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GOGO花園って何?って方は、第一回のコチラから
先日は久しぶりの更新にアクセスありがとうございます。もうすっかり忘れ去られたかとドキドキでした。ドキドキしすぎて校正前のファイルをアップしてしまったので先ほど編集してきました。
さて、第三話目に突入。今回の主人公は若い女性です。奥様じゃないのよ!
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「みんなおはよう、今日は紙芝居の日よ。」 子供たちの元気な声に応えて、ワカバ幼稚園年中のきりんさんぐみの担任教諭、美馬めぐみは今日もハツラツとした気持ちで一日を迎えていた。 ワカバ日本語幼稚園は、Q市にある唯一の日本語幼稚園である。現在、定員ややオーバーの100人を超える園児がバスで通園してきている。Q市はC国の中でも首都のB市や、経済的中心のS市につづいて外国人人口の多い都市のひとつであったが、まだ日本人向けの幼稚園の競争はそう激しくない。景気の具合によって駐在者の数は安定しないし、人件費が安いため、いざとなったら小さい子供を預けるところはいくらでもあるため、Q市は複数の幼稚園の乱立を許すほどの大きなマーケットではないのだ。 今のところ、Q市の就園年齢の子供たちの人口は、約半数がワカバ日本語幼稚園で、それ以外はいくつかあるインターナショナル系、C国人の裕福な家の子供が通うような幼稚園などにばらけている。英語に触れさせたいとか、両親のどちらかが中国系で中国語教育に熱心な場合もあれば、運悪く赴任時期が中途半端で、日本語幼稚園に入りたくても定員オーバーのためとりあえずのつなぎとしてインターや現地園に通うものもいる。ワカバ幼稚園は日本人教諭のによる日本式の幼稚園で、C国語で遊ぶ時間が英語のクラスのほかにあること以外は、まあ日本の幼稚園とそうかわりはない。 美馬めぐみは、今年度の4月から初めて担任を持たされ、充実した日々を送っていた。4年前東京の短大で幼稚園教諭の資格を取った後、すぐに就職せずに、親を説得して子供のときからの憧れのアメリカに2年留学した。留学当初は勉強が終わっても日本に戻る気はなく、そのまま何とか就職先を見つけてアメリカに残ってやろうと思っていたが、現実に外国で一人で生きていくのは結構大変で、とりあえず、勉強が一段楽したところで日本に戻った。そして帰国後日本のインターナショナルスクールでアシスタント教員としてアルバイトをしていたときに、Q市で幼稚園教諭募集の情報を聞いて飛びついた。まだまだ海外で暮らしてみたい。持っている資格を生かしたい。子どもも好き。ワカバは、そんなめぐみにとっては理想的な就職先だった。 めぐみは晴れて採用され、一年目の去年はサポート要員として働き、今年度からの担任である。当初は、アメリカとも勝手が違う外国暮らしが心細かったが、他の職員たちがみな温かく迎えてくれ公私にわたっていろいろ世話を焼いてくれた。めぐみも同僚とすぐに打ち解けて、彼女らは今では大事な友人だ。仕事も板についてきたと思う。短大を出てすぐに各地の幼稚園に就職した同級生たちはすでに中堅の域に入ってきているころだったので、なんだか、やっと追いついた、という気もした。 ワカバ幼稚園にとっても美馬めぐみは、理想に近い候補者だった。独身で身軽だったし、まだ25歳と若く、幼稚園の教諭として求められる、明るい性質を備えていた。現場での経験が一年と短いものの、英語ができるので、めぐみは、英語クラスのアシスタントもできるし、週に数回来るアメリカ人教師とのコミュニケーション係として、学校側の事務にもたいそう役にに立つ。 そして、これは決して採用書類にかかれることはない事実であるが、誰もが認めることとしてめぐみは容姿が優れている。保護者の間でも、「あのかわいいアイドルみたいな先生」といえば、みんな誰だかわかる。目のパッチリした丸顔で、健康的にぽっちゃりしていた初対面の人を安心させるし外見だ。アイドルといっても、最近のオタク向けの、子どもなんだか大人なんだかわからないローティーンではない。一昔前の王道アイドルだった。 幼稚園に通う年頃の子供たちは残酷なまでに人間の見た目を重視する。かわいいものが好きな女の子ばかりでなく、男の子たち同じで子どもらは皆、ぱっと見てわかりやすい「かわいさ」に吸い寄せられる。めぐ先生こと美馬めぐみにのクラスにいる女の子達は「ラッキー!」と喜んでほかの子たちに自慢したし、男の子たちは、転んだ、ぶつけたといっては、おかあさんとはちがう、お姉さんのようなめぐ先生にかまってもらいたがった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年02月21日 12時40分22秒
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