旅のサロン　旅遊賓館

早期購入に特典のある「早割」が、海外パッケージ旅行
にも広がっています。

出発の６０日前や４５日前までに旅行代金を支払うと、
代金を割り引いたり、特典があります。

特典には、ホテルの部屋のグレード（等級）を上げたり、
ミールクーポン券のサービスなどが多いようです。

海外のパック旅行に「早割」の導入を仕掛けたのは旅行
会社ではなく、エアラインの旧ノースウェストです。

２００３年のＳＡＲＳ（新型肺炎）による海外旅行の冷
え込みに対応するため、３５日前の購入分に割引率を引
き上げました。

米国市場やアジア市場に比べて回復が遅れていた日本市
場での新しい販売促進策でしたが、日本の流通でのアロ
ットメント、つまり、返品を認める条件で、まとまった
座席を旅行会社に預ける手法よりも透明性が高い販促手
法でした。

この手法は効果を上げ、利用者が反応して購入を早める
とともに、旅行会社は日程に余裕を持って販売すること
ができました。



もともと日本の旅行者は、他国に比べて旅行の手配が遅
く、出発間際の予約が多いので、需要の増えている地域
でホテルの確保に苦労するケースが多くありました。

慢性的なホテル不足のラスベガス、ホテルの改装で稼動
部屋数の減少が続くハワイなどで宿泊手配を早め、希望
のホテルの確保をスムーズに行うこともできました。

また、早期購入客が変更期間内に他のパックに乗り換え
ることを抑止する上でも効果があります。

旅行業界でも、販売ピークの平準化や直前の駆け込み需
要を前倒しすることができるので歓迎でしょう。

ところが、よく見ると早割が設定されているのは米国や
太平洋地域、一部のアジアだけで、ヨーロッパや多くの
アジアの都市では見当たりません。

これはエアラインの営業姿勢の違いによるもので、滞在
日数の長いヨーロッパ旅行では、もともと利用者が早め
に日程を確定したがるのですが、直前でも決められるア
ジア旅行では、早割が魅力になりにくいからです。

一方、西日本ではエアラインの減便によって座席の供給
が逼迫してきたことを理由に、旅行会社が早割を拒否す
る例がありました。



関西空港や福岡空港発着の国際便の休止に伴って、座席
の確保が難しくなってきたので、早めに顧客を確保した
いという事情もあります。

利用者からすれば、これまでは早期購入しても単に座席
を確保する意味しかありませんでしたが、メリットが加
わったのはうれしいことですよね。

早割の販売に積極的なＪＴＢと日通旅行では、設定した
料金の５割、ＡＮＡセールスでは全商品の１割が早割で
の購入となったそうです。

価格の安さを狙うならば、出発日の迫ったパックのバー
ゲンを狙う手もありますが、新婚旅行や家族旅行など、
パックの質や早期の確定を重視するには早割は得な買い
物でしょう。



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