太祝詞

「天つ祝詞の太祝詞」とは

 各種祓に出てくる「天つ祝詞の太祝詞」とはどのような祝詞か。
これにもいくつかの説があるので順次紹介します。



本居宣長の全文説

「大祓の言葉の全部が祖神のお言葉である。」と言う説です。



ト部家の秘事説

 ト部家では中臣祓の研究が盛んで、天児屋根命が天岩戸開きの段において、
素佐之男命の祓をした時に申されたお言葉が古くはあったのだというのです。
しかし、それが何であったかまでは不明です。



平田篤胤の禊祓詞説

 天津祝詞考の中で、古くから「ミソギ祓」の言葉が伝わっているが、これが天津祝詞の大祝詞であるという説です。
「祓詞」参照)



鈴木重胤の三種祓詞説

 これに対して「三種の祓詞」がそれであるという説もあります。


三種の祓詞

 吐普加身依身多女、寒言神尊利根陀見、祓ひ玉ひ清め給ふ

 トホカミエミタメという言葉は、平安末期の江家次第という本にも出ている古い言葉で、当時亀トが行われていて、
亀の甲を焼いて、その割れ目の方向によって、トホカミエミタメに分け、吉凶禍福を占ったものです。
それにより、神の御心を知る為の言葉としては、古い由来を持った言葉だと言えます。
また江戸時代においては、学者は「遠神能看可給め」といって、「遠つ御祖の神よ、御照覧ましませ」の意味とも、
また「遠神笑み給め」で、「遠つ御祖の神恵みを垂れ給え」の意味だとも解釈できます。
 更に「寒言神尊利根陀見」というのは、易の八卦の言葉で天地万物の心は、この八文字によって言い表されるのです。
これに「祓ひ給ひ清め給え」という一句を合わせて、合計三つの言葉から成り立っています。
よってこれを三種の祓詞と言っています。
 即ち、この言葉を唱えると、神の御心がそこに現れて来るのです。



一切成就祓説

 伊勢神宮に一切成就祓の詞という物が伝わっています。
これが「天つ祝詞の太祝詞」であろうという説です。
人間は滞りをつくってはいけない、いけないと思う事は出してしまえ。
その時、人は救われるのです。


一切成就祓の詞

 極めて汚き事も滞りなければ穢れはあらじ、内外の玉垣清し浄しと申す



鎮魂詞説

 大和国の石上神宮に伝わる古い鎮魂の言葉があります。
旧事本紀に次のような詞があります。
これが「天つ祝詞の太祝詞」という説です。


鎮魂詞

一つ二つ三つ四つ五つ六つ七つ八つ九つ十と謂ひて、ふるへ、ゆらゆらとふるへ、かくなせば、死れる人も生きかへりなむものぞ



ひふみの祓詞説
 白河伯家神道では、これから「ひふみの祓詞」を考え出し、これを「天つ祝詞の太祝詞」だと言っています。
いろは四十八文字を言い直したような言葉ですが、人間全ての心持は、この四十八音の中に含まれているのだから、
これを皆言うことが、すべての神心を表現しているというのです。


ひふみの祓詞

 ひふみよいむなやこともちろねらしきるゆゐつわぬそおたわくめか、うをえにさりへてのますあせゑほけれ


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