「アフィリエイトで稼ぐ」で稼いでいる人たち
世の中、どこでもお金お金というわけでもないのだろうけれど、この1、2年、ネット上で多く見かけるようになったものに「動画配信」関連のものと「アフィリエイト」関連のものがとても多く、このところ、考えさせられています。ネットをやって1-2年もすると、配信された動画を見るだけではつまらなくなり、自分のHPやブログで動画(ストリーミング)をアップしたくなったりするものですけれど、以前は素人ではちょっと手に負えなかった動画の作成とアップ、いまでは動画配信の機能サーヴィスを誰もが簡単に利用できるようになってきました。同様に、アフィリエイトで稼ぐといった情報も昨今花盛りのようです。以前は、自分のHPやブログへのアクセス数が一定量を超えるようになったときに、その画面上にタイトルや記事内容に関連した商品(本やDVD、その他各種の商品など)などを貼り付け、そこを訪問者がクリックしたら、そのクリック数に応じて何円、その商品を訪問者が購入したら商品価格の何%が口座に振り込まれるといった感じで、ブログへの来訪者によるクリックといった行為を経て初めて報酬が得られるという、いわば自分の何らかの努力に対する成功報酬型でした。そのため、ブロガーたちはせっせとブログに記事を投稿してアクセスしてもらえるようなブログ作成に拘ったように思うのです。そうして、登録している口座にいくばくかの金額が振り込まれたら、確かに嬉しいことではあったに違いないけれども、それはあくまで「思いがけない小遣い」というか、思いがけない副収入という次元で、ブロガーたちにとってはそれが直接の目的ではなかったように思われるのです。わたくしも薦められてやってみたところ、一ヶ月で3-6万円の振込みがあり、なるほど、元手ゼロでブログで稼ぐというのは、こういうことなのねと了解しつつも、あくまで「おまけ」というレベルで、集客のためにブログを書くようになっては本末転倒だと思ったものでした。そして、アフィリエイトで小遣い稼ぎを意識するようになったブログというのは、見ていると分かりました。不思議なもので、そういうブログは、だんだんと面白くなくなり、魅力も感じなくなり、やがてわたくしは訪れることもなくなりましたけれど、それでも、ブログで稼ぐということの可能性を探ろうという方たちの思いは、了解できましたし、否定することもありませんでした。けれど、どうも最近は、事情が違うようです。アフィリエイトの申し出がある商品なり会社なりの情報紹介の中から、自分のブログに合ったものを選択して登録するといった発想が減少してきているのではないかしらと。いま、Amazonサイトで提供されている本やCD,DVDなどの商品画像なども、簡単に(自動的に)貼り付けて投稿できる機能が、多くのブログサーヴィスに付いているので、誰もが手軽にブログでアフィリエイトを始められる環境が整いました。そのせいか、アフィリエイト稼業というものが一般的となり、いまでは足跡を辿って伺った先のブログは、商品掲載オンパレードだったということも珍しくはありません。おまけに、ソーシャルブックマークを利用してアフィリエイトで稼ごうとか、クリックするだけで誰でも月に数十万円稼げますといった情報がネットでは花盛りです。これらは、「その方法をお教えします」といった類のメルマガとタイアップしていることも、実に多いようです。よくよく見れば、なんのことはありません。「これで稼げる」といった情報商売で稼ぐ新手の商売で、その方法が書いてあるという本を売りつける。実に巧妙な心理作戦を弄しております。名づけて「アフィリエイトバブル」といえば、いいでしょうか。生きて生活していくのに、確かにお金は必要ですけれど、世の中、お金お金お金では、ありません。こんなことは、道理というものではないかしら。クリックするだけで、一月に30万円の稼ぎになるとか、放置プレイでいても100万円の収入になるとか。その方法を「あなただけに」教えます式の話には、注意された方がいいかもしれませんね。正社員になれないとか、定収入がないとか、また、外に出て働ける状態じゃない人や、そういう環境にないけれども家計を助けたいとか、どうせPCの前に座るならお小遣い稼ぎをしたいと思われる方たちにとって、そうした話は魅力的かもしれませんが、ちょっと待って・・・わたくしなどは、こんなとき昔の人の言葉を思い出します。「うまい話には裏がある」「楽して得たものは、身につかない」「楽して入ってきた金は、出て行くのも早い」「悪銭身につかず」 少なくとも、わたくしには、「≪これで稼げる≫という情報で稼いでいる人たち」がいると思われて、このネットアフィリエイトバブルが、とても気になります。あえて、詐欺とはいいませんけれど。お金の亡者になって一時多額の収入を得たとしても、人生はそこでは終わらないでしょうし、充実感や達成感のない仕事で何が得られるのか----一儲けしたいと思いがちな若い方たちには立ち止まって考えてもらいたいなあと。画像は、ティントレットという画家の「胸を露わにする女性の肖像」という作品です。