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bunakishike

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2007年10月30日
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カテゴリ:クラシック音楽






 シモーネ・ヤング指揮ハンブルグ・フィルのブルックナー初稿シリーズの第2弾は最近人気が出始めている第3番です。第2番が良かったのでこのアルバムも期待していました。結論から言うと、力業的なところがなく、この曲の新しい魅力を示していたと思います。第2に比べてこの交響曲はパワーが必要ですし、デリケートな表現が活かせる部分は少ないと思っていました。しかしこの演奏がそのイメージを覆してしまいました。
本当は、ケント・ナガノの演奏と比較しようとしたのですが、手元になくあきらめました。
 
■夕闇に漂う第一楽章

 弦と木管が形成する霧が立ちこめる様な雰囲気の中で、トランペットの主題がさりげなく奏されます。夢見るような美しい情景です。
 
 すぐにテュッティになりますが、荒々しくはなりません。最初聞いたときには、力強さが不足していると思いました。しかし、そんなことはありませんでした。
 
 他の演奏でドライに聞こえるところも、この演奏では湿り気を帯びた演奏に聞こえます。すべてに渡って無意味なフレーズはないと感じます。
 
 11分頃に聞かれるホルンのラプソディックな展開もあまり強調されることはありません。
 
 12分頃再現される第1主題がテンポを落として堂々と再現されます。ここはなかなかの聞き物です。
 
 第2主題の愁いを帯びて官能的といってもよいような表情には強く引かれます。ブルックナーでこのような体験をしたのは初めてです。
 
 ブルックナーもひたすら神に祈っていたわけではないことを感じてしまいました。。。

■旋律の美しさを引き出した第2楽章、

 第2楽章はかなり遅いです。他の演奏の1.5倍の時間がかかっています。しかしその遅さがこの楽章の美しさを際立たせていることは確かです。ただし、その繊細な表現が、タンホイザーの旋律が出てくるこの楽章のクライマックスでは幾分弱さにつながっているような感じがします。私がここを聞くときはいつも鳥肌が立つのですが、この演奏ではその様なことにはなりませんでした。
 
■テュッティで普段聞こえない内声が聞こえてくる

 主題がテュッティで奏されるとき、普段聞こえてこない内声部がモザイクのように色々なところから聞こえて来ます。とても面白い解釈です。
 
 第2主題は特に違うことをやっているわけではありませんが、ここでは高弦の美しさが際立っています。
 
■最後のステレオ効果はあまり効いていない第4楽章

第1主題からしてブルックナーの仕込んだ仕掛けがよく分かり、大変面白い演奏です。今まで分からなかった手品の種明かしをして貰ったような、爽快さを覚えます。

 第2主題の美しさも無類です。終結部はあまり粘りません。トランペットがすべてを覆い尽くすのではなく、各声部の動きがよく分かります。でも、最後は少しあっさりと終わりすぎでした。
 
 ブルックナーの演奏方法としてはほとんどがやり尽くされたと思っていましたが、先の2番、そして今回の3番とまだまだ別な方法があったことを思い知らされました。この音楽の持つ深さのためなのですが、それを引き出した指揮者の力も讃えるべきです。
 
 ハンブルグ・フィルは指揮者の意図を十分にくみ取って素晴らしい演奏を繰り広げています。特に、弦の生き物のように変化する表情はとても素晴らしいです。

Simone Young:Bruckner Symphony No.3 wab 103 (original version 1873)(OEHMS OC 624)

l Gem??igt, misterioso
ll Adagio. Feierlich
lll Scherzo. Ziemlich schnell
iV Finale. Allegro

Philnarmoinker Hamburg,Simone Young(cond)

Recorded live October 14-16,2006,Laeiszhalle Hamburg
 





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Last updated  2008年08月29日 23時58分30秒
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