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夜野 クロコ

夜野 クロコ

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2006年09月04日
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カテゴリ:詩・小噺

昨日の午前中の話をしよう


『時計仕掛けのオレンジ』が効き過ぎたのか、体中がダルかった。

ダルい?

そんな今時の若者が使うようなダサい表現じゃ物足りない。

倦怠感だ。これは倦怠感なのだ。もしくは煩悶。

思わず皿を割っちゃったり、玉川上水とか華厳の滝とかで死にたくなるアレだ。

兎に角、起きたその瞬間から全てに対してやる気がなかったので、学校を休むことにした。
「今日、学校休む。」
とパートに出る仕度をしていた母に言うと
「そう・・。」
と短い返事が返ってきた。深く突っ込まない両親。それでいて気遣い、心配はしてくれる両親。いつもの事ながら、良心がしくしくと痛む。

『ちゃんと出来なくてごめんなさい。』

『優等生で居られ続けなくてごめんなさい。』

両親の背中にいつも心の内で呟く。一体何遍繰り返しただろうか。
はやく、この僕の半径一メートル以内に存在するモヤモヤの正体を突き止めたい。
その鍵となるであろう「理由」や「きっかけ」なんてものは相変わらず行方不明のまま、影すら見当たらない。これはもう、懸賞金をかけるか、街でビラ配りでもして探すしかなさそうだ。

これ以上鬱モードに陥るのを防ぐため、顔を洗い、洋服に着替えた。
ついでに特に食欲もなかったが、「オールブラン」をもさもさと食べた。このキャットフードか!?ドックフードか!?という見てくれが好きだ。無骨で、まさに『栄養の塊』と言った風情だ。

「よし、今日は『CUBE』観てやる。」

学校からの課題も外出の予定も読む本もなかったので、またまた映画を観る事にした。
しかもまた、精神的にきっついヤツ。僕は案外マゾなのかもしれない。
そうと決まれば善は急げ、朝食の後片付けを簡単に済ませると、自分の部屋の掃除をし、いつもお世話になっているレンタルビデオ屋に行くために通学鞄から財布を出す。

と、視界に異物が飛び込んできた。

鞄の中、真っ白いパッケージ

視聴覚室の忘れ物、自主制作と思しき何らかのDVDだ。すっかり忘れていた。

今は家、家には自分しかいない、そしてここは自室、今日の予定は何も無い。

五秒後には、DVDをパソコンにセットしていた。
ヤバいものだったらマズイので、ヘッドフォンで聞くことにし、念のためレースのカーテンも引いておいた。まあ、ヤバイと言っても「無修正のエロビデオ」レベルだろう。学校にあったわけだし。

しばらく、画面は何も映さなかった。空か??
と、いきなり映像が始まった。音は無い。無音のようだ。


チャプター1

突如として現れた文字。チャプター?パソコン部か?

真っ白な部屋。
窓もなく扉もない。何もない。
部屋と言うより白い箱のような印象を受ける。
中心に椅子。
その上に王冠を被った少年。
その王冠は白く透き通っっていて、ひどく硬く、脆い印象を受ける。

チャプター2
先ほどの部屋。
中心の椅子の上の少年。
その頭に王冠は見られない。
少年の足元、すなわち椅子の下あたりから萌芽。
みるみるうちに広がり、花をつける。
部屋は明るく、賑やかになる。極彩色の部屋。
ただし、白い部屋だった頃のような清冽さはあまり感じられない。
椅子の上に少年は居ない。
かわりに、ぽつんと王冠が置かれている。


チャプター3
部屋は無くなり、草原のような場所。
ただし、避暑地のような爽快感はない。
かと言って荒地のような虚無感はない。
丁度その中間、陰と陽、快と不快が交じり合っているようだ。
草原中央に先程の少年、こちらを見ている。

チャプター4
少年のアップ。
瞳をそっと伏せ、口を開く。

ぶつん。

僕は電源を切った。

喉がからからに渇いている。
耳が熱く、鼓動が大きい。まるで心臓がその場所にあるかのようだ。

いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。いやだ。

怖い映像ではなかった。
むしろその逆、惹きつけられるような綺麗で優しく、どこかモノ哀しい映像だった。

だけどいやだった。

あの少年の言葉を聞くのがいやだった。
DVDを取り出すと、僕はケースの中に戻し、さらに鞄の一番下に押し込めた。

ああ。耳鳴りがする。

たった十分程度の出来事なのに、僕は疲労してしまっていた。
ごろりとその場に横になり窓の外を見る。

焦げ付くような青空。

白い雲。

フト、気付いたことがある。
半径一メートル以内に存在していた正体不明のモヤモヤが、DVDを観ている間は感じられなかったと言うことだ。


見たくないはずなのに、僕は視線を鞄から話すことができなかった。

ここまでが昨日の午前中の話。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

少し短めに。本当は二回位で書ききるつもりが、根性なしなので(笑)
『僕』のモデルは言わずもがな自分自身。
保健室登校とか、不登校とかはした事ないけどね。ガッツはあったのですよ。
若かったからかな??いまはもうガタガタですよ☆











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最終更新日  2006年09月04日 21時55分21秒
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