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楽天・日記 by はやし浩司

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2011年05月15日
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【2】特集∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

●思考力

 子どもの思考力は、つぎの四つに分けて考える。

(1) 思考の俊敏(しゅんびん)性 
(2) 思考の拡散(かくさん)性
(3) 思考の柔軟(じゅうなん)性
(4) 思考の深遠(しんえん)性

(1) 思考の俊敏(しゅんびん)性というのは、反応の早さをいう。たとえば丸と三角形を、それぞれ、5~10個描いたカードを見せ、「丸はいくつ?」と聞く。思考が俊敏な子どもは、瞬時に判断し、数を数え、その数を言う(年中児)。

(2) 思考の拡散(かくさん)性というのは、思考の広がりをいう。たとえば空き缶を見せ、「この空き缶を使うと、どんなことで役にたちますか」と聞く。思考の拡散性にすぐれている子どもは、「鉛筆立てになる」「コップにもなる」「紙粘土でおおえば、花瓶になる」と、つぎつぎと新しいアイデアを考え出していく。

(3) 思考の柔軟(じゅうなん)性というのは、臨機応変にものごとを考えていく力をいう。「雨が降ったら、かさをさす」「かさがなければ、雨宿りする」「近くに家がなければ、大きな木の下に隠れる」「木がなければ、カバンをかさにする」と。

(4) 思考の深遠(しんえん)性というのは、いわゆる思考の深さをいう。「石ころは、ふぉこから生まれますか」と聞くと、「土の中」と答えたりする。そこで、「では、どうして土の中から生まれるのですか」と聞くと、しばらく考えたあと、「土がかたまって石になる。みんなが、踏みつけるから、石になる」などと、答えたりする。

こうした思考力で、最近、とくに気になるのは、突飛もないことを言う子どもがふえていること。また突飛もないことを口にする子どもを、「おもしろい」とか、「すぐれている」と、誤解するケースが、多いこと。

 以前、私は、『イメージが乱舞する子ども』というテーマで、エッセーを書いたことがある。(ここに添付。中日新聞経済済み。)

 たとえば言っていることが支離滅裂。前後の脈絡そのものがない。言葉だけではなく、行動も、支離滅裂なことが多い。

 バタンと、突然床に倒れて、「ああ、今日は、カレーライス、食べた」と叫ぶ。そしてそのまま両手を広げて、「天井、天井、天井には、ゴキブリが二匹!」と。今度はパッと飛び起き、「先生、今度、たこ焼きを食べに行こう。行こう、行こう」と。私がとまどっていると、つぎの瞬間には、隣の子どもにおおいかぶさり、「おお、お前、なかなかやるじゃん」と。

 目まぐるしく動きまわり、そのつど、興味の対象も、動く。ADHD児と異なる点は、それなりに抑えがきくということ。強く叱ったりすると、静かに作業をしたりする。ADHD児のように、無意識的な行動というよりは、どこかで計算しながら、意識的に行動する。

 私は、テレビやテレビゲームなどの、映像文化の悪影響を疑っている。このタイプの子どもは、たいてい、家の中では、テレビゲーム漬けの生活をしていたりする。つまり脳の、ある特異な分野だけが、異常に刺激されるため、そうなると考えている。

 ちなみに、子どもたちのしているテレビゲームをのぞいてみるとよい。そのあまりの速さに、みなさんも、驚くことと思う。

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子どもの脳が乱舞するとき

●収拾がつかなくなる子ども

 「先生は、サダコかな? それともサカナ! サカナは臭い。それにコワイ、コワイ……、ああ、水だ、水。冷たいぞ。おいしい焼肉だ。鉛筆で刺して、焼いて食べる……」と、話がポンポンと飛ぶ。

頭の回転だけは、やたらと速い。まるで頭の中で、イメージが乱舞しているかのよう。動作も一貫性がない。騒々しい。ひょうきん。鉛筆を口にくわえて歩き回ったかと思うと、突然神妙な顔をして、直立! そしてそのままの姿勢で、バタリと倒れる。ゲラゲラと大声で笑う。その間に感情も激しく変化する。目が回るなんていうものではない。まともに接していると、こちらの頭のほうがヘンになる。

 多動性はあるものの、強く制止すれば、一応の「抑え」はきく。小学二、三年になると、症状が急速に収まってくる。集中力もないわけではない。気が向くと、黙々と作業をする。

三〇年前にはこのタイプの子どもは、まだ少なかった。が、ここ一〇年、急速にふえた。小一児で、一〇人に二人はいる。今、学級崩壊が問題になっているが、実際このタイプの子どもが、一クラスに数人もいると、それだけで学級運営は難しくなる。あちらを抑えればこちらが騒ぐ。こちらを抑えればあちらが騒ぐ。そんな感じになる。

●崩壊する学級

 「学級指導の困難に直面した経験があるか」との質問に対して、「よくあった」「あった」と答えた先生が、六六%もいる(九八年、大阪教育大学秋葉英則氏調査)。「指導の疲れから、病欠、休職している同僚がいるか」という質問については、一五%が、「一名以上いる」と回答している。

そして「授業が始まっても、すぐにノートや教科書を出さない」子どもについては、九〇%以上の先生が、経験している。ほかに「弱いものをいじめる」(七五%)、「友だちをたたく」(六六%)などの友だちへの攻撃、「授業中、立ち歩く」(六六%)、「配布物を破ったり捨てたりする」(五二%)などの授業そのものに対する反発もみられるという(同、調査)。

●「荒れ」から「新しい荒れ」へ

 昔は「荒れ」というと、中学生や高校生の不良生徒たちの攻撃的な行動をいったが、それが最近では、低年齢化すると同時に、様子が変わってきた。「新しい荒れ」とい言葉を使う人もいる。ごくふつうの、それまで何ともなかった子どもが、突然、キレ、攻撃行為に出るなど。多くの教師はこうした子どもたちの変化にとまどい、「子どもがわからなくなった」とこぼす。

日教組が九八年に調査したところによると、「子どもたちが理解しにくい。常識や価値観の差を感ずる」というのが、二〇%近くもあり、以下、「家庭環境や社会の変化により指導が難しい」(一四%)、「子どもたちが自己中心的、耐性がない、自制できない」(一〇%)と続く。そしてその結果として、「教職でのストレスを非常に感ずる先生が、八%、「かなり感ずる」「やや感ずる」という先生が、六〇%(同調査)もいるそうだ。

●原因の一つはイメージ文化?

 こうした学級が崩壊する原因の一つとして、(あくまでも、一つだが……)、私はテレビやゲームをあげる。「荒れる」というだけでは、どうも説明がつかない。

家庭にしても、昔のような崩壊家庭は少なくなった。むしろここにあげたように、ごくふつうの、そこそこに恵まれた家庭の子どもが、意味もなく突発的に騒いだり暴れたりする。そして同じような現象が、日本だけではなく、アメリカでも起きている。

実際、このタイプの子どもを調べてみると、ほぼ例外なく、乳幼児期に、ごく日常的にテレビやゲームづけになっていたのがわかる。ある母親はこう言った。「テレビを見ているときだけ、静かでした」と。「ゲームをしているときは、話しかけても返事もしませんでした」と言った母親もいた。たとえば最近のアニメは、幼児向けにせよ、動きが速い。速すぎる。しかもその間に、ひっきりなしにコマーシャルが入る。ゲームもそうだ。動きが速い。速すぎる。

● ゲームは右脳ばかり刺激する

 こうした刺激を日常的に与えて、子どもの脳が影響を受けないはずがない。もう少しわかりやすく言えば、子どもはイメージの世界ばかりが刺激され、静かにものを考えられなくなる。

その証拠(?)に、このタイプの子どもは、ゆっくりとした調子の紙芝居などを、静かに聞くことができない。浦島太郎の紙芝居をしてみせても、「カメの顔に花が咲いている!」とか、「竜宮城に魚が、おしっこをしている」などと、そのつど勝手なことをしゃべる。一見、発想はおもしろいが、直感的で論理性がない。

ちなみにイメージや創造力をつかさどるのは、右脳。分析や論理をつかさどるのは、左脳である(R・W・スペリー)。テレビやゲームは、その右脳ばかりを刺激する。こうした今まで人間が経験したことがない新しい刺激が、子どもの脳に大きな影響を与えていることはじゅうぶん考えられる。その一つが、ここにあげた「脳が乱舞する子ども」ということになる。

 学級崩壊についていろいろ言われているが、一つの仮説として、私はイメージ文化の悪弊をあげる。

(付記)

●ふえる学級崩壊

 学級崩壊については減るどころか、近年、ふえる傾向にある。一九九九年一月になされた日教組と全日本教職員組合の教育研究全国大会では、学級崩壊の深刻な実情が数多く報告されている。「変ぼうする子どもたちを前に、神経をすり減らす教師たちの生々しい告白は、北海道や東北など各地から寄せられ、学級崩壊が大都市だけの問題ではないことが浮き彫りにされた」(中日新聞)と。「もはや教師が一人で抱え込めないほどすそ野は広がっている」とも。

 北海道のある地方都市で、小学一年生七〇名について調査したところ、
 授業中おしゃべりをして教師の話が聞けない……一九人
 教師の指示を行動に移せない       ……一七人
 何も言わず教室の外に出て行く       ……九人、など(同大会)。

●心を病む教師たち

 こうした現状の中で、心を病む教師も少なくない。東京都の調べによると、東京都に在籍する約六万人の教職員のうち、新規に病気休職した人は、九三年度から四年間は毎年二一〇人から二二〇人程度で推移していたが、九七年度は、二六一人。さらに九八年度は三五五人にふえていることがわかった(東京都教育委員会調べ・九九年)。

この病気休職者のうち、精神系疾患者は。九三年度から増加傾向にあることがわかり、九六年度に一時減ったものの、九七年度は急増し、一三五人になったという。この数字は全休職者の約五二%にあたる。(全国データでは、九七年度は休職者が四一七一人で、精神系疾患者は、一六一九人。)さらにその精神系疾患者の内訳を調べてみると、うつ病、うつ状態が約半数をしめていたという。原因としては、「同僚や生徒、その保護者などの対人関係のストレスによるものが大きい」(東京都教育委員会)ということである。

●その対策

 現在全国の二一自治体では、学級崩壊が問題化している小学一年クラスについて、クラスを一クラス三〇人程度まで少人数化したり、担任以外にも補助教員を置くなどの対策をとっている(共同通信社まとめ)。また小学六年で、教科担任制を試行する自治体もある。具体的には、小学一、二年について、新潟県と秋田県がいずれも一クラスを三〇人に、香川県では四〇人いるクラスを、二人担任制にし、今後五年間でこの上限を三六人まで引きさげる予定だという。

福島、群馬、静岡、島根の各県などでは、小一でクラスが三〇~三六人のばあいでも、もう一人教員を配置している。さらに山口県は、「中学への円滑な接続を図る」として、一部の小学校では、六年に、国語、算数、理科、社会の四教科に、教科担任制を試験的に導入している。大分県では、中学一年と三年の英語の授業を、一クラス二〇人程度で実施している(二〇〇一年度調べ)。
(031222)





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最終更新日  2011年05月15日 12時11分44秒



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