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カテゴリ:日々の読書(その他小説)
我らが迷(名?)医・ドクター伊良部が、またまた大活躍だ。「空中ブランコ」(奥田英朗:文芸春秋)である。当ブログでもだいぶ前に、シリーズ前作の「イン・ザ・プール」の記事を書いたが、2作目に当たる本作もやっと文庫化されたので、さっそく買ってきた。ちなみに、私は、小説の場合は、原則文庫版しか買わないことにしている。ハードカバーは高いし、嵩張るということもあるが、あまりにもたくさん出版される本を、ある程度選別すると言う意味もある。文庫化されるような小説は、一応厳しい生存競争を勝ち抜いてきているはずだからだ。
さて、今回の伊良部センセの被害者、もとい患者は、うまく跳べなくなった空中ブランコのフライヤー、尖端恐怖症のやくざ、義父の大学医学部長のヅラをとってみたくてしかたがない大学医学部講師、うまくボールが投げられなくなった野球選手、嘔吐症で強迫症の女性作家の面々である。 なにしろ5歳の子供のように、何事にも好奇心一杯で、自分が興味を持ったことは、少しの迷いもなく、やりたい放題、好き勝手にやってしまう伊良部センセである。どのケースも、患者たちは伊良部センセに散々振り回されてしまっている。しかし、振り回されたはずの患者たちは、気づいてみれば、いつのまにか自分の抱えたいた問題が解決しているのである。やっぱり、名医か?(そんなはずないな。) この無邪気な伊良部と、とても無愛想な看護婦のマユミの取り合わせも面白い。でもこのマユミ、意外にもイラストの才能があるようだ。いつも無愛想に注射をうつだけかと思っていたら、最後の女性作家のケースでは、このマユミが患者の治療の最後の仕上げになっていた。案外いいコンビなのだろう。 ○「イン・ザ・プール」の記事はこちらこちら ○応援クリックお願いします。 「空中ブランコ」(奥田英朗:文芸春秋) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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