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非常に適当な本と映画のページ

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2018.04.21
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カテゴリ:洋書

 1996年に公開された劇場版スタートレック・シリーズのノベライズ。
 原作となった映画は、劇場版スタートレック第8作目に当たり、「新スタートレック(Star Trek: The Next Generation = ST:TNG)」の登場人物らが出演する劇場版としては2作目に当たる。
 前作の劇場版スタートレック第7作目は、新旧スタートレックの引き継ぎを果たす役割からか、オリジナルシリーズ(原題はStar Trek。後に製作されたST:TNGと区別する為に、Star Trek: The Original Series = ST:TOSと称される様になった)のキャラが登場していたが、本作ではST:TOSのキャラは全く登場しない。


粗筋

 西暦2373年。
 かつて惑星連邦宇宙艦隊に壊滅的な被害を与えたボーグ集合体が、太陽系へ再び侵攻する。
 ボーグ集合体は、サイボーグによって構成された電子・機械集団で、あらゆる文明を「同化」して自分らのものにし、勢力を拡大していく存在だった。同化された文明は、集合体の一部となり、個々の言動や思考は全く許されなくなる。これまで無数の文明がボーグにより侵略され、破壊されてきた。
 就航したばかりの航宙艦エンタープライズE号の艦長ピカードは、以前ボーグに同化されたものの生還出来た数少ない人物だった。しかし、それ故に再同化され易くて危険だ、という理由から、迎撃任務から外されてしまう。が、ピカードは命令に反して参戦し、ボーグ集合体の主力艦ボーグ・キューブを撃破する。
 しかし、爆発寸前のキューブから、小型のボーグ・スフィアが脱出。直後に時間の渦へ飛び込む。それと同時に、地球の姿が一変した。ボーグは過去へ飛び、地球を同化してしまったのだ。
 エンタープライズE号は歴史を元に戻す為、スフィアを追って時間の渦へ突入する。
 スフィアとエンタープライズE号が辿り着いたのは、2063年4月4日。ゼフラム・コクレーンが人類初のワープ航行を成功させ、異星人と初めて接触する日(ファースト・コンタクト)の前日だった。
 人類がこの日を史実通り迎えさせる必要に、ピカードは迫られる。
 ピカードは、副艦長のライカー、主任技師のラフォージ、精神カウンセラーのトロイらを地上に送り込む。
 ワープ航行を行う筈の実験船フェニックス号は、ボーグの攻撃を受け、破損していた。
 ライカーらは、フェニックス号の修理を手伝う事に。
 エンタープライズE号の24世紀の技術を使えば、フェニックス号の修理くらい難無く済むと思われたが、エンタープライズE号との通信が途絶えてしまい、ライカーらは手持ちの機器と、現地の技術のみで修理する事を強いられる。
 21世紀中頃の地球は、核戦争が終結したばかりで、大混乱の時代にあった。
 ライカーらの認識では、この絶望的な時代に偉大なるゼフラム・コクレーンがワープ航行を成功させ、異星人とファースト・コンタクトを果たし、人類を一つに纏め、惑星連邦創立の礎を築いた、という事になっていた。
 自分らの時代では神格化されているゼフラム・コクレーンと対面出来て興奮していたライカーらだったが、実際のゼフラム・コクレーンは神々しい人物ではなく、酒浸りの中年男性だった。人類の歴史を劇的に変えたとされるワープ航行技術も、賞金目当てで開発していただけであり、異星人との接触を果たす事になる等本人は想像すらしていなかったし、希望もしていなかった。自身を神の如く崇める未来からの訪問者らに早くも嫌気が差し、その場から逃げ出そうとする有様だった。
 ライカーらは、歴史的の人物の実像に幻滅したが、後の時代の者がコクレーンを勝手に神格化してしまったのも問題だ、と考えを改める。コクレーンをどうにか説得し、フェニックス号の修理に取り掛かる。
 修理を終えたフェニックス号は、宇宙へ飛び立ち、ワープ航行の準備を開始した。
 一方、地球を周回するエンタープライズE号では、艦内に侵入したボーグの生き残りらと、ピカードらが戦闘していた。ボーグらは、乗組員を次々「同化」し、航宙艦の完全支配を目論む。航宙艦の通信機を乗っ取り、この時代のボーグらへ連絡しようとする。
 その企みに気付いたピカードは、通信機に群がるボーグらを倒すが、ボーグの圧倒的な戦闘力に圧され、エンタープライズE号はボーグらの手に落ちてしまう。
 ピカードの前に、ボーグらを統率するボーグ・クイーンが現れる。
 ボーグ・クイーンは、抵抗は無駄で、地球がボーグの支配下に置かれるのは時間の問題だ、と宣言。
宇宙空間に辿り着いたフェニックス号を、ワープ航行前に破壊しようとする。
 ピカードは機転を利かせてボーグ・クイーンを倒し、フェニックス号の破壊を阻止。
 エンタープライズE号内での死闘の事等知りもしないフェニックス号は、予定通りワープ航行を開始。
 その航行は、史実通り、偶々太陽系を通り掛かっていたバルカン星人の調査船に感知される。
「ワープ航行技術を確立した文明は異星人との接触が可能な高等文明だ」との認識を持っていたバルカン星人は、地球を訪れ、ゼフラム・コクレーンと歴史的な対面を果たす。
 歴史が元に戻った事を確認したピカードらは、エンタープライズE号を時間の渦に飛び込ませ、自分らの時代に戻る。



解説

 宇宙物というSFに、更にタイムトラベルという別ジャンルのSFを加え、しかもスタートレック・シリーズ最大の敵とも呼べる勢力を放り込んでいる。
 盛り込み過ぎ。
 テレビ版ST:TOSでも、劇場版ST:TOSでも、タイムトラベルを扱ったものが好評だった事、そしてテレビ版ST:TNGでは敵役としてのボーグが好評だった事から、二匹目のドジョウというか、三匹目のドジョウを狙って、この様なストーリーになったらしい(ST:TOSのキャラが全く登場しない初の劇場版とあって、何が何でも成功させる必要があった、という事情も働いたと思われる)。
 安易にタイムトラベルを取り入れてしまうと、いくらでも歴史を変えられるではないかと思えてしまうし、ボーグはスタートレックの世界ではあまりにも異様で、敵としては個人的にはつまらないと考えているので、ガンガンやられても困る、というのが正直な所。

 過去の世界に飛んで歴史を変えてしまう、というのがボーグらの企みだったのなら、何故わざわざ太陽系にまでやって来て、時間の渦を作ったのか、の説明はなされない。
 惑星連邦から遠く離れた場所で時間の渦を作っていれば、宇宙艦隊の迎撃を受ける事無く、楽に過去へ飛んで行けただろうに。
 ボーグ・スフィアの航続距離が短いから、という理由もあったのかも知れないが、それでも過去へ飛んで行く以上、いくらでも時間を掛けて向かう事が出来た筈。
 まるでボーグらは、阻止される事を希望して、今回の作戦を立てたかの様である。

 歴史を元通りにする為、ピカードらは過去へ飛ぶが、その割には配慮が足りない。
 コクレーンと当たり前の様に接触し、自分らが未来からやって来たと伝えてしまうし、コクレーンがワープ航行を成功させ、自分らの時代では神格化されている事も伝えてしまう。
 お蔭で、コクレーンは怖じ気付いてしまい、その場から逃げ出そうとする。
 ライカーらは、コクレーンをどうにか説得して、ワープ航行を成功させるが、偶々上手くいった、としか言い様が無い。
 惑星連邦宇宙艦隊には、プライム・ダイレクティブという法律があり、それには「自力でワープ航法を開発して外宇宙航行を行う技術レベルに達していない文明に干渉してはならない」という条項がある。
 これは、惑星連邦宇宙艦隊がワープ航法を確立していない文明と接触してしまった所、悪意は全く無かったにも拘わらず悪影響をもたらし、その文明を破滅に追い込んでしまった事への反省から制定された。
 過去の自分らの文明と無暗に接触したり、未来について教えたりするのは、プライム・ダイレクティブに抵触する、とは考えなかったのだろうか。非常時だから仕方ない、となると、プライム・ダイレクティブなんてあって無いものになってしまう。

 テレビ版ST:TNGでは、ピカードは、「何故ここまで外交手段にこだわるのか。もう少し好戦的でもいいのでは」と観ている側が苛々する程武力行使には消極的だった。ボーグを相手にした時でも、武力にはなるべく頼らない方法で対処してきた。
 が、本作では、ピカードは「外交的手段等知らん! ボーグは一体残らず倒すのが正しい!」と言わんばかりに好戦的。問答無用でガンガン倒し捲る。同化されてしまった元乗組員のボーグらさえも、「ボーグとして生き続けるくらいなら死んだ方がマシなのだ!」と言い切って倒していく。
 テレビ版と劇場版という違いがあるとはいえ、何故ここまでキャラを変えてしまったのか、理解に苦しむ。
 本作は、テレビ版から数年後の出来事という設定なので、同化の後遺症に悩むピカードが、ボーグへの態度を硬化した、という見方も出来なくもないが。

 テレビ版ST:TNGの主役ともいえた航宙艦エンタープライズD号は、前作の劇場版スタートレック第7作目(初のST:TNG劇場版)で、あっさりと破壊されてしまう。
 そんな事もあり、本作では全く新しい航宙艦が、「新エンタープライズ号」として登場する(ギャラクシー型からソブリン型に交代)。
 テレビ版ST:TNGを観て慣れ親しんできた者からすると、自宅を勝手に壊され、新たな住居に転居せざるを得なくなった気分。
「艦船名はこれまでと同じエンタープライズ号。乗組員も同じ。だからいいだろ?」
 ……そういう問題ではない。
 テレビ版から観てきたファンからすると、乗組員は勿論、艦船も引き続き登場し、冒険を繰り広げるという形で、テレビ版から劇場版に移行する事を望んでいたと思うのだが。
 艦船をホイホイ変えるのは、「仏作って魂入れず」そのもの。
 主力艦を、スタートレックの世界のタイムラインで10年も経たずに失ってしまう惑星連邦宇宙艦隊は際限なく効率の悪い組織、という問題点も上がってしまう。
 米海軍だって、主力艦の空母を建造からたった10年で失っていたら成り立たないだろう。スタートレックも、登場させる艦船をもう少し大事にしたらどうか。

 ワープ航行を成功させたゼフラム・コクレーンは、実は後の時代の者が思っている程偉大な人物ではなかった、という切り口は、面白いといえば面白い。
 ただ、本作で描かれるコクレーンはあまりにも欠陥だらけで、こんな人物がワープ航行技術を開発出来たとは到底思えない。
 仮に出来たとしても、実際の人物像が後世に全く伝わらず、ひたすら神格化された、というのも信じ難い。古代時代ならともかく、21世紀なら、核戦争後の混乱した時代であっても、記録を残せただろうに。

 本作では、人類は2063年にワープ航行を成功させる、という事になっている。
 あと半世紀にもならない。
 流石に早過ぎじゃないか、と思う。

 ともあれ、本作はそれなりに成功したらしく、この後続編が2作制作された後、リブートされる。
 テレビ版の新シリーズも制作されており、スタートレック人気を支えた1作であるのは間違いない。
 ノベライズでは、劇場版では描き切れなかった登場人物の心理面や、時代背景も描いてあり、ストーリーをより理解し易くしている。
 劇場版を観てからノベライズを読んで復習するも良し、ノベライズを事前に読んで学習した上で劇場版を観賞するのも良しである。








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Last updated  2018.10.13 12:42:01
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