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テーマ:お勧めの本(7408)
カテゴリ:シェイクスピア
友人に連れられていろいろまわった神保町。
ふらっと入った1軒の本屋さんでみつけたこの本。 世界の名優・ローレンス・オリヴィエが語る「演技について」 買ってから、もう1年経つよ~。 「つんどく」状態から1歩抜け出し、手にとったらものすごく面白くて、 すぐに読み終えてしまいました。 彼が語るシェイクスピアの作品の数々。 そこにどんな思いをこめ、いかに演じたかを知るのは、 本当に楽しいことだ。 「ハムレット」にリアリティーを持たせたかったこと。 若いときに「リア王」をやった時のこと。 「ヴェニスの商人」シャイロックの造形について。 イギリスが戦時体制の時に演じた「ヘンリー5世」にこめられたもの。 自分の前に「ハムレット役者」と言われ、語り継がれてきた名優たちのこと。 彼らの演技をリスペクトし、その演技プランの核心を理解するとともに、 「この系譜につながってやる」という野心と、 自分ならではのオリジナリティに対する飽くなき探究心。 映画に進出したときのこと。 映画と舞台とのちがい。 映画でなくてはできないこと。 役作りのために日々どんなものを見、読んでいるか。 ある時は場末の芸人。 ある時は美術館の一枚の絵。 古いものにも新しいものにも、 拒否反応を示さず、受け入れ、おもしろがり、 しかし自分らしさは絶対にぶれない。 その懐の深さと芯の強さの共存が魅力だ。 一番感銘を受けたのは、前にもちょっと書いたけど 「3番目の槍持ちは、3番目の槍持ちとして」その舞台の主人公であると信じなければならない。 というくだり。 舞台の板に上がれば、登場人物の数だけ人生があり、 全員が生きるように演じて初めて舞台が成功する。 もう一つが、 「体力がある時には若すぎるし、その年齢になった時には年をとりすぎている」のがリア王、 というセリフ。 この前、平幹二郎がやったのを見ていたから心に残った。 すごーく体力のいるお芝居のようです。 逆であり、また同じでもあるのが「ハムレット」。 見た目の年齢で配役は決まることが多いけど、若者には決して理解できない老人のような哲学がある。 藤原竜也のハムレットが若い肉体に老人の精神、と思った私は正しかった! そして、 市村正親のハムレットが50歳のハムレットながら、演じるほどに若くなり 違和感がなくなっていったあの感触も。 今度、市村正親がやる「キーン」についても書いてあります。 ハムレット役者の系譜としての、 バーベッジ→ギャリック→キーン→アーヴィングの話はとても面白かった。 長い歴史の中で、彼らは直接の師匠と弟子ではないけれど、 前の名優を「見たことがある」人が、それを自分なりに後世に伝えている、というくだりは特に。 次の名優は、前の名優とまったく個性を異にするけれど、 前の名優のよさ、演技の精神は、きちんと受け継いでいる。 その上での、オリジナリティであり時代性なのだ、と。 名優は同時に有能な評論家であり、分析家であり、 だからこそ、多くの名優は演出もやるんだなー、と、思いました。 演劇が好きな人は必読。 同時代の役者たちとの裏話もあり。 あと、 大好きな「ハムレット」の映画だが、 やっぱりたくさんカットしてるのねー。 フィルムだけでも残っていれば、 今なら「特典映像」でDVD2枚組みで発売されるのにー。 彼の「リチャード3世」観てみたい~。 「ヘンリー5世」も観たい~。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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