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カテゴリ:映画
その青い門というのは、登場人物たちがくぐる入口、或いは出口、ちょうどそれは滅びの門でもあり、再生の門でもあり、てんでばらばらな人生のマンダラ模様の門でもあるように見える。 ここで悪い女というのは娼婦であるけれども、「悪い男」のようなあからさまな悪はここにはなく、むしろ世間の常識としての悪=娼婦に過ぎない。娼婦は美術嗜好で、「悪い男」の娼婦との関連も覚えるがあまり強くこだわるほど、同一人物には見えない。製作年度から言っても「悪い男」の娼婦の後年の姿、というには前後するが、この作品を造った後、その人生を捨てたような姿の真意を「悪い男」で辿った、と言えなくもない。 が、この娼婦が一番生き方として潔く見えてくるのが映画の骨子でもあろうか。その娼婦をおいて生活の糧を得ている大家一家の実は少しもまとまりのないそれぞれの行為と想いがある種雑然と点描されていくあいだに、徐々に娼婦への世間的軽蔑の念が洗われていくとでも言ったらいいのか。 一番強く反発し、あからさまな侮蔑の念を向けていた長女がまるで菩薩にくるまれるように和解と浄化を果たすのが写真のシーンである。ふつうの人々がふつうでない娼婦に、いつしか感嘆していく、やはりここにもギドク独特の宇宙がある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Mar 31, 2007 10:07:04 AM
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