイン風邪で、世界中で4千万人の人々が死亡したとされています。体力 のある若者たちが、発病して翌日には突然死亡してしまう凄まじい勢いでした。

私は本書を一度、単行本で読んでいます。そのときのタイトルは『四千万人を殺したインフルエンザ』(文藝春秋、1999年)でした。当時私は日本ロシュという外資系製薬会社に勤務しており、タミフルのプロダクトマネジャーから薦められて読みました。タミフルは今やインフルエンザの定番となりましたが、その市場導入を画策していたころのことです。

文庫化されて、タイトルが変わりました。この方が科学ドキュメンタリーの、感じが出ていると思います。.スペイン風邪が、人類を襲ってから80年目。スペイン風邪の正体に迫るべく研究者たちが、北極の永久凍土に眠る青年の7遺骸を掘り起こしました。引き金になったのは、1997年の香港養鶏場で鶏が大量死したできごとでした。検出されたのはH5N1型の鶏インフルエンザでした。

1933年にスペイン風邪のウイルスが、インフルエンザであることは証明されています。しかし元気な若者がなぜ簡単に死亡したのか、の原因まで究明することはできませんでした。新たなインフルエンザ菌の出現に備えるために、世界の科学者が立ち上がったのです。

本書はスペイン風邪の正体に挑む、研究者たちの壮絶な闘いの記録です。

◎まるでミステリーのよう

それまでにもアラスカで、スペイン風邪で亡くなった人の遺骸を、掘り起こしたことがあります。しかし遺骸の状態が悪く、解明することができませんでした。

1998年ウィルス採取プロジェクトが、立ち上げられます。リーダーは地理学を教える、カーティス・ダンカン女史です。プロジェクトは研究機関や製薬会社の支援を得て、ようやく発掘にこぎつけます。

プロジェクトの規模は、予想を超えて膨れ上がりました。様々な国から大物研究者が参画し、もはや一女史の手には負えなくなりました。ダンカン女史の性格も災いし、プロジェクトは収拾のつかない状態になります。筆者のピート・デイヴィスは、科学者のことを次のように書いています。

――科学者たち――ことに、どんどん財源が縮小されつつある公的資金に頼っている人びと――は、激烈な競争のなかで活動している。そこにはたらくシステムを一言でいえば、「発表するか、消えるか」である。研究助成金を獲得するためには、自分の勤勉さ、意欲、創意を示すことになる論文の数を増やしていかなければならない。さらには、成功する科学者は、好奇心と野心に駆られるという事実が加わり、環境に圧力をかけて、やる気を起こさせるという事実が加わる。(本文P313より)

すったもんだの末、遺骸は掘り起こされます。しかし状態は期待値とはかけ離れたものでした。本書はタミフルなどが誕生するところで、終えています。1999年に発行されているので、現在の騒動については触れていません。ただし新たなインフルエンザの流行には、警鐘を鳴らしています。

ひたすら圧倒されました。1918年のできごとに接して、悪寒が突き上げてきたほどです。インフルエンザ、恐るべしです。本書には科学ドキュメンタリーというよりも、ミステリーのような味わいがあります。
(山本藤光:2012.12.14初稿、2015.10.22改稿)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2017年11月15日 08時35分23秒
コメント(0) | コメントを書く
[タ行の著作者(海外)の書評] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.