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テーマ:お勧めの本(7394)
カテゴリ:今日読み終えた本
「すばらしき愚民社会」古谷野敦

題名:「すばらしき愚民社会」
著者:古谷野敦
発行:新潮文庫
頁数:317
読みやすさ:2/5
おすすめ度:2/5

 タイトルがおもしろいのでつい買ってしまいました。
 ん~~なんか「愚民」の自分としては難しくって、ちょっと入っていきづらい感
じでしたかねぇ。

 なもんで、正しい解釈ではないのかもしれませんが、
 「とりあえず、そこらへんの一般ピープルは頭のいい人のあとをついて行き
なさい。そして一生懸命生きていけばいいんです。そんでもって一番悪いのは
無責任な知識人達!おまえらだ!俺の意見も聞かずに勉強不足な上にメディ
アに迎合ばっかりしやがって!まじめにやれ!まじめに!」
という独り言が聞こえてきそうでした。

 そんな知識人達に対して、新書の乱発と、売れんがためのレベル低下を指
摘する一方で、自分の売れた本のプチ自慢があったり、著者の心の複雑さも
感じます。

 また、<私が「愚民」と呼んでいるのは、豆腐屋や靴屋やトラックの運転手
や、競馬やパチンコが好きなお父さんではない。>なんていう物言いはどうな
んでしょうか。「あなたは何様?」という批判を覚悟した上でのことで、それに
対する反論もしっかり準備されてるのだと思いますが、それでは誰もついてか
ないでしょ、って感じなんですねえ。
 小谷野氏の主張もいろんな点で同意することも多いのですが、このような物
言いがすべての説得力を崩してしまう感じがして残念でなりません。

 そうはいいながら、一方でいろんな知識人の固有名詞が出てきて、それなり
におもしろい部分もありました。またそれぞれ根拠を持った批判を展開してい
るので、それはそれで一理あるんでしょうし、当を得ているのでしょう。本来は
そういう根拠や事実で内容を判断するのが筋なんでしょうが、自分のような愚
民は、つい違うところに目が行ってしまうのです。

 つまり、狭い「文化系知識人社会」の力関係や人間関係など、その社会の
構図や、誰がどんな立場にいるのか、といったちょっとワイドショー的な視点に
どうしても立ってしまいます。
 まっ、そういう意味ではやや興味深い内容ではありました。というよりそういう
興味でもなければ読むのがちょっとキツイ感じでした。

 自分は比較文学だの歴史社会学だのといった人文系世界とはほとんど縁
がないので、しかたありませんが、文化系の人もいろいろと大変だな、と思い
ました。






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Last updated  2007年02月26日 22時02分51秒
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