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照千一隅(保守の精神)

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2022.06.22
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テーマ:憲法議論(165)
カテゴリ:憲法

美濃部博士の弟子筋に当たる宮沢俊義は帝国憲法改正に関して、次のように解説する。

《(1)1946年(昭和3年)6月20日、天皇は、明治憲法73条により、勅書で、憲法改正案を衆議院に提出した。

 (2)衆議院は、同年8月24日、総議員3分の2以上出席の上、3分の2以上の多数で、これを修正可決した。

 (3)つづいて、貴族院は、10月6日、やはり総議員3分の2以上出席の上、3分の2以上の多数で、これを修正可決した。

 (4)衆議院は、10月7日、同様な手続で、貴族院の修正に同意した。

 (5)天皇は、11月3日、それを裁可し、各国務大臣の副署をもって、公布した。

 この手続は、形の上では、明治憲法73条によるものであった。しかし、この憲法改正は、明治憲法の予想したものとは、本質的に、違っていた。

 (1)明治憲法は、憲法改正として、その「条項」の改正を予想していたが、この改正は、全部改正であった。

 (2)明治憲法の改正については、「国体」の改正は許さない、というのが、支配的な解釈であったが、この改正は、神権主義的な天皇主権に代えて、国民主権を採用した。(宮沢俊義『憲法講話』(岩波新書)、pp. 219-220)


 余り枝葉末節に拘(こだわ)りたくはないけれども、帝国憲法を「天皇主権」としているのは、いかにも進歩的文化人・宮沢俊義らしいところである。新憲法を「国民主権」としたいが故に、これを反転させて帝国憲法は「天皇主権」だったと決め付けているのだが、帝国憲法のどこにも「天皇主権」という規定はない。戦前は、「君主は君臨すれども統治せず」の立憲君主制であったのであり、これを「天皇主権」と言うのはただの左翼思想である。

《この憲法改正は、したがって、明治憲法についての支配的解釈による限り、明治憲法の予想した改正権の限界を超えたものである。とすれば、法的にいう限り、ここでなされた憲法「改正」は、合法性を超えて、または、合法性の外で行なわれた変革であり、降伏によってもたらされた「革命」的な変革の一部と見るほかはない》(同、p. 220)

 要するに、日本国憲法は、帝国憲法第73条に則った改正とは言えず、革命憲法と考えざるを得ないということである。これは、昨日引用した

《若し憲法所定の手續に依らずして憲法を破壞する行爲を「革命」と稱(しょう)するならば、ポツダム宣言の受諾に依り明(あきらか)に革命が遂行せられたものに外ならない》(美濃部達吉『日本国憲法原論』(有斐閣)、p. 119

とする美濃部博士の見解と軌を一にするものである。

《明治憲法73条による改正手続をとったのは、なぜか。

 ここでの変革は、実は、降伏によってもたらされた超合法的なものであったとしても、それができるだけ合法的な改正の外見をもつことは、非合法性が野ばなしに拡大されることを防ぐためにも、実際上きわめて望ましいと考えられた。そういうねらいからでもあろう、当時の占領軍司令部からも、明治憲法と日本国憲法との法的継続性を保障すべき旨の要望があった。それやこれやで、日本国憲法の制定は、どこまでも明治憲法の改正という手続をとるのが妥当とされ、その公布文にも、「朕は、日本国民の総意に基いて、新日本建設の礎が、定まるに至ったことを、深くよろこび、枢密顧問の諮絢及び帝国憲法第73条による帝国議会の議決を経た帝国憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる」と書かれることになったのである。しかし、この明治憲法のたった一度の「改正」が、実は、決して、単なる「改正」ではなかったことは、いまのべたとおりである。

 明治憲法73条の改正手続は、その本来の意味では、ついに発動せずに終ったのであった》(宮沢、同)






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Last updated  2022.06.22 21:00:09
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