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古川町に欲の皮がぱんぱんに張った和尚様がござったんじゃと。 ある晩のこと、ほんこ様の帰りで遅うなってな、よばれた酒でふわふわしておると、代官橋の欄干になにやら光るものがあるんじゃ。 近寄ってみると、七色に光る美しい玉でな、あたりはほんのりと金色に染まっておったんじゃと。 「おりょりょ、なんと美しや。」 和尚様は欲の虫がうずいてな、手がふーと伸びていったがあとちょっと、もう少しというところで玉が弾んで逃げていく。 袈裟をなびかせて、ほんこ様のご馳走も投げ出すと我を忘れて走る、走る、あっという間に町外れじゃ。 粗末な百姓家の前に着くと玉は、ぼぉぉぉんと大きく弾んで中に転がり込んだ。 家の中には主の百姓が大きな口を開けて寝ておる。 するとどうじゃ、玉はすぅーっと音もなく百姓の口に吸い込まれると消えてしまったんじゃ。 「あぁぁぁぁっ」 和尚様があせって百姓を揺さぶるとはっと目を覚ましてな、 「おっ和尚様どうしてここに。」 「わりゃ今何食った!!」 和尚様が詰め寄ると 「わしゃなにも食っとらん。さっき代官橋で恐ろしい男に追いかけられてな、命からがら逃げ帰ってきたところじゃ。」 といったと。 おしまい お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.07.10 13:33:00
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