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元SF小説家・春橋哲史のブログ(フクイチ核災害は継続中)

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haruhasi@ ややこしい記事を読んで下さり、有難うございます きなこ様  度々、コメントを頂戴して有…
きなこ@ Re:フクイチの汚染水(処理水)放出までの経緯 2012年11月~23年8月(10/13) 詳しい経緯のまとめ、ありがとうございま…
春橋哲史@ 提出、お疲れ様です 押田様  コメントを有難うございます。 …
押田真木子@ Re:5日間で4件のパブコメを提出して(12/29) 「23文字・最短20秒」ありがとうございま…
春橋哲史@ 新たなトリチウム分離等の技術について きなこさんへ  コメントを有難うございま…

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2021.03.22
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カテゴリ:福島第一原発
※2023/3/12追記
 本件パブコメの募集期間:2021年1月18日~2月16日(原子力規制委員会)
 提出意見:37件
(リンク)​​​​​結果公表・資料​​/2021年3月10日


原子力規制委員会の第2回事故調査報告書が確定

 原子力規制委員会では「東京電力福島第一原子力発電所事故の調査・分析に係る中間取りまとめ(案)」()へのパブリックコメントを受け付けていました。

​※春橋注:原子力規制委員会がまとめるフクイチ事故の調査分析報告書としては2回目のもの​

 その結果が、3月10日に開催された第63回原子力規制委員会で規制庁から報告され、「寄せられた意見への回答」と「今後も事故進展・分析の調査を継続する」ことが、5人の規制委員全員一致で了承されました。

●(リンク/資料一覧と動画)​第63回原子力規制委員会


私が提出した意見と、その意見への規制委員会の考え方

 私は、2月26日早朝に意見を提出しました。
 提出した意見と、その意見への回答(原子力規制委員会の考え方)が、規制委員会の資料に掲載されていたので、まとめて紹介します(下記リンク文書の通しページで40ページ、「整理番号19」に掲載)。

●(出典)


====私が提出した意見、ここから====

 高線量環境下で調査に当たり、貴重なデータや映像を残して下さった規制庁職員の皆様に、感謝と敬意を申し上げます。
 
 東京電力・福島第一原子力発電所事故の原因と進展の分析に関しては、多くの論点・多くの未解明事象が有り、この国の主権者として、様々な角度からの検証を望んでいます。
 水素爆発が起こるプロセスの経緯や、放射性物質の挙動・放出経路など、現地・現場での調査が必要な事項に関しては、線量の許す範囲で、無理せずにお願い致します。
 必ずしも、現地・現場での検証が不要、或いは無くても調査・検証できるものに関しては、過去の経緯も含めて、幅広に深堀りした調査をして下さい。

 特に、以下の点についての調査を望みます。

●所謂「セシウムボール」の生成プロセス・生成量・放出量の推定。
●立地時点に立ち戻った調査。30m以上あった地盤を掘り下げて建設したことの是非と、掘り下げが認められた経緯と理由。
●1号機の、所謂「イソコン」の操作訓練・作動訓練が行われていなかった理由と、規制当局がそれを認めていた理由
●防潮堤の建設・建屋の水密化が行われなかった経緯と理由。規制当局がそれを認めていた理由。
●津波襲来以前の、地震による被害を可能な限り切り分けること。
●同一サイトに複数号機の設置が認められていた設置基準の妥当性。
●福島第一が倒れれば、福島第二が倒れ、福島第二が倒れれば、東海第二が倒れるなど、「連鎖撤退」「連鎖破綻」の可能性が有ったことを踏まえて、立地基準に、原子力施設同士の十分な離隔距離が盛り込まれていなかった経緯と理由。
●航空機を異なる高度に同時に展開させて空気を採取する(チェルノブイリ原発事故の際には実施された)など、リアルタイムの航空機モニタリングの体制が整備されていなかった理由。
●電力事業者・規制当局によるサイト監視の在り方の検討。政府の最高意思決定者が、建屋の水素爆発を、民間のテレビ局の映像を通じて確認したことは、事業者・規制当局の監視体制が貧弱だったことを表してはいないか。

 上記のもの以外でも、調査すべきもの・調査可能なものは調査すべきであり、上記以外の論点・事象を調査不要と主張しているのでは有りません。

 尚、これらの意見は私個人のものであり、他の如何なる組織・個人とも関係のないことをお断りしておきます。

​(提出時に表示された番号:1980202190××××××××)​

====意見、ここまで====
 
====規制庁・規制委員会の回答====

 原子力規制委員会が行う東京電力福島第一原子力発電所事故の調査・分析については、現場の環境、人的資源、廃炉作業の進捗、新たな情報・知見の収集可能性など、様々な状況や制約を踏まえて、その対象や内容を選定しています。
 なお、御指摘の調査項目に関連して、原子力規制委員会は、1号機の非常用復水器(IC)に関する調査を2021年度以降に実施します。
​​
====回答、ここまで====


「3号機核爆発説」への規制委員会の考え方

 市民運動界隈で一部の人が主張していたのが、「3号建屋の爆発は核爆発だ」というものです。私自身は荒唐無稽なものだと思っており、当ブログでは一切取り上げできませんでした。
 今回のパブコメでは、「3号建屋核爆発説」も意見として寄せられており、それに対する規制委員会の考え方もまとめられていました。以下、事故分析検討会の考え方(意見への回答)のみ、紹介します。
(出典は上のリンクと同じ、通し6ページ、整理番号3)

​====3号建屋核爆発説への、規制庁・規制委員会の回答====

(前略)3 号機使用済燃料プールからの燃料取り出しが完了(2021年2月28日)しており、その際の調査により、一部燃料集合体の上部に変形及び損傷は見られましたが、その原因は水素爆発時に使用済燃料プールに落下した燃料取扱クレーン等による影響であることが確認されています。よって、(中略)使用済燃料プール内での事象について、科学的見地から核分裂連鎖反応の継続及び核的に爆発する両条件が満たされる可能性はありません

​====回答、ここまで====​


「津波襲来以前の、地震による破損の可能性」への規制委員会の考え方

 国会事故調や、複数の専門家が可能性として指摘していたのが、「津波襲来以前に、地震によっても設備が破損していたのではないか」というものでした。
 この件に関して寄せられた意見への、規制委員会の考え方は以下の通りです。

​====地震による影響について、寄せられた意見====​

 地震による原子炉建屋内の主要設備の損傷が事故原因だった可能性についての調査・分析が含まれていません。(国会事故調(2012 年 9 月に報告書を取りまとめ)でこの可能性が指摘されているかと思います)追加調査・分析が必要です。


​====意見、ここまで====​

​====地震による破損の可能性についての、規制庁・規制委員会の回答====​

 2014年10月に原子力規制委員会が取りまとめた「東京電力福島第一原子力発電所事故の分析中間報告書」において「津波到達前までは、炉心の露出・損傷に至るような原子炉圧力容器からの冷却材の漏えいはなかった。」としているように、地震発生から津波到達まで、原子炉圧力バウンダリから漏えいが発生したことを示すデータは見いだされていません。
 なお、2015年以降、今回の中間取りまとめまでに原子力規制庁が実施した現地調査においても、この結論に影響するような状況は確認されていません。

​====回答、ここまで====​


 私自身は、「津波襲来以前に設備が破損していた可能性」は大いに有り得ると思っていますが、10年以上経って、腐食や劣化も進んでいるでしょうから、今後、未調査であった箇所に立ち入り調査が出来たとしても、「津波前」と「津波後」の破損を切り分けできるような証拠は見付けられないのではないでしょうか。
「高線量被曝してでも、調査に行って」とは言えません。「核災害は現場検証を阻むもの」という、当たり前のことが、突き付けられていると思います。これも、私が核技術の利活用に反対する理由の一つです。


報告書への意見が、たったの37件~国民の意思~

 修正された報告書本文と、寄せられたパブコメ全文をまとめた書類に、リンクを貼っておきます。

(リンク)​

●​​東京電力福島第一原子力発電所事故の調査・分析に係る中間取りまとめ~2019年9月から2021年3月までの検討~

●​​「東京電力福島第一原子力発電所事故の調査・分析に係る中間取りまとめ(案)」に対する意見一覧

 私は、規制委員会の生中継を観ながら資料を確認していて、寄せられた意見がたったの37件であることに、目が点になりました。願望も込めて勝手な想像ですが、せめて3桁には届くだろうと思っていたのですが、そこに近づくこともありませんでした。

 所謂「市民運動」に関わっていなかったとしても、パブコメは選挙と同じ公的チャネルなのですから、この国の主権者として、意見を表明するのは当然です。
 この国を滅ぼしかねなかった事故の進展・分析に関する報告書なのですから、報告書の中身だけではなく、「●●も調べて」というような要望・注文もあってしかるべきでしょう。

 ところが、1億600万人の主権者がいるこの国で、フクイチ事故の進展・分析に関する中間的な報告書について、寄せられた意見がたったの37件でした。
 最早、この国の主権者の大半は、フクイチ事故を忘却したと言っても過言ではないでしょう。


何の為に「運動」し、「活動」しているのか

 ここから先は、パブコメを離れて書きます。

 フクイチ事故の進展・分析に関する報告書案へのパブコメが37件と知って、私は、所謂「市民運動」や「政党」の関係者について、大きな疑問を覚えました。
 フクイチ事故の原因・進展に関して、「騒いでいる」個人や団体は確実にいます(私にも、それらの団体のメルマガが送られてきます)。この個人や組織は、一体、何の為に「騒いでいる」のでしょうか? 
 目立ちたがり? 人集め・金集めのツール? 

 このような方達の多くは、チラシを作り、SNSに投稿し、メルマガや小冊子に寄稿しています。それらの文章を考えたり書くリソースが有るのに、公的チャネルであるパブコメには、たったの一行も考えたり・書くリソースが無いのでしょうか? 
 私には、そのような事情が物理的・論理的に説明できるとは思えません。
「運動系や政党関係者で騒いでいる」人達が、パブコメを書かない・提出しないのは、「リソースが無いから」ではなく、「最初から提出するつもりが無いから」でしょう。

 私のこの文章に反論する方がいるかも知れませんが、反論するリソースが有るなら、パブコメを考えたり提出するリソースは有るでしょう。パブコメを提出していれば、私に反論する必要は無い訳で、パブコメを提出するリソースが無いと言いつつ、私に反論するリソースが有るとしたら、論理的に矛盾します。

 もう一点、先回りしておきますが、「パブコメなんて、ガス抜き。提出しても意味が無い」という反論が有るかも知れません。
 それは選挙での投票も同じことです。投票したところで、死票になるかも知れませんし、投票した人物が当選したから公約が実現されるとは限りません(現に、野党統一候補で当選しながら、自民党会派に加わった国会議員もいます)。だからと言って、「運動系」や政党関係者で「騒いでいる」人達が、「投票なんて無意味。行ってもしょうがない」と主張するかというと、そうではないでしょう(寧ろ、「運動系」や「政党関係者」で「投票なんて無意味」と言う人は、少なくとも私は、見たことも会ったこともありません)。

 パブコメの提出率が低いのは、選挙での投票率が低いのと通じるのでしょうね。
 主権者としての意識や、「公的チャネルを幅広く活用する」という考え方が身についていれば、投票だろうがパブコメだろうが、手段の別なく使うでしょう。
 しかも、パブコメは、基本的には30日間の余裕が有り、ネットの環境が有れば、自宅からでも匿名で提出できます。期間は選挙より長く、提出のハードルは選挙より低いのですから、これで、提出率が極端に低いのなら、主権者としての行動・意識の問題です。

 他の人に「関心持って下さい」「投票率低いです。選挙に行って」と呼びかける自由は有ります。
 ですが、他人に何かを呼びかけるなら、「そういう貴方は何をしているの?」という問いかけが必ずついて回るのです。その問いかけに対して、「自宅で活用できる公的チャネルを使ってません」と答えたとして、説得力が有るのかどうか。

「運動系」や「政党」の関係者は、「他人への説得力」という視点を持たなければ、活動の意味を自ら損なうことになるでしょう。


春橋哲史​(ツイッターアカウント:haruhasiSF)






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Last updated  2023.03.12 19:28:36
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