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照千一隅(保守の精神)

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「照千一隅(しょうせんいちぐう)」(一隅を守り、千里を照らす)は伝教大師・最澄の言葉。本を読み、考えたことをこのブログに書いて参ります。ご意見、ご感想など御座いましたら是非お寄せください。

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2022.07.12
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テーマ:憲法議論(165)
カテゴリ:憲法

 占領軍は…昭和21年6月20日、この憲法改正案が、帝国議会に提出されるに当たっては、マッカーサー元帥名義で声明を発して、憲法改正の重要性を強調するとともに、つぎの3点の励行を指示したのである。

(1)この憲章の規定を討議するために、十分なる時間と機会とが与えられること

(2)この憲法改正が、現行帝国憲法と、完全な法的持続性が保障されること

(3)この憲法の採択が、日本国民の自由な意思の表明たること

 右の3点は5月13日、極東委員会において採択されたものであるが、3つとも不可能をしいた無理な要求であった。すなわち(1)の討議のため十分な時間と機会とが与えられる状況になかったことは、GHQ草案が僅(わず)か10日間で作成された一事でも明白であり、また(3)の自由意思の表明も、自ら銃剣で管理しながら、被占領国民に、自由意思の表示を求めてもできるはずがない。もしそれ(2)の法的持続性の保障にいたっては、普遍的法理を無視せんとするもので難事中の難事である。(菅原裕『日本国憲法失効論』(国書刊行会)、pp. 76-77

 マッカーサーはこれらの指示を実行させる気などさらさらなかった。実行出来ない指示をわざわざ提示したのは、おそらく、新憲法がGHQの押し付けでないことを偽装するためだった。詰まり、アリバイ工作だったに違いない。

 いやしくも法的持続性が保障されるためには、改正が、旧法の基本的性格を変革しないことが肝要である。例を家屋にとれば、家の主要部分を根本的にとりかえる場合は、新築であって、改築ではない。本人がいかに改築だといっても、世間や税務署には通らない。憲法にも、その主要部分たる骨子がある。その骨子を部分的改正のための規定によって、全面的かつ根源的に改廃することは、すでに改正の域を逸脱するもので、さような改正は、有効な改正ということはできない。帝国憲法の骨子たる第1粂乃至(ないし)第4条が抹消されて、現在の国民主権に変更されているものを、最高司令官がいかに法的同一性を失わぬようにせよと命令しても、銃剣の力で法理をまげることはできない。それは明らかに不可能をしいたものである。(同、p. 77

 <この憲法改正が、現行帝国憲法と、完全な法的持続性が保障される>とは、新憲法が帝国憲法第73条に則った改正であるということである。が、どこをどう見てもGHQ草案は帝国憲法を継承するものではない。日本側が提出した帝国憲法改正案(松本案)を一蹴(いっしゅう)したのはマッカーサー自身である。

《完成した総司令部案(いわゆるマッカーサー草案)は(1946年)2月13日に日本政府に手渡された。これがきわめてドラマティックな総司令部案の提示という事件である。この会談には、日本側から吉田茂外務大臣、松本丞治国務大臣等が出席した。その席上、総司令部側から、松本委員会の提案は全面的に承認すべからざるものであり、その代わりに、最高司令官は基本的な諸原則を憲法草案として用意したので、この草案を最大限に考慮して憲法改正に努力してほしい、という説明があった。日本側は、突如としてまったく新しい草案を手渡され、それに沿った憲法改正を強く進言されて大いに驚いた。そして、その内容について検討した結果、松本案が日本の実情に適するとして総司令部に再考を求めたが、一蹴されたので、総司令部案に基づいて日本案を作成することに決定した》(芦田信喜『憲法 第4版』(岩波書店)、p. 25









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Last updated  2022.07.12 21:00:09
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