ウルトラQ dark fantasy 第26話「虚無の扉」
SMAP解散ってそんなに大変なことなの?ウルトラQ dark fantasy 第26話「虚無の扉」最終回にして『ウルトラQ』らしいお話。『ウルトラQ』「2020年の挑戦」をベースに非常によく練られたお話。デジタル時代の到来を受けて高さ666メートルの第二東京タワーが建設された。しかし異常な電波が発信されていると電波監理局の局員から指摘を受けていた。その頃、あちこちで奇妙な事件が続発。剛一の周囲でも全くアイディアが浮かばなくなったCMディレクター、曲が書けなくなった作曲家らが失踪。また、とある幼稚園でも絵を描くことができなくなった園児たちが問題になっていた。剛一は取材先の幼稚園で宇宙人を目撃する。それは宇宙からやってきたレキューム人だった。レキューム人は文明の発達と共に想像力を失ってしまった。生物が持つ想像力やイマジネーションの元となるレキュームガスを探し続けた結果、地球へ飛来し、第二東京タワーの電波に紛れて人々から想像力を奪っていたのだ。さらにレキューム人は漫画家・笹山に目を着けていた。笹山はアイディアの枯渇から剛一に漫画家を引退すべきか相談していた。しかし剛一から励ましを受け、新作に取り掛かることになる。タイトルは『虚無への扉』。その後、剛一が笹山の事務所を訪ねると笹山の姿はなく、『虚無への扉』の書きかけの原稿だけが残されていた。剛一、涼、渡来教授は原稿に目を通す。そこには今回の事件がまったくそのままに描かれており、剛一、涼、渡来教授が書きかけの原稿に目を通しているシーンで終わっていた。つまりレキューム人は笹山が描いた漫画の通りに計画を進め、漫画が完結する前に笹山から想像力を奪い、亜空間へ拉致していたのだ。事態の解決には笹山に作品を完結させてもらわなければならない。そんなこんなでレキューム人は373メートルというとんでもないバカでかい姿となって第二東京タワーに向かっていた。一方、亜空間から脱出した笹山は漫画の執筆に取り掛かる。レキューム人の実体は電波である。そこで「電波には電波を」と渡来教授の発案により、電波監理局より電波を発射。レキューム人は第二東京タワーをへし折るが、至近距離で電波を浴びたことで溶けて消滅してしまう。作戦の成功を喜ぶ渡来教授と涼。その横で破壊されたショックで号泣する第二東京タワーの社長。「これで歴史に名が残りましたよ」と渡来教授がニコニコ顔で慰めの言葉を掛ける。その場からこっそり席を外す電波監理局の局員。その影はレキューム人のものだった。「想像力を奪われたらどうしよう。いいえ、そんな心配はいりません。今の人類に狙われるほどの想像力などありませんから。これは隣人への労わりに満ちた遠い未来のお話なのですから」。お・わ・り結局完走してしまった。意外と面白かった。とはいえ微妙な話も少なくなく『ウルトラQ』というより『恐怖劇場アンバランス』に近い印象を受けた。予算が無いならホラーに徹底すべきで、中途半端に侵略モノや巨大怪獣を出すべきではなかったと思う。そのあたりの欲張った感じが、却ってオリジナリティを損なうことになったのが何とも。しかしながら新旧スタッフの混合体制は観ていて面白く、現場でも好評だったのか翌年『ウルトラマンマックス』に引き継がれることになる。