1854745 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

石川誠壱の「こちら熟女捜索隊」

石川誠壱の「こちら熟女捜索隊」

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2007.12.10
XML
カテゴリ:ああ編集会議
菊田一夫:著『君の名は(第1部) 佐渡の昼顔』河出文庫
菊田一夫:著『君の名は(第2部) 結婚の幸福』河出文庫
菊田一夫:著『君の名は(第3部) 忘却の彼方』河出文庫
菊田一夫:著『君の名は(第4部) 永遠の花嫁』河出文庫

「名探偵・金田一耕助のモデルは菊田一夫で、
 横溝正史が『新青年』の編集者時代にエノケンを取材していて、
 たった一度だけ劇場で出会った時の強烈な印象が元になっている」

この話を知って、
オレの想像は広がりまくりましたね。

なるほど、横溝編集長のおかげでリニューアルした『新青年』が
モダニズムの男性誌なのであれば、
サブカルチャーの芸能記事にも力を入れるだろう。

そりゃ当代一流のコメディアンに密着取材もするだろう。

芸人さん自身は忙しいから、
付いている作家さんに話を訊く、周辺取材のほうが中心になるだろう。

劇場へ行けば、エノケンに会えるより前に、
まず作家を紹介されるだろう。

「はじめまして、博文館の『新青年』という雑誌の、
 横溝と申します」
「どうも~。作家やってます菊田です~。」
「今度ウチの雑誌のオピニオン・ワイドで
 エノケン先生のロングインタビューをお願いしています」
「はぃはぃはぃ。どうでしょうね~。
 いまケンちゃん、コレでコレだから。ひとつシクヨロで」
「あの~、菊田さんって、もしかして『君の名は』の?」
「いやいや、そんな仕事もありましたっけねえ」
「あのドラマ、大ヒットじゃないですか。お忙しいんでしょう?」
「何の何の、大したことはないですよ」
「まだ、こちらの劇場のほうでも?」
「まあね、お笑い好きなんでねー。
 ケンちゃんとは、いつまでも面白いことやりたいねーとか話してましてね、
 いろいろやらせてもらってるんですけどね」

あった、あったよ、こういう会話!
…いや、オレの時代には。

人気の芸人にくっついている、バラエティの作家
(でも、いずれマジなドラマで天下を獲ろうと狙っている)と、
たまたまタレント取材で遭遇した雑誌の人間の会話、なんてものは、
いつの時代であっても、大体こんなものだよ!

そんな野望の劇作家が若き日の、お笑い仕事の時期なんてものは、
ギラギラしていて、きっとアクだらけだよ!
外から来て出会った相手には、ものすごいインパクトを与えるよ!

「場末のレビュー小屋で作家部屋にゴロゴロしてそうなタイプ」の人間も、
「お台場の局で会議室にゴロゴロしてそうなタイプ」も、
本質は何も変わりゃしない。

金田一耕助のキャラクターを現代に置き換えたら、
放送作家の誰それ、彼コレのようになるのか…と思えば、
かなり横溝正史や菊田一夫が、身近な存在に思えてまいりました。

(菊田一夫が『鐘の鳴る丘』や『君の名は』で
 「ラジオドラマの作家のセンセイ」として売れっ子になるのは戦後なので、
 その頃には編集者の横溝正史と出会っているはずはないし、
 上記のような会話が実際にあったとも考えられないんですけどね。
 もし、あったのなら面白い、と思うんですよ。
 そういう売れっ子の時代ではなくても、
 たぶん菊田一夫が発散していた「ギョーカイ人の匂い」というのは
 売れる前でも後でも、大差なかっただろうし。
 編集者・横溝正史に強烈な印象を残した人物であろうことは間違いないし。)

*

モダニズム雑誌の編集長だったのであれば、
当時の横溝正史と出会っていた、いわゆる「ギョーカイ」の人というのは、
ミステリー関係者以外でも、
膨大な人数になると思うんですけどね。

あんまり、そういう面での研究というのは
進められていないんじゃないでしょうかね。

横溝正史の小説がミステリー小説ばかりだったからって、
それに影響を与えているのがミステリー関係者だけとは限りませんよね。

そのへんの面白さを、もう少し追求してみたいなあ。

たとえば、↓ここに安藤鶴夫(みたいな劇評家)が出てきますよね。

横溝正史:著『幽霊座』角川文庫

↓ここには、徳川夢声そっくりの人物が登場しますよね。

横溝正史:著『びっくり箱殺人事件』角川文庫

そういうのは、明らかに、
モダニズム編集者としての横溝正史の顔の部分ですよね。

そこんところ、ミステリーの世界では、
どういう風に考えられているんだろう。

少なくともオレは、
あれだけ多くの金田一耕助の研究書がある中で、
菊田一夫の人物像や作品との関連について、
そっちの方向へ踏み込んだ考察がされているものは
ひとつも知りません。

まだまだ未開の分野なんでしょうかねえ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.12.10 13:29:35
コメント(0) | コメントを書く
[ああ編集会議] カテゴリの最新記事


PR

Calendar

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

石川誠壱

石川誠壱

Favorite Blog

Headline News

Freepage List


© Rakuten Group, Inc.