このままオリンピック招致は中止で
30年札幌五輪招致 秋元市長「現状のまま進めていくのは厳しい」札幌市が招致を目指す2030年冬季五輪・パラリンピックについて、IOC側が札幌開催は「困難な情勢」と日本の招致関係者に伝えたことに関し、札幌市の秋元克広市長は15日、「現状のまま進めていくのは厳しい状況」との認識を示した。招致を目指す大会については「30年を34年にするとか、そういう結論を持って進めているところではない」と述べた。札幌市内で記者団に答えた。秋元氏は東京五輪を巡る汚職・談合事件で五輪不信が高まっていることを踏まえ「(30年大会招致への)支持率が落ちており、今の状況のままでは招致活動を進められない」と言及。そうした情勢についてはJOCとも「同じ意識でいる」との認識を示した。五輪の運営方法の改善策を示し、今後も市民の理解を得ていく考えも強調した。---私は東京都民なので札幌オリンピックに賛成か反対か、ということをあまり大声で主張しても仕方がない部分はあります。でも2021年の東京オリンピックで、コロナ禍の中一般国民には行動制限を求める一方でオリンピックだけは「特別扱い」にしたこと、巨額の赤字を残し、今後も施設維持の出費が続くこと、そしてオリンピック終了後に表面化した汚職など、まさに汚れ切ったオリンピックになったことについては、きわめて腹立たしいものがあります。東京オリンピックでは、最終的な経費1兆4千億円余とされていますが、会計検査院はこれ以外に、国立競技場の建設に伴う調査費や周辺施設の移転費用、大会施設の改修補助金、日本代表選手の強化費用や開会式の航空自衛隊「ブルーインパルス」によるカラースモークの実施費用なども経費に含めるべきと指摘しており、その合計が3000億円近くあります。なので、実際に経費は1兆7千億円以上となります。それに対して、収入は6400億円しかありません。残りはすべて東京都と国が負担しています。東京都が6000億円弱、国が1900億円弱ですが、そこに会計検査院が指摘した「隠れ経費」を加えれば約4700億円になります。これだけの費用を、結局は都民、国民が負担しています。これほどの赤字を残しながら、同種のスポーツイベントをまたやりたいと考える神経は、私には理解不能です。ただ、さすがに北海道でもオリンピックに対する世論はかなり厳しいようです。世論調査の結果は時期と調査主体によってかなりバラバラですが北海道新聞1月8日札幌オリンピック、札幌市民反対52%+どちらかと言えば反対15%、北海道全体反対42%+どちらかと言えば反対19%でいずれも反対が6割超読売新聞3月7日札幌オリンピックに全国では645賛成も北海道では反対が5割超朝日新聞3月20日全国では「賛成」が60%、「反対」が33%と賛成の方が多かった。地元の北海道も「賛成」が「反対」をやや上回った。というわけで、朝日の調査を除くと、北海道では反対多数、特に札幌では反対多数であり、朝日の調査でも賛成が圧倒的ではなく、「やや上回った」程度にすぎません。開催するのはあくまでも札幌市なので、全国で賛成多数というのはあまり意味はありません。北海道、札幌という実施主体となる自治体の住民に反対の声が大きいということは、実質的にはオリンピックの招致は無理だ、ということです。で、住民は2030年の札幌オリンピックの招致には反対だけど2034年の招致なら賛成するのでしょうか?聞いてみたわけじゃないけれど、そうは考え難いですよね。日本の財政状況も(北海道、札幌市もおそらく大同小異でしょう)、先になればなるほど厳しくなることが容易に予想できるので、2030年に困難なものが、2034年ならやりやすい、という可能性も乏しいように思います。というわけで、姑息に2030年はあきらめて2034年に、などというのではなく、ここはきっぱりとオリンピック招致は白紙に戻すことが必要でしょう。