≪日本一哀しい格差殺人≫
【AERA】 No,29 ('07.6.25) に 載った記事は 胸詰まらせる内容のものでした。 昨年6月10日、知的障害児の二男を殺害し、自身も自殺をしようとしたものの死にきれず、逮捕された事件がありました。当時流れたニュースでは詳細が明らかにはされませんでしたが、今年6月4日結審した裁判では驚く事実があらわになりました。 父親の愛人の子として生まれ、9歳の時母親と死に別れ、母方の叔母夫婦の養女になり、養父母から暴力・性的虐待を受け、学校ではいじめられ育った彼女は、高校卒業・就職と共に養子縁組を解消し自立。妊娠を機に結婚。長女・二女を続けて出産。1歳7ヶ月で次女を亡くすも、翌年長男を出産(知的障害)。その8年後二男誕生(知的障害)。 夫は仕事をせず多額の借金を残し失踪。自己破産をし、生活保護を受け、総菜屋で働きながら母子4人の生活を始める。16歳の長女が喘息の発作で目の前で死亡(子供達には喘息の持病あり)。 離婚成立。 乳がん発病。摘出手術。同時に子宮・卵巣も摘出する。住居を移した所で二男は家に閉じこもり学校に行かぬ様になる。二男と彼女は精神的に追い詰められていった。彼女には軽い知的障害があり、二男の行く末と彼女の生い立ちを重ねてしまい、無理心中を図り、結果二男を殺し自身は殺人罪を問われてしまった。 ≪被告人の人生が苦難の連続だったのは考慮すべきだが、将来に可能性のある幼い我が子を、自分勝手な思い込みで道連れにしようとした身勝手な反抗≫ 検察側は懲役13年を求刑しています。 やりきれません。 何時だったか、自閉症の息子の行く末を儚んで、息子を抱きかかえマンションから飛び降りた父親がいました。父親は亡くなりましたが、自閉症の息子は命には別状無く母親と共に残されました。 私の友人はその昔、障害を持った子供さんの就学問題に悩んでいた事がありました。 ≪ああ、無理心中を図る人はこういう思いになるのだろうな・・・≫そう思ったと、数年後私に当時の胸の内を打ち明けてくれました。 格差社会が進む中で、障害者の生活も変わらざるを得なくなって来ています。障害があるからと言って社会の中で甘える事は許されません。自立目指してしっかりと日々頑張らねばなりません。それは正しい事です。 でも、ね。日本社会、もっと周りに優しくっても良いのではありませんか?一生懸命に頑張っている人に対して、もっといたわりを持っても良いのではありませんか? 以前よりは社会の中で進んでいるバリアフリー。けれど、障害者、特に知的障害者にとっては社会の中での見えない壁は高く強固なもののように感じられます。 広がり行く格差社会の中で、周りに目をやるゆとりすらも私達には持てなくなってきそうで、とても恐ろしく、哀しく…。 憤りと哀しみの涙が溢れます。