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ふゆゆん亭

ふゆゆん亭

私が読んだ本・4

●読んだ本●


「がんが消えた」寺山心一翁著 日本教文社







これは龍氣(りゅうき)さんが
HP「境界例と自己愛の障害からの回復」から
メルマガ「精神世界の叡智」を送って下さった中で知った本です。

そのメルマガを読んでの感想は
5月26日の日記に書きました。




今度は本を読んでの感想ですが、
メルマガを読んでの感想とそう変わらないです。


これは龍氣さんのメルマガが
とても丁寧に要点を
書き出して下さっていたためだと思いました。




読んで一番感じたのは

「心からの感謝」
「心の奥からの感謝」
「あふれ出る感謝」
「喜びに満ちた感謝」

でした。



がんになってから気付いた事が
素晴らしくて

寺山さんがまるで
新しい寺山さんになったようでした。



がんになった事で
大切な真実に出会えた寺山さん。

がんになったからこそ知りえた事と
沢山の素晴らしい人々との出会い。



出会いに感謝し、
気付きに感謝し、
太陽に感謝し、

食べ物に感謝し、
愛情に感謝し、
総てに感謝した寺山さんの人柄が
じわじわと迫って来ました。



病気になって病気を恨んだり
病気になった自分やこれまでの生き方を憎んでみたり

そんな道もあったかもしれないけれど
寺山さんは総てを受け入れて感謝したのでした。




私は今、
体の中に癌が発生しているかどうか解りませんが、
自分の身体を撫でて
感謝する事が出来ました。


今知り得る事の総てに至るこの道を
感謝しました。



これらの気付きの途中で
母や他の私を蹂躙した人々への憎しみを
許す事が出来たので

私はその点ではとても豊かな気持ちがしていて、
とても幸せです。


この本に出会えた事で
至った結果の一つでもあります。




私も心の奥から感謝を溢れさせる人間に
なりたいと思いました。



総てにありがとう!
と言える日が来たらいいなあぁ~~~\(~o~)/



今はまだ惑いの途中なので
総てに対する感謝とまでは行かないのでした。




   



●読んだ本●


「マーダー・プラン」上下 ジョナサン・ケラーマン著



  



■あらすじ

臨床心理医アレックスシリーズ第14作目Dr.Deathの全訳。

不治の病の患者の安楽死を挑発的に行い、

マスコミにもアピールして「死のドクター」
「死の天使」と呼ばれていたエルドン・メイトが、

自作の自殺マシーンにつながれ、
血みどろに刻まれて殺されていた。


LA市刑事のマイロ・スタージスに
協力を求められたアレックス・デラウェアは

自殺マシンを積んだ車のあった現場に向かった。


実は、メイトが安楽死させた患者を母に持つ少女の
カウンセリングをしていたアレックスは

マイロに事情を話す機会を伺っていた。


メイトが安楽死させた患者の家族、
子供の頃にメイトに捨てられた妻と息子、

安楽死させる時に現場にいたと思われる
助手などが浮上して来た中、

アレックスの患者の少女の父親が
捜査線上に浮かんで来た。


一体、
誰が「死のドクター」を切り刻んだのか?


紆余曲折の末に
意外な展開が待っていた。





■感想

大分前に読んだ本なので、
記憶がかなり薄れてしまったが、

シリーズ物としても面白そうなので
他の作品も読みたいと思った。


アレックスの性格は温和で地道で
カウンセラーとしても良さそうな対応をしている。

作家がアメリカの臨床心理学者なので
主人公がしっかりしているのだろう。


事件関係者の少女の家庭に入り込み
少しずつ事情をほぐして行く。

登場人物一人一人の心理状態に
重きが置かれているので、

人間観察好きな私としては結構楽しめた。







「虐待家族の仔」キャロル・スミス著  講談社
古賀林 幸=訳 S・J・キングズベリー医学博士=序文









■あらすじ

これは実話である。

キャロル・スミスは夫の事情と
4人の息子が自立して家が淋しくなった事もあって
情緒障害児を里子として預かる事にした。

迎えに行った10歳のアレックスは暴れて物を壊す、
幼児退化する、嘘を付く、泣き喚く、罵る、

冷笑する、被害妄想に陥る、
いくらもじっとしていられない多動性など、
余りにも酷い情緒障害の少年だった。


キャロルはアレックスの状態を見て
2歳の子供として扱う事にした。

そして空手と乗馬を習わせて
心のコントロールのために
まずは身体のコントロールを始めさせた。


アレックスは段々キャロルとの心の交流が
出来るようになって来た。

そうしてアレックスは
初めて信頼できる里親に出合ったため

心の奥に仕舞いこんでいた
深い傷が浮上するようになり、

キャロルの精神をも蝕むようになった。


夫は終始距離を取って協力的ではなかったため
キャロルはソーシャルワーカーの力を借りて

カウンセリングに行って
迷いや苦しみを分かち合ってもらい
力を得てアレックスの助けを進めて行った。


やがてアレックスが勉強や乗馬や空手で
外部からの賞賛を得る事で

アレックスの自己評価を高め、
心の安定をももたらすようになった。


心の安定化と共に
次第に記憶の蘇りによって

アレックスは実父と継母から
虐待を受けていた事が解って来た。


フラッシュバックが起こり
前後は酷いパニック状態になり

アレックスは暴れて物を壊して走り回り、
別人のように凶暴になったりした。


次に解った事は実母が性的虐待を
アレックスに行っていたと言う
むごい事実だった。

しかも実母は継父と2人で
アレックスと2人の姉をも性的虐待を
日常的に行っていた事が解って来た。

実母と継父のそれは
快感を得るためだけに

子ども達を玩具のように痛め付け、
弄ぶおぞましい事実だった。


他にも実父の友人が
アレックスを性的に虐待していた。

恐ろしい事実が解る度に
アレックスは暴れて物を壊し、

自分の身体をも傷つけるので
施設や病院に入院保護してもらう必要が出た。


その度に子供に返るアレックスを
キャロルは抱きしめ、
一緒に泣きながら乗り越えた。



その間も実母がアレックスを誘拐しようとしたり、
やはり情緒障害の実姉が
脅しの電話をして来たりする度に

アレックスはひどい精神状態になって暴れ、
物を壊して閉じこもったり行方不明になったりし、
泣いてキャロルに謝って2歳の子供になってしまう。


キャロルとアレックスの日々は闘いだった。
過去がもたらすパニックとの闘いだった。



段々と障害を乗り越えて
乗馬では優勝したり、

野球を始めて夫をも巻き込んで
家族とし絆が結ばれるようになり、

アレックスを養子にする事を申し出たのだが、
里親斡旋団体が阻止しようとして
自体が打開できないジレンマに陥った。


元々、
里親斡旋団体の人間は
アレックスが色々な事に前向きに立ち向かう事を
良く思っていないようだった。

キャロルはアレックスの状態との闘いの他に
アレックスの権限を持っている
この団体とも闘う必要に駆られてしまっていた。



一つ障害を乗り越えると現れる次の障害にも
キャロルは困難に潰されそうになりながらも

粘り続けて、アレックスに愛を注ぎ続け
情緒障害を少しずつ回復していった。


そして次に現れたのが
多重人格障害だった。


アレックスは15歳になっていた。





―――― まだ読んでいる途中です ――――







■感想・1


凄まじいドキュメントである。

キャロルと言う、
愛と知性と忍耐を
溢れるばかりに持っている人と出会った事で、

アレックスは心的外傷ストレス障害による
悪夢のような人生の中から救い出してもらった。


アレックスのような子供は沢山いて、
でもキャロルのような人に会える虐待された子供は
滅多にいないだろうと思う。

辛く厳しい現実だ。



アレックスは暴れた後で、
物を壊したり人を傷つけたくないから
押さえつけてくれた事を感謝していた。

これを読んだ時に私は
娘が不登校になった一連の出来事で
二番目に印象的だったH君の事を思い出した。

H君は多動性で、
いたずらが酷かったのだが、

私が押さえ込んだり闘ったりしている内に
私にコンパスや定規を渡して

「またいたずらしないように預かっていて」
と反省していた事を思い出したのだ。

でも10分と持たないで
「返して」と言っていたずらを始めて
私と闘いだすのだったが。


やはりH君は
虐待されていたのだろうと思った。

母親の気まぐれに傷つけられ
殴られ翻弄されていたのだろうと思う。

信頼できる、
自分を受け入れてくれる人を欲していたのだと思う。


だから私はあんなに振り回されても
H君が好きだったんだと思った。

H君は心が純粋な人間なのだと思った。




私は黙々と読んでいるうちに
知らず知らずのうちに涙を流していた。

アレックスのあまりにも辛い過去に
激怒しつつも

対峙するその強さにも感動し、
キャロルの豊かな人間性に感動した。






―――― 長くなるので続きを書きます ――-――





●読んだ本●感想・2


「虐待家族の仔」キャロル・スミス著 講談社
古賀林 幸=訳 S・J・キングズベリー医学博士=序文








■あらすじ・後半


15歳になったアレックスは解離状態に陥り、
フラッシュバックと共に
他の人格が表に出てくるようになった。

それはアレックスの実母とその弟が行う
性的虐待を耐えるために
アレックスが自分を守るために作り出した
子供だった。

10歳くらいに成長したその少年は
アレックスに付き纏い
アレックスの心を蝕んだが

アレックスは「双子」と名付けたその子と
対話する準備が出来ていなかった。


学校で何度も記憶がなくなり、
意識不明の催眠状態になって
登校出来ないまでに追い込まれたアレックスは

キングズベリー博士の催眠誘導によって
心の中に
自分の逃げ込む絶対安全な城を造り、

自分が安全である事を感じて
自分をコントロールする事を学んだ。


そしてアレックスは「双子」と話し合いをし、
統合した。


所が次々に恐怖の体験と共に
恐ろしい体験を抱えてアレックスを守っていた
別の人格が現れるようになった。

その度に暴れたり
実母を殺しに行こうとしたので
警察の留置場に留め置かれたり、
精神病の施設に隔離されたりした。


別人格の記憶で解った恐ろしい事は
実母とその弟2人が悪魔崇拝者であり、

そのために息子や娘を性的に虐待して
悪魔に喜ばれる行為を繰り返していた
と言う事だった。


キャロルと夫とアレックスは
実母を刑の執行に頼ったが、
幾ら待っても逮捕する事さえ出来なかった。


やがて悪魔崇拝に加担させられた
恐ろしい記憶を持つ少年と
その少年が自殺しないように抑える老人が現れた。


キャロルは目の前で起こった
驚くべき状況にも耐えたが、

アレックス自身による非難に耐えられず、
キャロルの傷付いた痛みを
怒りと共に伝えた。


アレックスは
自分が被害者である事にばかり意識があったので

自分がキャロルを傷つけていた事に驚き
また自分を省みる良い機会にもなった。




悪魔崇拝の礼拝の恐ろしい記憶。
赤ん坊殺し。

赤ん坊を埋める穴を掘った記憶。
馬にまつわるおぞましい記憶。


実母は小さいアレックスに売春をさせ
獣姦までさせていた。


あまりのおぞましさに
自殺をしようとする別人格。

あまりの恐怖と憎悪のために
実母を殺そうとする別人格。



別人格が現れそうになる度に
激しいパニック状態と暴力的、
自虐的な状況が訪れるためにまた入院。


しかし、病院側の不理解や無知により
キャロルと夫は監視の下でしか
面会できないようにされてしまった。

キャロルと夫は病院との闘いまで
入院の度に毎回しなければならなかった。



そうして謎だらけだったアレックスの行動の
全てが繋がる事実が出てきた。



アレックスは発作が起きる度に
別人格を統合し
17歳でようやく一人の人間に統合する事が出来た。


全ての闘いが終わったわけではないが、
アレックスは初めて平安を取り戻した。





最後に大人になったアレックス自身の言葉も
載せられている。







■感想・2

後半はおぞましい事実が次々に明らかになり、
ホラーが苦手な私には厳しい内容になった。

悪魔崇拝の礼拝の様子が
それは私の想像を絶するおぞましさで描かれ、

良心の清らかなアレックスが
耐えられなかったのは想像に難くない。


性的虐待は性器を弄ばれるだけではなく、
アナルセックスは勿論、

他の女の子や
赤ん坊とのセックスまで強要され
終いには獣姦や虐待や殺害までさせられた。



愛と優しさと誠実が好きな私には
耐えられない事実だ。



アレックスが生きて来れたのは
アレックス自身が作り出した老人が
自殺を押しとどめて知恵で動いていたからだ。


あまりにもむごい現実を耐える事が出来るように
それぞれの体験を抱えて封じていた
別人格達。

みんなアレックスを心配し、
アレックスのためにおぞましい記憶を
切断してくれていた。


3歳のアレックス、5歳のアレックス、
7歳のアレックス、9歳のアレックス。


耐える事が出来ない幼いアレックスを守るために
沢山の人格がアレックスを守っていた。



誰も助けてくれないから
自分で自分を救うしかなかったから、

だから多重人格者になって
自分を守っていた事がよく解った。



この本を読んで、
多重人格者の事が良く解った。

これまで読んだ
どの多重人格の話でも理解出来なかった事が
よく解った。



経験者にしか解らない
辛くて長い恐怖と闘いの羅列。

諦めないでアレックスを守ったキャロル。
自殺しないで、生きて来たアレックス。



力強い人々の愛と言う処方箋が一番の
すごい本を読んでしまった。

人は愛を注がれて育つべきだと
前にも増して感じた。


愛は尊い。









●読んだ本●

「凍れる森」C.J.ボックス著
野口百合子=訳 講談社文庫








■あらすじ

ワイオミング州の猟区管理官ジョー・ピケットは
真冬の見回り中にエルクの大量殺戮現場に遭遇した。

違法ハンターは森林局の役人ラマー・ガーディナー
だった。

異常な精神状態のガーディナーを逮捕して護送中、
ガーディナーは雪山に逃げ出し、ジョーがようやく

見つた時には、ボウガンとナイフで殺害されていた。

その事件をきっかけに、森林局の冷徹なキャリア・
ウーマンのメリンダ・ストリックランドや好戦的な

FBI捜査官が郡を振り回し始め、誤認逮捕されたと主
張するネイト・ロマノウスキはジョーに助けを求めた。


時を同じくして山に住み始めた「ロッキー山脈独立市
民」の中に、ジョーの里子のエイプリルを捨てた母親
がいて、エイプリルを取り戻そうと画策を始めた。

そして様々な糸が絡み合って悲劇へと進み出した。






■感想

ジョー・ピケットとその家族は良い人なんだけど、
森林局のストリックランドやFBIの捜査官達、

町の保安官や助手があまりにもひどい悪役で、
これは話の強弱のために創り上げた存在なのかな?

なんて考えてしまった。

国に対する不信感を煽りすぎる?
役人にたいする不信感が強すぎる?


私はアメリカの役人が、実際はどんな人々なのか
解らないので、なんとも言えないのだけど。

読んでいるうちにどんどん不快感が増してしまい、
途中を少し流し読みした。


こんなに不快にしなければならない理由は
何なんだろうか?

なんて思ってしまった。


ロマノウスキが出てくる所だけは好感が持てて、
リラックスして読めた。


特にストリックランドはディズニー映画の単純な
構図みたいで、人間としてつまらなかった。

高い決定権を持つためには、それなりの人間であろ
うと思われて、悪人だけ人間なんているのかな?

なんて考えてしまうので、
推理には興味が湧かなかった。


これは単に好みの問題であろうと思う。











●読んだ本●

「奇妙な道」ディーン・クーンツ著 
田中一江=訳 扶桑社ミステリー







■あらすじ

・奇妙な道
 ジョーイ・シャノンは父の葬式の為に
 20年振りにアシャーヴィルへ帰って来た。

 流浪暮らしの作家である
 兄のPJに連絡が付かずに、

 一人だけの帰郷になったのだが、
 家が近付くと恐怖感に襲われ出した。

 母が亡くなった時にも帰郷しなかったと言う
 後ろめたさだけではない何かが
 待ち受けていた。


 血まみれの金髪の女が
 寝ている隣に見えたり、

 父の墓穴に見えたり、
 車のトランクで見えたりした。

 恐怖心に狂いそうになったジョーイは
 呼びつけられていた弁護士に会って
 街から急いで逃げ出そうと思った。


 弁護士の話と言うのは
 父が25万ドルの遺産を
  
 全てジョーイに残していたのだが
 ジョーイは頑なに断り、
 街を逃げ出した。

 

 そして20年前に
 自分の人生を変えてしまうキッカケとなった
 事故への道ではなく

 今は無くなっているはずの
 コール・ヴァレー・ロードへと車を入れて

 間違いの元をやり直す事にした。



 若い女性の死体や恐怖心。
 夢を諦めた敗北者の人生。

 逃げてばかりの人生。
 消えた道が現れた理由。


 全ての理由が解る恐ろしい道へと
 逃げない人生を掴むために

 ジョーイは奇妙な道へと
 進んで行った。


 そこで待ち受けていた
 奇妙で恐ろしくも素晴らしい出来事。







■感想

ホラーは嫌いなんだよ
と思いながら読んでいたのだが

ホラーのように恐ろしくてゾクゾクするのだが
全てに理由があった訳で

糸が解けるように理由が解って来ると
人生の曲がり角の大切さ、

その時々の
判断と決断の大切さを思い知った。

いや、知ってはいるのだが
この小説のように

全ての間違いの元の発端を
やり直せると思ったら

一瞬一瞬の大切さが
愛しいほどに身に迫ってきた。


ああ、
あの時に戻ってやり直せたら。


私の間違いの発端はどこだろう?
高校生かな?

でも孤独で悲しくて
あの頃の私を自分で慰め、
励ますなんて出来るだろうか?


発端に至る前の段階に行かなければ
あれらの出来事は回避出来ないと思われ、

ならば中学2年ごろかな?
などと色々と己の間違いの発端や

様々な出来事について考えたりした。



誰しも考えるよね、
あの時をやり直せたら。


出来ない事だから今を受け入れ、
これからを真摯に見つめる事が
出来るのかもしれないとも思った。


なかなか奥が深い面白い話だった。


お勧め度は★★★★★!!

キリリと小粒ながらも
重みのある作品だった。



主人公のジョーイと
ジョーイが助けようとするセレステが
とても好ましかった。

これも大きくて、読後感の爽やかさや
喜びをもたらしてくれた。






●読んだ本●


「ウォッチャーズ」上下 ディーン・R・クーンツ著
松本剛史=訳 文春文庫


アフェリ
では
これしか見つけられませんでした。
古本の上巻です。


なので自分で写真を撮りました。

ウォッチャーズ・上下





■あらすじ

生まれた時から愛する人を失い続けて、孤独感と
絶望との限界を感じたトラヴィス・コーネル(36歳)

は、子供時代に遊び回った森に出掛けて、昔感じ
たしあわせを探そうとした。

そこへ泥だらけのゴールデンレトリーバーが現れ、森
の中にいる禍々しいほどの恐ろしいさを発する”何か”
からトラヴィスを守ろうとした。

トラヴィスとレトリーバーは命からがら森を抜け出し、
危機を脱する事が出来た。

レトリーバーの余りの賢さに驚き、また慰めを見出し
たトラヴィスは犬と一緒に暮らし始め、その賢さに驚
嘆してアインシュタインと名付けた。


一方、伯母によってカゴの鳥の生活を強いられ、世
間から隔絶されて生きて来たノーラ・デヴォン(30歳)

の元に訪れたテレビ修理工は、ノーラに対してやけに
馴れ馴れしく接し、次第にストーカー行為を働くよう
になった。

世間に疎いノーラは怯えるだけの生活にどう対処して
良いのか解らずに、恐怖心を募らせる一方だった。


そしてプロの殺し屋のヴィンセント・ナスコは一日のうち
に三件もの殺人を指示され、喜び打ち震えていたの

だが、ひょんな事から知ってはならない殺人依頼の裏
にある事情を知ってしまった。



人間並みの知能を持つアインシュタインとトラヴィス、ノ
ーラと殺し屋のナスコ、恐怖心を掻き立てる禍々しい
”何か”と国家安全保障局のレミュエル・ジョンソン。

彼らが大きな渦に巻き込まれて、一つの所に向かって
引き寄せられて行く。





■感想

この本は、
人間性が書き込まれている本が好きだと書いたら
Pay it Foawardさんが紹介して下さった本です。


これが実に楽しくて、
読み終わるのが残念なほどでした。

何しろチャーミングで知能の高い犬が、
人間とのコミュニケーションを
どんどん築いて行くんです。


トラヴィスもノーラもそれぞれの苦しみを背負い
アインシュタイン(ゴールデンレトリーバー)によって

慰めと励ましを得て
前へ前へと力を得て進み出すのです。

そして生き方だけではなく、
人間性までも変えていくのです。



きっとクーンツは、
前向きで最終的に人間を
信じている人だと思いました。

文章力も然る事ながら
クーンツの性格が隅々に浸透しているようで

とても楽しい場面ややり取りも多く、
ワクワクしながら読みました。


登場人物一人一人のバックボーンが
しっかり書いてあり、

それぞれの魅力が
たっぷりと味わえました。


こんなに素適な犬が出てくる本は
初めて読みました。

動物が好きな方にも楽しめる、
もしかしたら夢見るような話かもしれません。


だって私もアインシュタインに
会ってみたいと思いましたから。

うちのマシロと
性格が似ているんです。


楽天的で人懐こく、
気持ちが暖かくて賢いのに傲慢さは無く
優しくてお茶目。

そしてアインシュタインには
人間並みの知能と勇気がある。


これは共に相棒として
生活してみたいでしょう!!!



恐ろしい存在が沢山いて狙われ
逃げ回っているのに、

とても安心して楽しめた
不思議な本でした。



勿論、
アインシュタインや”何か”の存在の不可については
人間が手を染めてはいけないものだと思いました。


それでも楽しめました。
ああ~~~~楽しかった!!


Pay it Foawardさん
ありがとうございました~~♪








●読んだ本●


「偽装」 ジュディ・マーサー著 
北沢あかね=訳 講談社文庫






■あらすじ

ロサンゼルスに住む、TVプロデューサーのエアリアル・ゴールドは
祖父の別荘のあるサウスカロライナの沖合いの小島キーウォー

で過ごそうとやって来たが、時差のために眠れず、深夜に行った
浜辺で出会った男性に姉のジェーンと間違えられ、会話をした。


エアリアルには存在も知らなかった双子の姉のジェーンがいたのだ
がエアリアルの身代わりとなって殺害され、自身も記憶喪失に陥
った。

混乱と必死の回復の半年を過ごした後で、小さい時に養女とな
ったエアリアルにとっては初めての血縁となった祖父と休暇を過ご
すためだった。


そこで祖父のシェフ兼ボディガードのサージの従兄弟が自殺する
事件に遭遇し、巻き込まれたエアリアルは仕事柄もあって謎を追
求し始めた。


一方、エアリアルのボスのヘンリーは失踪したマイクロスター社社
長のグラント・レイシーについて調べていた。

西部のロスと南部のキーウォーの事件は、それぞれに複雑な様
相を呈していた。





■感想

ヒロインのエアリアルがひどく複雑な状況にいるのに、
とても素適な人間で気持ちが良かった。

エアリアルが大好きになりました~~~♪
正直で粘り強くて、愛情深くて、暖かい。

でもサッパリしていて、知的なのに嫌味がない。
こう書くとスーパーウーマンみたいだ。


エアリアルは自分を失ってから
まだ半年しか経っていないのに

記憶喪失と言う
恐ろしくも無力な状況を、

育った環境で受けたダメージを消し去って、
本来あるべき自分を見つけ出すという

逆の利点に換えた
すごい女性です。


ただ、余りにも状況が複雑なため、
この穴だらけの私の理解力では

何度も読むのを休止して
頭の中で整理しなければらなかった。


今もごっちゃになっている所があるかもしれない。
再読が必要かもしれないな~。


登場人物も多いので、
私の最近の記憶力の低下のせいもあって

誰が誰とどんな関係だったのかを
思い出し思い出し読んだ。

分厚い本でもあり、
面白くてワクワクしながらも混乱し、

読むのに度々疲れて
休みながら読んだので時間が掛かった。


こんな複雑な状況を設定して、
各登場人物の心情や行動を書き切る

筆者の筆力に感服した。



すごいなあ~。
これは第一作の「喪失」も読まなくちゃ!!!







●読んだ本●2007・08


「暗く聖なる夜」上下 マイクル・コナリー著
古沢嘉通=訳 講談社文庫








こちらは洋書。



■あらすじ

ボッシュシリーズ第9弾。

52歳になったハリー・ボッシュは一年前に警察を辞めて
年金生活をしていた。

刑事時代の未解決事件の洗い出し作業を行っていたボッシュのもとに、
強盗事件によって銃創で全身不随になり引退した

元ロス市警のロートン・クロスから電話が入り、
4年前、24歳の誕生日に殺害されたアンジェラ・ベントンについて

再調査するよう刺激されたボッシュは、
アンジェラが働いていた映画会社での強盗殺人事件により

ロス市警強盗殺人課から
取り上げられてしまったその事件を調べ始めた。


倒れていたオアンジェラの両手が
ボッシュの心を捉えて離さなかった事件だ。

誰かに向かって両手を伸ばしているような、
何かを欲しているような彼女の手に突き動かされて

ボッシュはバッヂ無しの不利な立場の中で調べ続け、
警察からの横槍やFBIの脅迫にもめげずに

死者の代弁者として走り抜けた。


そうして複雑に絡み合った事件と事件が
少しずつ関連性を見せ始め、

ボッシュは謎の輪郭を追って行く。







■感想

ボッシュの初めての一人称で語られたこの物語は
ボッシュの思いや人と成りが見えて胸に刻まれた。


刑事ではなくなったボッシュが、
どんな手で捜査を進めて行くのだろうかと

興味津々だったのだが、
障害が山のように降り被さる中でも

ボッシュは決して手を緩めなかった。

それどころか、組織から離れたボッシュは
誰に遠慮も無く動ける自由を得たようだった。


そんな中でも、銃創によって全身不随の身となった
元ロス市警のロートン・クロスとその妻とのやり取りや、
悲壮な生活振りと成れの果て。

いつまでもボッシュの心から消えない
元妻のエレノアとの再会。

行方不明になったFBI捜査官マーサ・ゲスラーを探す
ロイ・リンデルとのやり取り。


話しがどんどん予想外の方向に発展し、
一体真相は何なのだろうか?

と途中何度か疑問に思ったものだったが、
ラストに近付くと

全ては無事に嵌るべきピースに
見事に収まり、

悲しみと絶望と諦めと裏切りと欲望と
怒りに混沌となっていたこの話は、

最後の最後に意外なものを提示した。


いやあぁ~~~~~~~ビックリしたね。
何度か引っくり返った。

愛の深さと悲しさ。
欲望の果ての醜さ。

両極端な人間の性が見せる
深い物語だった。


今まで読んだボッシュシリーズの中で
一番好きだなぁ~~♪


ボッシュは市井の人となっても
死者のためにとことん闘い抜いて、
渋くてカッコイイ主人公だと初めて強く思った。

今までのボッシュは「刑事」と言う枠の中にあり、
どこかで「死者の代弁者」として動くのは
当然だという感じで見ていたのかもしれない。

「刑事」でなくなったボッシュは
組織に縛られないからこそこの事件の絡んだ糸を
解く事が出来たのだ。


カッコイイよボッシュ!
そして幾らかでも幸せになって欲しいよ、ボッシュ。

あなたはずっと孤独で、
生まれた時に背負ったものの責任を
果たして来たのだもの。


唸ったね。

深い人間性を描き出した
マイクル・コナリーの筆と人間性に。


訳者によると、
訳者はこの作品の次々作の「The Closers」が
一番のお気に入りだそうだ。

なんだってぇ!!
この作品より素晴らしいのか?!!!

是非読まなくちゃ!!



日本ではこのマイクル・コナリーの人気は
今一なのだそうだ。

信じられない!
量産化の作家の人気が高い日本では有り得る話か。

とても残念だ。

これほど質の高い作家が
あまり知られていないと言うのは。










●読んだ本●    2007・09・30


「ダ・ヴィンチ・コード」 ダン・ブラウン著 
越前敏弥=訳 角川文庫


  







■あらすじ

パリのルーヴル美術館館長ジャック・ソニエールは
色素欠乏症の男に襲われ、

自分を守るためにカラヴァッジョの絵を
壁から引き剥がして

警報装置を作動させ
盗難除けの鉄格子を落下させた。

所が男は鉄格子の向こうから
拳銃で狙いをつけて
ソニエールから情報を引き出そうとした。

男はソニエールから情報を引き出すと
腹部を撃ち、立ち去った。

胃に穴の開いたソニエールは
大事な情報を残すために、

傷ついた己の身体に鞭を打って
重大なつとめに向かった。



ハーバード大学教授のロバート・ラングドンは
アメリカン大学パリ校で講演を終えて

ホテルで寝ている所を
司法警察中央局のコレ警部補により
叩き起された。


ラングドンはDCPJ(アメリカのFBIにほぼ相当する)から
ソニエール館長が死に際に残した
謎の図象と文字の解明に協力を要請された。


ラングドンは深夜のパリの街を抜けて
ルーブル美術館に向かい、

危険で驚きに満ちた一夜を過ごす事件に
巻き込まれて行った。





■感想

初めは非常に難しいパズルにワクワクしたのですが
少しばかり聖書に詳しいため、

この点に追求するなら
なぜこちらの点は追求しないのか?

この点に言及しておいて
こちらの事は放置するのは何故か?

なんて事ばっかり気になってしまいました。


いつかもう一度借りて
歴史的観点からの事実を
しっかり調べたいと思いました。


キリスト教やそれ以前の宗教、
日本にも伝わっている

色んな行事や祭事の源泉が解って
メモを取りたくなりました。



余りにも謎解きのための専門的な事が
沢山書いてあるので

下巻に辿り着いた時には
お腹がイッパイになってしまいました。



私の友人は3回読み返したそうですが、
私のようなぼんやりした凡人には疲れる小説でした。

テーマよりも専門知識の方が中心にあるようで
もっと人間に焦点を当てた方が好みでした。

主人公であろうラングドンよりも
影で頑張っていたソニエールに
感情移入がしやすかったのは不思議でした。


私の友人は
ソニエールにすごく感情移入したそうです。

映画しか知らなかった私は
彼女がソニエールに感情移入したという点が

不思議でしたが、
本を読んで解った気がしました。


ん~~~。

気力が最後まで保てば、
や、専門的な文章を飛ばせば

また違うものが
見えてくるかもしれません。


どこまで本当で、
どこからが作り物で、

どの辺が思い込みの怪しい記述なのか
気になって集中出来なかった事もありました。


読み応えと濃さはたっぷりでした。









死海文書についての参考HP

死海文書聖書外文書研究・和田幹雄

死海からのスクロール
 「Qumranおよび現代奨学金の古代図書館」

 ノース・カロライナ大学のサイト (日本語訳)

The Orion Centerof Dead Sea and Associated Literature
 エルサレムのヘブライ大学のサイト(日本語訳)




















ー---------- 個人的なメモ ------------ 
                                         
   
 ・ヴァチカンが、庶民を操作しやすくするために女性を貶めたのだとし
  ても、実際にマリアを聖母として崇めているではないか?                   

      
 ・聖書には偶像崇拝はいけないと書いてあるのに、偶像を崇拝している
  事について触れていないのは何故か?


 ・イエスは自分を神だと一言も言っていない。
  神から使わされた神の子だと言っているのに、実際にはイエスと神を
  混同している点には触れていない。


 ・これほど詳しく調べているのに、聖書とキリスト教の食い違いを指摘
  していないのは何故か?


 ・ダ・ヴィンチがそこまで聖書に精通していたとしたなら、どうして子
  供の天使を絵に描いたのか?
  神のみ使いは大人の男性だけなのに?


 ・確かに旧約聖書(ヘブライ語の聖書・ユダヤ教の聖典)と新約聖書
  (ギリシャ語の聖書・キリスト教の聖典)は書かれた趣旨が違って
  いると思う。
  ヘブライ語の方は淡々と事実が述べられており、ギリシャ語の方は
  愛が根底にあるようだ。


・クリスマスと言われている12月25日は、太陽信仰や他の沢山の異教徒
  の教えから来ている点や、その日付をコンスタンティヌスが決めた事
  が書いてあるが、
  これほど売れた本なのに、相変わらず12月25日にはご馳走を食べて
  プレゼントを交換する日になっている。

  キリスト教が普及している地域にしても、いつキリストが生まれたの
  かなんてきっとどうでも良い事なんだろう。
  大抵の人は、とりあえず特別な事が出来る日が設けられているのが大事
  でその由来も、正確な所もどうでも良いようだ。


 ・この本は新約聖書(ギリシャ語聖書)は手が加えられているものだ、と
  言う提の下に書かれているが、その根拠はどこにあるのか?
  しっかり読み直して調べないと。


                                     
                                           
                                            
                      



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