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言うまでもなく、進んでいる遅れているという概念は、きわめて相対的なもので、かつ多義的なものである。タイ国を遅れた貧困国と見る人が非常に多い。せいぜいよくて「豊かな自然と篤い人情」などと表現されることがある。ぼくもかつてその一人であった。「豊かな自然と篤い人情」という表現そのものは100%嘘はない。しかし、暗にそれ以外に見るべきものがないとでも言うかのような言説を聴いたり読んだりすることがある。そういう方は決まってタイ国を訪問したことがない。ある友人がタイ国の伝統的な音楽を聴いて、「ふん 30年遅れているわね」と言ったことに驚いた。「30年」の数字の出所がよく分からないのだが、「伝統的な」音楽というなら、日本のど演歌も「伝統的」なのであって、それを「遅れている」と言ってしまっては、「伝統」って何か?わからなくなる。タイ国には西欧基準で測ってみても、りっぱなモダン音楽があるし、きわめて大衆的である。
昨日、ナンナさんにデイビッド・フォスターのコンサートをプレゼントするために、セントラル・ピンクラオというデパートに行ってきた。これは、ナンナさんの憧れのアーティストだからである。切符もタイ基準では高いものであった。3000B(約7500円)であった。「タイマスター」という日本のピアに当たるところで買って、同じデパートの「マンポンド」というDVD屋に入ったら、そこのお兄さんもお金をはたいて「デイビッド・フォスター」のチケットを買ったと言って、とてもうれしそうであった。ぼくは、buy five get oneというセールスに騙されて?6枚のDVDを買ってしまった。なにしろ一枚99バーツ(約250円)以下である。だからどれだけでも買えるのである。何を買ったかというと、TALES FROM EARTHSEA(ゲド戦記)、ONLY YESTERDAY (おもひでぽろぽろ)、WHISPER OF THE HEART (耳をすばせば)、WEDDING PLANNER(heroin: Jennifer Mathew 邦名:未詳)、AUTAUMN IN NEW YORK (heroin Gere Ryder 邦名「ニューヨークの恋人」)、 NOTTING HILL (heroin: Julia Roberts 邦名:「ノッティングヒルの恋人」)以上である。後ろの3枚はとても古い洋画であるので、ぼくは映画館やTVを通して、日本で何度も見た。とても好きなロマンスなので、あえて購入した。英語の練習のためにである。たとえばノッティングヒルの恋人が79B(約200円)なのであるから、抵抗なく買えるのである。 なおメモとして、ぼくの愛機ニコンD90用のリチウム電池を予備として買った。2500B(約6250円)その店はセントラル・ピンクラオ内の「サニーカメラ」SUNNY CAMERAで、ニコンの専売店である。ニコンだったらなんでもある(嬉)。 ![]() かつてのぼくを含めて、タイ国対する偏見は根強い。ぼくのムラのまん前にカンチャナピセク道路が走っている。そこから5分も北に走ると、ボロムラチョンナーニBOROM RATCHONNANI道路との「交差点」がある。このボロムラチョンナーニ道路を東に走って、20分ほどでセントラル・ピンクラオ・デパートに着く。この交差点で、両者とも往復12車線の道路で、信号なしだから、「マカロニジャンクション」(スパゲッティジャンクションと言う国もある)にならざるを得ない。80キロから100キロのスピードでノンストップで、直角に交差する道に入ることを想像していただきたい。どんなにエキスパートの運転者でも、道路と絶えざる車線の選択に一瞬の判断が要求されるので、とても緊張する。いなかっぺの運転者でできるものではない。写真で赤線を入れたのが、ぼくのポコアポコの径路である。あ、これはどれも無料の一般道路である。制限速度はない。(有料高速道路には却って制限速度がある) モダニズムがいいとか悪いとか言っているのではない。ポストモダニズムもまた眉唾である。しかし、タイ国を「遅れた貧乏国」ということは単なる偏見にすぎない。どこの国でも「遅れた」部分、「貧乏な」部分の共存、すなわち格差を残している。タイ国はその一つに過ぎない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.10.08 17:56:37
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