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カテゴリ:邦画
暗黒界のボスの愛人に手を出した男が、命を助けてもらう代償に伝説の殺し屋を探し出す、というコメディー・ドラマ。映画監督の振りをして無名の俳優を幻の殺し屋に仕立て上げようとする三流ギャングの苦肉の策を描く。 「THE 有頂天ホテル」の三谷幸喜が脚本と監督を務める。 撮影と思い込み殺し屋に成り切る俳優に佐藤浩市、その俳優を騙す若者に妻夫木聡。 粗筋 ある町の暗黒界のボス天塩幸之助(西田敏行)の愛人高千穂マリ(深津絵里)に手を出してしまった手下の備後登(妻夫木聡)。 備後は、命の代償に伝説の殺し屋デラ富樫を探し出す羽目になった。無論、そんなことができる訳がない。備後は、無名の三流役者村田大樹(佐藤浩市)を雇い、殺し屋に仕立てあげるという苦肉の策を思い付く。 備後は映画監督を装い、村田に接近。ある町でギャング映画を撮影するので、殺し屋役を引き受けてほしいと頼む。 村田は、最初は拒否するものの、自身の俳優業がこのままでは行き詰ると感じ、この話を受けることに。 備後は、天塩に対しては村田が伝説の殺し屋だと説得する一方、村田に対しては全てが映画の撮影だと説得するという、苦しい対応を迫られる。 村田は、映画界では三流でも、演技の基礎はしっかりと身に付けているので、迫真の演技に天塩はあっさりと騙される。天塩は、村田を殺し屋として雇う。無論、村田はこれも撮影の一環だと信じていた。 村田は、天塩の右腕として大活躍。天塩の信頼を得る。無論、村田はそれすらも全て撮影の一環と信じていた。 当然ながら、こんな企みがいつまでも続けられる訳がなく、事態は独り歩きしていき、備後の手に負えなくなる……。 感想 鬼才とされる三谷幸喜最大のヒット作とされるが……。 典型的な日本映画。 著名人をガンガン登場させればヒット作ができると信じて疑っていない。出演者を全て無名にしろとは言わないが、カメオ出演をもう少し抑えられないのかね、と思ってしまう。ハリウッドでもカメオ出演を満載している映画はあるが、B級のノリで、ヒットを予想したものではない。A級映画でこんなことをやろうとしたら、上層部から総スカンを食らう。 また、つまらない「教訓」「感動」を捻り込んで観ている側を白けさせるのも、日本映画らしい。 コメディだから細かい部分にあれこれケチを付けてもしょうがないのかも知れないが……。 主人公である備後がとにかく共感できないキャラなのが最大の問題。小ずるいだけの、自分勝手な男としか写らない。こんな男が俳優である村田は勿論、暗黒界(といっても田舎町の、だが)のボスを騙せるとは、到底信じ難い。ある意味、最大の役者なのかも。 ヒロインのマリは、備後以上に自己中心的な、共感できないキャラ。こんな女の為になぜ備後や村田が命懸けで様々な行動を起こすのか、さっぱり分からない。 そもそも、なぜ備後や村田が天塩の元に戻ったマリを救助しなければならないのか、さっぱり分からない。マリが天塩の元に残っていれさえいれば、備後や村田のことは大目に見る筈。なのに、備後はどういう訳か「マリは自分と一緒にいたがっている」と信じ切っていて、さっさと田舎町から出れば自分らもマリも安全なのにも拘わらず、いつまでも居残る。この勘違いな行動により、特に救出されたがってはいないマリは勿論、自分らも危険にさらすのである。最終的には、マリは天塩と一緒にいることを選び、備後を捨てるのだから、備後らの計画や行動は全て意味のないものになってしまっているし、映画の後半そのものが意味のないものになってしまっている。 登場人物がこの田舎町に固執するので、舞台は殆どこの田舎町に留まる。そんな訳で、ストーリーに広がりが見られず、こじんまりとしてしまっているのも問題。銃撃戦など、派手なシーンを盛り込んでいるが、それも子供向けの特撮番組のようで、陳腐。映画でなければならない要素が見受けられない。 ストーリー運びが全体的に悪く、ラストも意味不明だし、サプライズもない。 三谷幸喜は名脚本家との声が名高いが……。 本作を観る限り、どこが名脚本家なのか、理解に苦しむ。 名前が一人歩きしている感じ。 手がけた作品が2、3本成功したからといって、無用にヨイショしても、本人の為にも、業界の為にも良いとは思えない。 マスコミはこのことにいつになったら気付くのかね。 そもそも、三谷幸喜はテレビドラマの脚本家。テレビと映画は、似ているようで異なる。三谷幸喜はテレビ業界でしか活躍できないようである。 本作も、テレビドラマにしていたら、そのシュールな雰囲気で、視聴率的な成功はともかく、カルト的な存在に成り得たと思う。 あと、三谷幸喜、て自作が公開されると、必ずあちこちの番組に出まくって、宣伝活動するのだが……。 宣伝活動を一切するな、とは言えない。映画は利益をもたらさなければならないのだから。 が、監督本人や出演者のタレント性や話題性に頼っているようでは、仮に映画が興行的に成功しても、公開後の評価は下がる一方になると思うが。 これも日本映画の悪習なのだが、最近はどの日本映画もこの手法を取るので、個人的にはますます観たくなくなる。 映画そのもので勝負できる内容の作品を制作してほしい。 関連商品: お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015.06.21 15:12:54
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