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奥飛騨の山々に新緑の季節が訪れました。 芽吹いたばかりの葉の色は淡い緑。 初夏の風にあおられて、抜けるような青空に枝ごとしなるように揺れています。 天生県立自然公園は6月になっても所々に幸が残り、膨大な雪解け水を蓄えています。 遊歩道沿いにニリンソウやサンカヨウ、湿原には水芭蕉が群生しています。 巨木の原生林は緑深く鬱蒼と繁り、足を踏み入れた者を圧倒することでしょう。 自然の生命力と向き合う飛騨の夏です。 山深い飛騨では交通が大変不便で、昔は織物等の入手も困難でしたから、多くは自給自足でした。 それで、綿や麻を糸にして織りそれを自分の手で染めることが女性の務めでした。 勿論、模様を染め抜く技術等は持っていませんでしたから、単色の紺、浅黄、渋茶等の着物を着たわけですが、若い女の人たちは、自分の上着の一部に自分の好みの簡単な模様や図案を白い糸で縫いつけて用いました。 江戸末期頃にはこの風習もすたれましたが、この技が後世商人の風呂敷等の補強にも用いられ、その遺品が今も時々見られます。 その縫い取りの素朴な美に吸いつけられた伝統とモダンさは、今も尚、語り継げられています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.05.31 11:33:11
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