炎の城・・・(3)
証拠を掴んだら・・・復讐だ薄暗い天守への階段を上って行く正人の姿があります。正人「父上の死因は何だ・・・何かある・・・殺されたのか・・・そうとすれば誰 に・・・証拠をつかまなければならぬ・・・、証拠を掴んだら・・・復讐 だ」 呟きながら天守の階段を一歩一歩踏みしめ登って行きます。父上はいつも平和を願い、叔父上は野望のために・・・その叔父上と母上はどうして寝床を同じくしたのか、正人の心中に複雑な思いがこみ上げてきたとき、下から「正人・・・正人・・」と母の声がしました。 母時子は雪野と共に、正人を求め階段を上がります。天守の外に身を隠していた正人が笑い声をあげ中に入って来ます。「どうしたのです・・・」と問いかける時子に答えず、手をはらうようにします。 雪野が時子に促され正人に「雪野ですよ・・・どうなすったんです」と近づくと、雪野の顔を両手で持ち上げ不気味な笑いを浮かべながら見て、「空は日本晴れだ」というのです。そんな正人に雪野が「私達の望みです、たった一つの誇りです、・・・お気を確かに・・・」と話しかけます。 すると、正人が「雪野」といい話しかけてきたのですが、正人「雪野、見目うるわしい女か・・・操は正しいか・・・美しさは操を売って売 女にかえる商人だ。・・・・・怖い・・・海は怖いな、怒ると人を呑むぞ」というと、再び笑い声をあげ外へと出て行きます。 師景は正人が気が触れた理由を探り当てるため、正人から片時も目を離さず尾行の者を二人つけるのです。天守から出て来た正人のところへ多治見庄司が駆け寄ってきます。正人は何もいわず速足である程度距離を歩いたところで、庄司の方を振り向くと丁寧にお辞儀をします。正人は尾行されているのを分っていたのです。 そしてゆっくりと歩きだし、庄司に話しかけます。正人「ニセ気違いともならないと殺されるところだった」と。 続きます。🎞️『炎の城』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。炎の城・・・(1)炎の城・・・(2)