お前は俺のモノだろ?~俺様社長の独占溺愛~
2019年2月刊チュールキス著者:あさぎ千代春さん「今すぐ、来いよ」日花里は十八の頃から、傲慢のようで甘えを含んだ口調で海翔からそう呼び出されると、どうしても断れない。女性に人気の容姿に敏腕IT社長の肩書。日々メディアを賑わせる海翔と、つかず離れずのまま八年が経っていた。あるとき親友に連れられて合コンに参加していると、その場に海翔が現れて!? 「そういうところは俺にだけ見せればいい」独占欲むき出しで激しく奥を突かれ、未知の快楽に飲まれる日花里。それでも海翔の本当の気持ちがわからないままで…。 ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 町田日花里=IT会社に勤める会社員。社長の海翔に長年片思いをしている。 藤堂海翔=日花里の勤め先の社長。存在自体が派手なモテ男。 北見=銀行員。合コンで日花里と知り合う。 霧生辰巳=海翔の友人で共同経営者。 川端佐紀=日花里の後輩社員。大学の先輩であり、片思いの相手である海翔が社長を務めるIT会社で働く日花里は、8年にも及ぶこの曖昧な関係に悩んでいた。ドイツ人のクオーターだという彼は派手な外見とそれに付随した俺様な性格でとにかくモテた。30歳になった今も引く手あまたであったが、大学時代は七股かけていたと言う強者。本人談によれば向こうから勝手に寄ってきて彼女面してるだけとのことだが、ちゃっかりいい思いをしてるのだからそんな言い訳は通らない。日花里がどうしても落とせない授業の最中に起こった自称・彼女たち7人による取っ組み合いの喧嘩は今も大学の伝説になっているほどなので、見れなかったのは残念。さすがに、本人も反省したのかそれ以降は大人しくしていたけれど、騒動から数日経ったある日、アイスを携えて彼女のアパートを訪れた。少々身構えてしまったが、海翔は一切彼女に手を出さずにそのまま強引に部屋に泊まり翌早朝に帰って行った。この奇行の意味が分からないまま、社会人になった今も海翔の訪問とお泊りは続いている。変わったと言えば、狭いシングルベッドで日花里を抱き枕にして眠り、迷惑料だと言って毎回1万円札を置いて行くようになったことだろうか。今日も、接待で訪れていたキャバクラに日花里を呼び出し迎えに来させると、夕食を突き合わた後は彼女の部屋へ直行。シャワーを借りてそのまま泊まると日花里が目を覚ます前にいなくなる。そして当然のように置かれれている1万円札を見てため息が出た。普通にビジネスホテルに泊まった方が安いのではないかと思いつつ、何となく気が引けて万札は使わず封筒に入れ箪笥にしまっている。それにしても、いつの頃からか海翔が口にするようになった「お前は俺のものだろ?」は一体どういう意味なんだろう。友人の真澄からは、はっきり相手に真偽を尋ねるべきと言われている。自分でもそうした方が良いとは思っているものの、ズルズル来てしまった。気付けばもう27歳、そろそろ踏ん切りをつける時期なのかもしれない。そう決意した彼女に自身の仕事の企画で練習台になってほしいと真澄が持ち掛けたのは「自分磨き」。パーソナルカラーや骨格の診断から始まり、美容相談に服のコーディネイトをタダでやってもらえるという。早速色々診てもらい普段しない服装とメイク、髪型で出勤するとファッションに詳しい後輩の佐紀から絶賛された。心なしか男性社員の視線も感じるような。驚いたのは海翔が日花里だと気付かなかったこと。佐紀からもこれからずっとこれで行きましょうと薦められたが事情を説明すると残念がられた。真澄には礼がてら今夜合コンに付き合うことを約束している。佐紀に話すと本気ですか!?と驚かれ、隣の席にいた副社長の霧生も渋い顔をしている。佐紀からはしつこく店名を聞かれ、渋谷のベトナム料理店とだけ答えた。真澄の彼氏の同僚だと言う男性陣は銀行員だそうで北見と名乗った青年は随分と感じが良い。二次会に行くことになりふとスマホを見ると夥しい数の着信履歴にギョッとした。見ると佐紀からのものもあったがあとは全部海翔から。またいつもの我儘だろうと相手にしない事を決め、下の階にあるダーツバーに行くと海翔が迎えに来てビックリ。一体どうやって場所を突き止めたのか。どうやら渋谷中のベトナム料理店に電話したらしい。そこまでする?とドン引きしていると、彼は有無を言わさず日花里の腕を掴むと、近くにあったホテルへ。そこのジュニアスイートを取った海翔に押し倒された日花里は長年の想いも相俟ってついに一線を越えてしまった。だが翌朝目を覚ますと、押し寄せてくるのは現実。彼にとっては遊びの一つに過ぎないのだから変に期待するのはやめよう。何でもない様に接し、普段通りに過ごしていると何か言いたげな海翔。そんな最中、連絡先を交換していた北見と度々SNSでやり取りを始め、時にはランチを一緒にしていた。その夜、突如アパートを訪れた海翔は再び日花里と関係を持つと俺の部屋に住めと告げた。いつもの我儘で仕事の手伝いでもしろってことかとOKすると彼は満足そう。しかし、日花里が泊まり込みに来ると毎晩のように関係を迫って来る。告白されたわけでもないのに、こういうことするのって何だか複雑だ。まるでセフレではないか。しかも、たまたま熱を出した日、電話中の彼が相手に愛してると言ってるのを聞いてしまい、益々その疑念が増した。それから暫く経って、商談で霧生と共に京都へ出張することになった海翔。佐紀からその間溜にまった有休を消化してはどうかと薦められ、里帰りすると決めた。最近は結婚結婚と親が煩いので、近所の祖母宅に泊まることにした日花里は、人気モデルと海翔の交際報道を目にし・・・。お互い両想いなのに色々拗らせてしまった日花里と海翔。巨乳のせいで嫌な目に遭い男嫌いの彼女を傷つけまいと模索していた海翔は、モテすぎの弊害か告白したことが無い。切羽詰まっていきなり関係を迫ってしまったものだから、日花里にあらぬ誤解をさせてしまいます。セフレどころか8年間ずっと本命だったといえばいいだけなのに、いざという時はヘタレな海翔に対し、霧生や佐紀を始め、社員達はじれじれ。そう、知らぬは本人達だけで、お互い好き合ってることなんて一目瞭然。早く付き合っちゃえよっ!と思っていました。報道の件は、その場に霧生もいたので密会などではなく、モデルは霧生のことが好きだったと言うオチ。日花里の祖母宅を訪ねて来た彼に対し、本当はずっと好きだったと号泣する彼女の姿に驚きつつ、海翔もまた自らの想いを告げるのでした。周囲をやきもきさせた二人はこうして無事にくっつき、海翔からプロポーズされて本編は幕。おまけのSSは日花里にフラれながらも、作者さん曰く、海翔よりいい男なんじゃという北見目線のお話。モテすぎ男、ただ好きだと言うことが出来ず。少々天然ながら開き直るとヒロインの方が思い切りは良かったような。評価:★★★★☆