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手嶋龍一と佐藤優の対談をまとめたインテリジェンス入門書「インテリジェンス 武器なき戦争」を読んだ。
手嶋はNHKのボン支局長、ワシントン市局長を経て独立、「ウルトラ・ダラー」がベストセラーになった。 佐藤は外務省で活躍したが、現在起訴休職中で、外務省のラスプーチンと呼ばれている。「国家の罠」「自壊する帝国」などの優れた著書がある。 以下、インテリジェンスの本質をあらわしていると思われる部分だけを抜き出してみた。 ----------------------------------------- ・インテリジェンス能力は当該国家の国力から大きく乖離しない。、、、、。GDP世界第二位のわが日本国は、インテリジェンス能力においても世界第二位の潜在力を持っている。ただし、その情報が内閣情報調査室、外務省、警察庁、防衛省、財務省、公安調査庁、海上保安庁、経済産業省、検察庁、マスコミ、商社、永田町の情報ブローカーなどに分散していて、政府に集約されず、機動的に使われていないのである。(佐藤) ・インテリジェンスは、国家の命運を担う政治指導者たちが舵を定めるための羅針盤である (手嶋) ・精査し、裏を取り、周到な分析を加えた情報。それがインテリジェンスです。(手嶋) ・専門の対外情報機関という「器」がないところでは、本当のインテリジェンス活動などできません。(佐藤) ・インテリジェンスの世界というのは、二つの要素でできています。第一に誰が指令を出して、誰に報告するのか。第二に、誰がお金を払うかということです。(佐藤) ・インテリジェンスの能力は、国力からそれほど乖離しないものです。したがてGDPが世界第二位ならば、それに即したインテリジェンス能力を日本は持っているはず。しかしそれが結晶化していないのです。(佐藤) ・インテリジェンス活動の難しさは、情報を入手するだけでなく、それをいかに扱うかにあります。(手嶋) ・その(インテリジェンス)本質を一番よく表しているのは、戦前の陸軍参謀本部が使っていた「秘密戦」だと思います。一番目は積極「諜報」。これがポジティブ・インテリジェンスですね。二番目はカウンター・インテリジェンスを意味する「防諜」。そして三番目が「宣伝」、四番目が「謀略」です。、、、謀略で一番うまいやり方というのは、相手に全体像を組み立てさせることなんですね。、、、(佐藤) ・自分たちがやる謀略のことは、「政府広報」とか「ロビー活動」と呼べばいいんです。敵がやるものを「謀略」あるいは「情報操作」と呼ぶ。やることは同じですが、印象はすいぶん違うでしょう。(佐藤) ・日本の公安警察や外事警察は、間違いなく世界最高水準に近いレベルのカウンター・インテリジェンス組織なんですよ。(佐藤) -------------------------------------- この本では、インテリジェンス・オフィサー養成スクール構想も具体的に述べているが、日本にもかつてそういう学校があった。 東亜同文書院とハルピン学院である。東亜同文書院は中国情報、ハルピン学院はロシア情報を対象とする人材育成機関だったという単純な総括では括れない人材を輩出している。 東亜同文書院は、政治・経済等の面における実務的中国エキスパートの養成が主眼であり、1901年に上海で本格的に活動を始め、1946年に終止符を打つまでの四十数年間に四千数百名の青年を育てた。 また、ハルピン学院は、中国のハルピンに後藤新平満鉄総裁が設立したが、「命のビザ」で有名な杉原千畝もこのハルピン学院の一期生だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/08/22 07:54:39 AM
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