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JAFの趣味なページ

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戦国自衛隊1549登場装備

2005年6月11日に封切られ、世界の多数の国で上映、ハリウッドリメイクも決まった映画「戦国自衛隊1549」登場装備を紹介していこうというページです。なお9mm拳銃以降は戦自登場装備2に収録されております。

一覧
90式戦車
89式装甲戦闘車
87式偵察警戒車
96式装輪装甲車
82式指揮通信車
MLRS
88式地対艦誘導弾(SSM-1)
96式多目的誘導弾(MPMS)
軽装甲機動車
90式戦車回収車
89式小銃
カールグスタフ84mm無反動砲
9mm拳銃
12.7mm重機関銃M2
5.56mm機関銃MINIMI
AH-1S「コブラ」
UH-1J「ヒューイ」
OH-1「ニンジャ」

90式戦車(きゅうまるしきせんしゃ)
90式戦車
陸上自衛隊公式サイトより転載

74式戦車の後継として開発された、国産の第三世代主力戦車です。1977年に部分試作開始、1990年に正式採用、三菱重工で生産されています。愛称は「きゅーまる」。
映画では第3特別実験中隊(天導衆)に1両が配備され、主力として扱われていました。

主砲はドイツのラインメタル社製120mm44口径砲をライセンス生産したもので、APFSDS(装弾筒付翼安定式徹甲弾)という最も貫徹力のある砲弾を使えば最大900mmの装甲を貫通可能と言われています。もちろん榴弾などの他の砲弾も使えるので、砲弾の種類を変えることで対戦車戦から対歩兵戦まで対応することができます。
装填は砲塔後部にある弾薬庫に収まる17発までは自動装填装置が担当し、4秒に1発のペースで発射できるといいます。この自動装填装置装備によって装填手を省くことができ乗員はそれまでの4人から3人へと減っています。これによって砲塔も少し小さくすることが可能で、被弾面積も小さくなるので防御上有利とも言われています。しかし逆に万一撃破されたり故障を起こして脱出した際に周囲警戒が甘くなるといわれ、自動装填装置は賛否両論です。
砲安定装置も装備しており、これを使えばこちらが動いていてもロックした敵に対して主砲を向け続けることが可能で、精密な行進間射撃が可能です。実際にアメリカのヤキマ演習場における実射訓練で3km先の標的に行進間射撃で初弾命中させていて、その性能と乗員の練度に海外軍人が大いに驚いたということです。
他に武装として対空戦闘などに使われる砲塔上の12.7mm機関銃や主砲と同軸に装備されている7.62mm機関銃が装備されています。

防御力は前面装甲には複合装甲が使用され、詳細は防衛機密のために不明ですが、現在チタニウムメッシュ+ファインセラミックを圧延均質鋼板で挟み込んだものだという説が最も有力といわれています。最もあくまで推測ですので信頼性は皆無に近いですが・・・。この装甲の試験では他の90式戦車が発射した120mm徹甲弾数発に耐えた凄まじい防御力を持つ言われています。砲弾の高初速化によって意味を成さなくなった被弾径始は敢えて無視し作業簡略化のため単純な形をしています。
他、歩兵の対戦車火器から最も弱いキャタピラを守るサイドスカート、弾薬庫と燃料タンクを乗員から離してまた誘爆の際はその爆風を受け流して乗員を守るようになっています。それぞれに消化装置もつき、生存性(サバイバリティ)は74式戦車に比べ飛躍的に向上しています。
とりあえず正面装甲であれば、現在自衛隊が保有している対戦車火器では撃破できないのではないか、と思います。仮にトップアタック(上からの攻撃)や背後から攻撃をされれば分かりませんが。

電子機器は敵との距離を測るためのYAGレーザーレンジファインダー、照準用のパッシブ式熱線画像装置を砲手用に装備。射撃統制装置はデジタルコンピューター搭載のために高度な処理が可能となり熱線画像装置とリンクすることでロックした敵を自動追尾します。これも高い行進間射撃能力の1つの要因です。高い全天候性能力も持っており富士総合火力演習で悪天候のため射撃を中止する74式戦車を尻目に見事訓練を達成したといいます。因みに非常時には車長がパノラマサイトを使って砲手より優先的に照準を行うことのできる機能も備えています。また横風によって照準と着弾点がずれることを予防する横風センサーもついています。
防御用電子機器は、昨今主流となっているレーザー誘導式対戦車火器からの防御のためにレーザー警戒装置を装備、それに連動して(電子機器じゃないですが)レーザーを妨害する自動(手動発射も可能)煙弾発射装置が搭載されています。
但し指揮統制は従来の無線を使っており、アメリカの最新型戦車M1A2エイブラムスに搭載されるデータリンクなどは著しく劣っており、改修時には最大の焦点となるでしょうが今のところ改修するという話は聞きません。

足回りはもちろん装軌式(キャタピラ)で不整地の高い走破能力を持っており、50tという第三世代戦車としては軽いこと、1500馬力もの出力を出す(世界でもドイツと並んでトップレベル)液冷式ディーゼルエンジンと相成って高い機動性を誇ります。整地上での最高速度は時速70kmまで出ると言われます(但し燃費は250m/L、戦車での通勤はお勧めできません)。

各国の戦車と比べて全く遜色ない真の「主力戦車」となり得る性能を持ち合わせた90式ですが、ネックは価格で1両8~9億円くらいしたと言います。そのため配備数は2002年で260両に留まっており現在ではほぼ生産停止状態になってしまっています。しかし他国の戦車と比べると性能のわりにむしろ安い(仏ルクレールで9~10億円、英チャレンジャー2で11~12億円)くらいです。また「重すぎて橋を渡れない」というのもデマで50t程度の重さなら高速道路や1級国道を難なく渡れます。50tで橋が落ちてたら大型ダンプやトレーラーなんか落ちまくってますよ(笑)。あと「エアコンがついてるのは贅沢」という意見もありますが、現在の戦車はエアコンがついてるのは当たり前です。対NBC(核・生物・化学)兵器用として。冷房とエアコンを混同してはいけませんよ。

スペック
全長:9.8m
全幅:3.4m
全高:2.3m
乾燥重量:50t
最高速度:70km/h(整地)・50km/h(不整地)
エンジン:10ZG32WT液冷V型10気筒ターボディーゼル 1500HP
武装:ラインメタル社製120mm滑腔砲(弾数32)・12.7mm重機関銃・7.62mm同軸機関銃・4連装発煙弾発射機2基


89式装甲戦闘車(はちきゅうしきそうこうせんとうしゃ)
89式装甲戦闘車
M.A.S.D.Fより転載 タカ様撮影

映画では第3特別実験中隊(天導衆)に1両が配備され、主力として扱われていました。第3特別実験中隊の車両では実力No.2です。

陸上自衛隊において初めて開発・採用された歩兵戦闘車(IFV)です。装甲戦闘車となっているのはおそらく「歩兵」という言葉を嫌ったからでしょう。何しろ陸上自衛隊には「歩兵」はいませんからね、「普通科」で。そのため自衛隊でのこの種の車両の呼び方は"FV"です。
歩兵戦闘車というのは歩兵への強力な火力支援、また戦車と共に機甲部隊を編成し機動戦闘を行うという車両です。それなりに強力な武装・装甲・機動力をもっており、車内に歩兵1個分隊程度を搭載することも可能です。戦車と装甲車の中間の性質をもった車両ですね。

89式装甲戦闘車は、近代に入って戦闘の様相が変化し歩兵に対する火力支援がより重要になったこと、また当時開発中だった90式戦車と共同作戦を行うための車両として1980年に開発が開始されました。1989年に正式採用されています。愛称は「ライトタイガー」、この名前で呼ぶ人を見たことがありませんが(笑)

武装はスイスのエリコン社の開発したKDE35mm機関砲をライセンス生産したもので、毎分200発の連射力と徹甲弾なら1km先の40mmの装甲を貫通できる能力を持っています。もちろん90式戦車の120mm砲に比べれば見る影もありませんが、これは戦車じゃないので十分です。砲弾は徹甲弾のほか榴弾・焼夷弾などの各種砲弾が使えますが、いかんせん装弾数が34発と極めて少なく、非装甲目標への射撃機会はそれほどないと思われます。恐らくは装甲車に対する攻撃に使われるのでしょう。
対戦車戦闘は砲塔の左右に搭載された79式対舟艇対戦車誘導弾(通称重MAT)で行います。これは国産の赤外線半自動誘導式対戦車ミサイルで、最大射程4000mを誇っています。「半」というのは有線誘導も同時に行うからです。車両の方が照準機で目標に照準を合わせるとそのデータがワイヤーを伝ってミサイルに届き、ミサイルがそのデータに従って誘導されるというものです。重MATは主力戦車さえ撃破することもできる強力な対戦車火器なので、万一見方の支援がない状況でもある程度は戦闘が可能だと思われます。もっとも孤立した車両が戦闘能力をいずれ失うのはいかな強力な車両といえど変わらないのであくまで補助的なものです。完全に孤立してしまえば、それはもう一巻の終わりと考えたほうが良いでしょう。
他に対歩兵用に7.62mm機関銃が同軸に装備されています。
また中に乗った歩兵がそのまま戦闘できるように6人の乗車歩兵に1つずつ計6つの銃眼がつけられそこから小銃を射撃可能になっています。ただしこの銃眼の存在には賛否両論あり、車体の一部を切り開くのは強度も低下するし、無防備な銃眼を対物ライフルで狙われる危険性もあるというのが否定説です。実際に米軍のIFV(正確にはMIFV)M2ブラッドレーでは銃眼がありましたが、全て潰されてしまいました。実際の戦場では銃眼がないほうが良いように思えます。しかし「何の遮蔽物もないところで生身で戦うよりいい」という、歩兵を主眼にした意見にも一理あるところがあり、私には判別がつきません。
また自衛用に4連装発煙弾発射機を2基備えています。

防御面はほぼ不明ですが、73式装甲車の約2倍という重量からかなりの防御力を持っているのではないかと考えられます。しかしどちらにしろ対戦車火器や戦車砲を食らえば一たまりもないのは変わらず、機関銃や砲弾の破片を防げる程度です。
足回りは装軌式の最高速度70km/h、言うまでもありませんが、90式戦車の速度に合わせた速度です。600馬力の液冷式ディーゼルエンジンを搭載しており、90式戦車にまけじおとらじの走破能力を持っているのではないかと考察します。

性能自体は各国のIFVと比較しても全く遜色ないレベルの車両ですが、最大の欠点はその価格です。異常なまでの高額からほとんど調達が進まず、年間1~2量程度という状態になってしまっています。

スペック
全長:6.8m
全幅:3.2m
全高:2.5m
乾燥重量:26.5t
最高速度:70km/h(整地)
エンジン:6SY31WA型水冷直列6気筒ターボディーゼル 600HP
武装:エリコン社製35mm機関砲(弾数34)7.62mm同軸機関銃・4連装発煙弾発射機2基


87式偵察警戒車(はちななしきていさつけいかいしゃ)
87式偵察警戒車
M.A.S.D.Fより転載 ぐり様撮影

映画では第3特別実験中隊とロメオ隊の双方に1両ずつ配備され、城門をぶち破って突入してきたり、ロメオ隊の実質上の主力になるなど実は一番活躍している車両です。

陸上自衛隊は北海道に配備された第七師団が威力偵察(敵にわざと攻撃を加え、それに対する反応で敵の勢力の規模を判断する偵察)に74式戦車を使っているほかは、オートバイやジープなどの軽快だけれども装甲を持たない車両で偵察を行っていました。装甲を持たないので小銃1発でも食らえば行動不能になる可能性もあり、乗員の危険も大きいために行動は大きく制約されていました。
そこで開発されたのが味方の進出した部隊と共に行動して偵察・警戒を行う装甲車両で、1983年開発開始、1987年に制式採用され「87式偵察警戒車」となりました。

主武装はスイスのエリコン社が開発したKBA25mm機関砲で2000m先の30度の被弾傾始をもった25mmの装甲を貫通できるという、機関砲にしては大きな威力を持ちその上対地対空の両方に使えるといわれています。しかし威力偵察を行うには貧弱な武装ではありますから自衛用装備だと思われます。副武装は同軸に装備された7.62mm機関銃です。砲塔をもった車両としてはこの同軸機関銃はおなじみですね。
また自衛用にこれもお馴染みの4連装発煙弾発射機を2基装備しています。

防御面は均質圧延鋼板の溶接箱形構造を採用していて、装甲は他の装甲車と同レベルの小銃弾や炸裂した砲弾の破片から守れる程度です。これも威力偵察を行うにはやや心もとないとされています。
車内配置は車本体のほうに、前方右側に操縦席、左側に偵察員席が置かれ、後方左側にもう1つ偵察員席が置かれています。エンジンは後方右側です。車体中央には砲塔が配置されておりここに車長と砲手が乗り込みます。

この車両の足回りは装輪式で、エンジン・サスペンション・トランスミッションは82式指揮通信車と同じものが使われています。これは軽快な機動力と低騒音をその任務上必要としたためで、6WDを採用することで装軌式の車両と走破性はほとんど変わらないという実験結果が出ています。

スペック
全長:5.99m
全幅:2.48m
全高:2.8m
乾燥重量:15t
最高速度:100km/h(整地)
エンジン:10PBY型水冷ディーゼル 305HP
武装:エリコン社製25mm機関砲・7.62mm同軸機関銃・4連装発煙弾発射機2基


96式装輪装甲車(きゅうろくしきそうりんそうこうしゃ)
96式装輪装甲車
M.A.S.D.Fより転載 タカ様撮影

陸上自衛隊初の装輪式装甲兵員輸送車です。映画では第3特別実験中隊とロメオ隊に1両ずつ配備され、ロメオ隊のほうは映画オリジナルの医療用に改造された「96式装輪装甲車改」というものが使用されていました。

82式指揮通信車・87式偵察警戒車と、装輪式の車両を開発しその成功を見て自信を深めた陸上自衛隊は、いいかげん耐用年数を過ぎようとしている骨董車両60式装甲車と、古くなってきている上に十分な数そろっていなかった73式装甲車の両方をいっぺんに更新してしまおうと、1992年から開発開始、1996年に制式化されました。
普通はコスト(生産・維持・燃費など全て含めて)も安く、大量に配備可能な装輪式車両です。これをもって普通科部隊の完全な機械化を実現するつもりでした。そう、「つもり」でした。96式装輪装甲車は理由はよく分かりませんが装輪式のくせに調達価格が高く、思うように進んでいません。結局のところ普通科部隊の完全機械化は、その後に登場した「軽装甲機動車」によって達成されそうです。

主武装は車長キューポラに装備される96式40mm自動てき弾銃、いわゆる40mmグレネードランチャーです。本部車両では代わりに12.7mm銃機関銃が装備されており、その比率はだいたい10:1と言われています。40mm自動てき弾銃は96式40mm対人対装甲てき弾という、いっしょに開発されたグレネード弾を使用していて、毎分250~350発の高い連射性能と有効射程1500mの長射程を誇っており、面制圧火器としてかなり高い性能です。また、面制圧火器なのですから適当にばらまけばそれで事足りるのにもかかわらず、何故かピンポイント射撃も可能となっています。
問題は、この96式40mm自動てき弾銃の信頼性が著しく悪いことです。自衛隊には過去にも62式7.62mm機関銃という駄作機関銃を開発しましたが、それと同等に評判が悪いそうです。
防御用として、もはや最近の車両の標準装備となりつつある、自動発射できる4連装発煙弾発射機2基を搭載しています。

防御力は他の装甲車と変わらず小銃弾や砲弾の破片を防げる程度です。このような兵員輸送車は基本的に前線で戦うことを想定しておらず、前線の後ろの「戦域」とよばれるところで兵員輸送するのが任務です。なので時折飛んでくる長距離砲弾や航空阻止の爆撃、長距離ロケット砲の破片などを防げればいいのです。それ以上の防御力を持たせるのは、コストが高まるだけで使用機会のない無駄装備です。長距離砲の直撃を受ければ戦車だって撃破されてしまいますしね。
ただし、イラクに派遣された本車両は増加装甲をつけているという情報もあります。これはそれなりにイラクが危険なところと認識した上での装備でしょう。

足回りは4軸8輪の8輪駆動、たとえそのうち1つ(組み合わせによっては2つ)が吹き飛ばされても行動可能で、コンバットタイヤを使用しているので銃で撃たれてもある程度は耐性があり、空気が抜けたりしても走行可能です。中央タイヤ圧システム(CTIS)というで地形に対応して空気圧を変更することと、サスペンションによって不整地でも高い走破性を持ちます。さらに96式装輪装甲車はその絶妙な、タイヤの直径と配置のバランスによるところも大きいです。
しかし96式装輪装甲車の最大の特長は戦術単位での機動ではなく、むしろ戦略機動性にあり、日本にような道路網が発達した場所においては装軌式のッ装甲車の追従を許さない速度での移動が可能です。

ところでよく「96式APCは車両の底がまったいらで地雷を踏んだ時爆発を逃せず致命的な損傷を受ける可能性がある」といわれますが、ちょっとやそっとのV字型にしたところで、平均炸薬量10kgの対戦車重地雷にはほぼ無意味です。売り文句ではチーフテンやコブラやM35がV字型の底を採用して現用のほぼ全ての対戦車地雷を凌げるそうですが、計算上は無理です。仮にこれらの車両がTNT火薬10kgの対戦車重地雷を踏み、爆発力を削いで受けるエネルギーが4分の1になったとすれば、簡単に言うと10tの車が165km/hの速度でゆがんだりしない壁に正面衝突したのと同じ衝撃です。どう考えても無事でいられるとは思えません。
「耐えられる」という文句に偽りがないのであれば、車両は足回りが吹っ飛んでも乗員はなんとか無事(骨折その他重症含む)ということかもしれません。しかし対戦車地雷対策を謳っている装甲車などの面々は対地雷用の装甲をはるといったこともしており、やはりV字型に底をしたくらいで劇的な効果が得られるかと言われると疑問です。

スペック
全長:6.84m
全幅:2.48m
全高:1.85m
乾燥重量:14.5t
最高速度:100km/h(舗装道路上)
エンジン:水冷直列6気筒ターボディーゼル 360HP
武装:12.7mm重機関銃もしくは40mm自動てき弾銃・4連装発煙弾発射機2基


82式指揮通信車(はちにしきしきつうしんしゃ)
82式指揮通信車
M.A.S.D.Fより転載 セラ様撮影

陸上自衛隊初の装輪式装甲車両です。以前96式装輪装甲車でも同じようなことを書いたので困惑された方もおられるかもしれませんが、96式は「最初の装輪装甲兵員輸送車」です。映画ではロメオ隊に配備され、指揮官が乗り込んでいました。

自衛隊の装甲戦闘車両は必ずといっていいほど、悪路での走破性を重視した装軌式を採用していましたが、1974年になって装輪式車両が一体どの程度の走破性を誇れるのかの研究を始めました。そこで6WDの車両が完成し、実は工夫さえすれば装輪式でも装軌式と同等とは行かないまでも、かなり近いくらいの走破性を実現できることが分かりました。なので前線に出ることがなく、比較的良好な土地を通過する車両は装輪式で作ることになりました。その第一号が82式指揮通信車です。
指揮通信車は指揮通信車は複数の車両から送られてくる情報を総合し、その情報を基に指示を出して統制をとるのが任務です。戦場において火力はそれほどではないものの、戦闘での勝利を収めるには欠かせない車両です。

主武装は12.7mm機関銃です。主武装といってもこの程度で、ここからも前線に出るための装備ではないことが伺えます。副武装は62式7.62mm機関銃です。一般的な車両用の7.62mm機関銃は、74式7.62mm車載機関銃というものを使用しているのですが、この車両は何故か62式です。この62式機関銃というのが、すぐ弾詰まりする、すぐ故障する、引金離したのに弾が出続ける、などなど悪評の耐えない機関銃で「言うこときかん銃、無い方がマシンガン」というありがたくないあだ名までつけられる曲者です。
中に乗り込んでいる人が射撃できるように車体右側面に3基、左側面に2基、後部ドアに1基銃眼が設けられ、またハッチから体を乗り出して対戦車火器を撃つことも可能なようです。
防御は他の国産装甲兵員輸送車と同程度と考えられています。

足回りは6WDの装輪式で、油圧及びコイルスプリングの6輪独立懸架を採用することで6WDと相まって高い走破性と路面追随性を持っています。超壕能力は1.5m、超段差能力は60cmという数字が実験で得られています。

スペック
全長:5.72m
全幅:2.48m
全高:2.38m
乾燥重量:13.6t
最高速度:100km/h(舗装道路上)
エンジン:10PBY型水冷ディーゼル 305HP
武装:12.7mm重機関銃・7.62mm機関銃


MLRS(えむえるあーるえす)
MLRS
ロッキード・マーチン社公式サイトより転載

"Multiple Launch Rocket System"「多連装ロケットシステム」の略で、正確には車両ではなく車両とロケット弾などの全体を含めたシステム名です。車両名はM270自走発射機となります。203mmM110自走榴弾砲の後継として1971年にアメリカが、1978年に西ドイツ・イギリス・フランス、1982年にイタリアが参加しての対ワルシャワ条約機構として開発されました。なお開発当初の計画名はGSRS"General Support Rocket System"「全般支援ロケットシステム」でした。1983年からアメリカ陸軍向けの生産を開始、1989年にヨーロッパ向け生産開始、1992年に陸上自衛隊が採用を決定し、日産自動車(2000年度からは石川播磨重工業)がライセンス生産しています。後から生産を始めたのにもかかわらず、保有量はアメリカ・ドイツに継ぐ世界第3位となっています。
当時の東側の軍隊は、部隊を何波にもわけて先頭の部隊が消耗したら、その部隊を超えて第2、第3の部隊が連続攻撃する、という戦術が主体でした。つまりたとえ質で勝っているNATO諸国も数で上回るワルシャワ条約機構軍に最後には突破されてしまう、ということです。
それに対しアメリカ陸軍は、その連続攻撃を阻止するために後方に位置する第2、第3…の部隊を先に攻撃しておき、敵の連続攻撃に隙を作り反撃の足がかりを作るための兵器開発に着手しました。こういった戦術を「ディープストライク」と言い、榴弾砲・攻撃機などもこれを担当することがあります。そうして生まれたのがMLRSです。

主な武装はもちろん12連装ランチャーに装填されたM26ロケット弾(直径227mm)で、発表によれば最大射程は32km、発射されたロケット弾は空中で分解され、内蔵している644個のM77子爆弾をあたり一面に撒き散らします。日本でも「非人道的兵器」と悪名高い(私は別にそうとは思っていませんが)クラスター爆弾と似た感じです。12発のロケットを一斉に発射すれば制圧できる面積はサッカー場6面分と言われています。これは誘導装置を持たない長距離ロケット弾の不正確さをカバーするもので、こうすることで多少目標からずれても損害を与えることができます。因みにM77が直撃した場合の装甲貫徹能力は約40mmと言われます。
発射速度は4.5秒/発(ロケット弾同士が干渉しあい弾道がずれるのを防ぐため)で、12発全て撃ち終わった後の装填もわずか96秒です。改良型の新型ではさらに速くなっています。
陸上自衛隊は配備していませんが、MGM-140ATACMS("Army Tactical Missile System"「陸軍戦術ミサイル」)という地対地ミサイルも運用できます。これを使う場合はM26ロケット弾6発の代わりに1発を装填し、12連装ランチャーなので最大2発が搭載できます。
湾岸戦争ではイラク軍に向け発射され、「鉄の雨」と恐れられていました。当時ニュースなどでこのMLRS発射の様子が報道されたらしいので、見たことのある方も多いのではないでしょうか。

M270自走発射機はアメリカ陸軍のM2ブラッドレー歩兵戦闘車の車体をベースに開発されたもので、AVMRL"Armored Vehicle - Mounted Rocket Launcher"「装甲車両搭載ロケットランチャー」とも呼ばれます。もとが歩兵戦闘車だけあって小銃弾や砲弾の破片程度なら耐えられる装甲を保有しており、対NBC防護も完璧です。発射統制ユニット・遠隔発射ユニット・統制表示パネル・航法装置で1ユニットの射撃統制装置を搭載しています。足回りは装軌式のため、走破性は非常に高いです。
現在射撃統制装置を改良したM270A1が生産中で、装填装置にも改良が加えられ、なんと16秒で再装填が可能とされています。またM77子爆弾は518発に減りましたが、その分ロケットモーターを大型化して射程45kmを実現しています。

残念ながら映画ではその雄姿を見ることは出来ませんでしたが、1回きりの必殺兵器として使われたのでしょう。当時の城だったら、1セットを斉射しただけ1つ陥落してしまうような気がします。

スペック(陸上自衛隊)
全長:6.972m
全幅:2.972m
全高:2.591m
乾燥重量:24t
最高速度:64km/h
エンジン:カミンズVTA903-T500 4ストロークV型8気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル 500HP
武装:M26 227mmロケット弾12発


88式地対艦誘導弾(はちはちしきちたいかんゆうどうだん)
88式地対艦誘導弾
陸上自衛隊公式サイトより転載

日本が独自開発した地対艦誘導弾です。通称"SSM-1"、愛称「シーバスター」。原型は、同じく独自開発の80式空対艦誘導弾(ASM-1)で、それに加速用のロケットブースターを追加したりしたのがこの誘導弾です。生産は三菱重工で、世界でもトップクラスの性能を持つといわれています。映画では第3特別実験小隊に発射機1両が配備されていました。

世界各国の沿岸に配備して使う地対艦ミサイルと違い、敵からの被発見性などを低下させ、また万一発見されても攻撃がそうそうできないように100kmも内陸部から発射されます。
発射機・レーダー・中継装置・射撃統制装置・装填装置・指揮統制装置から成っていて、レーダーが前線に進出して目標艦船を探知、データを中継装置を通して指揮統制装置に送り、指揮統制装置が発射機の位置と目標の位置などから最適飛行コースを決め、射撃統制装置に指示、射撃統制装置がそれに従って発射機に射撃させます。この際敵の迎撃システムに各個撃破されないように、6連装のランチャーから一気に発射します。
ロケットブースターを点火して加速、発射されたミサイルは途中で長距離飛行用のターボジェットエンジンに動力を切り替え、慣性航法装置で割り出される位置情報と電波高度計、それに事前の飛行コース設定に基づいて低空を飛行し、障害物があればそれを迂回し、海に出た後は超低空をシースキミング(海面すれすれの高度を飛ぶこと)し目標に接近します。目標に近づいたらアクティブレーダーシーカーを起動させて自ら目標を探知、識別して誘導し、目標に向かって突入します。
このシーカーは、これまで海上自衛隊に配備されていた西側ベストセラーRGM-84ハープーン艦対艦ミサイルに比べ高周波数域を使用しているといわれ、そのため高いレーダーにおける解像度と、ECCM能力を持つといいます。
さて、そのECCM能力は、内蔵コンピューターのアルゴリズムと並んでSSM-1の最大の特長とされており、ECCMでは電波妨害(ジャミング)による妨害はジャミング状況下での誘導モード「HOJ」"Horming On Jamming"モードに切り替えることで電波妨害の発生元に目標が切り替わるようになり、チャフ散布などの欺瞞に対してはその位置関係をコンピューターが判断することで、真の目標を的確に捉えられるといいます。
アルゴリズムは主にアクティブホーミングに切り替えてからの目標選択を担当するもので、従来の対艦ミサイルでは最もレーダー波を反射する目標にむけて最悪全てのミサイルが飛び込んでしまう、という事態を避けるためのもので、詳細は分かりませんが確率論を応用した複雑なアルゴリズムで目標の振り分けができるようになっているそうです。

このSSM-1試射は国内ではできないため、アメリカ海軍のポイント・マグー・ミサイル射場で行われ、その際に極めて小さな洋上目標に過たず命中し、また米軍の行った高度な電子的妨害下でも命中させ、アメリカ軍の関係者に衝撃を与えたといいます。

と、凄く高性能なSSM-1こと88式地対艦誘導弾なのですが、タイムスリップしたのは発射機のみ・・・恐らく1発も撃てずにやられてしまったのではないかと思います。

スペック(弾体)
全長:5m
直径:0.35m
乾燥重量:660kg
最大射程:100km以上(推定)
エンジン:ロケットブースター+ターボジェットエンジン
誘導方式:慣性誘導+アクティブレーダーホーミング


96式多目的誘導弾(きゅうろくしきたもくてきゆうどうだん)
96マルチ
カムラ様撮影

日本が世界で最も早く開発した新しいタイプのミサイルです。映画では発射機が1両第3特別実験中隊に配備されていました。しかし発射機だけでは運用できないので、ああいう使い方をされたのでしょう。愛称は「96マルチ」、命名時に「マルチ」にこだわったという噂があります。
生産は川崎重工で1996年から調達されており、MPMS"Multi Purpose Missile System"とも言い、対戦車のみならず対舟艇などの幅広い任務に使います。流石に航空機撃墜は無理ですが(笑)一応79式対舟艇対戦車誘導弾(重MAT)の後継となっていますが、その運用方法は全く違います。
重MATは歩兵数人単位で使うミサイルでしたが、このシステムは相当に大掛かりで、高機動車に搭載された6連装発射機の他に地上誘導装置、射撃指揮装置、情報処理装置、装填機等で1セットになっています。

ミサイルの重量は約60kg、重MATの33kgに対して2倍弱もの増加になっており、もちろん威力・射程共に大きく向上しています。弾頭は地上からの指令で対舟艇用には磁気反応信管の榴弾、対戦車用には着発信管のHEAT弾が選択できるようになっているらしく、重MATのような弾頭を事前に付け替えるという作業はなくなっているようです。しかし両者の弾頭は全く違う仕組みのものなので、仮に1つのミサイルに2つ入っているとしたら「無駄な重量食ってるのでは?」と考えてしまいます。そりゃHEAT弾で戦車の装甲抜いた後に、榴弾も起爆させれば相当強力でしょうけど。
基本的には丘の向こうなどの見えない場所にいる敵に向けて使われ、これも今までのミサイルと一線を画す所です。観測員なり(導入予定の)無人観測機なりで目標情報を得、それに基づいて情報処理装置から射撃指揮装置へ伝達、さらに地上誘導装置へ発射命令が下され、発射機から発射されます。発射されたミサイルは秒速約150mの水平飛行に移り、慣性誘導を使って目標近辺まで自動的に誘導され、接近すると赤外線画像誘導に切り替えて、光ファイバーケーブルを通じて地上誘導装置に画像が送られます。
地上誘導装置の誘導員は誘導装置で目標をロックしてそれに自動的に飛び込ませることもできますし、ラジコンのように自分で操作することも可能です。撃ちっぱなし能力、つまり一回撃ったら後はほったらかしといていいというミサイルが増えつつある中で有線の人による誘導は古いと考えられがちですが、有線誘導は電波妨害などの影響を受けにくく、また人が操作すれば欺瞞などにも非常に強いという良いところもあります。96式多目的誘導弾は敵から離れたところから攻撃する兵器なので、撃ちっぱなし能力による生存性向上よりも命中の確実性をとったということでしょう。また命中直前には指揮所にも画像が送られ、効果判定を行えるという特徴もあります。
射程は8kmと発表されていますが、10数kmはあるとする説もあります。

値段が高いのがネックではありますが、世界が羨む性能を持った兵器といっても過言ではないでしょう。

スペック(弾体)
全長:2m
直径:0.16m
乾燥重量:60kg
最大射程:8km
エンジン:ロケットモーター
誘導方式:慣性誘導+光ファイバーTVM赤外線画像誘導


軽装甲機動車(けいそうこうきどうしゃ)
軽装甲機動車
陸上自衛隊公式サイトより転載 完成披露試写会での一場面

軽装甲機動車は小松製作所が生産し、2001年から陸上自衛隊に導入されている、所謂ジープと装甲車の中間に位置するような車両です。一応「機動車に装甲をはったもの」という位置づけになっています。愛称は「ライトアーマー」。映画でロメオ隊に1両配備されていました。

武装は、固定武装はありませんが、5.56mm機関銃MINIMIや対戦車ミサイルを上部のハッチから撃つことは可能です。防御力は小銃弾(12.7mm重機関銃のCal.50にかなり耐えられるとか)や155mm榴弾砲の破片に耐えられる程度とされています。何でも実験で陸上自衛隊の人に12.7mm機関銃で精密射撃をお願いしたところ、ガラスさえ撃ち抜くことができず、大変悔しがったという話もあります。1973年に採用された73式小型トラック(旧)とほぼ同サイズでありながら、装甲のために重量は約2倍に跳ね上がっています。
この装甲は防弾鋼板は使用しておらず(輸出を最初から狙って、日本の素晴らしい性能の防弾鋼板を使わなかったといいます)、そのかわりに「こんなの使えるのか?」と言う様な素材を装甲として使っているそうです。それで12.7mmや砲弾の破片に耐えられるのですから素晴らしいですね。
小型車ゆえに機動性は高く、高速で移動することができます。イラク派遣に参加していますが、現地ではその機動性と取り回しの良さからオランダ兵から羨望のまなざしで見られたとか。車内の防音性能も高く、走行中の車内は非常に静か。
そしてこの車両の利点はその安さで、1両3000万円前後という、装甲を施した車両としては破格の安値で調達できます。そのため一年間に150両前後という調達数を実現しており、これまで北海道に限定されていた陸上自衛隊普通科の全機械化がこの車両を持って実現するかもしれません。
これらの使い勝手のよさから、海上自衛隊では平成15年度・航空自衛隊でも平成16年度から調達が開始され、今年度からは海上自衛隊仕様の軽装甲機動車が生産されています。

スペック
全長:4.4m
全幅:2.04m
全高:1.85m
乾燥重量:4.5t
最高速度:100km/h
武装:5.56mm機関銃MINIMI


90式戦車回収車(きゅうまるしきせんしゃかいしゅうしゃ)
90式戦車回収車
左側 本当に故障した92式地雷原処理車を牽引中  タカ様撮影

90式戦車にあわせて開発された、作業用の車両です。映画では第3特別実験中隊に配備され、設定によるとクレーンなどは天母城築城に役立てたそうです。

車体は90式戦車のものが流用され、砲塔を取り外しその代わりにクレーン・ウィンチといった装置を搭載しています。故障したり撃破されてしまった90式戦車を回収・後方で修理できるように牽引能力は50tとなっています。修理はさすがに撃破された戦車を再び動けるようにするような大掛かりなものは行えませんが、エンジン故障程度なら積み替え作業が行えます。クレーンの最大吊り下げ重量は25t、これが天母城築城のとき活躍したのでしょうね。もちろん資材を引っ張っていける牽引能力もですが。
走破性はもちろん前線の戦車を引っ張るためには戦車の所に行かねばならないのですから、90式戦車並みの性能を持っています。というより90式戦車と同じ車体なので当たり前ですが(笑)
武装は12.7mm重機関銃が申し訳程度についているのみです。もともと砲火の飛び交うところでどうこうする車両ではありませんからね。

戦車を配備する機甲科部隊にとっては、地味ですがなくてはならない存在です。

スペック
全長:9.2m
全幅:3.4m
全高:2.7m
乾燥重量:50t
最高速度:70km/h(整地上)
武装:12.7mm銃機関銃1門


89式5.56mm小銃
89式小銃
陸上自衛隊公式サイトより転載

64式小銃の後継として、少数ながらライセンス生産をしていたアメリカのアーマーライト社のAR18を参考に開発、豊和工業が生産している自動小銃です。愛称は公募により「バディー」、しかし隊員は「はちきゅう」と呼んでいます。個人的にバディーと読んで欲しくないです。採用は1989年ですが、開発は64式小銃採用直後から始まっているので、非常に長期間開発を続けていたことになります。映画では自衛官の標準装備としてほぼ全員が持っていました。

銃床(撃つ時肩に当てるところ)や銃把(グリップ。撃つ時利き手で握るところ)を強化樹脂で形成することで。64式小銃に比べて実に1kg弱もの軽量化を実現しています。部品点数・構造も簡易化され、整備分解も簡単、それに構造が簡単と言うことはほぼイコールで故障が少ないことにも繋がります。知り合いの自衛官によれば、「初めて見たとき部品の少なさに驚いた」とのことです。
64式小銃では安全装置・単射・連射の三種類だけの切り替えでしたが、89式小銃ではそれに3点バースト、つまり引金を引き続けても3発までしか出ない機構が採用されています。このバースト機能は新兵が慌てて引金を引き続けて、すぐに弾切れしてしまうことを防ぐのが主目的でつけられた機能で、アメリカのM16以降の自動小銃のほとんどにつけられています。この機能は銃の右側についてるセレクタレバーで切り替え、また3点バースト機能はボックス式なのでいらないと判断した時は簡単に外すことができます。安全・単射・連射の「ア」「タ」「レ」は健在で、おまじないの効果があるといいます(笑)ところで世界標準ではセレクタレバーは左側にあるのですが、実際に使っている自衛官は「使いにくくはない」らしいです。しかしイラク派遣ではさらなる即応性向上のため左側にもセレクタレバーをつけたタイプが持っていかれました。これは帰国と同時に元に戻る予定ですが、これを機に左側にもセレクタレバーをつけたタイプを一般化しようという「噂」を聞いたことがあります。あくまで噂ですので信憑性はゼロに近いですが。
使用弾は5.56mm×45NATO共通弾(厳密には89式弾薬という国産のもの)で、64式小銃が抱えていた互換性の問題をこれで解決しています。またM16のマガジンも装着可能となっています。
空挺部隊用には銃床が折りたたみできるタイプも配備されています。

命中精度・耐久性・整備性など、世界でもトップクラスの性能を持っており、その反面値段は1丁30万円と自動小銃にしてはかなりの高額ですが、性能と照らし合わせれば暴利と言うほどではありません。

採用当初は中々配備の進まなかった89式小銃ですが、現在陸上自衛隊の戦闘部隊には全て行き渡り、後方部隊にも配備されつつある他、海上自衛隊・航空自衛隊、そして海上保安庁にも採用されています。また戦車・火砲の3割減に伴って89式小銃生産にも予算が回され、それまでよりも1年あたりの調達数が約3000挺増加しています。

スペック
全長:920mm
重量:3.5kg
弾薬:5.56mmx45弾(89式弾薬)
装弾数:30発
発射速度:最大850発/m
作動方式:ガス圧利用


カールグスタフ84mm無反動砲
カールグスタフ
陸上自衛隊公式サイトより転載

スウェーデンのFFV社が開発した無反動砲です。無反動砲とは発射時に後方に向けて発射ガスもしくは弾体と同質量の錘(カウンターマス)を射出することで反動を相殺、ゼロに近くする砲の事です。カールグスタフの場合は発射ガスを後方に噴出します。開発はなんと1950年代、相当に古い兵器ですが長い間20ヶ国以上の軍で使われていました。84mmという口径は当時の携帯対戦車火器としてはかなり大型で、当時の主力戦車ならば500mの距離から撃破できたと言います。流石に背面ないし側面装甲を狙ったのだと思いますけどね。映画ではロメオ隊の隊員が使っていました。もう大活躍(笑)

口径は名前の通り84mmです。砲身は使い捨てではなく装填しなおすことで砲身命数(砲身の寿命)が尽きるまで撃つことができます。射撃手と装填手で運用され(1人でも可能)、主力はHEAT弾(成形炸薬弾)ですが、そのほかにも榴弾・高爆発多目的弾(私もよく知らないのですが、榴弾に少しは装甲貫徹力をつけた感じらしいです)・照明弾・煙幕弾など多種多様な砲弾が発射可能で、極めて汎用性に優れています。さすがにミサイルは撃てません(笑)
陸上自衛隊でも小隊規模の対戦車火器として採用されましたが、現在の主力戦車の装甲を貫通することができず、威力不足といわれて退役しつつあります。その後継は110mm対戦車榴弾(パンツァーファウスト3)と01式対戦車誘導弾(軽MAT)ですが、これらは威力こそ強いですが汎用性に欠けており、カールグスタフを退役させるのを危ぶむ声もあります。

ところでこれを使っている人を見たときは、死にたくなかったら後ろにいてはいけません。運が良くても大火傷するので注意してくださいね(笑)

スペック
全長:1130mm
口径:84mm
乾燥重量:14.2kg
装弾数:1発
有効射程:榴弾1000m・HEAT弾700m
発射速度:4~5発/m


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