一夢庵別館

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• オはオタクのオ　第0052回　税金を考える

  オはオタクのオ　第0052回　税金を考える　意図的に誤魔化されていることに気が付いていない人が多いのか？単にモノを知らない人が多いだけなのか？と思うことが意外と多いのが日本の税金と言うか税制の”闇”の部分かなと。　福祉目的と称すれば天井知らずで税率を上げることができると考えている政治家や官僚が多数派を形成してるんじゃないのか？と思うのが、２０１９年１０月から１０％に値上げが（これを書いている時点だと）予定されている”消費税”ですが、欧羅巴で福祉政策が充実している国々でその福祉財源として重宝しているのが消費税と所得税ということになっているのは比較的知られた話ではないかと思われます。　曰く、”北欧など、老後の生活不安の少ない高・福祉社会は消費税や所得税などを主要な財源として云々”とか言った枕で始まり”そういった国々では、所得税５０％、消費税３０％という負担を云々”といったオチで終わる話を耳にしたことのある日本人は多いのではなかろうか？　厚かましいのは、”北欧など消費税が３０％前後の国があるのだから日本の消費税はまだまだ上げることができる”と主張する政治家や官僚が意外と多いことと、彼らが例えば日本の消費税が３０％になったら北欧などの福祉先進国以上のリターンを日本国民に与えることができるという経済モデルを一切示さずに、”まだまだ消費税を上げる余地がある”とだけ口走っていることではないかと。　ざっくりと、日本では、消費税が３％で導入され、３％→５％→８％と急上昇してきた歴史があるのですが、それはちょうど、”失われた１０年”、”失われた２０年”、”失われた３０年”という日本経済の停滞と見事にシンクロしている節があるのは御存知の通り。　つまり、公共投資などで巨額の税金を投入して景気がやや持ち直したかな？と思ったら消費税を値上げして消費が冷え込み、景気が再び低迷するというサイクルを懲りずに繰り返し、結果的に日本国内では、”消費の低迷→（公共投資など）景気浮揚策の実施→企業業績の回復が内部留保に最初に充当され給料に反映するより前に消費税の増税→消費行動の見直しと消費の引き締め→消費の低迷”となってきたと言えます。　実際、企業の業績を見ていると、特に輸出関連の企業の多くは世界経済の拡大の恩恵を受けてがっつりと儲け続けていて、内部留保（まあ、いざと言うときの為の自前の積立金のようなものと考えてちょ）を順調に積み上げたり、役員など幹部クラスの給料や手当は”世界の同業他社に匹敵する水準”へと着々と上昇させていたり、（パナマ文書だけでも）タックスヘブンに逃避したりしている企業や個人が珍しくないのですが、ここにも比較的知られた消費税のトリックがあり、輸出に関わっている企業は消費税が上がれば上がるほど還付金の恩恵が大きくなるため、ある意味で一番利益率が高い輸出関連企業は消費税の税率アップで懐が潤う（少なくとも負担は増えない）ため消費税の増税に反対したがりません。　なにしろ、輸出品が消費されるのは外国ですから、日本国内の消費税が何パーセントであっても関係が無く、特に製造業が生産拠点を国内から海外へ移してしまって現地生産の割合が増加した１９９０年代以降ともなると、”いかに国内の賃金水準を抑え、人件費を削減することで利益を出すか”に腐心する企業が増加したことは御存知の通り（黒い笑）。　１９９０年代半ばの”バブル経済の崩壊”した頃と、それから四半世紀が経過した、これを書いている２０１９年とを比べても、少なくとも輸出関連企業の業績というか手にしている利益は既にバブル期を越えている（＝バブル期程度には経済は回復している）のに、働いている労働者の大半はバブル期ほどの恩恵を手にしていない現実があるわけです　・・・　と、書いても、これを書いている時点で５０歳にとどいていない若い世代はバブル期当時の社会の状況を知らなくなっているのですが（溜息）。　もちろん、そうした景気回復というか、本来は大半の日本人が享受できたはずの経済成長にともなう所得の上昇の恩恵をがっつりと受けている階層も実在しているのですが、上級国民、下級国民という言葉が示すように、１９８０年代バブルの頃と違ってアッパークラスが増加した富を独占する構図が定着しているため下級国民にとって、”バブル期並みの好景気？どこの国の話？どこに消費税を増税できるだけの所得の上昇があったの？？”という構図の方が定着して久しくなっているわけです。　ここでアセアンなど、経済発展が著しい近場の亜細亜に目を向けてみると、１９８０年代半ばの彼の地のA国の大卒初任給が５万円、当時の日本の大卒初任給が１５万円だったとすれば、２０２０年頃にはA国の大卒初任給は２０～２５万円、日本の大卒初任給は２２万円くらいになっているだろうなというくらい、海外の初任給の相場は順調に上昇していて、２０１５年頃でも既に日本でFクラスの大学を卒業して就職できる企業の初任給をA国で順調に業績を伸ばしている大手企業の初任給が抜き去っている事例が珍しく無くなっていたなあと。　実際、ドル・ベースで給料を比較して、日本の気の利いた学生が日本国内ではなく海外の、オーストラリアやアセアン諸国、中国などで最初から就職することが珍しく無くなったのも２０１５年頃からの話ですし、その後も手取り所得と現地の物価、現地の税負担、労働環境などなどなどを考えると、”あえて日本国内で就職するメリットって何？”という時代になって５年くらいは既に経過し、その５年ほどの間に日本国内では税負担の増加だけが進んで所得は良くて横ばい、（無給の）残業は相変わらずなのに、海外就職組だと世界経済の成長の恩恵がダイレクトに反映されていて・・・（笑）。　ゆとり教育世代というのは、人材の質の二極化も進んだ世代だと爺的には考えているのですが、海外へ活路を求めた若い世代が国内に還流してくる事例は少なく、今のところ、海外でキャリアを積んでいる事例の方が多いのですが、それは”東大とハーバード大学（或いはケンブリッジ大学などなど）の両方に合格した場合、（家庭の経済状態が許せば）どちらに進学する？”と、実際に合格できるレベルの若い衆に聞けば、ほぼ１００％、海外の有名大学への進学を選択する時代になっているということでもあります。　まあ、大学進学云々を経済学的に解説すれば、”日本の有名大学に合格するために投資する、時間と金があるのなら、それらの資産を海外の有名大学に合格するために投資した方が将来的なリターンが遥かに多く見込める時代になっているとも言えるのですが、奨学金の支給状況などを考えても、日本の大学を選択する理由というのは”（英語に限らず）外国語に不安がある”というのが最大の理由になっているのではなかろうか？　その意味では、日本の高校までの公教育が旧態依然で、生徒や学生のニーズに応えられていないのに”忙しい、忙しい、過労死してしまう”と声高にアピールすることや、退職金や年金の額に口を閉じることには熱心といった、極めてコストパフォーマンスの悪い時代錯誤のシステムと化して久しく、私なんぞに”一度、問答無用で全員解雇して、（生徒や学生の側から”あの先生は復帰させて”というリクエストが一定数なければ）ペッパー君を雇用した方がマシ！”と言われるに至っているのではないかと。　それはさておき、歴史的に日本の税を見ていくと、いわゆる”租・庸・調”を大和朝廷が法令に基づいて徴収したあたりから税の歴史が本格的に始まったと書いていいかなと思うのですが、租（そ）というのは現地で消費する米を現物で徴収する一種の地方税のことで、庸（よう）は兵役ですが物々交換が主流の時代ということもあってか布で納めてもよかったようです。　調（ちょう）というのは、まあ、ざっくりっと”おかず”や”地方の名産品”などを徴収することですが、後は雑役として公共工事などに一定の日数駆り出されるくらいから日本の税制は始まったようですが、富本銭や和同開珎などに端を発する通貨が普及し、貨幣経済が発達してくると、こうした古代の”現物”税制は経済活動や経済力などの実態に即さなくなっていくことになります。　とはいうものの、米の特徴として籾のままで脱穀せずに俵に詰めて倉庫などに適切に保存しておくと、数年単位で常温保存できましたし、長距離輸送にも耐えることができましたから、貨幣経済が発達するまでは通貨的な役割も果たしていたことには留意が必要です。　そういうこともあって、日本では所有する田圃の面積などに応じて一定量の米を物納する形の”固定資産税”が最初期から成立していたと言えなくもないのですが、工業が発達するまでは生存に直結する農業生産が主要な課税対象になることが世界中の国々で見られた徴税の光景ですから、支配者階級が考え出した最初の税制は固定資産税だったと書いていいのかもしれません（笑）。　後は、奴隷制度などが分かりやすいですが、人間そのものを”生きている限り課税対象”としたがる支配者階級も意外と普遍的にみられる光景で、悪名高い人頭税などが分かりやすいですが、近年の日本で真顔で主張する人がいる”死亡消費税”の類に至っては、そもそもそれに応じるだけのメリットを国が生前に与えていないのに、貧乏人からは死者の着ているものまで剥ぎ取る気満々でいるという厚かましい発想だなあと。　鉱・工業などが発達してくると、宝石や美術品などを所有いていることに課税する財産税の類が考案され、その手の金目の物を所有している、貴族、宗教家、大商人といった富裕層が財力に応じて課税されることになった国もあるのですが、御想像の通り、あっという間に抜け穴だらけの骨抜きにされたり、廃止されたりと、当初の理念は長続きしていません　・・・　現在のタックスヘブンを利用した事実上の脱税行為の起源をこの辺りに求めてもいいのかもしれません（大笑）。　少し真面目な話をすると、いつの時代も人口の１０％未満の富裕層が富の９０％程度を手にしていることが多いため、富裕層に適切に課税し、富裕層がそうした課税に応じて富を還元していない国は例外なく衰退の後に滅びています。　それもあってか、洋の東西を問わず、超富裕層には所得の１０分の１以上を寄付などで（税金とは別に）社会に還元する人が珍しく無いのですが、日本の超富裕層の場合、”節税の結果、所得税は０円だった”と豪語したことで知られる（何百億円の単位で稼いでいた）某・財閥のトップの話の方が知られていますから　・・・　なんだかな～と（笑）。　面白いなあと思っているのが、日本の相続税で、これは意外と知らない人が多いのですが、日本で相続税が新設されたのは”日露戦争の戦費調達”のため（これ、ホント）で、その後も戦線の拡大に伴う戦費調達のために次々と新しい税金が考え出されて課税が強化されていきます。　しかしながら、ここで”あれ？日露戦争に端を発する戦費調達が目的で相続税が新設されたというのなら、戦後の新憲法への改訂で（おなじみの九条関連で）戦争を放棄することにした日本では、徴税の目的が消失ないし終了したことになるのだから、相続税は廃止すべきで課税根拠のない税制じゃないの？ずるずると税の目的外流用をしてるんじゃね？”という疑惑が生じるわけです（笑）。　戦前の日本のように、農業生産が国富の大半を担っていた時代には農地に課税する”固定資産税”を税制の中心に据えることに、国を運営する側からすれば、一定の合理性があったものの、農業が天候に左右されやすく豊作、凶作、農産物の価格崩壊などなどで工業製品のように安定した収益が見込めない産業であるため、農地の面積に応じて現金で納税する制度だと、現場の農家の負担が大きくなり、農地を放棄して逃げ出したりすることが珍しく無くなっていったりもしています。　日本の歴史だと、全国を統一した後、共通した基準で検地を行った豊臣秀吉の”太閤検地”が近代の固定資産税の始まりというか、固定資産税の仕切り直しになるかなと。　その後、徳川幕府も、米などを現物で徴収する”年貢”制度を整備し、そこに、海外貿易を独占する海封制度、主要な金山や銀山などを直轄とする制度を加えた三本柱を主要な収入源というか財源として幕末を迎えているのですが、貨幣経済の発達に伴う税制改革を実施しなかったというか商業への課税強化を試みた田沼意次が（足を引っ張られまくって）失脚して以降、富の大半を手にするようになった商人への課税強化がほとんど実施されることが無かっただけでなく、主要な財源である”年貢”を現金化する過程（いわゆる札差による米相場）を商人に握られてしまい、当時の世界的に見ても稀な先物取引市場まで形成されて価格決定権を完全に失ったことで幕府財政は破綻していきます。　つまり、新興勢力であり国富の大半をコントロールするようになった新・富裕層である大商人への課税を行わなかったというか、大商人たちがあの手この手で新規の課税に応じなかったことで、徳川幕府というよりも武家社会が経済的に衰退した後、明治維新を経て滅亡したということです。　別の視点だと、慢性的な財政難に陥っていた徳川幕府から政権を奪取した明治政府は、当初は”年貢”制度も継承し、主要財源にするしかなかったのですが、”地租改正”と称して年貢制度の米の現物納付から面積に応じた一定額の現金納付に制度を改変してしまいます。　正確には、畑などそれまで年貢の対象外だった農地にも面積と地目（田圃か畑か果樹園かといった別）に応じた新規の課税を地租改正のときに行っていますので、明治維新後というか地租改正以後の農山村は税負担の増加に苦しめられることになるのですが、その一方で何をどのように栽培してもよい時代になったことで生産性は向上しましたから、江戸時代のままの調子で昔ながらの農業を続けた百姓は負担増に苦しむことになり、新時代に対応して換金作物への切り替えなどに成功した百姓は一息つくことができた時代とも言えます。　江戸時代末から明治にかけての農村経済の変化で興味深いのが、二宮金次郎（二宮尊徳）の農村財政立て直し策が、江戸時代にはかなり有効で実績も上げていたのが、明治に入ると急速に失速していったことで、敢えて単純化すれば二宮金次郎の農村財政再建というのは、従来の余計に働いて一粒でも多くの米を栽培する”農業収入”特化型の経済から”農業収入”＋”農外収入”という複合型経済への切り替えということができます。　ざっくりと書くと、二宮金次郎が進めた”農外収入”というのは”金貸し”で、集落の構成員から資金を集めてまとまった額にし、その金を貸して資金を運用して生じた利益を出資に応じて還元するとでもいったところから始まるのですが、時代の変化が武家制度の消滅という社会制度の大変化を伴ったことで従来型の資産運用（の前提や知識の大半が昔話になってしまって）がうまくいかなくなったのではないかと。　ちなみに、戦後の農村でも、農業生産にのみ注力して農業収入を増加させることで所得を増加させようとした専業農家の大半は姿を消すことになり、農業で得た利益を元手に農外収入を増加させたり他の産業にも就業して収入源を複数化することで所得を増加させた兼業農家の大半は生き残ることに成功したというか、農業生産を自給レベルに減少させることで浮いた時間と労働力、資本をいかに他の産業に投資したかで明暗が分かれたかなと。　実際、地方都市で稼業は農業ですといいながら、それなりの暮らしをしている人の多くはアパートやマンション経営などで家賃収入があったり、サラリーマンの兼業といった収入の複線化に成功している人達で、交通不便地など地理的な要因でそうした副業が難しかった農村ほど早い時期から（高度経済成長が終わった頃から）経済的に行き詰って人口流出が始まって過疎化が進み、今やゴーストタウン化して消滅しつつある地域さえ珍しく無かったりするのは比較的知られた話になります。　逆に言えば、農業以外の収入源があり、インターネットに接続できればどこでも仕事ができ収入が手にできる人にとっては、都会でも田舎でも好きなところで暮らせる時代になったとも言えるのですが、農業の衰退は農地に課税しても税収が上がらない時代になったことを意味しているわけで、ある意味で”日本の土地神話”がそこでも崩壊していると言えます。　ちなみに、西洋では蒸気機関を使った工業における大量生産時代の到来、いわゆる”産業革命”で農業以外の産業で生産する加工商品の生み出す富が農業が生み出す富を越えるようになってくると、生産量に物理的な上限のある農業を主産業にし主要財源とする重農主義の国と、工業生産と（その生産物を売りさばく）貿易などを主産業にし主要財源とする重商主義の国に分かれていくようになるのですが、結果的に、重商主義の国の方が優勢になっていきます。　ただし、工業製品を作って売ることで利益を上げる場合、いかに大量に売るか？で利益が違て来るわけですから、国内市場が飽和状態になれば新たな市場開拓が経済発展を意味することになり、結果的に新たな市場を国外に求めて植民地獲得競争が激化していくことにもなったのでした。　それでも、１９世紀くらいまでは農業生産を前提とした重農主義国家が国の始まりという場合、国家運営の財源として農地に課税する固定資産税を主要財源とするしかなく、工業や商業への新規の課税が固定資産税にとって代わった欧羅巴などでは皆無と書いてよさそうです。　農業から工業や商業へ徴税の主体というか税収の主体を本格的に移動させたのが、以前にも少し触れた独逸のヒットラーで、彼が新しく導入した”所得税”は所得に応じて納税額を変えるという合理的な側面があっただけでなく、ヒトラーに言わせると”特定の年に、どの畑からどのくらいの収入を得たか？を正確に把握することが困難な上に調査の経費が高くつく”のが農地の固定資産税の欠陥になるようです。　まあ、貨幣経済が発達し、十分以上に食糧が供給されている社会では、農地の面積に応じて一律に課税するよりも、農家の所得に応じて課税した方が、無理なく確実に徴税できるという、当たり前と言えば当たり前のことですが、農地開拓が頭打ちになって生産性も上限に達して伸びしろのほとんどない農業生産よりも、理論的には無尽蔵に近く稼ぐことができる工業生産や交易などで生じる利益の方が財源として巨大になっているのだから、徴税の主体を移動させれば、税収が増加するということ。　実際、第一次世界大戦の敗戦に伴う国家財政の破綻に苦しんでいたところへ世界恐慌の直撃を食らったにもかかわらず、所得税の新設に象徴される税制改革や、アウトバーン建設に象徴される公共事業、公共投資といった新規の財政手法などで劇的に独逸の財政は回復し、第二位次世界大戦以前に世界恐慌に伴う経済破綻から自力で抜け出した唯一の先進国と言えなくもないかなと。　論より証拠というか、独逸の劇的な財政再建は各国の財務担当者の注目するところとなり、所得税を新設する国が続出することにもなったのですが、もちろんというか、当時の独逸に多額の投資をして下支えした勢力があり、具体的には米国の（中略）ですが、このあたりのことは知っている人は知っているけれど、学校の授業では不思議と教わることがほとんどない話かもな～と。　それはともかく、日本の平成以降の税制で不思議なのが、”国家財政が巨額の（１０００兆円をこえる）赤字だから増税する”と主張していながら、一件でも数百億円の単位で意味不明な対外援助の類を毎年のように新たに行っていながら、ほとんど利益に繋がっていないこと。　流石に批判の声が大きくなって止まりましたが、世界第二位の経済大国で日本を凌ぐ技術大国だと豪語している中国に、ODAなどで多額の援助を延々と行い続け、GDP総額で抜かれた後も無償援助や無償技術協力でかなり巨額の日本人の税金がつぎ込まれていながら、ほとんど感謝もされないどころか、そもそも日本からそういった巨額な無償援助を受け取ったことが一般大衆に知られていなかった現実を前にするとき、”日本の政治家と外務官僚が無駄遣いをするから財政赤字が肥大化したんじゃね？”という気がしてくるわけです。　明らかに、高度経済成長が一段落した後の１９７０年代よりも、失われた３０年に突入した２０１０年代後半の方が税負担は増大していながら、国からのリターンは大差が無いか減っていると私は思うのですが、政治家や官僚は”もっと税として巻き上げられる”と主張し、”とりあえず福祉と言えばまだまだ出すだろう”ともやらかしている気がしているのですが、所得税と消費税の負担額や所得に対する負担比率を考え、そこに固定資産税や相続税などの負担、事実上の税金と化している某料金などなどを加味すると、既にこれを書いている時点で欧羅巴の福祉先進国並みの負担水準になっているなあと。　そういえば、意外と知らない人が多いのが、亜米利加合衆国は消費税を採用していない。ということで、だから亜米利加は低福祉国家で個人が自衛する必要があるのだと主張し、個人で自衛しなくてもいいかの如く消費税を”福祉に使うから”と主張して天井知らずで上げてきたわけです。　が、さすがに消費税が１０％の大台に乗るのに、”この程度の福祉？”と考える人が増えてきたようですし、底の抜けたバケツのような従来型の無駄で無意味な支出を続けるのなら、消費税を３０％にしても私たちは北欧やスイスなどで提供されているような高水準な福祉環境を享受することはできないんじゃね？とも。　いわゆる、老後２０００万円問題にしても、無年金の人は２０００万円程度の個人貯蓄が必要という話ではなく、それなりの年金負担に応じて来た人でも公的年金の他に老後２０００万円程度の個人貯蓄が云々と言い出すに至っては、”なら、消費税を廃止し、所得税の税率も亜米利加並みに落とせ。それなら、浮いた金を投資に回して老後に備えることができる。”と若い世代は考えるのではなかろうか？若くなくてもそう考えてしまいますが？　政治家や官僚は、”まだまだ消費税は上げられる”と安易に考えて無駄遣いを続けて既得権益御維持に勤しんでいるのかもしれませんが、上級国民と呼ばれる新・富裕層が時代の変化と実収入に見合った税負担に応じず、低所得者層にのみ負担を押し付け続けた場合、日本もまた衰退の後に消滅しても不思議ではないことくらいは自覚しておくべきではないかと愚考する今日この頃だったりします。

  2019.08.22

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• オはオタクのオ　第0046回　さよなら韓国。

  オはオタクのオ　第0046回　さよなら韓国。　第二次世界大戦が終結した後、敗戦国となった日本では大規模な学校教育改革が断行された　・・・　その象徴の一つがそれまで使われていた教科書を（戦後の物資不足の時代ということもあって）不適切と占領軍（GHQ)側が考えた部分を墨で塗りつぶして使用したことではないかと。　興味深いのが”歴史”の扱いで、特に明治から第二次世界大戦が終結したあたりまでの現代史をどのように敗戦国の民に教えるか？に関しては幾つかの難しい問題があった　・・・・・・　あったが故に、意図的に日清戦争の直前あたりまで教えて”時間が無い”と言いつくろってその後の（欧米諸国によるアジア植民地化の進行と日本の対応といった）歴史を教えてこなかったことは、日本で義務教育を受けたことのある人にとっては実際に経験したことではないかと。　江戸時代の日本が鎖国政策を採用して長崎の出島といった、今風に言えば”特区”だけで海外貿易の類を制限し、海外への渡航を原則として禁じ、海外からの渡来は原則として受け入れていなかったと書いても大ウソというわけではないのですが、徳川幕府が鎖国政策を採用した背景には大きく２つのメリットが徳川幕府にとってあったと言えます。　一つは、海外貿易の利益を徳川幕府が独占することで、もう一つは国内の敵対勢力が外国の武力や資本を呼び込んで倒幕に動くことを防止することですが、貿易の利益ということでは、徳川家康の晩年から徳川秀忠の代を経て三代目の徳川家光の頃までの幕府の主要な財源として、領地でとれる米（稲作）などの農業収入、金山や銀山といった鉱山収入、海外貿易に伴う貿易収入が財源の三本柱になっていました。　この財源の三本柱が正確にどの程度の金額だったのか？と聞かれれば、少なくとも家康が存命の頃は文字通り三本柱で大差が無かったと考えられているのですが、なにしろ江戸時代の通貨は、全国共通が”米”、上方（大阪界隈＋海外貿易）が”銀”、江戸（というか武家の軍資金の類）が”金”とでもいう３層構造だった上に”信用取引”とか”（藩札などの）紙幣”も時代が下がるほど普及していったことは御存知時の通りで、何かと”現在の価値だといくらくらい”と換算するのは難しかったりします。　なにはともあれ、初期の幕府にとって主要な財源であった三本柱の内、最初に陰ったのは鉱山収入で、戦国時代の末頃から各地の戦国大名などが積極的に鉱山開発に乗り出したり新しい技術が開発され導入されたこともあって、一種のゴールドラッシュ状態だった日本の鉱山から鉱物資源がぱたりと出なくなったというか、江戸時代が始まる頃までに開発されていた各地の既存の鉱山が急速に掘りつくされてしまったと書いてもいいような状況になったわけです。　もっとも、中国との貿易の勘定が”銀”で行われていたこともあって、当時の日本人が”金”よりも”銀”を上に見ていた節があり、欧羅巴人からすれば”こいつら馬鹿じゃね？”と思うくらいの”金”と”銀”との交換比率に西と東の果てでは違いがあったようです　・・・　今風に言えば、為替レートに疎い相手との商いで濡れ手に粟の大儲け（笑）。　正確には、金の含有量が高い慶長小判などを金の地金価格ではなく額面で決済して、差分で大儲けしようとしたということですが、さすがに日本側も凄まじい勢いで小判が海外へ流出したことで”なんか騙されてんじゃね？”と感づいたようで、幕府の担当者たちは小判を改鋳して金の含有量を下げて”同じ一両小判ですから”と、五代将軍・徳川家綱の頃にしれっとやり返したようですが、小判の額面は同じで金の含有量を減らす改鋳は、良質な小判３枚がそれよりは粗悪な小判４～５枚に化けるわけですから、国内の金山が枯渇してくると年中行事のようにどんどん金の含有量を下げて改鋳して差分で増産していくようになります。　もちろん、小判の類は国内でも通貨として流通していましたから、額面は同じ一両でも金の含有量によって価値が上下するようになりましたから、鋳造された年によって交換レートが実際には変動していたと書いてもいいのかもしれません。　まあ、江戸時代に入って全国が統一された状態で大規模な戦乱が２００年以上も発生しなかったことで、商業、工業、流通業などが発達し、農林水産業の生産量も増加し、国の経済規模は順調に拡大していったのですが、ほとんどの産業で生産量が増加し人口も増加したことで商取引に必要な通貨の総量もまた順調に増加していったのですが、そこで小判などの硬貨ではなく、（いくらでも増刷できる）紙幣を幕府が主軸通貨として普及させていれば、徳川幕府の財政運営はもう少し楽だったかもしれません。　戦国時代の終わりというか江戸時代の初めの頃の日本の総人口は３２００～３４００万人程度だったのではないか？という推計値を採用するとして、江戸時代に入って社会が安定してくると人口の増加が始まり、八代将軍・徳川吉宗の頃には４５００～４８００万人程度に達していたという推計値もあります。　が、吉宗の頃になると鉱山からの収入は激減していて、幕府の主要な収入源は米（稲作）と海外貿易の二本柱になっていたのですが、海外貿易で国内から金銀といった一種の交易通貨を海外へ流出させたくなければ貿易は”物々交換”にどうしても頼ることになります。　物々交換で貿易といっても、当時の日本だと、農産物、海産物、工芸品、各種の天然素材といった国内で再生産が可能な物品が主力になるのも道理なのですが、欲しいものが海外にあってもこちらが貿易の対価にできる国産品の生産力には限りがありますから、結果的に貿易規模が急に倍増するといったことがないまま幕末を迎えることになります　・・・　国内の物品生産と流通は順調に規模が拡大していくのですが、そういった商業活動に課税の軸を移動する発想の転換ができなかったあたりも武士の商法の限界かもしれません。　江戸時代の中盤ともなると、当初の三本柱の内、鉱山収入は先細り、海外貿易は頭打ちになったわけですから、手取りを増やせそうな財源は”米（年貢ですな）”しか残っていなかったとも言えるのですが、税制で考えると、土地に対して課税する固定資産税を（基本的に物納でしたが）増税することに財政危機の活路を求めたということになります。　ちなみに、八代将軍が税制をいじるまでは、土地を新しく開墾して農地を増やして農業生産が増加すると、その増加分（の半分くらい）は農民の側に回っていて、その増加分が農村人口の増加に直結していたからこそ、４５００～４８００万人くらいまでは順調に人口が増加していたわけです。　が、吉宗が幕府財政の立て直しを強行した享保の改革が、結果的に農民にとっては大増税であったが故に、ぱたっと見事なくらい人口の増加が止まってしまい、農地もほとんど増加しなくなっていくのですが、そりゃあいくら新しく田畑を開墾しても大半を為政者側に持っていかれるとなるとあほらしくて”現状維持”を選択する人が主流になることは言うまでもありますまい。　このことは、増加していた人口が横ばいになる主因が”主要産業に従事している人たちの税負担の増大”にあることを意味していますし、人口の横ばいが減少に転じるとすれば、その主因が”主要産業に従事している人たちが税負担に耐えられなくなっている”ことを意味しているのではないかと。　江戸時代の租税の酷いところは、基本的に”田圃の面積に応じた一定量の物納”だったことで、豊作でも凶作でも、この田圃を所有していれば米を〇俵納めるべしとやらかしていたのですが、もちろんというか凶作の年の生産量を基準値にしていなかったことは言うまでもありますまい（黒い笑）。　まあ、明治になると、（定量の）物納から（現金で払う）金納に地租改正が行われて、農村に経済的な余力が生じて一種の人口爆発が生じていますから、江戸時代の田畑の課税がどれくらい過酷なものだったのかは総人口の推移を見ているだけでも嫌でも気が付きます。　そう考えると、消費税が３％→５％→８％と増税されるたびに、総人口というか出生率がどんどん減少しているどこぞの国では、所得税もとれるだけとり、健康保険や年金など一種の税金に相当する負担もどんどん増額していることが、総人口の減少というか出生率の低下の主因になっていることを明示しているのではなかろうか？　従って、人口を増加させたければ、国会議員の総数を半減させ、政府の財政規模を税収に見合った規模まで小さくし、国会議員が海外ででかい面をするために海外へ国民の税金をばらまかないことを徹底して、一般国民の税負担を軽減させることが、一番確実な方法というか、それ以外は無いのではないかと。　わかりやすい失敗例が、韓国の文大統領が強行した”（裏付けのない）最低賃金の引上げ”ですが、最低賃金を増加させても、その増加分以上に税負担が増加してしまえば実生活はかえってマイナスになるわけですし、増額した最低賃金を支払うことができない売り上げしか稼げない産業や会社は新しく人が雇えなくなるだけでなく、既存の従業員を解雇し（生産性を上げ）て浮いた利益を配分することで残った従業員の最低賃金を支払うくらいしか当座の対応策が無いわけです。　まあ、それまでの会社の利益の積み残し（いわゆる社内留保）を切り崩しながら、実際に支払い可能な賃金と最低賃金の差分を補填することでも延命は可能ですが、従来よりも利益率の高い新しいナニカに切り替わることに成功しなければ、遅かれ早かれ倒産するか会社を畳むしかなくなることは言うまでもありますまい。　そう考えていくと、裏付けのない状況で理想だけを掲げて無理な最低賃金の増加を法律で決めてしまうと、短・中期的には求人の減少、倒産の増加などで失業者が増加し、当然、その分の税収は減少して社会保障費は増加することになります（韓国は、そろそろこの辺）。　ある程度、経済が発展して経済成長が鈍化した国では、裏付けのない最低賃金の引き上げを強行するよりも、中流～下流に属している国民の税や社会負担を減少させた方が、雇用を維持したままで可処分所得を増加させることが無理なくでき”生活が楽になった”実感を伴いやすいと、私は、思います。　なお、裏付けのない最低賃金の増額を強行した場合の長期的な影響としては、それだけの賃金を支払えるだけの企業しか残らないわけですから、新しい産業でも起こらなければ国内の雇用が減少した規模で固定化され、転職や解雇、定年などなどで空いた席の分だけ新規学卒者の席が用意できれば御の字といった状況になるのは不可避でしょうから、失業者と自殺者の増加といった現象は不可避でしょうなあ。　しかも、グローバル経済を信奉するとすれば、世界的な大企業でも”更なる合理化”、”更なる生産性の向上”といったいわゆる”終わりの無いマラソン”状態で社内は恒常的に人員削減にともなう利益率の上昇が課題になるわけですから、世界的な大企業に就職できたからといっていつまでそこがゴールにはならず、キャリアップの美名のもとに”もっと稼げる会社へ”と渡り鳥のように渡り歩いていかないと、”あ、君、来週からこなくていいから”とばっさりとリストラされて使い捨てられることにもなるわけです。　ましてや、会社勤めで要求される技術や知識が第４次産業革命と呼ばれるレベルで社会全体が急速に変化している中で、会社が傾いて短期間で大量の人員整理が行われた場合、ほとんどの国内の再就職先が先細りしていながら、最低賃金の縛りなどでも個人で起業するハードルも高くなっていく中で失業するわけですから、再就職や転職に失敗する人があらゆる階層で激増することもまた不可避ではないかと。　失業して再就職もままならず、背に腹は代えられないから低賃金の肉体労働系でもと考えても、従来の”高度な知識も経験も不要な単純労働”に該当するような職種は、急速にAIに象徴されるコンピュータ制御のシステムに移行して雇用が激減しているか、そういった設備投資をするよりも安価に働く”（不法を含む）移民”で既に埋まっている確率が高くなっていくだろうなあと。　ならば、学生時代から高度な知識や技術を身に着けてオンリーワンになっていれば云々と考えても、これだけ技術の進歩速度が加速し、競争相手が世界中にいる状況になってくると、他人に雇用されて給料をもらって生活している場合は特に”いつまでオンリーワンどころかトップクラスでいられる？”と大多数の（凡）人は考えるべきでしょう。　それに対する対策は、社会全体の総意として”むやみやたらとハイテク化しないこと”で、無駄があるから雇用が維持され、雇用が維持されるから社会も維持されるという大原則に立ち返ることくらいでしょうなあ　・・・　一部の上級国民が富を搔き集めすぎて、貧困を拡大させて放置しているとフランス革命のような物騒なことが起こって社会体制が強制的にリセットされることは歴史を振り返ればわかりそうなことだと、私は、思いますが？　日本の場合、鎖国して総人口を５０００～６０００万人程度に抑えておけば、（その規模ならば）食糧は十分に自給できますから、後は海底資源を開発してメタンハイドレードやレア・アースの類を国内自給で使うもよし海外との物々交換に使うもよし　・・・　と、考えていくと、このままグローバル経済路線で突き進んで金の心配をしながらうっかり１００歳を越えてボケを進行させながら生きてしまう近未来よりマシな未来がそこにはあるのではなかろうか？　早晩、グローバル経済は行き詰るというか、既に行き詰まり始めているから”国境を越えた大企業”から”国”という単位への揺れ戻しが起き、大企業が安価に使える労働力として”移民”を安易に引き入れ、治安の悪化に象徴されるやっかいごとは下流国民に押し付け、住みつらくなったら上流国民は国を捨てて稼いだ金を持って住みよい国へ渡っていき、口ではセレブな浮世離れした理想論を語ってみせるけれど、彼らの否定する現実は彼らが稼ぎに稼いだ結果として生じた現実だったりするあたりで”なんだかなあ”と。　それはそれとして、本当に不思議なのが、”地球温暖化”論を前提にしていながらグローバル経済を維持しようとする勢力がいることで、私は寒冷化の方に一票入れているのですが、仮に温暖化が各国政府や研究機関が主張する速度で進むとすれば、２０４０年頃には地表で現在のような経済活動を行うことがそもそも不可能な環境になっているわけですから、地下なり海中なりに生活の拠点を移した上で変化した地球環境に対応しながら生き残りを模索していくしかない国の方が多数派になっているのではないかと。　それこそ、地表にはAIが制御する生産工場の類が残り、そこで動いているのはロボットか人体改造を受けて過酷な環境に対応した改造人間の類（まさにトランスヒューマニズムですな）くらいになっているのではなかろうか？　地球温暖化にしろ地球寒冷化にしろ、２０３０年頃には従来の地球環境に関する常識が通用しなくなっていることがはっきりしていると私は思いますし、それ故に、自分自身の老後とか年金とかの心配もしていないのですが、そういった１０～２０年後という極めて短い時間しか残されていないという観点に立つと、亜米利加、露西亜、EU、中国、といったあたりのここのところの小競り合いが別の意味を持っているかもなあと。　日本が絡むところだと、”印度～オーストラリア（オセアニア）～フィリピン～台湾～日本＋亜米利加”で一つのブロック経済圏の類を構築する構想が、本当にブロック経済圏だけのためなのか？という気がしてくるのですが、”極東ロシア～中国～朝鮮半島”でブロック経済化することが既に既定路線とすれば、いろいろとここのところの世界情勢の地殻変動が腑に落ちます。　ただ、歴史的に見て、大日本帝国時代の日本、ベトナム戦争当時の亜米利加、改革開放経済で世界２位の経済大国になった中国などがわかりやすいですが、”いつの時代も、朝鮮半島がすり寄った国はもれなく衰退する（いわゆるKの法則）”ので、どこぞの国が属していない経済ブロックに所属しておけば生存率が上がるのではないかとオカルト的視点ですが、私は意外と真面目に考えています。　まあ、TPP交渉の頃から、韓国が”落ち目の日本や亜米利加より、日の出の勢いの中国に付くのが得策。さよなら小日本！さよなら落ち目の亜米利加！”と２００５年頃からやらかしはじめ、北朝鮮が核武装するなら韓国も核武装すべし！核兵器開発を隠れてやる荷駄ともやらかして亜米利加の逆鱗に触れて（も懲りずに）現在に至っているわけですが、韓国の悲劇は、文大統領をこの時期に国のトップに据えていて国民の５０％以上が今なお支持していることかもしれません。　なお、印度～オーストラリア（オセアニア）～台湾～日本～亜米利加というラインは、イギリス連邦及び過去にイギリスと同盟を結んだことのある国と考えると”あ～、そういうラインね”となりますし、”極東ロシア～モンゴル～朝鮮半島～中国”というラインは中華帝国の歴史を考えると”あ～、そういうラインね”と腑に落ちるかもなあと　・・・　その意味でも、韓国はホームグラウンドに還る道を選んでいるということではないかと。　となると、独逸が実質的に支配しているEUの場合、ハプスブルク家あたりまで遡ると、欧羅巴～中南米～阿弗利加西海岸あたりが一つのラインとして考えられるのですが、そう考えると、英吉利がなぜこの時期にEU離脱を選択したのかに関して、とある解釈が可能になりますし、最悪、欧羅巴から中南米への大量移民というか民族大移動が発生するかもなあとか、いろいろな布石を邪推しないでもありません。　中東の地殻変動も、いろいろな視点から俯瞰してみると、なにか有力な国の間では特定の情報が共有されていて、それを前提にそれぞれの国や地域で手にする利益が最大になるように、現在進行形で調整中で、対応を誤ると文字通り地図から国が消えかねないリスクがそこにはあるのではないかと。　ただ、事前の綱引きは既に終盤というか仕上げの時期に入っていって、どの陣営に属するかという決断が、おそらく２０１９年８月某日くらいがタイムリミットになっているのではなかろうか？と推測しているのですが、それ以降は、本格的な（なりふり構わない）準備が表面化してくるのではないかとも。　いずれにしても、日本が酷い目に遭いたくなければ韓国と同じ陣営には所属しないか、韓国が新規参入したがっている新興勢力には深入りしないことを徹底すべきでしょうなあ　・・・　その意味でも、坑道のカナリヤ扱いしてすみませんが、さよなら韓国。

  2019.07.17

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• 一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第９２９話　「地震兵器学２」

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第９２９話　「地震兵器学２」　核兵器を地中で爆発させると、地震のような振動が生じることは地下核実験などで知られている現象ですが、これを書いている時点より以前に発覚しているというか公認されている地下核実験に伴う人工地震で最大規模とされているものは、１９９２年に亜米利加がネバダ州のネバダ実験場で行った際に２４キロ離れた地点で観測されたマグニチュード５．６規模のものになります。　米国が地震兵器を実用化しているという噂が生じる由縁の一つもまた、米軍が地震断層の近くで地下核実験の類を行った時期があったことと無縁ではなく、下手をするとスーパーマンが西海岸を持ち上げなければならなくなりかねないような実験結果が生じた可能性も頭をよぎるものの、幸か不幸か過去に亜米利加政府が国内で行った地下核実験や人工地震実験などなどでは（日本人の感覚だと）それほどたいした地震を発生させるには至っていないと書いてよさそうです。　ただし、スマトラ島沖地震の際に、欧羅巴の国の中から亜米利加の人工地震説を主張する国が複数出てきたというのは実話ですし、少なくとも、その根拠として指摘されることもありますが、近辺の亜米利加海軍が利用していた基地というか艦艇や兵員などに被害が生じていないことや、”大規模地震が生じることが分かっていたかのようなその後の対応”の迅速さが疑惑を呼んだところもあるようです。　もっとも、米軍が（事前に考えられる範囲ではありますが）あらゆる可能性を考慮して事前に作戦を立案し、必要な物資をストックしたり、搬送経路を確保しているのも実話ですから、大規模地震が発生してから"想定外”を連発し、責任を取るべき立場の人たちが責任を回避して逃げ回った上に、超・非常事態に最高責任者が岩戸篭りしてしまって指揮系統が麻痺した某国の方が”事前の準備にも非常時の対応にも真剣さが足りていない”だけかもしれませんが（黒い笑）。　ちなみに、東北関東大震災が発生した直後から、人工地震説が流れているのですが、どのようにして人工地震を発生させることに成功したのか？に関しては、地球深部観測船”ちきゅう”が海底に掘った穴に小型の核爆弾をセットして爆発させたという説がかなり早い時期から流布しているのですが、地球深部観測船”ちきゅう”に関しては”日本沈没”の劇場版がリメイクされたときに作品中に登場していることからも想起しやすかったのかもしれません。　もっとも、地球深部観測船”ちきゅう”の公表されている掘削能力は、水深三千メートルの海底から更に地中へ７００メートル掘削することが可能（だいたい地下１０キロ程度の穴が掘れる）とされているのですが、陰謀論者が口を閉じていることの一つに、掘削できる穴（掘削孔）の直径が２０センチ程度しかないことがありますし、深さ１０キロの孔を海底に掘れば１平方メートルあたり１万トン以上の水圧がかかることと併せて考えても、掘削孔に小型の原爆をセットして爆発させて人工地震を発生させたことが東北関東大震災を発生させるトリガーとなったという陰謀論に根本的というか技術的な無理があるな～と私なんぞは思います。　一つの前提として、地震の中でも海溝型の地震発生メカニズムとして考えられている主流の理屈が、大陸（プレート）の移動で地殻の歪が次第に蓄積されていき、地殻がその歪に耐え切れなくなったときに地殻が”折れる”か”反発”する形でエネルギーの解放が生じる　・・・　とでもいったもので、この辺りの解説は"日本沈没”劇場版の初回版における劇中の解説がいまだに秀逸だと私は思います。　そう考えていくと、過去の地下核実験で人類が発生させることに成功した最大規模の人工地震でさえマグニチュード５．６に過ぎで、これは東北関東大震災の余震よりも小さく、本震と比較すると推計値で１２万６千分の１程度ですから、少なくとも直径２０センチ未満の小型核爆弾を海洋の地中で爆発させることに成功していたとしても大規模地震を誘発するトリガーとしては機能しない規模と考えていいのではないかと私は思います　・・・　ま、別の意見をお持ちの方もおいでとは思いますが。　核兵器が用いられたのではないか？とする説の一つの根拠として、東北関東大震災の際に通常の地震では発生することがまず無く核爆発だと確実に観測される超・短波が観測されている点があるのですが、逆に言えば、核兵器をトリガーとした巨大人工地震（兵器）説の根拠はそれくらいしかないとも言えます。　ちなみに、そもそもが核兵器を使った人工地震兵器ではなく、人工地震を誘発するトリガーとしてある種の電磁波が用いられたのではないか？という説もあり、その中で人気があるのが、亜米利加のアラスカ州コナ近郊にある”ＨＡÅＲＰ（ハープ、高周波活性オーロラ研究プログラム）”という施設を利用したという話ですが、一応、ハープの管理と運営はアラスカ大学の所管になっていて、日本はもちろん世界中の大学や研究所などが研究に参加しています　・・・　というかいました。　これを書いている時点というか、２０１３年の初頭にハープは閉鎖されていて、少なくともそれ以降は電波や電磁波の類を照射していないのは確かな話ですし、アメリカの会計年度が１０月始まりということを考えると、２０１４年度予算にハープ絡みの予算が計上されていなければハープが再開されたとしても２０１５年の１０月以降の話になる確率が高いかなと　・・・・・・　ま、亜米利加の国の予算に関しては”非常時の特例”というか大統領権限で（後に議会の承認が必要としても）他の名目の予算の順序を入れ替えたり迂回させる形で流用したり予備費などから捻出させることが可能ですから目安に過ぎませんが。　怪しい話的には、テスラの人工地震実験が暴走というか事前の予測を上回ったことで桑港大地震を誘発したという説を肯定していますから、ハープかどうかは別として、スマトラ島沖地震の頃から米軍は地震兵器を実用化しているのではないか？とかなり真剣に勘ぐっていますし、学校で教わっている科学常識と最先端の科学の現実が必ずしもイコールではなく、下手をすると１００年以上遅れた情報を学校で教わって”自分は科学的な常識人だ！”と思い込んでいる可能性も否定していません（しみじみ）。　ただ、周波数にもよりますが、単純な電磁波の照射で地殻が大規模に振動することが起こりうるのか？と考えると、電磁波そのものが地殻を構成している岩や石、水分などなどに吸収されて（ある種の電子レンジで温められたかのように）地表や地中の温度が（水分子などの振動で）かなり熱くなるのが筋というものですし、いわんや海水も広域で加熱されて海水温の上昇が起こりうるのは理屈というものではなかろうか？　そして、そういった広域の地表や海水面などの温度上昇の異変というのはこれほど人工衛星が飛び回る時代ともなると宇宙から観測されても不思議ではありませんから、発生させる人工地震の規模が大きくなればなるほど事前に察知されやすく観測記録に残りやすくなると考えることに無理は無いとも思います。　が、話をややこしくすると、２０１１年当時のハープからは超・長周波を照射することが可能で、これは数千メートルの単位で（海）水中にも入っていくことが可能ですし、地殻に照射すると毎秒２万回程度の振動を発生させることも可能だったりしますので、単純でない特定の電磁波の照射によって人工か天然かはともかく海溝型の地震が起こりやすい環境へと改変されていた可能性を捨てる必要もないかなと。　更に、ハープに早い段階から地球規模の天候兵器説が流布していたこともあってか、ハープが何時、どのくらいの規模で長周波などをどの方向へ照射したかなどを観測している民間団体があり（観測結果はインターネットで公開されていた）、東北関東大震災のケースでは地震の前日に強力な長周波の照射が観測されていて、当時の電離層の状態から照射先は三陸沖（ではないか）と予測されてもいたのですが、不思議なくらいこの手の話を日本のマスゴミが取り上げることは無いようですな。　ただ、ハープからの超長周波照射だけで東北関東大震災規模の巨大地震が発生しえるのか？と考えると、必要となるエネルギー規模から考えると無理があるような気がしてくるのも確かな話で、最後の一押しをした”超短波を発生させた何か”があったと考えたほうが無理が無いかなと。　もちろん、その場合でも核兵器の可能性は極めて低いですから、湾岸戦争の頃から囁かれている米軍のプラズマ兵器の類か、海軍の艦艇に実戦配備が始まったレーザー砲や実用化された電磁砲（レールガン）などを候補として考えておいた方が現実的な時代なのかもしれません　・・・　常識的な日本人からすればここだけでも十分にＳＦチックな話だとは思いますが。　噂レベルの話だと、プラズマ兵器の類を搭載した攻撃型有人人工衛星というか、地球周回軌道上に事実上の常駐型の宇宙戦艦を亜米利加は配備し終わったから世界規模で展開していた米軍の規模縮小を加速させているという話があり、ハープが閉鎖された理由もまた宇宙空間から各種の超長周波を含む電磁波を照射できるだけの施設の運用が始まったためという話もありはします。　で、結局のところ、地震兵器というのは実用化されているのか？と聞かれれば、実用化実験が終了ないし実用化されていると考えないと辻褄が合わない状況になってきているのではないかと思わないでもありません　・・・　が、流れている情報のどこまで本当かはさだかではありませんし、逆にすべてが駄法螺の類であってもさほど驚きませんが、何しろここは怪しい話ですから”面白ければなんでもあり”という方向でネタを収録しております（笑）。 （2014/07/25)

  2014.07.25

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• 一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第９２８話　「地震兵器学」

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第９２８話　「地震兵器学」　第三次世界大戦が勃発した場合、全面核戦争となって世界が滅びかねないリスクがあるのですが、第三次世界大戦が発生するとすれば場所は中東というか古代のバビロニア界隈が主戦場になるのではないか？という説があったりします。　いわゆる”ハルマゲドン”というか”メギドの丘の最終戦争”の預言絡みの話ですから、当たるも八卦当たらぬも八卦の類ではありますし、そうなってしまえばどこが主戦場になったとしてもさほど大差が無いといえば大差が無い　・・・　それこそ五十歩百歩の違いでしかないような気がしないでもありません。　第二次世界大戦末に、広島と長崎に核兵器が投下され、一発の爆弾の攻撃だけで大規模かつ無差別な殺傷を人類は始めて経験したわけですが、それ以降の核兵器の破壊力に関する一つの目安として”広島型原爆の○発分”とか”長崎型原爆の○倍”とかいった表現が使われることが珍しく無いのは御存知の通りで、少なくとも広島や長崎で利用された原爆よりも殺傷能力が高くなる方向で核兵器開発が行われたことは確かな話になります。　しかしながら、原爆を凌ぐ破壊力を求めて生み出された水爆の破壊力が文字通り地図の地形を変えてしまう水準に到達すると、核戦争が本当に勃発するとどちらの陣営に属しているかとは無関係に人類は滅んでしまうという説に説得力が増し、１９５０～１９６０年代に個人への核シェルター販売や個人レベルでの核シェルター建設が大真面目で行われるようになった歴史もあります。　というか、先進国では熱核戦争を前提とした大規模地下シェルターや地下都市や大規模地下街が建造されている国が珍しくなかったりします　・・・　というか、あまりに日本の都市計画が核戦争に限らず巨大地震など大規模自然災害を考慮せずに行き当たりばったりで進められてきているとも言えます（溜息）。　憲法で戦争を放棄したのだから都市が軍事攻撃に晒されることは考慮する必要は無いというどこぞの左系の寝言はともかくとして、世界でも屈指の火山列島というか地震列島である日本で大規模地震を想定した都市設計を本気で行えば、それは自然と熱核戦争にも（ある程度）対応できる備えとなることは指摘するまでもありますまい。　尖閣諸島絡みで中国との局地戦争くらいは起こりかねない御時世となり、尖閣諸島周辺で中国軍ＶＳ日本軍といった軍事衝突が現実のものとなった場合、日本の自衛隊に勝ち目があるのかどうか？といったシミュレーションが次第に盛んになってもきているわけですが、限定的な局地戦ならば自衛隊有利と日本の側が主張すれば、中国側の軍事筋が”原子炉などの核施設なり国会議事堂なりに通常弾頭でかまわないから一箇所に対して数十発単位、数分～数十分の内に数百発単位で複数の目標に中・長距離ミサイルを撃ち込めば１時間もかからずに中国側の圧勝で終わると主張している現実もあるわけです。　短時間に大量のミサイルで集中的に攻撃を実施する攻撃方法を飽和攻撃と呼ぶことがあり、これは米ソ冷戦が真っ盛りだった頃に当時のソ連（現在のロシア）が対米熱核戦争を前提に考案した攻撃法の一つだったりするのですが、これを書いている時点の日本の対空防御能力で考えると、所有しているイージス艦などが適切に対応でき、迎撃ミサイル網なども機能し、事前準備が完璧に終わっている最良の条件でシミュレートしても、１０～２０分くらいの間に合計で５０発を超える規模で複数の攻撃目標にミサイルが分散しながら飛来してくる程度の想定でさえ、かなりの高確率で迎撃に失敗し致命的な被害を被る可能性が高かったりします。　もっとも、迎撃システムに純然たる物理的というか数的な上限が存在する以上、優先順位をつけてその上位を集中的に守るという対抗方法も当然あるのですが、尖閣諸島絡みの（偶発的な）軍事衝突の恐れを強調しておきながら、その一方で軍事攻撃を受けることを考慮せずに各地の原子力発電所の再稼動を強行したがる自由民主党の二枚舌というか複数舌政策は何がやりたいのか私にはよくわかりませんし、どのくらい本気で主張しているのかもわかりません。　それとも、日本と戦争をする国や日本にテロ攻撃を仕掛ける集団は、日本各地にむき出しで林立している原子力発電所の原子炉を攻撃しないで粛々と死んでいく高い倫理観を必ず持ち合わせているから心配ないし、事前に供えておく必要も無いとでも日本の国政政治家たちは国民に対して主張するのでしょうか？　・・・　そんな高度な倫理観や道徳性を供えた国がそもそも日本に限らず他国を軍事攻撃するとは私には思えませんが。　ま、その辺りは軍事機密の壁の向こう側の話でどこまで本当の話かは定かではありませんし、今回の主題でもないので深入りはしませんが、大規模地震に伴って生じた福島原子力発電所事故とその後の汚染被害の推移は、”攻撃する側が通常弾頭のミサイル兵器しか所有していなくても、攻撃される側の大規模な原子力発電所などの核施設が迎撃に失敗すれば、数十万人規模の市街地を核兵器で攻撃された場合と同等かそれ以上の被害が生じる”という従来は机上の戦術だった戦術の有効性が実証されたとも言えます。　それ故に、小規模なゲリラ戦やテロ攻撃でさえも何を用いてどこを攻撃するかによっては核兵器が使われた場合と同等以上の被害が生じかねない時代になっているリスクもあるわけですが、核兵器並みの一次時被害が生じかねず、それでいて致死性の環境汚染は生じにくく、”誰が使ったのかが特定できない”匿名性の高い兵器があるとすれば、それが用いられる敷居は核兵器が用いられる敷居よりかなり低くなるのではなかろうか？　ここで興味深いのは、第三次世界大戦かどうかはともかく最終戦争が勃発したときに核兵器よりも甚大な被害をもたらす究極の兵器として地震兵器”メビウス”が使用された未来を想定した漫画に、”最終戦争（山田ミネコ）”があり、その後の世界を舞台にして”最終戦争伝説”が描かれているのですが、人類が滅びるとすれば核兵器を用いた全面核戦争という想定が主流だった時代に地震兵器をなぜ人類を滅ぼす本命としたのか？は（私には）謎です。　逆に言えば、初めて最終戦争など一連の作品を読んだときに、地震兵器”メビウス”の設定に違和感を感じたのですが、地震兵器の実用化は1906年の”桑港地震”の頃から始まっているという話もあり、怪しい話ではおなじみのニコラ・テスラ（1857～1943）が行った人工地震実験が想定外に暴走したのが桑港地震だったといった話は以前に何度か触れたことがあります。　その辺り、その後の研究でテスラは狙った規模で人工地震を発生させることに成功していたという話もあり、晩年のテスラが不自然なくらい経済的に追い詰められていたり、常に監視していたと考えられるのですが、死亡直後に政府の（複数の組織名が伝わっている）役人を自称する一団が研究資料などを根こそぎ強奪していったという謎めいた実話も比較的知られた話になります。　もちろん、テスラ以前から地震兵器という概念は登場していたのですが、具体的に地震を発生させる方法としては、大規模土木工事のように大量のダイナマイトを用いるとか、地下核実験などがわかりやすいですがダイナマイトではなく核兵器を用いる ”爆破方式”が主流というか、それくらいしか考えつかず実用化もできなかったようです。　テスラが天才に区分されるのも、人工地震実験を電磁波を用いて行ったとされていることで、これはテスラのライフワークの一つでもある地球エネルギー網の構築に関する実験の一環だったという説もありますし、米軍が管轄していたハープ施設（というか実験）はテスラの実験の延長上の話になるという怪しい話もあります。　テスラがエジソンと対立するようになり、電気の交流と直流の規格争いや白熱電球と蛍光灯の争いなどは比較的知られた話ですが、エジソンがトースターなど従来よりも大量の電気（電力）を必要とする家電製品を積極的に開発して市場に投入していったのも、そもそもエジソンも大規模な発電所を建設していて電気の消費が増えれば増えるほど潤う構図がそこにあったためというもっともな話もあります。　発電所の利権という大元を握っている勢力からしてみれば、電気の大量消費こそ自分たちの繁栄を意味しているだけに、節電とか省エネとかには興味が無いようですし、無駄になる余剰電力が生じることを承知で常に一定以上の電力を生み続ける原子力発電が大好きなのかもしれません　・・・　ま、日本に建設された原子炉の大元が亜米利加のどの企業の設計に端を発しているかを知っているとあれこれ思うわけです（黒い笑）。　というか、火力発電や水力発電では余力を含めて電力供給の絶対量が足りないから原子炉の再稼動を行う必要があるというのなら、まずは節電と省エネを徹底することを国民や企業に要請するのが先だと私は思いますし、火力発電所が主力だった１９７０年代にオイルショックが発生すれば、夜間照明を抑制したり、ＴＶなどの深夜放送を規制したのは比較的知られた話ですから、節電を徹底しない２１世紀の日本政府の言動というのはどこか胡散臭いのではないかと。　結局のところ、福島原子力発電所事故以前の段階で日本の消費電力を激増させていたのは、既に海外に生産拠点を移し始めていた企業の工業生産などではなく、オール電化住宅に象徴される個人の家庭の電力消費の増大に拠るところが大きいのですが、皮肉なことに、そうしたオール電化住宅が大規模災害に極めて弱いこともまた東北関東大震災で露呈したのは御存知の通り。　一方で、東北関東大震災が発生した直後から、”亜米利加が人工地震を発生させたことが東北関東大震災が発生する引き金になった”という都市伝説めいた話がネットなどから広がり始め、日本の国会でも地震兵器が用いられたとする立ち位置で某・国会議員の質疑が行われたというのも実話ですが、某・国会議員などが想定していたのが核兵器をプレート部分に埋め込んでおいて爆発させたことで大規模広域震災が誘発された云々といったまとめ方でいいのかなと。　長くなってまいりましたので、続きの話はまた別の機会に。 (2014/07/18）

  2014.07.18

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• 怪しい話　第４シリーズ　第８４５話　「化学兵器と麻薬」

  怪しい話　第４シリーズ　第845話　「化学兵器と麻薬」　１９９０年代中旬に、オウム真理教が計画的にＢＣ（バイオ・生物、ケミカル・化学）兵器を用いて国家転覆を企て実行したことで、それまで正規戦争において用いられることを想定していたＮＢＣ（ニュークリア・核）兵器が大規模テロ行為に用いられる時代が到来したと言えます。　もっとも、日本人の国民性といってしまえばそれまでですが、”羮（あつもの）に懲りて膾（なます）を吹く”かと思えば”喉元過ぎれば熱さを忘れる”のも他国と比べるとかなり早い傾向があり、看板の名前こそ書き換えてある物の事件当時の関係者が主催したり多数在籍している教団に新規参入者が増加中という洒落にならない状況にこれを書いている時点でなっています。　ただし、教祖である麻原をして、”どの流派の誰の直系の弟子なんだ？”というあたりが明らかにされることは、少なくともこれを書いている時点でも無く、その初期の幹部たちが偽名を使って幾つかの民間の健康法や療法を伝授している団体などに一般人に紛れて１～２年程度潜り込んでいたことは、一連のオーム事件の後になって比較的知られるようになったのでした。　そもそもの客寄せのコンセプトが”ヨガを用いた（潜在的な）能力の開発”で、能力が開発された一つの象徴が彼等が主張するところの”空中浮遊”であり、ラグビーに用いるヘッドギアに多数の電極を装着したようにも見えた独特の電子装置などですが、まあ、本当に潜在能力が開発されて各種の超能力が発現していたとすれば、予知や予言の類がもう少し精度が高く的中率などで話題になっていたんじゃないかと（私は）思いますな。　しばしばオウム真理教の事件に関して引き合いに出されるのが、戦前、戦中にかけての大本教の大弾圧事件ですが、大本教とオウム真理教の超能力や霊能力の分野の最大の違いは”教祖の預言の的中率の差”で、大本教のというか出口王仁三郎（1871～1948）の残した”霊界物語”など自動書記系を含む預言群は、”その時”が来ると異様な的中率を発揮し続けていることで知られています。　そして、”日月神事”などの王仁三郎の残した予言を補足する後継の系譜も着々と適中していることでファンが多いのですが、オウム真理教が最大の予言とし自らの凶行を正当化する論拠としていたとおぼしき世紀末の大災厄の類が発生せず、かといって３．１１（2011）の東北関東大震災や福島原子力発電所事故など本当に日本が崩壊しかかった（しかかっている）大騒動に関する直接の予言が無かったりもするわけです。　怪しい話で何度か触れたことがありますが、先天的な霊能力や超能力を後天的な修行で越えることは皆無で、既存の密教系の修行に関しても無いものを引き出すのではなく、地力のある者を選抜した上で有る物を引き出していくノウハウであり、やはりそこには努力と根性では越えられない壁が歴然として存在しています。　ただし、才能に恵まれている場合でも、例えばピアノのプロとアマチュアの差が”練習量の差”というか、”練習時間の差”という物理的に計測できる単位になってくるように、プロと呼ばれるレベルに至るために気が遠くなるような不断の積み重ねが要求される部分があるのですが、神秘学の分野では特に横行していますが、”実は難行苦行は不要で、ぱぱっとインスタントに潜在能力を開発する方法があって、・・・”と話が始まって、お布施の解説があって話が終わるというのは一つ詐欺パターンとして知られています。　実際はもっと言葉巧に行われていたとしても、そんな露骨な詐欺に引っかかる鴨がいるのか？と私も長らく思っているのですが、いわゆる”オレオレ詐欺”が、これだけマスゴミでも繰り返し報道され、警察の啓蒙活動も盛んに行われ、銀行の窓口やＡＴＭの類にもそれなりの注意喚起や規制が行われていてなお、年間で未だに（警察が把握しているだけでも）億を越える被害が生じ続けていることを考えれば、病気、怪我、人間関係、失業などなどで悩んで心が弱っている状態の人や暇な人、或いは詐欺師に狙われやすい典型的な鴨体質の人は引っかかり続けているのかもしれませんな。　もっとも、ＮＢＣ兵器のＮ兵器を実際に使用してしまったのは東京電力であり、放射能汚染の被害拡大を２年以上も放置しているのは日本政府で、1995年からこちら首都圏に在住者している人は、オウム真理教と東京電力、日本政府によってＮＢＣ兵器の攻撃を受けた（受け続けている）と解釈することもできますし、そのメンタリティの底の部分というか、”我々は愚昧な庶民ではなく高給優遇されるのが当たり前の選ばれた存在”が前提としてある、一種の選民思想に基づく上から目線の言動を繰り返すあたりで、彼等は共通しているのかもしれませんな。　両者の違いは、オウム真理教関係者が法の内側にいて法に基づいて処罰され、東京電力や政府関係者は法の外側にいて誰も処罰されないまま塀の外で高給を懐に入れ続けているくらいのことで、今後、若年層を中心に癌患者などが大規模に増加し平均寿命が短命化した場合、”サリンの散布で短時間の内に多数の死傷者が出た事例と異なり、この変化が生じる間に数年が経過していることから、高濃度放射性物質の高域拡散と該当地域の癌患者などの増加が福島原子力発電所事故が原因であるとか因果関係があるとかはただちには言い切れない”とかいった弁明で納得するかどうか？。　既に首都圏というか都内で、若年層や高齢者などに免疫力の後退を示すデータがぼちぼち出始めていますので、この実質的に”Ｎ兵器を使用した場合の壮大な人体実験”と化した福島原子力発電所事故の”結果”が出るのにさほど時間は必要としない気もしてきていますが、ちなみに、王仁三郎が戦時中に空襲が生じる地域の信者に対して、具体的に”どこならば大丈夫か”を含めて事前に幹部を派遣して疎開を勧めていて、広島、長崎に関しては別枠でも事前に警告しているあたりからも、”この後の経緯”が私的には興味深いところです。　ざっくり書いておくと、”日本の総人口が４０００万人程度まで減少する”ことを織り込んで置いた方がいいようですし、”それでも日本は同時期の他の国や地域と比べればマシ”な状況のようです　・・・　まさに、”明日に日延べをするな、今を楽しめ”と言ってもらえる末尾の時間帯に既になっているのかもしれませんなあ（しみじみ）。　そういったにっちもさっちもいかない状況になった場合、最終局面になると政府が安楽死に近い最後が選択できる麻薬の類を支給するという都市伝説めいた話があり、映画”ドラゴンヘッド（2003、原作漫画・望月峯太郎）”だと政府組織が備蓄していて非常時に支給された非常食を食べた人は　・・・　といったブラックな描写がありましたが、滅びるべき時に滅びないでいると国も人も惨めなだけと考えるかどうかという哲学的な話になっていくのかもしれません。　ちなみに、映画”日本沈没（1973、原作小説・小松左京）”において、日本列島の大半が海底に没するという壊滅的状況が予見され、その対策を考案していった中に、”なにもせんほうがええ”という、選択肢が提示されたことは、”お”の字の第１世代にとっては常識の内ですが、政府が積極的に国民を救済するとは限らないことが指摘されたシーンでもあるわけです。　ここのところというか、”バスソルト”という日常的に用いられていた入浴剤の一種が使われたという噂もある”マイアミゾンビ事件”の頃から、或いはもう少し遡った”クラック”や”スピード”といった新顔の薬物が話題になった頃から、”なぜそれに気が付いた？”という不可解な事例が増加してきた感があり、Ｘファイルやフリンジ系の発想をすれば、製薬会社や軍が宇宙人の未知技術を導入して新たな薬物人体実験を始めた気さえしています。　そうした分野における米軍やＣＩＡの信用の無さは、既に１９５０年代に”ＭＫウルトラ作戦”をやっていたことが露見した実績もありますが、Ｂ兵器の実験説もある、エイズやエボラ、あるいは鳥インフルエンザなどの不可解な流行と種としての変異などなど、最先端の技術、潤沢な研究実用化資金、情報の隠蔽や世論誘導などなどが行える組織がそれほど多くないことも大きかったりします。　まあ、軍部の主張する、”敵と同程度の技術を有していないと、ＮＢＣ兵器が使用された場合、一方的に被害が拡大するため日頃から対抗策の研究が不可欠”という説を（私も）支持するものの、最後の一線である人体実験を平時に公式に越えることができる国は先進国では皆無に近いだけに、極秘作戦の類の噂がつきまとうのかもしれません。　ここのところ、興味を引かれているのが、俗に”クロコダイル”とも呼ばれている”デソモルヒネ”という鎮痛剤の一種で、これが新顔の麻薬として露西亜を中心に東欧諸国の低所得者層で使われるようになっていたのが、独逸に飛び火し、さらに2013/09には米アリゾナ州の路上で中毒患者が確認されて大西洋を越える拡散が始まっていることです。　この”クロコダイル”の中毒患者は、皮膚に独特の症状が現れるとほとんどの人が１年以内に死亡していることでも知られているのですが、密造が露西亜マフィアによって露西亜で行われているという説が有力で、その意味では露西亜版の”バスソルト”と言えなくもない側面があるわけです。 　純正品を使った場合にどうなるのかは知りませんが、粗悪品というか混ぜものが加えられて麻薬として流通している”クロコダイル”の場合、使い続けると皮膚がむけてワニの一種であるクロコダイルの外皮のように変化していき、その異変が生きたまま骨にまで達することもあり、当然のように外気に晒された部分の多くで壊疽などが生じて全身の皮膚が腐って真っ黒になって死んでいくとされています。　そういった結末が知られていながら中毒患者が後を絶たないどころか増加してきているのは、覚醒剤の３分の１の価格のためか乱用する者が後を絶たないことと無縁では無いようで、麻薬の世界にも経済格差が生じていて、価格差は命に関わるリスクの差にもなっているわけですが、どうも従来の麻薬の密売などとは異なる新種の薬物実験を想起してしまうようなトレンドが麻薬が絡む事件に世界規模で生じている気がしているわけです。　もちろん、”政府がそんなことをするわけがないじゃないですか～。怪しげな漫画や映画、深夜アニメの見過ぎですよ～”と言われれば、我と我が身の高齢化の進展に比例して”そう言われれば、そんな気もするし　・・・　そうかもねえ？”というくらい押しに弱くなっている今日この頃だったりもしますが（笑）。(2013/10/09)

  2013.11.05

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• 怪しい話　第４シリーズ　第８４３話　「麻薬と準麻薬」

  怪しい話　第４シリーズ　第８４４話　「麻薬と準麻薬」　特定の物質が法律で取り締まりの対象になるというか、所持したり、販売したり、使用したりすると何らかの刑事罰の対象になるかどうかに関しては、かなり御都合主義なところがあり、利権が絡んでいる事例が無いとは言い切れない国もあることは比較的知られた話になります。　分かりやすいところでは、”大麻（たいま）”を麻薬と見なすか否かといった議論で、国によっては法律の取り締まりにそもそもなっていない国もありますし、地域や用途を限定して使用することを公認している国もあれば、所持しているだけで刑事罰の対象となる国もあるという具合で、Ａ国では合法でもＢ国では非合法ないしグレーゾーンという状況に実際になっている薬物ということになります。　大麻に関しては、いわゆる”麻（あさ）”の葉っぱですから、日本ではあちこちに自生している野草に過ぎませんし、（中略）が良ければ痩せた土地でも比較的育ちやすいことや、種子が比較的はじけやすいこともあって日本の山谷から根絶することは不可能に近いような気がしないでもありません。　というか、せっせと無断で他人の山などを使って栽培する人が後を絶たないのも大麻の一つの特徴ですし、アパートの押入やマンションを丸ごと一室使って大麻栽培をしていて摘発された事例も１つや２つではありませんから、これを読んでいる人の隣の部屋や家で密かに栽培している可能性がある　・・・　ある意味で身近な　・・・　麻薬と言えます。　実のところ、葉っぱではなく麻の実は日本では神世の昔くらいから宗教儀式と密接な関係があり、トランス状態といいましょうか？いわゆる”トリップして”常世（とこよ）から神世に至るときに用いる秘薬の類として、少なくとも数千年単位で用いられ、その効能が知られていたが故に、宗教系の支配者階層が栽培から用法まで隠匿していた節があります。　もっとも、明治に入って、呪いや祈祷の類が”非科学的な迷信”と位置付けられ、大麻の薬物としての成分がそれこそ科学的に分析されるようになると、西洋諸国に追いつけ追い越せを国是とした日本国としては宗教儀式とはいえども用いるベカラズ。ということになっていったわけです。　まあ、実際に戦前の宗教儀式などでどのくらい通達が守られていたかは定かではない話になりますし、阿片（あへん）の害は江戸時代から知られていて取り締まりの対象にも既になっていましたが、麻が見逃されていたというか対象になっていなかったあたりで、そもそもその程度の薬物という解釈が妥当なのかもしれません。　というか、医療用に大麻を使いたいという声は意外と多く、西洋医学の医薬品がさほど効果を見せない一部の神経症の類や内臓の病気などに卓効を示すことがあるそうですし、”大麻からコカインやヘロインなど本格的なドラッグに墜ちていく、入門ドラッグ（”ゲートウエイドラッグ”）だから駄目だ！”と一律に禁止したままそのあたりを再検討して医療機関など場所を限定して解禁しないことに合理性があるかどうかは微妙な時代になっているのかもしれません。　ただし、日本では立派な禁止薬物というか文字通り”麻薬”として取り締まりの対象になっていますし、あえて法を犯してまで健康な一般人が吸飲するメリットは皆無というのも確かな話で、漢方薬のような薬の一種として医療関係者の監視と処方の下で部分解禁してはどうか？という程度の話ですから念のため。　江戸時代に大麻より阿片の方が厳重な取り締まりの対象となったのは、阿片が典型的かつ習慣性の強いダウン系の麻薬に区分されていることと無縁では無く、吸飲すると日にちや時間の概念が無くなるくらい無気力になってぼ～っとしてしまうのは比較的知られた話で、常習者を相手に吸飲させる場所が”阿片窟（あへんくつ）”と呼ばれていたこともまたシャーロックホームズなどにも登場する有名な話だったりします。　もっとも、阿片の危険性を知りながら清朝に貿易品として売りつけ、清朝側が麻薬として取り締まろうとすると”我が国の貿易品に対してなんてことすんだ！”と難癖を付けて戦争を仕掛けたのが英国だったのも有名な話で、英国の良識と良心が麻痺していたという説もありますが、”アヘン戦争”は特定の国が他の国に対して国として麻薬を使って侵略行為を働いた初めての事例と言えます。　個人や集団レベルで麻薬の取引をする事例はそれ以前も以後も存在していますが、自らの国では禁止薬物にしている麻薬を他の国には貿易の商品として売りつける恥知らずな行為は、後に毛沢東などが典型ですが、欧米列強が倍返しされることになったのは御存知の通り。　また、アヘン戦争において、清国の軍隊が英吉利軍に惨敗し、上海などが事実上の植民地と化した事は当時の日本の武家など知識人階層にとって驚天動地の衝撃だったようで、清国が人数的には遥かに劣勢な英国軍に勝利することができなかったことで、外国人を殺してでも鎖国を守る”攘夷”という考え方が現実的でないことを具体的に実感した事例にもなり、開国から明治維新へと時代が本格的に動く端緒ともなったのでした。　アヘン戦争は軍事力以外のナニカを使って特定の国を内部から揺るがし別の国が侵略するという図式でもあったのですが、その”ナニカ”の部分が映画だと聖林映画で亜米利加の価値観を擦り込みたがる合衆国が思い浮かびますが、映画を使ってイデオロギーを他の国に擦り込むという手法に関してはナチス独逸のヒトラーが先駆者として知られていますし、かなり有効な方法であることもまた歴史が示しています。　ちなみに、その”ナニカ”の部分が”オタク文化”となると、ラノベの”アウトブレイクカンパニー（榊一郎）”で日本政府が異世界の”神聖エルダント帝国”に仕掛けた侵略行為となるのですが、まあ、具体的にどのような話の展開になるのかは深入りせずに伏せておきます　・・・　ＴＶアニメにもなっていますし（笑）。　話を戻すと、２０世紀くらいまでにメジャーな禁止薬物となった、大麻、阿片、コカインといった植物系の麻薬や、阿片を加工したヘロイン、先駆的な合成麻薬として知られる覚醒剤やＬＳＤ、そしてクラックのような混ぜ物系の新顔の麻薬の取り締まりが少なくとも先進国では実施されてそれなりの成果を上げ、その揺れ戻しのような１９８０年代に中南米で麻薬組織が国家を軍事的に圧倒しかけた時期を経て、先進国の経済成長の停滞もあってか小康状態といえば小康状態となっていたのですが、そうなって生じたのが発展途上国から先進国へそれこそ密貿易の重要品目として流れていた各種の麻薬の供給が減少して、早い話、先進国で麻薬の価格が上昇した地域が多かったようです　・・・　例によって正確な統計資料があっての話ではありませんが。　もちろん、富裕層の中毒患者より貧困層の中毒患者の方が末端価格の上昇は切実な問題だったようで、4-844”マイアミゾンビ”事件の原因薬物という説もある”バスソルト”にしたところで、敢えてそんなハイリスクな麻薬として未知の物質を麻薬の代わりに使用するところまで追い詰められていたのかもしれません。　習慣性の強い麻薬の場合、その薬効が切れると大半の人が各種の”禁断症状”に悩まされることになることもまた比較的知られた話ですが、その禁断症状から逃れるためには何でもありの状態になりやすこともまた比較的知られた話になり、覚醒剤の俗称である”しゃぶ”の語源として”骨までしゃぶられる”から”しゃぶ”という説もあるといった話は以前にしたことがあります。　しかしながら、２０世紀末くらいから合法ドラッグとか脱法ドラッグと呼称される新顔の麻薬が蔓延しはじめ、従来の禁止薬物の分子構造を一部変えることで”別の物質”を製造し、法律が指定している取り締まり薬物と少なくとも化学式で見る限り異なるため刑事罰の対象外になることに目を付けた人達がいたわけです。　まあ、二卵性の双子の兄弟がいたとして、兄が犯罪を犯した場合に遺伝子レベルでほぼ同じだからという理由で弟の方を逮捕できないようなもので、一人一人というか一つ一つ禁止薬物に加えていくという地味な作業が続いたわけですが、メスカリン系のサボテンや茸などが”植物標本”として堂々と輸入されて繁華街の路上で堂々と売られていた時代が日本でもあったわけですが、特定の蛙の体表の分泌物を舐めると麻薬成分が云々とかいった話に遭遇して、”う～ん、児雷也と大蝦蟇の時代に逆戻りしてるな～”と思ったものでした。　この手の脱法ドラッグに関しては、これを書いている時点だと３種類くらいに区分されているようで、１つはデザイナーズドラッグとかケミカルドラッグと呼ばれフォクシーに代表される合成麻薬の分野、２つ目はラッシュで知られるようになった亜硝酸エステル類の”ニトライト”系、３つ目は”エフェンドラ”とよばれるハーブ系の分野といったことになります。　ちなみに、ケミカルドラッグだと、ペピラジン系、トリブタミン系、エネチルアミン系、　・・・　、とさらに細分化されて来ているのですが、ごっそりと”ナントカ系”で一括して禁止薬物指定する国が増えているようです。　ニトライト系は亜硝酸エステル類が主成分だけに、”芳香剤”の名目で販売されていた事例もあるくらい身近といえば身近で、使用すると急激に血圧が低下し条件によっては循環器系を中心に障害が残ったり、死に至ることもあるのですが、産業界のかなり多方面で亜硝酸エステル類が使われているだけに、取り締まりが難しいようです　・・・　まあ、麻薬というより自殺薬のような気もしますが。　ハーブ系としては、これまでそれほどメジャーでは無かったマオウやフェドリンなど、いわゆる魔女の野草の類が該当するようですが、薬草なのか毒草なのかは使用する量と利用方法による上に、下手に禁止すると医薬品にも影響がでかねない分野ではありますし、海外では合法、国内では非合法となりやすい分野だけに海外からサプリメントや健康食品を個人輸入する際に注意が必要な分野と言えます。　バスソルトとほぼ同じ成分の品が”フレグランスソルト”とか”フレグランスパウダー”といった名称で合法のハーブなどを扱っているショップで売買されていた時代もありましたから、それこそ別の使い方を知らずに入浴剤として利用したことのある日本人は意外と多いのかもしれません。　まあ、覚醒剤の増量剤として（中略）や（中略）が用いられることがあるのは有名な話で、そのブレンドによっては本来とは別の効果というか感覚に襲われるという説もありますが、だからといってそういった”その辺りで簡単に入手できる単体では問題のない日用消耗品”の類が準麻薬として規制できるか？という話と似たようなことになりかねないのも脱法ドラッグの一つの側面かもしれません。(2013/10/08)

  2013.11.02

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• 怪しい話　第４シリーズ　第８４２話　「バイオテロ学６

  怪しい話　第４シリーズ　第８４２話　バイオテロ学６　既に日本人は、オウム真理教のテロ活動によって、ＮＢＣ兵器の内のＢ（バイオ）とＣ（ケミカル）に関しては無差別テロの対象となった経験を有しているのですが、１９９５年の地下鉄・霞が関駅のサリン事件で多大な犠牲が出るまでにも何度かＢＣ兵器を用いた無差別テロが実行されていて、犠牲者が少ないか出なかったが故にテロが行われていることに襲われている側が気が付かなかったところがあります。　Ｎ（ニュークリア、核）に関しては、現在進行形で国と東京電力によって事実上の無差別テロが継続中で、既に都内も地域によっては若年層が居住するには危なくなっているような気がしないでもありませんし、水や食糧を摂取することで内部から被爆する内部被爆の問題も併せて考えるとき、東京周辺も中長期の居住に適さない土地になってきているとすれば、首都圏の崩壊は日本経済の崩壊に直結しているだけに、日本の何処に居住していても一気に昭和１０～２０年代の生活水準に逆戻りする地域が多くなることもまた必至かなと。　従来、Ｎ兵器に関しては、原材料や資材を調達し、自主開発し管理することができる国が限られていたこともあって、北朝鮮が核兵器開発に成功ないし実用化に近いところまで辿り着いて見せるまでは、個人やテロ組織が開発し使用する”太陽を盗んだ男（1979）”のような話は”お話”の域を出なかったのですが、”福島原子力発電所事故で核燃料棒が広域に飛散して全量回収されていないとすれば、学校の理科実験室や自宅の台所あたりで核兵器を作るような話が起こりえるんじゃね？”と、ふと妄想しないでもありません。　ちなみに、”太陽を盗んだ男”の粗筋をざっくりと書いておくと”中学校の理科教師の城戸誠（沢田研二だ）が、茨城県東海村の原子力発電所から液体プルトニウムを強奪してきて、アパートの自室でハンドメイドの原爆を完成させて日本政府に幾つかの要求を突きつけるのですが、原爆を製造する資材や設備のためにサラ金から借金していたことで次第に迷走しはじめ、紆余曲折の末、（中略）を暗示してエンディングに雪崩れ込みます。　もちろん、これを書いている時点でもＮ兵器を製造するところから話が始まるとなると個人や団体レベルでは敷居が高いのですが、Ｂ兵器もやや専門知識が必要な部分があるものの意外と菌やウイルスを変異させるあたりも含めて敷居が低いんじゃね？という気がしてきていますし、Ｃ兵器に至っては種類の異なるトイレ用洗剤を混ぜて発生する程度の塩素程度でさえ健康被害や条件によっては死者が出るくらい身近な話だったりします。　特にインターネットが普及して高度で専門性の高い学術論文などを以前とは比較にならない手軽さで入手できるようになったこともあって、テロリストや個人がＮＢＣ兵器を開発し使用するリスクは年々高くなっていますが、では既に開発が終了するか購入を含めて所有していて、後は使うだけという側の政府や研究機関が高度な倫理観を持っているかどうか？と聞かれれば、これもまたは微妙な話だったりします。　実際、鳥インフルエンザが人に感染してパンデミクスが発生することが懸念されていたころのこと、阿蘭陀はロッテルダムのエラスムス医療センターに所属していたウイルス学者のロン・フォウチャー教授の下に、亜米利加のＮＩＨ（亜米利加国立衛生研究所から”Ｈ５Ｎ１鳥インフルエンザがパンデミックを起こすように伝染力などが強くなることがあるか調べて欲しい”といった趣旨の依頼があったというのは実話だったりします。　その検証に博士が使ったのが、インフルエンザに感染したときに人とよく似た反応をするイタチ科のフェレットで、日本だと一時期ペットにする人が増えたことがありましたが、フェレットを鳥インフルエンザに感染させていくと適応したウイルスの中から突然変異を起こすものが現れ、５つの突然変異体が確認された段階で、季節性インフルエンザ並の（空気）感染力を持ち死亡率も高い変異体が確認されています。　つまり、博士が実験していた段階で、なんらかの事故でその変異体が外へ漏れだしてしまうと、かっての西班牙風邪の悪夢のようなとんでもない数の死者が出かねない状況になっていたということで、後に”致命的で致死率の高いウイルスを、致死率が高く感染力も高いウイルスへ改造することもたちが悪いが、その工程を追試といえば聞こえがいいけれど模倣が可能なレベルで情報公開したことはもっとたちが悪い”という声が専門家筋から上がったあたりでも、頭がいい人達の常識や倫理観をあてにすることがどれくらいハイリスクなことかわかりそうなものではなかろうか？　念のために書いておくと、そういった一般人から見ればバイオテロを促進するかのような情報公開を公的な機関に所属している研究者が行った事例は一つや二つではありませんし、日本の研究者も例外では無かったりします。　鳥インフルエンザ絡みで比較的（世界的に）有名な騒動としては、２０１２年に東京大医科学研究所の河岡義裕教授らの、鳥インフルエンザが哺乳類に効率よく感染する過程を研究した論文が亜米利加政府の科学諮問委員会から削除を求められたあたりが知られていますが、それがなぜなのかは、映画”復活の日（1980）”あたりを見て貰うと分かりやすいかもしれません。　ちなみに、小松左京先生が”復活の日”を書き下ろしたのは１９６４年のことで、いかに当時の日本のＳＦがちゃんとサイエンスフィクションをしていて時代の先を行っていたかということにもなり、１９６０年代の国の内外のＳＦや円谷特撮を苗床にして育った直系の弟子が第１次”お”の字世代ということにもなります（笑）。　型がわかっているインフルエンザならワクチンを予防接種することで対抗すればいいじゃないか！という人もおいででしょうが、そもそもインフルエンザワクチンというのは病気に感染するのを防ぐことが主目的では無く、感染した場合に重症化するリスクを軽減することが目的とされていて、それ故に、高齢者や成人病などで基礎疾患を抱えている人に接種を進めることが多いとされています。　あまり知られていませんが、インフルエンザのワクチンを接種ではなく投与すると表現することがあるのは、海外では注射以外の鼻の粘膜に直接スプレーする方式などを承認している国が増えていることと無縁では無いようですが、なぜ日本が昔ながらの注射器を使用する何かと手間暇がかかる方式だけ承認して、少し練習すれば素人でもできるスプレー式を承認していないのかまでは私は知りません。　まあ、本業の方から言えば、十分な休養と睡眠を確保して免疫力を高め、ストレス軽減を心がけ、食事などでオメガ３脂肪酸を適切に摂取し、ビタミンは、Ｃ、Ｄあたりを中心に不足しないように適量摂取すること　・・・　と、インフルエンザが流行り始めたら（もしくはそういった季節になったら）不要不急の外出は極力避け、公共交通機関を利用する際はマスクやメガネ、手袋などの防御を忘れないことの方が、副作用のリスクも含めて考えるとワクチン接種より現実的な気がしないでもありません。　まあ、最終的には自分の年齢や体力、職場や住環境などを考慮してローリスクハイリターンな方を選択すればいいと思いますし、ワクチンを必要以上に悪者にする趣味も（私には）ありませんので念のため。　もっとも、２０１２～２０１３年にかけて、珍しく”絶対に受けてはいけない”と常連さんたちに口をすっぱくして警告していたのが子宮頸癌ワクチンの接種で、なぜかといえば、２００９年に英国で子宮頸癌ワクチンの一種である”サーバリックス”を接種した１４歳の少女が死亡して以降、欧州諸国で１４人以上のワクチン接種に伴う少女の死亡が確認されていて、印度など接種中止命令を出した国もあるといった情報に関して、日本のマスゴミが”報道しない自由”を駆使していたからです。　もちろんというか、サーバリックスだけがヤバイといった話ではなく、亜米利加や濠太剌利で使用されているガーダシルの死亡総数は５０名を越えていて、命が助かった場合でも、脳に重度の障害が生じたり、車椅子生活になってしまった事例が増加中という　・・・　ま、そういったリスクを十分承知の上で日本の親が自分の娘に子宮頸癌ワクチンを３度も接種させているのなら外野があれこれ言うのは野暮ですが。　念のために書いておくと、子宮頸癌の原因の一つであるヒトパロマウイルスの内の２つの種には子宮頸癌ワクチンは防御効果があるのも確かな話で、その２種類のヒトパロマウイルスに感染してさらに子宮頸癌になるリスクを回避するために子宮頸癌ワクチンの接種を、最悪で死亡し、命は助かっても日常生活がおくれなくなるレベルのさまざまな障害が残ることもあるといったリスクを承知で受け入れるという人を止める気はさらさら無いということは明記しておきます。　補足しておくと、他の子宮頸癌を起こす可能性のあるウイルスには効果がほぼ無いことも既に（海外の）専門家筋では知られているようですし、他にも子宮頸癌を引き起こす要因もあれば、子宮周辺だけでも子宮を含む複数の癌が発生しうる部位があることは知られた話ですし、子宮頸癌だけに限定しても、ワクチンを接種した後は子宮頸癌の検診をよくなるわけではない　・・・　ま、そういったメリットが子宮頸癌ワクチンにはあるわけです。　２０１３年になって、国内でも通常の日常生活が営めないレベルの深刻な後遺症に悩まされる犠牲者が洒落にならない人数になっていることや、海外の死亡例などの情報がネットを中心に拡散したこともあって、厚生労働省などにやっと”まった”がかかったのですが、例によって誰も責任をとる気配は無く、有耶無耶の内に立ち消え状態になりつつあるのがこれを書いている時点の現状だったりします。　私は、これは国が国民に対して行った一種のバイオテロで、悪くとれば、人体実験のデータが欲しかったのか、断種や人口削減が目的だったのかと勘ぐってしまうのですが、実際、１０年後くらいに子宮頸癌ワクチン接種を受けた人の不妊率が受けていない人、受けていなかった世代よりも明確に上昇していれば、子宮頸癌ワクチンの接種の推奨は形を変えた断種の強要だったと言われてもしかたがないことをやってしまったのではなかろうか？　というか、Ｈをすると（子宮）癌になる確率が上昇するとさも重大な発見をしたかのように主張する研究者が実在するだけに、本業の方でしばしば口にしている”ギネス記録に挑戦して１２０まで生きるのが人生の主要な目的かい？”という定番の台詞で終わっておきます。　ま、”酒も煙草も女も止めて、１００まで生きた馬鹿がいた”でもかまいはしませんが（溜息）。(2013/10/05)

  2013.10.30

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• 怪しい話　第４シリーズ　第８４1話　「バイオテロ学５

  怪しい話　第４シリーズ　第８４１話　バイオテロ学５　わいせつ、もしくは公序良俗に反すると判断された表現が含まれています。という樂天側のチエックに 具体的にどこが該当するのか不明なため、タイトルだけ。

  2013.10.29

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• 怪しい話　第４シリーズ　第８４０話　「バイオテロ学４

  怪しい話　第4シリーズ　第840話　「バイオテロ学４　近代戦におけるＮＢＣ兵器の実用化ということでは、生物兵器、化学兵器、核兵器といった順で実用化されたと書いていいと思っているのですが、化学兵器が第一次世界大戦で独逸軍によって塩素瓦斯が使用されて以降の”毒ガス兵器”、核兵器が第二次世界大戦で米軍によって核爆弾が使用されて以降の”原水爆兵器”と明確な線が引けることと比べると生物兵器に関しては明確な境界線が無いといえば無い話になりがちです。　つまり、致死性の伝染病である天然痘のように、発症しても治癒すると免疫が体にできて二度と罹患しなくなる病気の場合、幼児期に意図的に牛（家畜）から比較的症状が軽いタイプの天然痘を罹患させて免疫を得るという予防策を、実は種痘（しゅとう）が実用化される前から、行っていた地域が実在しますから、病気の特徴や対抗策が知られている場合といない場合ではその結果に雲泥の差が生じることがあるわけです。　ちなみに、種痘というのは人の皮膚に痘苗（とうびょう）を接種して天然痘に対する免疫を与える方法のことで、1796年にジェンナーが牛痘接種を行い天然痘に対して高い確率で対抗できるようになったことに由来しています。　一応、1979年に天然痘根絶宣言が出されたことと、予防接種に多少なりともリスクがあることなどから、世界的に天然痘の予防接種を中止している国が多いのですが、根絶されたハズの天然痘が再び復活する経路としては、生前に天然痘に感染していた木乃伊や遺体などからの感染、軍や研究所からの流出感染、軍事作戦ないしバイオテロとしての意図的な感染拡大の３つの経路が想定できますが、日本における結核の推移などから考えるとき、患者が激減して１～２世代（２０～４０年）経過すると少し前まで”常識”で素人でも知っていた感染の初期症状などを医療の専門家でも見逃しかねない状況になることが実際にあります。　なお、痘苗というのは種痘の接種材料のことで、ワクシニアウイルスを雌子牛に接種して生じた膿疱(のうほう)から得た粗苗にグリセリンと防腐剤のフェノールを加えたものが主流だったのですが、ワクシニアウイルスは牛の乳房に限局した数個の痘疱(とうほう)を生じさせる皮膚疾患（牛痘、ぎゅうとう）を起こすウイルスで人痘（天然痘）のウイルスに酷似していても人痘では無いのですが、人の免疫抗体機能では抗原的には両者を区別できないため天然痘にも有効な免疫を獲得できるわけです。　自然界においては、酪農をしている人の間で牛痘ウイルスが人の皮膚創傷などから感染して人痘と比べると軽微な痘疱と発熱を生じる牛痘に感染することがあり、この牛痘にかかった牧夫などは同じ集落で多数の死者が出るような人痘（天然痘）の流行があっても難を逃れたことから経験的に効能が知られる意図的に牛痘に感染させるようになった地域もあったようです。　というか、そういった地域の風習と生存率の高さに着目してジェンナーが天然痘予防に牛痘を利用することを実用化したわけですが、本来の疱瘡(ほうそう)や痘瘡(とうそう)とも呼ばれた天然痘は、発熱から始まって全身に発疹が出るとそれが膿疱(のうほう)化し、かなりの高確率で死亡していたようですが、命を長らえたとしても瘢痕(はんこん、あばた）が残ることで知られています。　元来、日本には常在しなかったウイルスだったのですが、国際的な貿易が盛んになると感染した水夫などが持ち込んで大流行して大量の死者を出すようになり、現在に至るも種痘による予防が唯一の対抗手段だけに、種痘による予防技術が日本で定着するまでは猛威を振るっています。　1967年にＷＨＯによって”痘瘡根絶計画”が開始されて予防接種が地球規模で行われるようになり、1979年に”天然痘根絶宣言”が出されて、人と天然痘との古代から続く長い闘いが終わった　・・・　とされているのですが、もちろん、私は予防接種を受けた世代ですから気にしなくていいといえばいいのですが、前述したように軍事目的で保存されている天然痘がすくなからず世界各地に現存していると考えていますので（私はですが）天然痘が根絶されたとは考えていません。　免疫を持たない種族が天然痘に遭遇したらどうなるか？に関しては、コルテスが南米に上陸したときに、１人の下っ端の水夫が天然痘に感染していて、その水夫から南米中に天然痘が伝染していったという説が有力ですが、結果的にインカ帝国を衰退させ滅亡させた生物兵器として万を軽く越える死者を出しています。　それでもコルテスの時代の南米における天然痘の蔓延と多数の死者の発生というのは偶発的というかそれほどのことが起きるとは分かっていなかった部分がありますが、これが西部開拓時代の北米大陸となると意図的に天然痘の免疫を持たないネイティブアメリカンを天然痘に感染させて部族ごと壊滅させたり根絶する外道な（軍事）作戦がポンティアック戦争（1763）など何度か意図的に実行されています。　具体的には、英国軍側が天然痘患者が使った毛布や衣類に更に膿疱から出た膿を塗り込めたものを”贈り物”としてネイティブアメリカンに贈り、その結果として天然痘がネイティブアメリカンの間で大流行する兆しが確認されても唯一の対抗手段である種痘は”贈り物”とせず、大打撃を与えたと自画自賛したあたりが典型ですが、これをもって近代戦における生物兵器の利用開始とする説もあります　・・・　そういった外道な行為を戦闘行為に含めるのならばですが。　いずれにしても、天然痘を生物兵器として利用したことで、ＮＢＣ兵器に関しては”攻撃方法”と”防御する方法”とが揃っていなければ仕掛けた側にも大規模な被害が出ることが明確になっていったのですが、第一次世界大戦における化学兵器の使用が毒ガスの開発競争と防毒マスクの開発競争を生じさせたあたりでＢＣ兵器を使用する場合の経験則が確立されたと言えます。　ちなみに、生物兵器を戦場で（空中から）散布することが可能な時代になると、防毒マスクや防毒着衣に生物兵器に対抗する機能も求められるようになり、これを書いている時点の防毒マスクは基本的にＢＣ兵器に対応できるフィルターを装備しているタイプが先進国の軍隊が採用しているモデルでは主流になっています。　最初期の防毒マスクが、風邪の時に使うマスクに脱脂綿を追加した程度から始まっていて、そこに活性炭が加えられたり、鉱山などで利用していた酸素ボンベの類の工夫が流用されたりしながら改良が続けられているのですが、フィルター部分に化学薬剤を染み込ませたフィルターを利用しているタイプでは開封してからの有効期限が数時間（１～８時間）程度といった時間限定のものが珍しく無く、基本的に着用して戦争するというのではなく、着用して安全圏まで退避するしか無いというのが軍部のＢＣ兵器に関する結論になっているのかもしれません。　あれこれ考えていると、１９９５年にオーム真理教が起こした地下鉄サリン事件に象徴されるＢＣ兵器を用いた一連の大規模テロ事件は、あちこちに穴が空いた笊ような大雑把な作戦のように思えてくるのですが、それは、サリンや各種の生物兵器を開発していながら、防毒マスクやワクチンの類の準備がほとんどされていなかったあたりでも素人の戦争ごっこの域を出ていない気がしないでもありません。　オーム真理教の起こしたバイオテロは１９９５年の地下鉄サリン事件ほど知られていないのですが、少なくとも平成５（1993）年の６月２８日と７月２日の２回にわたって、（当時）東京都江東区亀戸にあったオウム真理教・新東京本部から”炭疽菌（たんそきん）”を噴霧したことが確認されています。　幸いなことに菌が弱毒の株だったことにオウム側が気が付いていなかったことと、噴霧する際の圧力が強すぎて大部分の菌が死滅した（と考えられる）ため”悪臭騒動”で終わったのですが、これをもって日本国内で初めて実行されたバイオテロというのが定説になっています。　ちなみに、オウムが炭疽菌に続いてバイオテロで利用しようと培養を研究していたのが、エボラウイルス、Ｑ熱リケッチア、毒茸の胞子などだったようで、エボラウイルスに関しては、エイズ撲滅のボランティア活動の名目でザイールに教祖の麻原自らが医師、看護士など１６名を連れて乗り込んだ時の主目的がエボラウイルスのサンプルの獲得にあったとされていて、現地のエボラウイルスの管理が甘くオウム真理教の手に入っていれば、遠く離れたエボラに対して対抗策らしい対抗策の無かった当時の日本でバイオテロに用いられて唐突にエボラが大流行していた可能性があったわけです。　では、なぜオウム真理教は最初に炭疽菌を選んだというか使用するところまで漕ぎ着けたのか？というと、炭疽菌の培養が比較的簡単で第二次世界大戦の頃から各国で兵器として利用するための研究と実験が繰り返されて資料が豊富だったあたりが主因ではないかと考えられます。　炭疽菌は短期間で発熱や急性の呼吸器不全によって死亡することもある”炭疽”感染症の原因菌ですが、経皮または経口的に伝染する感染経路が知られていて、有効な抗生物質を用いた治療法やワクチン（免疫血清）などが既に開発されていることから、兵器として利用出来るにも関わらず難易度が低いといえば低いところがあるわけです。＊　念のために書いておくと、植物が感染する炭疽病とは別物。　ただし、大戦中に連合軍がスコットランドのグリュナード島で行った炭疽爆弾の実験では、予定していた除洗作業に失敗してしまい、紆余曲折の末、島全体をホルマリン消毒することになったり、（当時）ソ連のスヴェルドロフスクの生物兵器研究所で作業ミスによって炭疽菌が流出した事故は、周辺住民９６名が感染し、その内の６６名が死亡するという大惨事になっていますので、生物兵器の中では培養が比較的容易ではあるものの、その管理が専門家が揃っていても難しいのが炭疽菌の一つの特徴と言えます。　それ故に、各国で生物兵器としての研究や実験は行っていても、散布後のコントロールが難しいこともあって、どの国も実戦に投入してこなかった中でオウム真理教が初めてバイオテロに用いたわけですが、その際に幾つかの幸運が重なって犠牲者が出なかっただけのことで、それは人を射殺する目的で狙って銃の引き金を引いた際にたまたま不発で弾丸が発射されなかったのと同じような状況と言えます。　実際、亀戸での炭疽菌テロが成功していたら、江東区や墨田区の住宅街、総武線沿線など首都圏の鉄道沿線は軒並みパニック状態になったのではないかと私は思いますが、首の皮一枚で回避できていたことを知らない人もまた多い生物兵器を用いたテロ事件だったわけです。(2013/10/03)

  2013.10.28

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• 一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８３９話　「バイオテロ学３」

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８３９話　「バイオテロ学３」　バイオテロの話をしていて、なぜ延々と狂犬病の話になったのかというと、一つは、台湾で５２年ぶりに確認されて以降、感染確認されている哺乳類の数が増加していることと、反日工作の主要な舞台装置の一つである日本の芸能界というかそこに所属する芸能人の言動から推測して狂犬病もバイオテロに加えられていると判断したためです。　これは、ホメオパシーとも絡む話になりますが、日本の芸能界でも女性タレントを中心にホメオパシー信者が一定の勢力を形成しているのですが、そうした中にペットの治療もホメオパシーで行うところまでのめり込んでいるとされている人達がいるわけです。　しかも、ネットで情報発信をしているタレントは国の内外を問わず珍しくありませんし、そういったタレントの言動に簡単に洗脳されたり煽動される阿呆な民間人もまた珍しくもなんともありませんから、”私の飼っている犬（正確にはその名前）が病気になって、獣医の治療が全然効果が無かったのに、ホメオパシー治療に切り替えたらみるみえる元気になったの。これからは獣医ではなくホメオパシー中心でいくわ！”とかやらかせば、”ああ、○○ちゃんはそうなんだ。じゃあ私も　・・・”とやりかねないくらいの間抜けの総数が一桁で収まらないことも確かな話になるだけに、事態はかなり深刻と見ています。　なにしろ、”狂犬病対策も、法律で義務化されている飼い犬への予防ワクチン接種ではなく、レメディの投与で飼い犬の自然治癒力を向上させれば問題ない”という、狂気の沙汰の理論展開が真顔で行われているのが日本のホメオパシー業界の一つの側面なわけで、助産院の助産婦の１割近くがビタミンＫではなくレメディ（砂糖玉）を与えればビタミンＫを与えるより効果があると称して新生児に深刻な被害が生じて問題化したのも戦後というか２１世紀の日本での出来事ですから、”そんな馬鹿なことをする人がいるわけがない”と明確な根拠もなくなんとなく思っている人は時代に置き去りにされている情報弱者に過ぎないことを自覚しておく必要があります。　以前にも少し触れたことがありますが、ナチス独逸が、これこそ独逸起源の新時代の医療行為として大いに期待して国をあげて肩入れし、強制収容所のユダヤ人を対象にした人体実験まで繰り返して科学的に検証した結果が敗血症患者の全員死亡に象徴される凄惨な結末で、いくらデータを科学的に集めて検証してみても偽薬効果（プラセボ効果）の域を出ることが無かったため、総統の意向が絶対的で一党独裁体制だった時代の独逸をして見切りを付けるに至ったというのは実話です。　大戦終結後も、各国の医療機関で何度と無く追試実験を含めてホメオパシー関連の実証実験が行われては、プラセボ効果の域を出ないという結論に達してその代替医療性は否定され続けていますし、一時的に医療として医療保険などの対象にしていた国や地域でも医療保険の適用対象から大半の国が外すか、人体に有害な使い方をしない範囲に置いて民間療法扱いすることで妥協しているようです。　ある意味で、寺社仏閣で病気平癒の御札の類を貰うのと大差が無いのがホメオパシーにおけるレメディということですが、新興宗教で教祖様の超能力や霊能力の類で”医者が見放した難病、奇病、死病の類が快癒した”というのが客寄せになるのと同じように、ホメオパシーで”医者が見放した（以下同文）”といった”お話”が客寄せになっているわけで、そういった信者を理論的に説得できると私は考えていませんが、その信仰心の結果として狂犬病が感染爆発するリスクが高まっているだけに、此の辺りで警告しておくべきかなと。　近代戦争というのは、総力戦で、一昔前のように戦闘機や戦車、軍艦などでドンパチするだけでなく、コンピュータ網へのハッキングやクラッキングで社会インフラを機能崩壊させたり、生物兵器を密かにばらまいて医療パニックを起こさせたりする行為も戦争の一つの形になっていることを、平和ボケというよりも戦争は人事で自分にはふりかかってこないと考えている大半の日本人は知っていく必要がある時間帯に入っています。　ＮＢＣ兵器の怖さは全面戦争で使用された際だけではなく、入念に事前に仕掛けを整えられた大規模テロに用いられた場合に、大量の犠牲者が出て国の機能が経済活動を含めて麻痺するところから話が始まり、多大な被害が生じた後に状況が終結したとしても社会の受けたダメージから回復するために数年から数十年の時間が必要となったりそのまま国家破綻しかねないこと、感染経路がある程度特定されても実行犯の特定はおそらく不可能なことにもあり、文字通り”殴られ損”な上に”泣きっ面に蜂”の状態になりやすく、仕掛けた側からすれば一兵も損なうことなく、敵に万を越える犠牲を生じせしめた歴史的な大勝利となるわけです。　ただし、バイオテロで大打撃を受けた国の方が間抜けと評価されるのが国際社会の常識であり尺度であるというのも現実で、同情する国があるにしても、自国が同様の攻撃を受ける可能性を考慮してその事態の推移の詳細な経緯と治療方法などの詳細な情報が欲しいとか、有効な対策が確立されるまで我が国へ発症していなくても入国するなというのが本音であることは言うまでもありますまい。　実際、大戦中に人体実験をしたと独逸や日本を批判する国がちゃっかりとその人体実験の成果や研究過程のデータは入手して利用していて、実際に人体実験に関わっていた関係者を情報や技術の提供と引き替えに免責し、戦犯として裁判にかけるどころか、某・戦勝国に移住させて新しい国籍と新しい経歴を与えて保護したことさえあったのは比較的知られた話になります。　まあ、亜米利加が戦後に行ったペーパークリップ作戦のような、表沙汰になると世論の反発が必至の極秘作戦の類が行った国も行われた作戦も１つや２つではなかったことは確かな話ということです。　話を戻すと、五類感染症の１類に含まれているサーズ（ＳＡＲＳ）は新感染症（しんかんせんしょう）にも区分さている比較的新顔の感染症で、１９９９年に”感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律（感染症法）”によって定められた感染症（伝染病）類型で知られるようになった感染症の一つということになります。　ただし、サーズが知られるようになったのは、2003年初頭頃に中国の広東省や香港を中心に広がって以降の話で、”重症急性呼吸器症候群（Severe Acute Respiratory Syndrome，SARS）”という名称をそれ以前に知っている人はかなり限られていましたし、病原体が特定されていない段階で日本で初めて新感染症としての適用を受けた事例というあたりでも奇妙な病気と言えます。　法律の規定では、”人から人に伝染すると認められる疾病”で”既に知られている感染性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるもの”で、”当該疾病にかかった場合の病状の程度が重篤であり、かつ、当該疾病の蔓延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの”というのが新感染症の定義ですが、この法律くらいしか生物兵器として改良された細菌などを用いたバイオテロに対抗する法的な根拠がないあたりがなんとも頼りない国だなと。　大元である五類感染症の詳細という要望があったので少し補足しておくと、平成15年11月の感染症法改正までは区分が４段階だったのが５段階になったのですが、１類は当初は、　エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ペスト、マールブルグ病、 ラッサ熱　だったところへ、追加として、ＳＡＲＳ、天然痘　が加えられています。　２類は、　急性灰白髄炎、コレラ、細菌性赤痢、ジフテリア、腸チフス、 パラチフス　３類は、　腸管出血性大腸菌感染症　だけ。といった区分になっています。　以前の４類が新４類と５類に分かれたと考えるとわかりやすいですが、４類は、媒介動物の輸入規制、消毒、ねずみ等の駆除、物件に係る措置を講ずることができるとされていて、　ウエストナイル（西ナイル）熱（ウエストナイル脳炎を含む）、エキノコックス症、 黄熱、オウム病、回帰熱、Ｑ熱、狂犬病、コクシジオイデス症、 腎症候性出血熱、炭疽、ツツガムシ病、デング熱、日本紅斑熱、 日本脳炎、ハンタウイルス肺症候群、Ｂウイルス病、ブルセラ症、 発疹チフス、マラリア、ライム病、レジオネラ症　が従来の４類でしたが、そこに追加として、急性Ａ型ウイルス肝炎、急性Ｅ型ウイルス肝炎、 高病原性トリ型インフルエンザ、サル痘、ニパウイルス感染症、野兎病、リッサウイルス感染症、レプトスピラ症　が加えられ、変更としてボツリヌス症（「乳児ボツリヌス症（４類全数）」を変更）が対象になっています。 ５類は、発生動向調査のみを行うとし、更に中を全数把握（感染症の患者すべてについて届出が必要）と、定点把握（定点医療機関のみ届出が義務化）に区分していまして、「全数」アメーバ赤痢、急性ウイルス肝炎（Ａ型及びＥ型を除く）、 クリプトスポリジウム症、クロイツフェルト・ヤコブ病、 劇症型溶血性レンサ球菌感染症、後天性免疫不全症候群、 ジアルジア症、髄膜炎菌性髄膜炎、先天性風疹症候群梅毒、破傷風、 バンコマイシン耐性腸球菌感染症「定点」咽頭結膜熱、インフルエンザ、Ａ群溶血性レンサ球菌咽頭炎、 感染性胃腸炎、急性出血性結膜炎、クラミジア肺炎（オウム病を除く） 、細菌性髄膜炎、水痘、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、成人麻疹、手足口病、伝染性紅斑、 突発性発疹 、百日咳、風疹、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、ヘルパンギーナマイコプラズマ肺炎、麻疹（成人麻疹を除く）、無菌性髄膜炎、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、 薬剤耐性緑膿菌感染症、流行性角結膜炎、流行性耳下腺炎、淋菌感染症となっていて、”追加”として、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症（全数）、 ＲＳウイルス感染症（定点）ということになっています。　”変更”としては、尖圭コンジローマ（定点）（が”尖形コンジローム”から 病名を変更）、急性脳炎（定点把握から全数把握に変更） が該当しています。　その該当数の多さにくらくらしてきますが、これらの中から遺伝子操作され兵器として用いられる程度に毒性が強化されたり感染力が強められたり、薬剤への耐久性が高められたりした新型が量産され、どこかの国の軍や反社会団体、研究所の施設で出番を待っている可能性があるのが、まあ、２１世紀の人類が直面している”今そこにある危機”の内の有力な滅びへの道の一つなわけです。 (2013/10/02)

  2013.10.17

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• 一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８３８話　「バイオテロ学２」

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８３８話　「バイオテロ学２」　国が感染動向や状況などを把握して医療関係者に逐次情報開示することが法律でも決まっている五類感染症の区分の４類にはマラリア、日本脳炎、狂犬病が含まれているのですが、昭和の頃というか１９６０年代以前と以後を比べると激減した感染症という感が否めません。　日本の場合、島国という地の利もあって、感染源を一度完全に根絶してしまうと後は誰かが持ち込まない限り感染症に罹患するリスクが激減する傾向があり、特に狂犬病に関しては野犬狩りを徹底し飼い犬への予防接種を徹底するようになって以降、ほぼ根絶されていますから若い世代ほど、”狂犬病って何？”となりやすいようです。　マラリアや日本脳炎に関しては、蚊が媒介することもあって根絶することは事実上不可能だと私は思いますし、地球温暖化に伴う平均気温の上昇は典型的な熱帯地方の感染症であるマラリアの北限を押し上げていますから、蚊や蝿などが媒介する熱帯地方の感染症が今後の日本で感染拡大が懸念される一つのジャンルではないかとも考えています。　日本の場合、四季と表現することもありますが、赤道直下より酷いという噂が立ち始めている”夏”にかけて蚊が羽化して爆発的に繁殖し、北欧並に冷えるという噂がある”冬”には蚊に限った話ではありませんが卵や蛹などの形で越冬するため姿を見かけなくなる昆虫が珍しくありませんから、夏場に感染症が激増しても冬にかけて減少する時間の猶予を手にしやすいところがあります。　あまりピンとこないかもしれませんが、例えば、日本だと稲の栽培と収穫は、春に田植えをして、夏場にかけて成長し開花して受粉し結実すると、後は秋口にかけて収穫といったサイクルで１年に１度の収穫で、これを一期作と呼ぶのですが、気温などの条件に恵まれている地域だと収穫が終わった後にまた田植えをして１年に２度収穫することが可能で、これは二期作と呼ばれるのですが、政府が食糧増産から減反政策に舵を切っていることもあってほとんどの地域で見かけなくなっています。　話を戻すと、日本でもかっては珍しい感染症ではなかったものに、今となっては”それってなんですか？”と言われかね無くなっているものが幾つかあり、近年、そういった感染症の中で再度の感染拡大が懸念されているものに”狂犬病”があります。　日本では、狂犬病予防法（”狂犬病の発生予防、まん延防止、撲滅により公衆衛生の向上および公共の福祉の増進を図る法律”）が1950年に施行されて、飼い犬の登録と鑑札の交付、予防注射などが法整備されたのですが、これによって登録されておらず鑑札も無い（いわゆる野犬）犬や、登録されていても狂犬病の予防注射などを受けていないな犬の（狂犬病予防員による）捕獲、抑留が可能となり、野犬が一掃されたことで狂犬病の蔓延が収束した経緯があります。　ちなみに、獣医師には狂犬病届出義務や隔離義務などが法で規定されているのですが、法律の施行から半世紀が経過し、国内では１９５７年を最後に感染例がなくなったことで人が感染した場合の狂犬病の悲惨さを知る人が減少すると伴に、（私に言わせれば）奇妙な”かわいそう”理論に基づく無責任飼い主の増加で綻びが大きくなってきています。　というのも、従来は一度犬を飼い始めるとよほどのことがなければ最後まで飼育する人が多かったのですが、ＴＶや映画、あるいは漫画やアニメなどで特定の種に人気が出ると（生活を共にする家族としてではなく）アクセサリーを買い求める感覚で購入し、数年飼育して別の種に人気が出ると買い換える人が珍しくなくなってきたことと、その買い換えの際に”かわいそう”だからと保健所での殺処分ではなく他人の迷惑顧みずに捨てて自己満足する人も増加傾向にあることで、全国的に捨てられた”野犬”が増加して群れを形成し、その群れの中で繁殖が始まっていることで狂犬病の予防接種を一度も受けたことのない野犬が増殖中という感染爆発が生じる下地が出来ている点は無視できません。　また、狂犬病の宿主（感染源）となりえるのは犬に限らずハムスターや人間も含む哺乳類全般なのですが、なまじ病名に”犬”の名前が付いているためかそういった知識も認識も無いか軽微なまま、海外からノーチェックに近い状況でペットとして野生動物や繁殖動物が国内に流入し続けていますから、これを書いている瞬間に速報として狂犬病による死者が日本で発生というニュースが流れても不思議では無いことは認識しておく必要があります。　実際、2013/07/13に、台湾の中央流行疫病指揮センターが2012年に回収した野生のイタチアナグマ３頭の死体から、台湾地域では５２年ぶりに狂犬病の感染を確認したと発表していますし、遺伝子調査の結果として、今回のウイルスが中国大陸から持ち込まれたことが確定的と判定されてもいます。　野性のイタチアナグマのような山林を生活圏とする野性動物が突発的に狂犬病に感染することはあり得ませんし、遺伝子解析の結果として大陸由来と特定されたことで、おそらく数年前に大陸から食用ないしペットとして持ち込まれたなんらかの動物が狂犬病に感染していて、そうした個体ないし群れが、スーパースプレッダー（一体で多数の個体に感染させる個体）となってさまざまな動物に広めたという推測が支持されてもいます。　つまり、最初に感染が確認されたイタチアナグマは、そういった（複数の可能性もある）感染ルート沿いに無数に広がる２次、３次感染の“枝”のひとつにすぎない可能性が高く、かなり広く感染拡大している可能性が指摘されていますが、台湾の野生動物にどのくらいの狂犬病汚染が広がっていて、それが飼い犬や他の哺乳類のペットに感染し、そこから人へと感染するのは時間の問題というか時限爆弾を抱えているような状態になっていると言えます。　現実問題、感染症に関しての法整備や医療水準などを含めて日本とほぼ同じ条件で近接している島国の台湾で一度は根絶された狂犬病が、いつのまにか野生動物の間で感染拡大していて、最初にイタチアナグマの感染が確認されてからこれを書いている時点までに、イタチアナグマ１４３例、ジャコウネズミ１例、犬にも１例の狂犬病感染が報告されるに至っていることを考えると、日本も既に類似した状況になっている可能性を考慮すべき時間帯に入っていると（私は）思います。　事態が一足早く露呈した台湾でもこれを書いている時点では、まだ人間への感染例は確認されていませんが、野生動物を含めて５２年間の感染ゼロを誇っていた台湾が狂犬病の感染リスクがいつの間にか上昇していたことに震撼させられていることから分かるように、状況に大差のない日本で狂犬病の感染爆発が生じても何の不思議も無いと（私は）考えています。　実際、幼獣の頃はかわいくても、成長するになって凶暴化する洗い熊をペットとして購入し、手に負えなくなって捨てて野生化というか野良化している事例や、ハクビシンが各地で異様に繁殖していて農作物や家屋への被害が増加している現状、或いは前述したように捨てられた飼い犬が野犬グループを形成して二次以降の繁殖が珍しく無くなっていることなどなども考慮すると、十分に日本でも狂犬病が再度蔓延する苗床が形成されていると考えない方がどうかしているのではなかろうか？　ちなみに、恐水症状（水を恐れる）と呼ばれることもある狂犬病のウイルスが人に感染しても、ウイルスが脳に達して発症するまでに個人差というかタイムラグがあるものの、発症する前のワクチンの投与など適切な治療が遅れると、恐風症、恐光症状、麻痺などの症状が出始め、興奮状態が続いたり一時的な錯乱を繰り返すようになると、平均で７日ほどで、力尽きて死に至ることになります。　念のために書いておくと、近代医療史上、感染前後ともワクチン接種を受けずに狂犬病が発症して回復した事例は６例だけしか無く、致死率がほぼ１００％で感染者も多かったが故に優先的にというか１００年以上も前にワクチンが開発されて野犬の駆除などが徹底され感染例が激減した後も厳重に警戒する先進国が多いわけです。　感染が疑われる犬などに咬まれたら、発病前にワクチン注射を行うことでほとんどの場合は発症を抑えることができるのですが、従来の感染経路では飼い犬に対する定期的予防接種と野犬の駆除の徹底が最も理想的な狂犬病の予防方法であったわけです　・・・　逆に言えば、発展途上国などでは、未だに感染した犬などがそのあたりをうろうろしている国や地域が珍しく無く、日本国内と同じ感覚でそういった感染犬に接して既に感染している日本人がいないと言い切る自信は私にはありません。　つまり、ワクチンも開発されていて、野犬駆除が有効とわかっている現代でも完全に狂犬病が撲滅できない理由の一つに、最長で数年にもわたる潜伏期間を持つ“ステルス性”があり、感染後に保菌状態で２～３年の潜伏期間を経て発症する事例もあるため、咬まれたことと発症との間の関連性に気が付かないことさえあるということです。　従来の狂犬病ウイルスは石鹸で手を洗った程度で死滅しますし、空気中でもすぐに死滅するほど弱い嫌気性を示しますし、移動速度も遅く、傷口から神経系を通して一日に数ｍｍのスピードで脳に向かって移動して発症するが故に、例えば人間が指先や足先を咬まれた場合だと、理論上は脳に達するのは遅ければ２～３年後となり、それまでほとんど自覚症状が無い　・・・　感染は深く静かに潜行していて、発症に気づいたときには手遅れで、いつ咬まれたかも覚えがなくなっていることさえあるわけです。　そして、遺伝子工学の発展は、生物兵器として既存の菌の改良（？）にも熱心な国や団体を増加させましたし、従来のワクチンが効かない変異株を作りだし、その変異株に有効なワクチンも開発してセット販売すれば巨万の富を得る事が可能なのが戦争ビジネスの一つの側面でもあるわけです。　かなり早い時期から、エイズに米軍の生物兵器説が囁かれ続けているのも根拠が無い話ではなく、かといって亜米利加政府がそれを認めていないことから都市伝説めいた噂話として拡散しているのですが、 エイズの世界規模での蔓延によって人種選択制の生物兵器という話に一定のリアリティが生じたことは確かな話になります。　もっとも、特定の人種を狙い撃ちする生物兵器細菌の開発は困難でハードルが高くても、宗教の戒律で特定の食物に摂取制限があったり、その地域では当たり前でも世界規模だと特殊な風俗風習がある場合など、結果的に特定の国や地域で感染する確率が高く治療が困難な生物兵器開発という方法論もあることに開発する側が気が付いたという説もあります。(2013/10/01)

  2013.10.16

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• 一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８３７話　「バイオテロ学」

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８３７話　「バイオテロ学」　軍事作戦に利用される兵器にＮＢＣ兵器という分類の仕方があり、順に核兵器、生物兵器、化学兵器ということになるのですが、核兵器がその開発と保有に巨額の資金と一定の科学技術が必要で、原材料であるウランやプルトニュウムなどの核物質の入手が難しい上に国際的な規制と監視対象になっていることは比較的知られた話になります。　世界で最初に実用化して実戦に投入したのは亜米利加合衆国で、日本の広島と長崎を空爆する際に利用し、どのように言い繕ったところで老若男女を問わず不特定多数の民間人を大量虐殺して世界史に名を留めたのは比較的知られた話で、東京大空襲と併せて日本本土における無差別攻撃と民間人の大量殺戮を連合国側が行った事例であることは指摘するまでもありますまい。　もちろん、”人道への罪”とか”平和と民主主義の闘い”とか主張したがる亜米利加人が素直に認めるわけもない”戦争犯罪”に区分される軍事行動でありその結果の一例に過ぎませんし、後のベトナム戦争などでも見られるように、アメリカ軍が亜細亜人を殺戮する際に民間人かどうか？をさして気にしなかったことは御存知の通り。　まあ、ベトナム戦争当時、延べ３２万人を派兵した韓国軍がベトナムで推定で３０万人を超す民間人の無差別大量虐殺を含む戦争犯罪を頻発させたり、韓国軍の慰安婦としてベトナム人女性を強制徴用したり、レイプ事件を頻発させて”ライタイハン”として知られる混血児の問題が生じていることは、日本でも知られるようになってきました。　が、ここで一つ日本人が知っておくべき事は、大東亜戦争中に（ややこしい表現ですが）朝鮮半島戸籍の日本人は特例として徴兵対象外となっていたことと、半島の警察官の８０％以上が朝鮮半島戸籍で現地採用されていたという２点で、韓国人が日本人とは違って”赤紙（召集令状）”で強制徴兵されることを国民の義務として受け入れ粛々と従軍して散華していった歴史を保たず、それでいて自治警察の主体にはなっていたことはもっと世界に向けてアナウンスすべき歴史上の事実の一つだと私は思います。　それはそれとして、核兵器を所有し運用するには資金面を含めて高いハードルが待ちかまえているのに対して、資金面を含めて比較的ハードルが低いのが生物兵器と化学兵器であり”貧者の核兵器”と呼ばれることがあるのは比較的知られた話になります。　生物兵器と化学兵器の起源を遡ると紀元前の話になるが故に少なくとも先進国の軍隊では対抗策を講じるのが当たり前のことで、日本だと自衛隊が対応していますが、反日政党などが事ある毎に難癖をつけて戦争を放棄した国が生物化学兵器に対抗する手段を保つことがけしからんと主張していることは比較的知られた話になります。　まあ、好意的に解釈すればですが、同じ民族に対して、それも平時に先進国の首都で生物化学兵器が使用した事例が、オーム真理教が長野県の松本や東京の霞が関駅などでサリンを使用して無差別殺傷テロを行うまで前例が無く、反日政党も自分たちが無差別攻撃の対象に含まれる自覚に乏しかったが故の放言の類なのかもしれませんが。　興味深いのは、大戦中に生物化学兵器に関する人体実験も行っていたとされている日本の７３１部隊の関係者が戦後に戦犯として裁かれず免責されていることで、これは独逸の強制収容所などで人体実験を行っていた関係者の一部にも共通していますが、人体実験のデータなどと引き替えに一種の司法取引が連合国側と成立していたとしか解釈できない事例としても知られています。　ＮＢＣ兵器の場合、動物などを使った実験は可能でも、死亡することが前提の人体実験を死刑囚でも無い複数の人間に対して行うことに抵抗感を保つ人が多く、だからといってそういったデータが無ければ対抗策を講じることが難しい現実があるため、表では非人道的な行為と糾弾しておきながら、裏ではその非人道的な行為の結果として手に入れた情報や資料を掻き集めることにいずれの国も熱心な現実があるということです。　実際、一連のオーム真理教が日本人に対して行った無差別殺傷テロでは生物兵器や化学兵器に区分される兵器が使用されたのですが、彼等が軍事資料を含むさまざまな資料などから事前に想定していたような劇的な結果が出なかったあたりでも、理論と現実の差があると言えますし、実際に生物化学兵器が使用された際に警察は（当然といえば当然ですが）対応できず自衛隊の専門部隊が投入されて対応したことは御存知の通り。　誤解を恐れずに書けば、乗降客などに数百名単位の被害者が出たサリン事件では現場で対応した地下鉄の駅員からも殉職者が出ましたし、未だに日常背活に支障が出ている深刻な後遺症に悩む被害者がいることを考えれば、反日政党が主張するように生物化学兵器に対する対抗策を持たないで丸腰でいた場合、次回に何らかの形で生物化学兵器が使用された場合の被害はオーム真理教のサリン事件とは比較にならない数万を越える規模の被害になっても何の不思議も無いわけです。　戦前だと国家反逆罪の類でオーム真理教の関係者全員が死刑になっても不思議ではない状況でありながら、組織名を変えた程度で存続し続け新規の信者獲得によって勢力が回復してきている現状を前にするとき、事件当時に”某国が関与していた”という噂が流れ、単なる新興宗教団体の凶行ではなく国家テロだから根が深く闇も深く不可解な経緯を辿っているという説に一定の説得力を感じないでもありません　・・・　邪推の域を出ない話でもありますが。　ささやかなヨガの同好会を起源とする新興宗教団体が、１９９４～１９９５年にかけて複数のサリン事件が実際に発生するまでは、ＮＢＣ兵器を用いたテロが日本で発生するリスクを指摘しても”そんな馬鹿なことを”とか”ありえない”と鼻で笑われていたものですが、２０１１年には福島原子力発電所が人為的なミスも重なって爆発事故を起こした際に首都圏を含む広域に大量の放射性物質がばらまかれましたから、東京は戦後にＮＢＣ兵器総ての攻撃を受けた希有な先進国の首都となったわけです。　逆に言えば、１９９５年に霞が関駅でサリン事件が発生するまで自分が生物化学兵器を使った無差別攻撃の対象となると考えたり、２０１１年に福島原子力発電所事故で放射性ヨウ素、セシュウム、ストロンチュウムなどが首都圏まで飛散して汚染されるまで自分が核兵器を使った無差別攻撃に準じる被害を受けることがありうると考えていた首都に在住する日本人が極めて限られていたのが現実だったわけです　・・・・・・　というか、東京消防庁のレスキュー隊の原子炉への注水が失敗して再臨界や核爆発が生じていれば今頃こんな呑気なことを書いていられなかったでしょうし、実際に起こっていることを首都圏の住人達にアナウンスしてパニックになると困るので避難勧告をするどころか放射性物質の拡散状況でさえまともに出さなかったと当時の日本国の内各総理大臣が後に当時の自らの言動を自画自賛したことは御存知の通り。　もちろん、国会議事堂の近くに核戦争を想定した大規模地下シェルターがあるという都市伝説めいた話があることは比較的知られた話になりますし、窓やドアの隙間にガムテープなどで目張りをして屋内に退避するようにといった最低限のアナウンスさえ日本国政府がしなかったこともまた御存知の通り（溜息）。　そういえば、以前、1-315”日本壊滅戦”の回（2002/10/16）で”稼働中の原子力発電所をジャックして暴走させて、チャイナシンドロームを発生させる”とか”それが日本のどこにある原発であってもチェルノブイリ級の被害が発生すれば理論的には日本全土が被爆し汚染地帯となります。”といった話をしたことがあるのですが、十分、事前に想定できていた話ではあったわけです。　当然、化学兵器による攻撃にしたところで、必ずしも自前で用意する必要は無く、劇薬物の類や石油精製、備蓄施設の類を攻撃して流出させたり炎上させるだけでも同等以上の被害を生じさせることが可能ですし、首都高などで劇薬物や石油製品を満載した大型タンクローリーなどが大破炎上しただけでも大規模テロに匹敵する犠牲が出かねないことは指摘するまでもありますまい。　バイオテロに関しても、既存の細菌などを利用するのならさほど高度な知識も巨額な資金も必要とはしませんし、毎年のように冬場になると新型インフルエンザの流行といったニュースが流れることがあることからも分かるように、それが自然発生したものなのか人為的に産み出されたものなのかを含めて、感染発生から意図的に攻撃されているかどうかが判明するまでにタイムラグが生じやすい点が、核兵器や化学兵器と比較した際の生物兵器の一つの特徴と言えます。　また、１９８０年代から加速した遺伝子工学の急速な進歩は、人種選択生物兵器が実用化される可能性を高めたことでも知られていて、（中略）を狙って感染し死亡させるても、特定の遺伝子を持つ人はそもそも感染しないか感染しにくいように改造することさえ可能という時代が近づいているか既に到達していることには留意が必要でしょう。　一応、既存の致死率が高い感染症に関しては五類感染症のように、国が動向調査を行って状況を把握し、その情報を医療関係者に逐次開示して感染拡大を防ぐ必要があると法律でも定められていたりしますし、いわゆる法定伝染病に関しては義務教育でも授業カリキュラムの中で一定のレクチャーがあることは御存知の通り　・・・　少なくとも私の世代にはありました。　五類感染症は数字が低いほど危険度が高い感染症とされていて、１類にサーズ（ＳＡＲＳ）、エボラ出血熱、天然痘、ペストが含まれ、２類にコレラ、腸チフス、ジフテリア、細菌性赤痢といったあたりが含まれているあたりでその物騒さがわかるのではないかと思います。　ちなみに、３類は腸管出血性大腸菌感染症、４類はマラリア、日本脳炎、狂犬病、５類は風疹、百日咳、破傷風、赤痢アメーバといったことになっているのですが、平均気温が上昇することでマラリアを媒介する蚊が従来よりも北上して感染域を広げていたり、やはり蚊が媒介する亜米利加における西ナイル熱の流行のように、環境の変化などで従来に無かった感染症の拡散パターンが生じ始めているあたりが一つの課題になってきています。　というか、マラリアは南方戦線に従軍していた帰還兵などに罹患した人が珍しくなかった時代もあったので、意外と知られていた時代もあったのですが、戦前に致死率の高い国民病と認識されていた結核が抗生物質の普及で激減して実際に結核に感染した患者を診たことが無い若い医者が増えていったように、少し前まで遭遇することが珍しく無く知っていて当たり前の感染症の典型的な症状が意外と見逃されかねないリスクも高くなっている時代になってもいるわけです。(2013/09/30)

  2013.10.16

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• 一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８１７話　「首相暗殺」

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８１７話　「首相暗殺」　これを書いている時点で、日本にとって最悪のシナリオは、首相が暗殺され、そのどさくさに紛れて軍事侵攻されることで、その場合、洒落にならない生命財産の損失が生じかねないことは言うまでもありますまい。　かって、というか少なくとも現在でも日本以外の国は世界の国々の善意などはあてにせず、自力で独立を維持することを肯定し、独立を維持するための手段としての軍事力の保持と使用を躊躇しないとしているわけですが、可能な限り責任を回避したがる日本の政治家が言葉遊びに終始して、”独立を維持するためであっても軍隊を所有せず軍事力を行使しない、自衛隊は違憲の存在である”と言い出してみたり、”軍事的に占領されたとしても、軍事的に反抗せず文化的な面で反抗することで独立性を保ち云々”といったそういっている本人の頭を敵兵が銃で吹き飛ばすまで寝言を言い続ける阿呆も後を絶たないわけです。　これを書いている時点で、既に”韓国の経済って年内まで持つの？”という声や、”中国の経済成長って破綻水域に既に入ってるんじゃないの？”という声が上がり始めていて、中国経済が破綻していく場合の投機マネーが生んだ損失の総額はリーマンショックの２倍程度ではないかという推計が出ていたりもします。　まあ、中国の経済に表（政府）と裏（民間）の２つの流れがあることは歴史的な伝統のようなもので、政府に政策有れば民に対策有りとかいった話にもなっていくのですが、流石に今回は、世界中の投機マネーが流れ込んだ時期もあったが故に、過去に類例が無い額にまで膨れ上がり、おそらく人類が経験したことのないようなバブルがそこには誕生しているハズですが、それ故に、ハードランディグになってしまった場合、普通なら国家が破綻して不思議ではない状況と言えます。　問題は、共産党が一党独裁体制を崩していないこれを書いている時点の中国の場合、本質的に”普通の資本主義国では無い”ため、自国のバブルが崩壊した場合に彼等がどのような選択をするかを事前に予測できる外国人は皆無ということがあり、核保有国だけに、ある朝唐突に”これから自給自足体制の共産主義国家へと原点回帰するため鎖国します”と言い出したとしても、誰も止めようが無かったりもするわけです。　というか、中国が資本主義経済のテーブルから一方的に姿を消したとすれば、参加していたゲームは途中で御破算となり残された参加者同士が途中精算に応じず大乱闘状態になっても不思議では無く、世界経済恐慌が勃発してしまえば、中国の責任を追及している余裕がある国は少なくとも先進国の中にはなくなるのではなかろうか？　中国からしてみれば、特に死傷者数から考えると事実上の内戦状態でもあった文化大革命の頃から科学技術や民生品の生産技術などで先進国との間の格差が大きくなっていたというか、１９５０年代くらいで技術水準が全体的に停滞していたところを、改革解放路線への路線変更で外資を呼び込み最先端技術を導入することにも成功したわけですから、別にここで今一度鎖国状態に戻ってもかまいはしないわけです。　というか、経済格差の拡大という資本主義国家の宿命の症状が既に自国で大問題となってきているわけですから、鎖国して富裕層の私財を没収して本来の共産主義国家への道へ戻っても不思議ではありませんし、理論上はこのままなし崩し的に資本主義国家へ衣替えできるとも思えませんから、いずれにしても内戦状態になるリスクを抱えているのは意外と確かな話だったりします。　問題は、国の為政者としては内戦で事態を収束させるより、対外戦争に打って出て領土を拡張し周辺諸国と戦争状態になった上で実質的な鎖国状態になることで事態を収束させた方が良いと算盤を弾く可能性があることで、長年の”一人っ子政策”の余波として結婚相手が物理的な意味で存在しない適齢期の男性が１億人を軽く越えているという推計もあるだけに、戦争の本質の一つである”男性を淘汰して絶対数を減らす”という側面が動き始めても不思議では無いわけです。　ざっくり書けば”勤め先も無ければ金も無い！彼女も嫁もいない！この状況が死ぬまで続くのなら一か八かで暴れてやろうか！！”という内圧も高まっているということで、”２次元の恋人や嫁がいれば十分”というどこぞの国の”お”の字達とはいささかベクトルも基本的な発想も異なっているわけです。　話を戻すと、日本の首相が暗殺されること自体は珍しい話では無いとまでは言わないまでも過去に置いて皆無だったわけではありませんし、日本に限らず一国のトップを暗殺して”状況”を変えようと画策する人は時代も洋の東西も問わず後を絶たないところがあります。　問題は、王侯貴族が支配する国のように、一人に権力が集中していて世襲制度で継承されている国の場合と、複数人に権力が分散していて選挙で選ばれて代表しているに過ぎない国の場合とでは、トップが暗殺された場合の”その後”の対応が大きく違ってくることで、前者の場合ならトップを暗殺することで大きく状況が変わることがありますが、後者の場合は事件そのもののインパクトは大きいとしても、状況そのものはかえって悪化する傾向があります。　もっとも、名目代表のトップがそうだとは限らないのが面白いところですが、何事にもオピニオンリーダーになって仕切って先導しているキーパーソンがいるとしたもので、そうしたキーパーソンが暗殺された場合の方が実は状況の停滞や頓挫が発生しやすかったりします。　いわゆる”参謀役”を暗殺した方が実は状況を暗殺者側が望む方向に変化させやすいということですが、未来の確固たるビジョンを持っている人が暗殺されてしまえば、五里霧中の大海で羅針盤を失ってしまった船に等しくなりかねないわけです。　これを書いている時点の日本の場合、総理大臣経験者が２名体制で政権の中枢である首相と財務を掌握しているわけで、このセンター軸を厚く形成したことで対応にブレが少なくなり、明確な戦略の元に指揮を執ることが可能となったわけですが、前段として、某国から歴代の日本の政権の中で最高だったと称賛された民主党政権の売国行為で国が潰れかかっていた悪夢のような時間帯があったことも見逃せません。　まあ、国が潰れかかるということでは、国家財政が大赤字なのに効果が出ていない巨額の（土木工事系の）公共投資をやりたがる自由民主党の”族議員”の言動もそうとうなものですが、多額の税金と時間をかけて実用化した新幹線技術を実に気軽に某国へ小銭で売り飛ばしたり、公安情報や軍事機密を国家中枢レベルで某国へ流出させるような暴挙を行わないだけマシかなと。　民主党政権下で洒落にならなかったのは、首相官邸が丸裸にされ、犯罪歴がある人物を含めて１００名以上の部外者に公式のパスが配布されて出入りが原則として自由だったことで、現在の首相が即座に首相官邸に移住しなかったのも無理が無いところかなと。　いわゆる”首相官邸の幽霊話”まで持ち出して、首相官邸に入居しない理由をあれこれ推測していたマスゴミもありましたが、非常時の脱出口や本来外部には機密にしておかなければならないライフラインの類まで丸裸になっている要塞に入りたがる方が物好きというものではなかろうか？　公安関係も、公安や警察にマークされていた某・氏を公安の機密情報を扱えるトップ級に据える暴挙とも言える人事を民主党が行い、公安が掌握していた国内に潜伏している外部のスパイ情報などもだだ漏れになったと考えていいだけに、日本の公安や警察が体制を建て直すのに年単位で時間が必要ではないかという噂もあったりしますが、その辺りは、自衛隊の諸外国風に言えば軍事機密に属するような情報もだだ漏れになったという説もあります。　政権中枢が某国の分室とか出先機関と揶揄される状況となり、某政党の代表選挙の選挙権所有者に国籍条項を儲けないことで、実質的に外国人によって日本の首相が選出されかねなかったことも記憶に新しいところで、福島原子力発電所事故が発生していなかったら日本という国そのものが潰れていたか地図から名前が消えていた可能性さえあったことは認識しておく必要があります。　逆に言えば、なぜ東北関東大震より後の国政選挙で民主党支持勢力が大幅減となったのかを肝心の民主党の国会議員が理解できないでいる方が私には謎で、逆風が云々では無く、政権与党となった間にやらかしたこと、意図的にやらなかったことへの選挙民の採点が議席の大幅減少となっているだけの話で、民主党が政権与党になる以前に主張していた”二大政党制”とか”マニュフェスト”とかを自分たちで反故にしておいて何を言っているのか？とウンザリした人もいたのではなかろうか？　いわゆる、アベノミクスと呼ばれる与党に返り咲いた自由民主党が推進している経済政策が成功するか失敗するかはこれを書いている時点では定かでは無いのですが、政権が変わって財政政策が大きく転換された途端、某国の経済がガタガタになったあたりからも、民主党が与党だった時代にいったいどれくらいの日本の国富が意図的に流出させられていたのか？　文字通り一寸先は闇の混迷する国際情勢下で、特定の経済政策が成功するかどうかなんてことは誰にも予測できないわけですが、”こういったことをやりたい”という明確な目標を明示しているだけアベノミクスは、陰に陽に巨額の国富と経済復活のチャンスを海外へ流していながら”事業仕分け”の茶番には熱心だった某政党の経済政策よりは遥かにマシなことだけは確かな話になります。　もっとも、それ故に、これを書いている時点では日本の経済の建て直しに薄日が差し始めていることが自国の経済の衰退に直結している国などでは、日本の首相を暗殺することで状況を打破するという誘惑が増大している部分があり、日本の元勲の暗殺者を英雄とし、靖国神社で放尿し、世界遺産に認定された富士山で野グソをして自慢するような某国民を警戒するなという方が無理でしょう。　ましてや、某国の関係者が直前まで妨害したにも関わらず２０２０年の東京オリンピック誘致に成功して、しばらくは土木工事の内需だけでも経済振興が見込める状況になっただけに、首相暗殺リスクというのはネタというよりも現実味を帯びてきているリスクの一つと考えて置いた方が良い気がするわけです。　まあ、実際には首相暗殺が現実のものとなったとしても、粛々と後任が選出されてさほど選択肢の多くない規定の経済再建路線を歩むしか日本が選べる道は無いわけですから、話のネタといえばネタに過ぎない程度のリスクではあるのですが。(2013/09/06)

  2013.09.22

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• 一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８１６話　「九州上陸戦」

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８１６話　「九州上陸戦」　中国が日本へ軍事侵攻するとすれば、やはり尖閣諸島が攻防の地となるのですか？と聞かれたのですが、尖閣諸島”も”攻防の地となる可能性は高いですが、私が指揮官ならば迷わず九州上陸戦を仕掛けます。　理屈はとても簡単で、対馬を欲しがっている（中略）が至近距離に存在することから、中国と日本の間が戦争状態になれば、おそらく”国境警備上の必要性”、”同胞の保護”などさまざまな理屈を並べて北九州あたりまで一気に進軍してきてもさほど驚きません。　そういった想定をした場合は、九州北部から新潟あたりまでの日本海沿岸には別の意味で対策が必要になるということですが、ひとつのシミュレーションにすぎない話を煩雑にしてもあまり意味がありませんから、その辺りの話はまた別の機会にということで。　中国が尖閣諸島や沖縄をスルーして九州西部に上陸する作戦を選択する可能性が高いと書くと、日本に住んでいる日本人の中には違和感を感じる人もおいでかと思うのですが、”沖縄ではなく九州が対象となる”という想定の基本的な理屈はきわめて単純で、”沖縄には米軍基地があり、米軍はグアム、サイパンといったさらに遠方の南方に米軍の兵站を拡充傾向にある”ためでグアムなどに従来の沖縄米軍基地の兵站としての機能を移動させるメリットは複数存在します。　中でも、中国大陸からの物理的な距離が沖縄より遠くなり、それでいて南沙諸島などへの対応は沖縄からより近くなることは大きく、沖縄が補給兵站基地の南限で無くなれば、一度は占領されても、空爆、艦砲射撃などなどを駆使して再上陸して再占領する作戦も選択可能になるわけです。　極論すれば、沖縄の場合、民間の空港に航空機を突入させて滑走路を使用不能にして空からの補給を封じ、既に潜入させている現地工作員などを武装蜂起させてパニック状態に陥らせておけばとりあえず自衛隊の行動に関しては極めてローコストに封じることができるわけです。　沖縄地域に米軍と同等かそれ以上の規模で自衛隊の陸・空・海の戦力が配備されておらず、海上自衛隊の兵站基地としてさえ整備が進んでいないのが現状で、琉球独立論の名の下に、日本から独立して香港のような中国の行政特区として編入されることが沖縄の幸せとして行動している沖縄県民や沖縄出身者も実在しているだけに、（中略）と思いはしますが、その意味でも九州上陸戦が選択される可能性の方が高いのではないかと。　少し考えれば馬鹿でもわかる話で、いざ局地戦が始まった場合、短時間で趨勢が決してあっさり相手の旗が翻り、戦闘状態が終結しても停戦や休戦状態下で”実効支配”されてしまって２０～３０年も経過すればなし崩し的にどちらの領土と化していくかは、これを書いている時点の国境の島々を見ていれば分かりそうなものではなかろうか？　以前にも書いたことがあるのですが、国連における”敵国条項”を適用しただけだと中国が主張した場合、同じく常任理事国であり日本と安全保障条約を結んでいる米国であっても（理論上は）迂闊に手出しができなくなるリスクがあるだけに、国連外交とか国連の常任理事国入りとかいった寝言は言い続けても、敵国条項の撤廃を悲願としてこなかった日本の外務省の怠慢がここにきて致命傷になりかねないわけですし、情報収集能力と情報分析能力に難があり、責任を回避するため可能な限り決断したがらない日本の政治家が現状を把握したのが”総てが終わった後”だったと言い出すオチになっても私はさほど驚きません。　それこそ、米軍から”お前の国に軍事侵攻が始まって武力侵略されているけれど対応しないのか？”と米軍に催促されてから、”極東情勢、極めて不可解”とか口走って総辞職し、国会解散と総選挙を行って民意をもって対応を決し　・・・　とかやりかねないのが日本の政治家の”有事における対応”ではないかと。　九州西部に上陸を許し、山岳地帯への展開まで許したところから本格的な抵抗戦が始まった場合、度重なる銃刀法の規制強化もあって日本の民間人はほぼ抵抗手段を持ち合わせていませんし、警察か自衛隊にしても”法律に基づいて行動する”ことが延々と求められてきた歴史があるだけに、現場の判断で迎撃する部隊が出ることは考えにくく、駐屯地に立て籠もって対応できていれば上出来の部類だとも思いますが、これは散々その必要性が指摘されていながら、日本が軍事侵攻されるより前に、有事に際して自衛隊の現地部隊が一定の枠内であったとしても独自の対応で迎撃することを法的に可能にしておかなかったことと無縁ではありません。　在日米軍にしても、自分の国が軍事的に侵略された際に日本の自衛隊が対応せずにいるの在日米軍だけが単独で迎撃戦を行う気は無いでしょうし、在日米国人の国外退去に対応するのが最初の作戦と割り切って行動されても文句が言えた筋合いで無いことは事前にわかりそうなものではなかろうか？　そう考えていくと、中国資本の格安航空会社が日本の国内線の営業に参入したがっている現状というのは極めて意味深ということで、ＪＡＬやＡＮＡでさえ国内の不採算路線と優良採算路線を抱き合わせて決算して全体で必要とされる航路を維持していることを考えれば、不採算路線の赤字部分には関わらず、優良採算部門だけで美味しいところ盗りをする会社の参入前提そのものが（既存の国内航空会社と比べて）公平な競争になっていないことは分かりそうなものではなかろうか？　逆に、既存の航空会社からしてみれば、海外の格安航空会社には採算が取れる美味しい路線だけで認可を与えるというのなら、我々も一部の地方路線など不採算路線から撤退して平等な環境下で新規参入社と競争すると言い出しても不思議では無い話で、交通、通信、食糧の主要部門まで野放図に海外勢力に解放する政府があるとすれば、他国からの軍事侵攻やクーデターで倒れたがっているんじゃないかと勘ぐらないでもありません。　既にマスコミがマスゴミと化して明かな偏向報道を繰り返し続けていることは比較的知られた話になってきていて、某国営放送が”どこの国の国営放送？”と揶揄されている現状でＴＶやラジオを日本政府がコントロールできているとは言い難く、某大手通信電話会社がなぜか某国にデータセンターを建設し、日本国内の通信記録や顧客情報などが外国の法律が適用される国外で運用されているという現状は、事業のグローバル化時代だからしかたがないという域を既に越えていて、国家防衛戦略の視点から考えても海外に情報を漏洩している限り国内事業者免許の取り消しは必須とすべきでしょう。　交通に関して肝要なことは、既に日本の新幹線の操縦技術や運用ノウハウまで某国に垂れ流しになっていて、コピー新幹線とコピー運用ノウハウをもって”自国の国産技術である”と称して国際市場で日本に敵対するようになっているのは比較的知られた話ですが、これは、日本の新幹線を”その日、その時から”運用できる人材が海外で育成されていることも意味していて、日本国内の通常営業ほどの便数には届かなくても、１時間に１本程度の運用が可能ならば、新幹線を使うことで外国の武装した兵員が日本国内を高速移動できる時代が既に来ていることを意味しています。　日本政府が実に気軽に新幹線のノウハウを中国に事細かく売り飛ばしたことは、そのコピー製品の登場の早さだけからでもわかりそうなものですが、そうした敵側の高速移動手段と国内の新幹線が化した場合、それ阻止するために新幹線の線路などを爆破する必要も出てくるだけに、明かな友好国でもないというか、反日教育が盛んな国に端金で売り渡したり供与して良い技術やノウハウでは無いこともまた馬鹿でもわかりそうなことではなかろうか？　故に、高速道路の類だけでなく九州新幹線を移動手段として利用できる可能性が高いことも、九州西岸への上陸作戦が発生する可能性が高いと考える理由の一つなわけですが、その地形上、本州と九州を結ぶ関門海峡を制圧というか関門橋を爆撃なりミサイルなりで爆砕してしまえば、本州の自衛隊の部隊を陸路で九州へ移動させることが物理的に不可能となり、まさに関門橋という最大のアキレス腱を断たれ、地方空港を制圧されたり使用不能にされるところまで後手に回ると九州は”大きな島”と化してしまい本州や四国、沖縄などから増援を送ることさえ極端に難しくもなるわけです。　逆に、陸路と空路を封じられた状態で、九州奪還作戦を実行するとなると海からの反攻作戦しか選択的に残らないわけですが、この場合、北九州から新潟にかけての日本海側を韓国軍が占有してしまっているかいないかで話が変わってくるわけです。　敵側からすれば関門橋や関門トンネルを爆砕することで関門海峡を（特に陸路として）封鎖してしまうことのメリットは大きいだけに、それなりの兵力が置かれるでしょうから、四国の佐多岬などから対岸の九州へフェリーや上陸用舟艇などを駆使した上陸作戦しか残らなくなるわけですが、となると、九州と四国の間の豊後水道を渡りきるまでに何時間かかるか？というあたりがリスクになっていくのではないかと。　そう考えていくと、一度、九州への上陸と部隊の展開を許してしまうと、軍事的に九州を奪還することは後手に回れば回るほど難しくなり、九州に住む日本人が一種の人質となるが故に、兵に犠牲が生じやすい地上展開を避けることができる米軍の爆撃も気軽には行えなくなりますから、九州上陸作戦というのは突拍子も無い話のようでいて、実は極めて実現性が高く、実施されてしまうと九州が数時間で陥落し孤島化してしまい逆侵攻作戦の遂行が極めて困難だったりもするわけです。　もちろん、九州上陸戦に踏み切るには幾つかの前提があると考えられますが、まあ、国内の権力基盤を維持強化し、国内の不満を解消して内外の敵対勢力を減退させることができるとすれば、日本人が考えているよりも遥かにハードルが低い可能性もあるわけです。　いささかブラックな予測をしておけば、日本国の首相が暗殺されて日本の政界が機能麻痺ないし機能低下を起こしている時間帯に実行すれば、さらに攻める側の先行の持ち時間は延び、日本は後手後手に回り続けることになる確率が高く、逆に、首相が暗殺された直後にさっさと副首相が臨時首相として国会非常事態を宣言し、非常時立法として自衛隊の交戦権を国会が期限付きで認め、九州が軍事攻撃された場合は速やかに対応するといった非常時のシナリオが既に存在する可能性は極めて低いと見ています。(2013/09/05)

  2013.09.20

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• 一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８１５話　「南方戦線」

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８１５話　「南方戦線」　これを書いている時点で、竹島、尖閣諸島と日本の国境線の島がそれぞれ、韓国に不法占拠され、中国に領海侵犯され続けていることは比較的知られた話で、韓国の領土的野心が竹島にとどまらず対馬に及んでいることもまた比較的知られた話だったりします。　中国の場合、尖閣諸島の領有権を主張しはじめるのは、尖閣諸島の周辺に世界有数の海底油田が存在する可能性が高いことを国連が公認して以降の話ですし、南鳥島などでレアアースなどの鉱物資源が大量に採掘可能なことがわかってくると、南鳥島なども自国の領土であるとやらかしはじめていることからも、とてもわかりやすい国ということができます。　早い話、中国という国にとって、”金になる場所は自分たちの領土”であり、”中国人が一度でも足を踏み入れた土地は自分たちに領有権がある”というこれまたとてもわかりやすい法則性というか民族性があることを認識しておけば、さほど大きく彼らの行動を予測しそこなうことはなく、逆に、これ以外の指針であれこれ彼らの行動を予測しようとしても無理だと私は思います。　というか、中国人にとってそもそも”国”とか”領土”という概念があるのかどうかさえ怪しいもので、自分が欲しいものがあればいかなる手段を使って奪取してもそれは正義の行動であることは、彼らの根本的なスローガンである”革命有理”に象徴されていますし、改革開放路線ということで経済発展が著しいことで忘れている人もいるようですが、彼らは別に”共産主義革命を放棄した！”と宣言したことは結党以来一度もないことはよくよく認識しておいた方が宜しいのではないかと。　ざっくり書けば、”革命＝既存の社会制度の下で合法的に利益を上げている人をぶち殺してその財産を先祖の代から財産形成に失敗した貧困層が自分たちのものにする簒奪行為”が正しく理屈が通っているとしてきた共産党が主導する国が中国という国であり、それは、自分たちより豊かな国から簒奪しても、貧しい国から強奪しても、１０円は１０円であり富は富であるという考え方にも直結しているということです。　そこに、道徳心とか宗教心とかいった行動の規範となる普遍的な物差しは存在せず、日本人にわかりやすく書くと”お天道様が（あるいは、神様が）見ている（から、人が見ていないからといって悪いことはしていけない）”といった自分を律する規範は無いわけです。　唯一、これを書いている時点の中国人が自らの行動に自発的にストップをかける基準があるとすれば”面子（めんつ）”くらいのものですが、ここのところ大陸の貧困層に属する若年層世代で広がってきているのが俗に”狼主義”と呼ばれる一種の拝金思想で、”社会的に成り上がっていくためにはなんでもあり”とでもいったことになるのですが、これまた日本人にわかりやすく書くと、故・大藪晴彦が書いた自己の目的達成のためならなんでもありの主人公たちの行動原理に酷似しています。　まあ、大藪晴彦の代表作品の”野獣死すべし”とか”蘇る金狼”などなどに登場する主人公たちに共通しているのは、日本が高度経済成長の途上で貧富の差は拡大し戦後の混乱期のように底辺から成り上がることは難しくなった当時の日本社会で、大学をなんとか卒業してサラリーマンになってももはや大卒がエリートを意味しておらず、正社員で雇用されて定年まで同じ会社でこつこつ働けたとしても金もこねもなければ一生うだつのあがらない人生しか待っていないことがわかってしまっている社会で、底辺に属する主人公が大金やいい女を手に入れて自分のやりたいことをやろうとしたら、”まじめにこつこつと”やっていたのでは間に合わないことだけはわかっている　・・・　とでもいった前提となっています。　また、思想的に、親の世代の”国のために・・・”という価値基準や思想理念が第二次世界大戦の敗戦で崩壊し、かといって絶対権力者として進駐してきて”自由と民主主義”を口では唱える米国の将兵が、傷害事件やＭ資金に象徴される怪しげな経済事件などなども引き起こし、そうした資本主義国家を打倒して理想国家を建設すると主張する左翼系の行き着く先はといえば、少数の新・貴族階級が大多数の貧困層を統治する新・王侯貴族制度の国家の建国なわけで、当時の学生の左翼集団でさえ幹部階級が金と女を独占しアジテーションにだけ熱心な存在になっていったあたりでとてもわかりやすかったと（私は）思います。　いずれにしても、敗戦によって戦前からの価値観が崩壊し、かといって（それが拝金主義であったとしても）新しい価値観が主流派を形成しているわけでもない、１９６０年代の日米安保騒動に見られたように右に転ぶか左に転ぶかさえ定かでは無い一種の無政府状態の時間帯において、自分の身を守り、自分の夢を実現するのに頼りになるのは自分の体力と意志力だけと割り切った主人公たちと、これを書いている時点の中国の若い世代の言動が酷似しているということは、そのおかれている社会的な立場も酷似しているところがあると考えていいのではないかと。　別の視点では、人口増加に悩む中国で”一人っ子政策”が長らく意外と厳格に運用されていたのですが、一人しか子供がもてない国で何が起きていたか？というと、”子供が一人だけというのなら男の子”という選択をする家族が多かったようで、これを書いている時点で、２０～３０代のいわゆる結婚適齢期の男性と女性の割合がかなり歪になっていて、一説には”２～３億人ほど花嫁が足りていない”という説があります。　そのあたりは中国の清国以前からの伝統文化といえなくもないのですが、富者になればなるほど妾の数が増え、異母兄弟姉妹が鼠算式に増殖して海外展開しながら大家族を形成していくのも華僑の昔からよくある話なのですが、これを書いている時点では、共産主義中国が改革開放路線に転じて以降に本土から海外展開した中国人集団に関しては新・華僑と区分することもあるようです。　海外へ展開した場合、現地の女性と結婚するなり現地の妾にするなりして子供をつくり、生まれた子に現地の店や会社の経営をまかせれば、抗議デモの類が発生したときに中国人が経営している店としては狙われにくく、その時々で有利な方の国旗を掲げることもできるといった程度のことは織り込んでいるというのは、まあ、常識の部類かなと。　これを書いている時点でも、小金は稼いだものの子供を留学させるだけの財力が無い大陸の中国人がいちいちアメリカまで出かけていってアメリカで意図的に出産して、（将来において選択することになりますが）アメリカと中国の二重国籍を手にしている行為と基本的に同じ手口と言えます。　可能な限り多重国籍を維持するのが華僑というより中国人の伝統的な生き方になっているわけですが、それはあなたの考えすぎでしょうといわれても、あの”ブルース・リー”が（イギリス統治時代の）香港とアメリカの二重国籍だったのも知られた話で、人種差別が根強かった時代におおよその産み月がわかっている妊婦を親類縁者の多い母国へ帰さず異国（米国）で出産することを選択したあたりも計画的に米国籍を手にした事例のひとつにカウントしていいと（私は）思います。　その、複数の国籍を有しておいて、時と場合において有利な方を使うといえば、小中華を自称するだけに朝鮮人にも見られる方法論で、戦後のどさくさとチェック体制の甘さを利用して韓国と日本の二つの国籍を手に入れて二重生活をしていた人は意外と多く、そのあたりの詳細が明るみに出ると戦後の日本の歴史に少なからず改変が生じるという指摘もあったりします。　比較的知られたところでは、”あの”がつく、極真空手を創設して一世風靡した大山倍達（1923～1994）が、意図的に二重国籍者であり続け、”空手バカ一代”などでも知られた話ですが、二重国籍を禁じている日本で日本人として日本国籍の日本人と正式の合法的な結婚(1946、この時は大山氏の朝鮮籍に夫人が入籍)して子供がいたわけですが、経済的に安定してくると、母国である韓国でも昭和49（1974）年に韓国人（韓国名は崔 永宜）として韓国籍の韓国人（洪順浩）と正式の合法的な結婚をして彼の地で子供ももうけていたということです。　幾つか異なる年数もありますが、大山倍達として昭和43（1968）年に日本国籍を取得し家族も帰化したことになっているのですが、日本はもちろん韓国の側も二重国籍も重婚も認めていませんから、大山館長は法律の不備を突いて意図的に重婚したとしか書きようが無いわけです。　念のために書いておくと、敗戦処理に伴う国籍喪失の「通達」は昭和２７年４月のことで、朝鮮人、台湾人が敗戦と同時に日本国籍を失ったわけではありませんし、新たにそれぞれの出生地に応じて国籍を作成する場合も旧戸籍と新戸籍との国をまたぐ戸籍照合を行なったわけではありませんし、戸籍の作成が自己申請だったこともあって、日本国籍を保持したままで、時に姓名の一文字や生年月日を変えることによって複数の朝鮮国籍も取得した方が、日本に残留して食糧の配給などを受ける際など数々の「特権」につながっていた時代があったわけです。　糟糠の妻という言葉がありますが、社会的に成功した後も館長の没後も”極真の大山”という看板から生じ続けた日本国籍の家族の苦労や、平気で”（神風）特攻隊の生き残り”と虚偽の軍歴を捏造して吹聴し続けていた点なども加味すると、特に精神面や訓示において、生前に大山館長が主張していた”武士道”とか”侍精神”、あるいは”武道に基づく青少年教育を云々”ってなんだったの？館長にとって”武士”とか”侍”ってそんな人として下卑た生き方をすることを是とする存在と解釈されていたの？と溜息が出てくるのですが？　当初は、館長が肺癌に倒れた後、病院の密室に近い状態での”不可解な後継者の指名が絡む遺言状”騒動と”（日本の）大山家の遺族への非礼とも言える不可解な対応の連続”などなどで話がこじれて組織が割れたと考えられていたくらい、極真本部の門弟でも実情を知る人は限られ、完璧といっていいレベルで生前の二重生活は隠蔽されていたようですが、館長の没後にあちこちから情報の漏洩が始まり、館長の実兄（永範）の証言、韓国の家族の立ち位置からかかれた書籍「我が父チェ・ペダル」まで日本語で世に出るに至って、混迷は深まっていったようです。　良くも悪くも、そういった日本人とは異なる生き方や価値観を是とする民族が珍しくないことを日本人はもう少し認識しておく必要がある時間帯になってしまいましたなあ～。 (2013/09/04)

  2013.09.19

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• 一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８１４話　「空母論・３」

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８１４話　「空母論・３」　第二次世界大戦前夜、その当時、海戦の帰趨を左右すると考えられていた主力戦艦の保有に関して、いくつかの軍縮条約などが複数の国の間で結ばれていったのですが、考えてみれば奇妙な話で、一律に、戦艦１０隻、・・・・、空母１０隻といった天井さえ決めておけばいいところを、やれ経済力がどうしたこうしたといったいくつかの基準に基づいて保有比率に差をつけるというとても欧米諸国、特に欧羅巴らしいやり方で話が進んでいます。　その光景は、これを書いている時点だと、ＴＰＰ交渉の条件付けに酷似していますが、日本政府がＴＰＰ交渉参加の際に国内に向けて、”参加して条件闘争をすればいいのだ！”と大見得を切ったときに、”・・・　これまでの外交交渉で日本の言い分が米国相手に通ったことが無いじゃん？”と思った人は珍しく無いのではなかろうか？　まあ、幕末にペリーが砲艦外交で無理やり鎖国していた日本を開国させたときから、まずは当たり障りの無い”友好”条約から話が始まり、本命の”通商”条約が前段の”友好”とは程遠いアメリカ側に圧倒的に有利な条件で締結された不平等条約だったことは比較的知られた話で、明治政府の外交のかなりの部分が欧米列強との間の不平等条約の解消ないし是正だったりします。　明治以降の日本の選択が侵略戦争だったのはけしからん云々という左翼系の阿呆がいるわけですが、軍事力を背景に不平等条約を締結し、あわよくば植民地化するという欧米列強の基本戦略を前に、”話し合いましょう！”とか”ラブ・アンド・ピース！”と口走っても何の効果も無く、こちらも同等以上の戦力を有して交渉の席に着かない限り、”なんで俺たちが有利な立場から降りなければならんのだ？”というのが欧米列強の本音であり続けているのが現実と言えます。　たとえて言えば、西部開拓時代の酒場で行われていたポーカー賭博のようなもので、テーブルの上にはカードと各自の拳銃が置かれていて、イカサマが発覚すれば射殺されても文句は言えず、拳銃を持っていない人が勝ったときに拳銃を持っている人が”無かったこと”にできるローカル・ルールが恒常化している席で、最初はルールがよく分からず負けが込んでいた鴨が次第に勝ち始めたとき、テーブルの上に拳銃があるか無いかで物語の結末が変わるのはわかりやすい話ではなかろうか？　そもそも論でいえば、鎖国していた日本というのは、いくら大きな金が儲かる（ことがある）としても拳銃付きのポーカーに参加しない道を選択していたわけで、それを無理やり引きずり出して”やい、金を出せ！”とやらかしたのがペリー君なわけです（笑）。　武装強化して理屈にならない理屈をつけて他国を経済でも軍事でも制圧していき、ときに植民地化も行うというのが当時の欧米列強が世界各地で繰り広げていたゲームのルールなわけで、そこに無理やり参加させられた日本が欧米列強と同じルールで行動することに何の不思議があるのか？　第二次世界大戦まで亜細亜で独立を維持できていた国は、タイ王国と大日本帝国の２カ国くらいのもので、当時の世界での立ち位置がわかりやすい事例としては、オリンピックに参加していたかどうかだと私は思いますが、あの当時にオリンピックに参加できた国というのは、欧米列強がまがりなりにも”独立国”と認めていたということと同時に欧米列強が形成していた”世界”の枠組みに参加していると認められていたことを意味しているわけです。　日本の亜細亜侵略云々と言われても、そもそも、植民地と化していない国家が当時の亜細亜にどのくらい残っていて、そういった欧米列強の植民地化政策に対して、ごたいそうなことを言っている李氏朝鮮が具体的に何をしたというのか？　清国はアヘン戦争からこちら欧米列強との戦争に負け続けて領土がどんどん削られ、欧米列強の軍事力の前にとても亜細亜の盟主として周辺諸国が頼りにできる状態では無くなっていて、ついには日清戦争で力をつけてきた日本を叩いておこうとしたら逆に叩き返され衰退に拍車がかかったのは歴史の現実なわけです。　考えてみれば分かることですが、清国が軍事的に欧米列強に同等ないし圧勝できるだけの戦力を有していれば、香港や上海あたりで欧羅巴の植民地獲得勢力の東進は止まっていたわけですし、フランスやオランダがインドシナ半島界隈を植民地化していった際に、日本が出張ってくる前に清国なり中華民国なり、中国の各地方の軍閥なりが欧米列強を制圧すればよかっただけの話なわけです。　実際には、北から南下してくる帝政ロシアの勢力にも対抗できず、ロシアは着々とシベリア鉄道を敷設して東方への物資輸送能力を増強して極東の軍事力を増強していった時代ですし、西部開拓の名の下にそもそもの土地の所有者であったネイティブアメリカン（いわゆるインディアン）を大量虐殺して西進していたアメリカも略奪の果てに太平洋に行き着いていて、それで満足するかと思いきや、さらに西へ勢力拡大してヨーロッパ諸国のように植民地をひとつでも多く獲得しないと損だと考えたようで、その延長上にハワイの併合が生じたわけですが、そのあたりの話はまた別の機会に。　海外植民地確保の先駆者である欧羅巴列強は、アフリカの植民地化と各国の割譲がひと段落したこともあって亜細亜侵攻が本格化していったのですが、そんな時代に、”富国強兵、殖産興業”のキャッチコピーは有名ですが、生き残りをかけて日本が近代化を図っていた頃、清国もその属国であった李氏朝鮮も既得権益の維持以外に何をやっていたというのか？　というか、中国や韓国がなぜ、そもそもそれぞれの国が存在しなかった第二次世界大戦の期間中だけに話を限定したがるのか？といえば、自らが欧米列強の亜細亜の植民地化や軍事侵攻に関して”何も抵抗していない”ことに言及しないで済む上に、他の欧米列強に植民地化されていた亜細亜諸国が第二次世界大戦後に独立戦争や独立闘争を経て独立していった際にどういった対応をしたかという”史実”に触れずに済むメリットがあるわけです。　というか、第二次世界大戦後に話が及べば、韓国がベトナムがフランス植民地の立場から独立を目指して始まったベトナム戦争に際して、自らの意思と選択で派兵しライタハンに象徴される立派な軍事侵略と戦争犯罪というより、”人道に対する罪”に該当する民間人の大量虐殺などを行ったことに触れないわけにはいかないでしょうし、”漢江の奇跡”に投入された資金の一部になったことも”正しい歴史認識”と言えましょう。　中国に関しては、第二次世界大戦で軍事作戦の中心となっていた国民党軍を戦争が終結した後に後ろから刺す形で、敗れた国民党軍が台湾に逃げ落ちて命脈を保っているのは比較的知られた話だけに、”日本と国民党軍の間の戦争は侵略戦争で日本がけしからんが、日本を相手に主体になって戦い抜いた国民党軍を兵力を温存していた共産党軍が戦争終結後に内戦で撃滅するのは正義の戦争だ”と主張することになるだけに、期間限定にした方が何かと都合がよいわけです。　ましてや、第二次世界大戦終結後に、対戦時に日本軍と主力として戦った国民党軍を相手に共産党軍が唐突に”内戦”を起こして権力を奪取して追い落としに成功して中華人民共和国が誕生した後の中国の亜細亜侵略は日増しに露骨さを増していることは御存知のとおり。　中国の勢力拡大はしばらく止まらないと考えたのか、韓国はアメリカから乗り換えて再び中国の属国となることを志向しているようですが、中国が尖閣諸島はもちろん沖縄も自国の領土で、レアメタルが埋蔵されているのなら南鳥島だろうがなんだろうが中国の領土だと主張しているのに感化されたのか、元からそうなのかはともかく、ロシアにまで呼びかけて１９４５年に戻って日本を戦勝国である我々が分割統治する権利があると韓国がやらかしたのも知られた話だったりします。　その前哨戦として、”日本の右傾化と軍事大国化”を世界にアナウンスし、ナチスを持ち出してユダヤ民族を反日活動に巻き込もうと画策したのが典型ですが、可能な限りいたるところで日本を貶める”ジャパンディスカウント”と呼ばれる韓国政府公認の嫌がらせに邁進していることはネットでは常識になりつつありますが、日本の成果の脇と現状認識が甘いことは御存知のとおり（ため息）。　軍事的には、韓国が朝鮮戦争が長らく停戦状態とはいうものの、一応の敵国である北朝鮮への軍事対応より、日本を敵国とする南への軍事力配備を優先していることは比較的知られた話で、まともに考えれば陸上戦力の増強やシェルターの建設などに資金を投入すべきところを、”日本が軍事力で竹島を奪還しにくる！”と主張して洋上戦力の増強に熱心なこともまた比較的知られた話だったりします。　中国の場合、あらゆる地域で自国の国境を拡大解釈しようとしていますが、日本近海だと尖閣諸島以前に南沙諸島の実効支配で領海の拡大を露骨に画策したのが皮切りで、ある意味で悲願だった空母の保有国となったのもその流れの上の話ですが、これを書いている時点で少なくとも３隻体制で保有、運用するようで、ロシアから輸入した最初の空母を研究鑑と位置づけすれば、それを参考に２隻以上の同型の空母を建造するのが艦艇を運用する際の常道ですから、最低でも中国は攻撃型空母３隻を有することがほぼ確定していると書いていい状況になっているわけです。　まあ、空母の場合は”維持費”が他の艦艇と比べると問題になることが多く、潜水艦や対艦ミサイル攻撃などに対応するために一定規模以上の艦隊での運用が不可欠なだけに、ヨーロッパ先進国でさえ戦闘機が離発着できる大型空母を保有する国は経済面から限られているという説もあるくらいですが、逆に言えば、”元をとれる”と考えた国だけが空母艦隊を運用しているということです。　それはそれとして、こういった状況下で日本が戦争状態に陥るとすれば、どういった経過をたどると予想されているかといえば　・・・　長くなってまいりましたので、そのあたりの話はまた別の機会に（笑）。(2013/09/03)

  2013.09.18

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• 一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８１３話　「空母論・２」

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８１３話　「空母論・２」　ここのところ、かっては漫画やアニメの話とされていた、レーザー兵器やレールガン（電磁砲）が実用化されて米軍では実験が進み実戦配備もちゃくちゃくと行われるのですが、これを書いている時点では電力に余裕がある艦艇への装備か先行しているようです。　理論上は、こうした兵器は小型化が進み最終的には一兵卒の個人装備になっていくと考えられますが、まずは原子炉を備えているような大型艦艇あたりが現実的な搭載先になるのですが、ただ、こうなってくると戦艦が復活しかねないところがあります。　つまり、航空機による攻撃の優位性というのが薄れてきているということと、宇宙空間からの攻撃を迎撃する必要も出てきているご時世だけに、航空機が出払ってしまうと単に場所ふさぎなだけの広い飛行甲板（空港でいう滑走路ですな）が広がる空母というのは追加の武装が施しにくい形状なわけです。　これを書いている時点では、そのあたりの弱点を補うためにも迎撃に特化して進化してきたイージス艦を複数隻配備することで対応しているわけですが、敵も見方もレーザー兵器やレールガンの類を実装して戦闘する時代になると、大砲やミサイルによる攻撃を前提としているイージス艦の防御（思想）というのは時代遅れというか過去の遺物になりかねないところがあるわけです。　逆に言えば、レーザー兵器やレールガンの実用化に成功した米軍は、既にその防御方法の研究にも着手しているということで、”矛盾”の話ではありませんが、新しい攻撃方法が開発されれば、その攻撃への防御方法もまた考え出されてきたのが人の世の歴史なわけです。　日本の民間人を身差別攻撃で殺戮したＢ－２９による日本への焼夷弾を用いた絨毯爆撃と呼ばれる殲滅攻撃は、その後のベトナム戦争においてもバリエーションを増やしていったのですが、日本への空襲の中でも３月１０日の東京大空襲の際には、全長がボーイング７４７の半分程度の大きさのＢ－２９が二百機を越える大編隊で飛来して日本側の迎撃戦闘機がたどり着けない（酸素の薄い）高高度から爆撃していったわけですし、爆撃された地域から考えても、民間人を無差別殺戮することが主目的だったことは明白でしょう。　技術的には、大戦末期の米軍は、エンジンにスーパーチャージャーを実装することに成功しており、それによって酸素の薄い１万メートルを越えるような高高度においても、大気を圧縮して酸素濃度を一時的にあげてエンジンに送り込んで燃料と混ぜて燃焼させ低い高度と大差の無いエンジン出力を確保できていたのですが、まあ、スーパーチャージャー付のターボエンジンを実装した大型爆撃機で、搭載する爆弾の量だけでなく、防御用の装甲や消化システムの整備、対空機銃の増設などなど、当時のＢ－２９が”空飛ぶ要塞（フライングフォートレスト）”と呼称されたのも当然といえば当然の高性能機だったわけです。　それを迎え撃つ日本側の戦闘機といえば、大戦が勃発する前に設計が終わって生産が始まっていたゼロ戦などは、ターボやスーパーチャージャーとは縁遠い空冷式の普通車と考えてもらうとわかりやすいですが、燃料の質自体も低下していった関係で、当初の性能を出すことさえ難しく、次第に酸素不足でエンジン出力が低下していくこともあって１万メートル上空まで上昇するのに１時間以上必要で、仮にＢ－２９と同じ高度に到達できたとしても、１回の攻撃を加えると高度が下がってしまい、そこから高速で移動しているＢ－２９に再度追いついて２回目の攻撃を加えることさえ難しかったようで、Ｂ－２９が護衛戦闘機を随伴していない状態でさえ撃墜率は３～４％程度だったようです。　このＢ－２９を使った圧倒的な攻撃の成果から、戦略爆撃機という考え方が成立し、核兵器を搭載したＢ－２９を数百機単位で同時運用することで文字通り地図から国を消すことができる時代が到来したのですが、実はここで肝要なのは、サイパンやグアムが陥落してＢ－２９を運用できる大規模空港が次第に日本に近づいて、当時の技術でも無給油で日本まで往復し爆撃も加えることができるようになると、空母の必要性が無くなったことは無視できません。　つまり、太平洋戦争末期において、既に”空母”は攻撃兵器としては無用の長物になりつつあったということで、プロペラ機からジェット機へと航空機の主流が移り、空中給油を可能とする機体が増えると、従来の搭載可能な燃料から導き出される”航続距離”という航空機のネックが事実上存在しなくなってもいったわけです。　もちろん、燃料や爆弾などの補給や機体の整備、搭乗員の休息などが最前線の近くで可能になるという点で空母の存在はこれを書いている時点でも重要ですが、第二次世界大戦後に発達が著しかったミサイル兵器を配備する国が増加してくると、対艦ミサイルの到達する範囲に船舶を留めて置くことが自殺行為となり、対艦ミサイルの驚異的な性能向上を世界が目の当たりにすることになったのは、１９８２年のフォークランド紛争の際にイギリスの駆逐艦がアルゼンチンの対艦ミサイルで大破した事例だったのではないかと（私は）考えています。　費用効率の点でも、対艦ミサイルが一発で数千万円すると聞けば”高け～”と思う人も珍しくないでしょうが、それによって撃沈できる艦艇の方は数百億円単位になり、第二次世界大戦の頃と比べれば省力化が進んではいるものの、駆逐艦規模の艦艇が撃沈されると一度に数百名単位が戦死しかねないだけに、一気に世論が反戦に転じて戦場では勝っていても戦争継続が難しくなりかねないリスクもあるわけです。　このフォークランド紛争における教訓から、湾岸戦争の際に、第二次世界大戦当時に対”大和型戦艦”のエースとして設計され実戦投入されたものの、航空機や空母優位の時代に急速に廃艦されていったアイオア級などの戦艦の防御力の高さが再評価され、核兵器も搭載可能な巡航ミサイル”トマホーク”の実装といった近代化改装も進められていたこともあって、戦艦アイオアが現役復帰というか最前線に投入されたのですが、幸いにもアイオアに対艦ミサイルが着弾することは無いまま戦争が終結して無事に引退し、スティーブンセガールが主演した”沈黙の戦艦”の主舞台となることで引退に花を添えたことは比較的知られた話になります　・・・　一部では。　アイオアを最前線で運用してみて改めて突きつけられた現実が、原子力空母が被弾し大破したり沈没したりした場合の被害リスクの高さで、そのあたりの当面の対策として、砲撃やミサイル兵器に対抗し、空母の盾となることに特化して開発され配備されたのがイージス艦という側面もあるのですが、イージス艦艇と連動して運用することで空母の防御問題が先送りされたともいえますが、その間にも航空機の性能の向上は続いていて、そもそも最前線近くで空母を運用する必要があるのか？という時代になっていったのでした。　前述した、Ｂ－２９というのはプロペラ機だったこともあって次第に速度の面で不満が出るようになったようで、ベトナム戦争の頃にはジェットエンジンを搭載し爆弾の当最量も増加したＢ－５２が戦略爆撃機の主力となっていたのですが、爆撃機を迎え撃つ戦闘機の側もジェット機となり音速を超えて飛翔し、Ｂ－５２でさえ一発で撃墜可能な対空ミサイルを実装するようになってくると、爆撃機の優位というのも過去の話となり、核兵器の搭載可能なＩＣＢＭ（大陸間弾道弾）の実用化もあって状況が激変していったのでした。　日本から戦闘艦や空母機動部隊が船団を形成して数週間かけてハワイ沖まで出向いてやっと真珠湾湾が攻撃できた時代から、マッハ２０前後で宇宙空間も飛翔する大陸間弾道弾をモスクワ近郊から発射した場合、ワシントンＤ.Ｃ.に２０分くらいで着弾しかねず、しかも当初の技術では迎撃不能で必死必殺の攻撃だったわけですが、（当時）ソ連がスプートニクに代表される宇宙ロケット開発と人工衛星の打ち上げで先行し、人工衛星を核兵器に換装したらどうなるか？ということに亜米利加側が気が付くまでにさほど時間が必要とされなかったりもします。　なお、スプートニク（sputnik）は露西亜語で”衛星”の意味で、１号は1957年10月４日に打ち上げられた世界最初の人工衛星となり、２号は1957年11月３日ライカ犬を乗せて打ち上げて”生物を宇宙空間に生きたまま到達させることに成功”し、1958年５月15日に打ち上げられた３号は、大気、磁場、太陽放射能などの測定に成功しているのですが、技術の圧倒的な優位を盲信していた亜米利加の受けた衝撃はかなり大きかったようです。　それまで、核兵器を搭載したＢ－２９の戦略爆撃部隊の運用で圧倒的な優位にあると思っていた亜米利加ですが、亜米利加側がＢ－２９に核兵器を搭載して本土の飛行場から飛び立って大西洋上に差し掛かってから、ソ連側がおもむろにＩＣＢＭの発射ボタンを押してもソ連のＩＣＢＭの方が先に着弾しますし、Ｂ－２９をいくら数百機単位で運用したとしても、ソ連側の迎撃ミサイルや迎撃戦闘機によって少なからず撃墜されることを考えると、ソ連側がワンサイドゲームで圧勝しかねなくなっていたわけです。　いわゆる”スプートニク・ショック”と呼ばれた状況の根底には、宇宙開発で後手に回ったというより、ＩＣＢＭを使った核攻撃に亜米利加が具体的な対抗手段を持たない無力感から来る恐怖があったわけですが、Ｂ－２９の無差別爆撃の洗礼を受けた日本人からすれば、自分が似たようなことをやられるのはそんなに嫌か？という気もしますが、いわゆる”キューバ危機（1962）”に際して、ケネディ大統領が亜米利加軍の艦艇や航空機を洋上に展開してソ連からキューバへの核ミサイルや物資搬入を阻止するパフォーマンスを演じてみせた頃には、実戦投入が可能なＩＣＢＭの量が国家の命運を分ける時代に既になっていたわけです。　かくして、１９５０～１９６０年代の亜米利加では、個人や家庭向けの核シェルターがよく売れたそうで、聖林映画もやらたと核兵器による人類最終戦争ネタや宇宙人が襲来して一方的に人類が駆逐されるような宇宙戦争ネタが量産されるようになるのですが、ケネディ大統領が１９７０年までに月に到達する！ということでアポロ計画を推進し、その過程で得た技術力で米軍もまたＩＣＢＭの量産と配備に成功することになります。　そう考えると、１９７０年代には既に空母も戦略爆撃機も戦略レベルの軍事的な攻撃手段としては過去の遺物となっていたということで、国家間の命運を決するというよりも、局地戦を優位に展開するための戦術兵器となっていたわけですが、そう考えると、他国を軍事的に支配する気がなければ、ＩＣＢＭを大量配備すればそれ以上の武装は国境警備の小規模戦闘程度を想定していればよい時代になっているということです。　（2013/09/02)

  2013.09.17

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• 一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８１２話　「空母論」

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８１２話　「空母論」　空母というのは、航空機の発着機能を有している艦艇の総称とでもいったことになるのですが、早い話、自力で移動可能な洋上の空港と考えておけば間に合います。　ゆえに、メガフロートをつなぎ合わせてその底に巨大なマブチモーターでも取り付ければ立派な（？）空母として機能するのですが、戦争を前提に考えると、一箇所に固定されていて動かない陸上の空港よりも、必要に応じて必要な場所へと移動してくる空母の方がたちが悪いことは素人でも分かる話ではないかと。　ただし、その黎明期は航空機そのものが発展途上だったこともあっていたってのどかなもので、そもそも論でいえば、”洋上に浮かぶ空母から航空機が離発着できるのか？”という素朴な疑問から話が始まっていて、初期には離発着できるかどうかというだけのことが賭けの対象になって懸賞金が賭けられたり、成功したテストパイロットに報奨金が出たりしたというのは実話です。　一方で、航空機による洋上艦艇への攻撃というのは飛行船が実用化されると意外と早くから行われていて、空からの艦船への攻撃と撃沈は第１次世界大戦中に現実の話になるのですが、当時のそもそも論で言えば、”空から攻撃されることがあるという前提で艦艇が設計されていない”時代でもあったわけです。　飛行船の最高速度は時速100キロくらいのものですが、第2次世界大戦のころまでは２０～３０ノット程度の艦艇が主流だったことを考えると、艦艇の側が何らかの対空攻撃手段を持たなければ速度の面で負けているだけに理論上は対抗する手段を持たない艦艇に対して、上空から爆弾どころかレンガや石を投げ下ろすだけでも一定の戦果が期待できる航空機の側が圧倒的に有利な時代で、実際、その後の戦争でも航空機からの攻撃が陸でも空でも戦争の趨勢を決する要因となり、制空権の確保が戦場の命題となっていくのは歴史の示す現実だったりします。　ちなみに、第二次世界大戦前夜の世界の海軍の常識は、”大艦巨砲主義”という言葉に象徴されるように、大口径の大砲を可能な限り多く搭載した戦艦を大量に保有している国こそが最強という考え方で、この思想の行き着いた頂点にして末尾の戦艦がが日本の”大和”、”武蔵”という口径４６センチの主砲を（１基３門×３）搭載した巨大戦艦ということになっています。　砲身の長さや火薬の質や量も絡むだけに、口径だけですべてが決まるわけでもないのですが、大砲の口径が大きくなるほど弾を飛ばせる最長飛翔距離が伸びるため、口径４０センチの主砲しか搭載していない戦艦と口径４６センチの主砲を搭載している戦艦が主砲を打ち合えば４６センチの主砲を搭載した艦の方が早くから攻撃が可能となり、当時の戦闘艦艇の世界的な設計思想として”自艦艇が搭載している最大の口径の砲の攻撃に耐えることができる防御”という考え方があったことから、４０センチ砲を搭載した艦の防御を４６センチ砲弾が破壊することはできても逆は難しかったようです。　実際には、カタログスペックを信用してはいけないところがあったようで、呉や佐世保など軍港と呼ばれた地域で戦闘艦艇の整備などに従事していた人に言わせると、戦艦がドック入りしたときに、貝殻などを削ぐために艦底をハンマーで叩くと大量の鉄くずが剥離することが多く”大丈夫かいな？”と思っていたそうです。　ハリボテとまでは言いませんが、戦争が長期化すると熟練工まで一兵卒として最前線に投入されるようになったため造艦技術の水準が低下していったのも確かな話のようで、それでていて戦局の悪化もあって、納期の繰上げを要求する声は大きく多くなっていっても、遅滞や遅延を許す雰囲気では無くなっていったようですから、熟練工を引き抜かれた上で納期の堅守を求められた現場で何が起こったかは、まあ、今も昔も変わらない光景がそこには生じていたのではなかろうか？　実際、十分に時間と労力を投入できた戦艦”武蔵”の場合、その最後は世界の海軍史上に類例が無い、２０本以上の魚雷の直撃を受けてもなお自力で航行し戦闘を継続することが可能なくらい、設計段階と製造段階の誤差が少なかったと言えますし、大和や武蔵より前の旗艦で大戦を生き残った”長門”が戦後に原爆実験の標的艦とされた際も爆心地近くに位置していながら原爆被害が生じてから半日程度は浮かんでいたようで、他の艦艇がほぼ瞬時に沈没したことを考えると、余力がある間に完成していた艦艇の防御力は設計段階の想定を満たしていたと考えてよさそうです。　ところで、そういった戦艦と空母を船として比較した場合の空母の特徴はどういったことになるのか？というと、”（空港の滑走路に相当する）飛行甲板を有するため、トップヘビー（上部の方が重くなる）構造となり、それゆえに同じサイズの戦艦などと比較すると復元性や走波性に難が生じやすく転覆しやすくなる”あたりが特徴であり最大の泣き所となっていたようです。　それこそ、”大和”、”武蔵”に続く、大和型戦艦の３番艦として建造されていた”信濃”が途中で”空母に改装された”のは比較的知られた話で、艦体は大和型戦艦並みの堅牢さを誇り、飛行甲板も戦艦からの砲撃や航空機からの爆撃に十分に耐えられる厚みを与えられ、文字通り”不沈空母”としての活躍が期待されたものの、実際には、ほぼ儀装が終わって仕上げと試験走行をかねて回航していた際に潜水艦からの魚雷攻撃を受け、１本の魚雷が直撃したことで浸水を許すと重心位置がずれたこともあってあっけなく転覆沈没したことで知られています。　姉妹艦の”大和”や”武蔵”が当時の常識から考えると撃沈されるまでに驚異的な数の魚雷攻撃に耐えてみせたのに対して、”信濃”のあまりにあっけない最期は艦体部分の造艦精度の低下が露呈したと同時に、空母ならではのトップヘビーな構造が災いしたのではないかと。　空母の場合も、相手から攻撃されることを前提に防御策が講じられるわけですが、装甲を必要以上に厚くすると速度が低下したり燃費が悪くなりますし、搭載可能な航空機や防御兵器の数が減るため、どこまで防御を施すか？が課題になるのですが、戦艦などが前述したように自分の攻撃兵器と同程度の攻撃に耐えられる防御という一つの目安があったのに対して、空母の場合は手探り状態だったわけです。　というのも、兵器の保有を制限する国際的な軍縮条約において、日本の外交下手が当時から変わっていないといえばそれまでですが、英米といった当時最大の仮想敵国に対してあまりに不利な条件を日本政府は呑んでしまった関係で、欧米諸国どころか英国や米国の一国に対してさえ対抗できなくなる戦力格差が、当時の海戦の主力とされていた”戦艦”の保有数（保有トン数）や武装において生じていたため、抜け道として”空母”の増産に日本が目をつけて世界でもいち早く空母の量産と運用を始めていたため”先例が無かった”わけです。　もちろん、欧米諸国も馬鹿ではありませんから、日本があまりに簡単に戦艦の保有に関する不平等条約に応じることに不信感を感じたのか、空母の保有に関しても制限をつけ始めるのですが、日本が大東亜戦争に踏み込んだ最大の理由が、戦艦、空母の保有が条約どおりになってしまうと対抗手段が無くなることと無縁だったとも思えません。　戦後の論評で、”アメリカの工業生産能力を軽視していたか知らなかったための愚行”と評する人たちもいるのですが、当時の海軍首脳部がそこまで馬鹿なわけもなく、”総戦力”＝”戦争が始まるまでに用意できる戦力”＋”戦争が始まってから追加できる戦力”と考えたとき、工業生産能力の差は後者の差に直轄しているだけに戦争が長期化すればいかんともしがたいものの、前者に関しては短期決戦が可能ならば勝算ありと算盤を弾いた人が多かったということです。　そのあたり、山本五十六長官が戦前に２～３年ならば暴れまわってみせるが、それ以降はジリ貧といった趣旨の発言にも反映しているわけで、海軍首脳部の基本路線は、真珠湾の奇襲でアメリカの太平洋艦隊の主力に大ダメージを与えることでアメリカとは短期の内に停戦ないし休戦、日本からインドまでの間に展開する欧羅巴主要国の戦闘艦艇を早期に駆逐することで制海権を確保しておけば、（ドイツが欧羅巴を制圧するという前提で）母国と最前線との間に”距離”がある欧羅巴からのまとまった量の海軍戦力の追加投入は考えにくい　・・・　といった程度のことも分かりやすい話ではあるわけです。　逆に言えば、日本の外務省の歴史的な大失態で、公式の宣戦布告が真珠湾攻撃よりも後のこととなり、奇襲というよりも騙まし討ちとアジテーションされたことでアメリカの世論が一気に変わったことは比較的知られた話で、”なぜ、宣戦布告という国家の命運がかかった外交をまんぞくに果たせなかったのか？”は、卑怯者呼ばわりされ続けることになった一般の日本人からしてみれば第二次世界大戦最大の謎かもしれません。　まあ、ある程度ですが、そのあたりの不可解さの謎が解けたというか腑に落ちたのが、３.１１以降の福島原子力発電所事故への日本政府の”他人事のような”対応で、”あ～、この直系の先祖が大東亜戦争当時は外交や国政の当事者だったのだから、対米宣戦布告で大失敗をしても誰も責任をとらなかったし、そもそも責任追及もされなかったのは不思議でもなんでもないことだったんだな”と。　話を戻すと、複数の空母を一度に運用して攻撃する戦術を確立したのは大日本帝国海軍だったのですが、空母の防御をどうするか？に関しては意見が世界的にも分かれていたようで、初期の空母が駆逐艦程度の主砲を搭載している事例は珍しくないのですが、日本海軍が航空機の攻撃だけで当時の一線級の戦艦や巡洋艦を撃沈したことで、大砲の弾を前提に考えられていた攻撃と防御のセオリーが瓦解してしまい、新しい方策が必要となったのでした。　そして、日本人がこの手の状況変化に対応したアドリブに弱いというか、現場がアドリブで対応しようとしても責任をとりたくない上層部が”前例が無い”としてそれを認めない傾向があるのは当時も似たような状況だったようで、きわめて個性の強い現場の将官が上層部を押し切って独自路線で対応した稀有な事例を除くと、パターンを分析したアメリカ側にいいように撃沈されていくようになります。　というか、輪形陣で知られる対潜水艦防御を優先した空母運用の基本戦術が、あまりに簡単に潜水艦で日本の空母の撃沈に成功し続けたアメリカで採用されたのは偶然では無いということで、対艦ミサイルを含めて、第二次世界大戦後にはロケット兵器の類が急速に進化し普及しましたが、宇宙空間からのバックアップが加わったり細かなところまでアレンジされながらも輪形陣が引き続き採用されていたりします。（2013/08/31）

  2013.09.16

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• 一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第７０６話　「首都防衛考３」

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第７０６話　「首都防衛考３」　日本も昭和の昔に、５．１５事件（昭和7（1932）年5月15日）や２．２６事件（昭和11（1936）年2月26～29日）といったクーデタを経験しているわけですが、クーデータはどういった手順を踏むことになるのか？何を持ってクーデタが成功したことになるのか？という逆の視点で考えると何を防衛するか、どういった場所が制圧の対象となるかが分かりやすくなる気がしないでもありません。　クーデタの定義としては、武力によって国を実効支配している権力者集団を急襲して短時間の内に政権を転覆させる行為とでもいったことになるのですが、理論上は非合法な手法による政権移動現象とでもいったことになります。　クーデタが革命（ revolution　）と違うところは、革命が金持ちと貧乏人といった異なる社会階層間の政権の移行で階級闘争を伴うことが多いのに対して、クーデタは同じ支配者層内部での権力闘争の延長上でも発生することで、実質的に政権担当者の交替程度で話が終わることが多く、それこそ１０年の間にクーデターが十数回起きたという冗談のような実話もあります。　まあ、日本の小泉内閣が終焉を迎えて以降の総理大臣が１～２年くらいで交代してコロコロ入れ替わっていて、考え方によってはクーデタが頻発して国のトップが頻繁に入れ替わっているのと大差が無いだけに、ある意味で無血クーデタの作法のようなものがあるような気さえしてくるだけに、なんだかな～と思わないでもありません。　一応、一連の騒動によって生じる死者の数が革命の方がクーデータより大きくなる傾向がありますが、革命、クーデタ、テロの類の違いというのは、それによって権力奪取に成功したか失敗したかの違いで呼称が違っているだけという説もありますが、政権奪取までの過程で必要以上に襲撃した側が殺戮を繰り広げていれば、襲撃した側が処刑される側になったときに同じ目に遭わされても文句が言えないこともあってか、少なくとも必要以上の殺傷行為を回避するクーデタの方が多いようです。　逆に、クーデタが失敗した場合は、犠牲者数や金銭的な被害など市民暴動と大差が無いことも珍しくありませんから、クーデタが発生する以前に施行されている法律に基づいて捌かれることが多くなり、日本の現行法のようにその辺りが甘い法律しかなければ、一連のオーム事件の推移を見ていても分かるように、都心のど真ん中で乗降客の多い朝のラッシュ時に致死性で後遺症の残るサリンのような毒ガスをまき散らした、人類史上希な、無差別テロを実行した実行犯さえ国家反逆罪で死刑にすることができなかったりします。　客観的に考えて、オームが起こしたサリン事件というのは、無差別テロというよりも、失敗に終わった軍事クーデタの一つの局面に過ぎないだけに、本気で追求すれば（当時の）現役の国会議員から連座する人が出るから、曖昧というか有耶無耶にしたがっているのではないのか？と邪推しないでもありません。　まあ、サリンを朝のラッシュ時に散布する行為というのは、同時多発的に行わなければ意味が無く、東京、名古屋、大阪、福岡といった広域で一斉に同時多発させ、全国の警察機能などが現状を把握しきれずパニック状態に陥っている間に、別働隊が自動小銃と爆発物で武装して内閣総理大臣や閣僚などを襲撃しなかった事が不思議で、その意味では地下鉄サリン事件（1995）というのは、無差別大量殺人事件ではあっても、クーデタやテロ未遂というわけでもない中途半端で奇妙な事件と言えます。　当時、サティアンと呼ばれた教団関連施設を事件後に捜索した際に、某国の関与を疑うに足りる十分な物証が出たけれど、（当時）某政党との関係が（中略）で臭い物には蓋というか有耶無耶にされたままになっているといった都市伝説めいた話もあり、半島情勢が緊迫化してくるたびに問題点として指摘される、国内に潜伏している軍事訓練を受けた大量の非合法工作員をどうするのか？という話とも絡んでくるところがあります。　二大政党制を主張してリアル世界の左の代表政党として国政選挙に臨んで、長らく政権を掌握していた右の代表政党の自由民主党を破って民主党が与党になってからの３年程の間にやらかした数々の売国政策や外交無策も同じ左翼に属するネトサは肯定するのでしょうから、そもそもの立ち位置が違うわけで議論するだけ時間の無駄ではあるわけです。　もっとも、主催者が右だろうが左だろうが、革命やクーデタというものは、発生から事態の終息までが長引けば長引くほど（国連を含めて）外国勢力の介入を招くことになりやすく、場合によっては軍事介入もありえるというのが歴史の示すところで、国と国との関係という国際社会における交渉事というのは、実利が絡むだけに自分だけが花坂爺さんのような（馬鹿の別称である）お人好しなことをやっていれば、ふと気が付けば庇を貸して母屋を盗られて何もかもなくしてしまうこともまたさほど珍しくないわけです。　今日と同じような明日がやってくる保障なんてものは実はどこにも無く、戦後からここまでは亜米利加が有償で代行していた部分が大きかったが故に、周辺諸国の大半が兵役を国民に対して義務化している中で日本の若い衆は自らが志願しない限り兵役や軍事訓練と無縁な人生を謳歌できていただけのことで、亜米利加が、”あ、なんかもうめんどくさくなったし、金もかかるし、軍人が亜米利加国外で死ぬと世論が五月蠅いし、基本的に日本が自分たちで対応しなさいな”と言い出せば、嫌でも対応を迫られることになるわけで、そうした変化の兆候は既に出ているわけです。　そもそも、日本の右傾化というか憲法改正も伴う軍事力強化が日本の一方的なものならば亜米利加が掣肘しないわけがなく、（中略）していることは馬鹿でもわかりそうなものですが、いかんせん、”ゆとり～君”世代に限らず日本人のあらゆる世代で（中略）が足りていませんな。　日本で戦前に発生したクーデタの実行犯の多くは現役の軍人で、現場を掌握する若手の将校が主軸だったようですが、軍人に限らず、放置しておけば自分に銃弾を撃ちん込んだり、致死性の有害物質を散布する可能性が高いような集団が事件を起こせば、一般庶民とは法律上も区別して対応することは、命を狙われる側の為政者としては当然の対応でありまともな反応ではないかと。　もちろん、事件が事件だったこともあって、いわゆる”超法規的な措置”や”不可解な処理や拡大解釈”が横行しているのも戦前のクーデタの後処理の特徴ですし、法律で保存年限が決められている公文書の類を含めて肝心の裁判資料などが”見あたらない”ことがあったり、ピンポイントで”紛失している”ことが珍しく無く、不思議なくらい、亡失率が高くなっていることは比較的知られた話になります。　また、２．２６事件の際の西園寺公のように、事前に情報が提供されたことで致命的なトラブルの圏外へ移動して難を逃れていると解釈できる幾人かの事例を見ていると、少なくとも、戦前の２つのクーデター事件の背景は学校の歴史の授業でさらっと流されるほどシンプルな構造では無かったのではなかろうか？　ちなみに、５．１５事件では武装した大日本帝国海軍の青年将校たちが総理大臣官邸などに乱入し、現役の内閣総理大臣であった犬養毅を殺害しているのですが、これは基本戦略として、東京をクーデターで混乱させて国政を麻痺させることで戒厳令を施行せざるを得ない状況に陥れ、クーデタを支持する政治家や軍人などで軍閥内閣を樹立して国家改造を行う　・・・といったシナリオがあったというのが定説になっています。　事件が鎮圧された後、政友会は総裁を暗殺されたことにもなったわけですが、すぐに鈴木喜三郎を総裁として選出し、政権担当を継承する姿勢を示していたのですが、後継首相の選定は難航することになり、天皇から後継者推薦の下命が下された元老の西園寺公望が調停しています。　その際、昭和天皇は鈴木貫太郎侍従長を通じて、協力内閣か単独内閣かは問わず、人格の立派な者を選びファッショに近いものは絶対に不可といった趣旨の希望を伝えられているのですが、クーデタの当事者である軍が政党内閣には反対したことで西園寺が早々に政党内閣を断念し、軍を抑えるために元・海軍大将で穏健派の斎藤実を次期首相として奏薦し、斎藤は民政と政友の両党に協力を要請して挙国一致内閣を組織しています。　西園寺はこうした対応を事態が落ち着くまでの一時の便法で将来的に憲政の常道である政党内閣に戻すことを考えていた節もありますが、大正デモクラシーで知られる一連の流れの下で８年間続いた政党内閣はここに崩壊し、結果的に第二次大戦で無条件降伏するまで続くことになります。　犬養は中華民国の関係者との間のパイプが太く、日本は大陸から撤退すべきであるというのが時論だったことでも海外に知られていた政治家で、その犬養が軍事クーデタで暗殺されていたことが、後に満州国（1932～1945）を国際連盟に加盟している国々が承認するかどうかを決める際に影響を与えたという指摘もあります。　これを書いている時点で、不思議なくらい中国への進出に邁進している日本の経済界の動きを見ていると、中国利権を求めて大陸に殺到していた戦前の日本の経済界の動きと重なる気がしてならないのですが気のせいか？　その後、”昭和維新・尊皇討奸”といったスローガンを掲げた２．２６事件が陸軍の青年将校達によって起こるのですが、彼等の場合は、政治の腐敗と庶民の困窮は天皇を取り巻く奸臣である、元老、重臣、軍閥、官僚などの特権階級に起因し、彼等を除去して天皇親政とすることで、政治腐敗、政財界の癒着、農村の困窮といった当時の日本が直面していた問題を一挙に解決できると考えたようです。　ちなみに、犬養毅総理を殺害した海軍青年将校達でさえ禁錮15年以下の刑しか受けなかったことも、軍事テロの再発の原因になったという説がありますが、殺害されたのが総理大臣ではなく高橋是清・蔵相で、襲撃を受けた岡田・総理、鈴木・侍従長、斉藤・内大臣など、いずれも海軍大将や海軍軍政の大物といった海軍関係者だったことから、陸軍内部の派閥争いも絡む計算されたクーデタという説もあり、事の真偽がいずれだったとしても事件の後、クーデタの実行主体となった陸軍の中の皇道派の勢力は壊滅状態になり、東条英機が率いていた統制派の天下になった上で政治的発言力も強くなり、陸軍と海軍との間の軋轢は根深くなっています。　実際に1932、1936、1995年の３回ほど東京で、比較的大規模なクーデターやテロが起こった実績があるだけに、それがどういった形になるかは分かりませんが、ある朝目が覚めたら４回目以降の騒動が起こっていてもさほど驚きません。(2013/04/24)

  2013.05.10

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• 一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第７０５話　「首都防衛考２」

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第７０５話　「首都防衛考２」　首都防衛の要であり頂点であるハズの猪瀬・東京都知事が、北朝鮮の情勢が緊迫する中、公費で婦人と側近を連れて（総勢１２名の集団で）、さして緊急性の無い紐育遊行を強行し、こともあろうに、ボストンマラソンで無差別テロが発生し８歳の男の子まで巻き込まれて３名が死亡した翌日に、紐育のセントラルパークをオリンピック招致のＴシャツを着て１時間ほどジョギングしてＰＲ活動だと主張し、総括として紐育遊行の旅を自画自賛した超絶ＫＹな話は以前にも触れたところではあります。　セントラルパークをジョギングした際に、都知事や随行者達が着用した招致Ｔシャツや被服に喪章でも付けて弔意も示していたというのならまだしも、マラソン大会でテロ犠牲者が出た直後にそういった気遣いもしないで自らの行為を自画自賛する行政の長というのは、ＫＹなのか単なるバカなのか？　東京オリンピック招致が失敗に終わることがあれば、確実にこの猪瀬都知事のボストンマラソンでのテロ事件直後のセントラルパークにおけるジョギングＰＲが招致が失敗した原因の一つに上げられるのではなかろうか？　そもそも論として、半島情勢があそこまで緊迫していた中で首都機能が集中し皇居も存在する東京を行政の長が空けてまで招致ＰＲをしなければならないほどオリンピック開催を都民ないし国民が切望しているとすれば、やはり日本人は平和ボケしているとしか言いようが無いのではなかろうか？　一説には、日本国内で潜伏する非合法な工作員の数は１万人を軽く越えているそうですし、中国の場合は中国の国内法で中国本国と交戦状態に入った国にいる中国国籍の人民は自動的に民間人では無く兵士として活動することが義務付けられているわけですから、中国国籍の人物に永住権の類や選挙権を伴う日本国籍を簡単に与えることが何を意味するかはバカでも分かりそうな話ではなかろうか？　少なくとも露骨な反日教育を行って誹謗中傷や挑発を繰り返している国や民族を、反日教育を行っていない国や民族と分けて対応することは合理的な区別ではあっても差別では無いと私は思いますし、政治と経済を切り離して考えるといった詭弁が事態をここまでこじらせたとも思います。　唖然としたのが、山田啓二・京都府知事が京都府議会の承認は不要とした上で（確かに知事の権限だけで可能ですが）、京都府内の大学を卒業した留学生に永住権を与える、卒業留学生への永住権を付与する特区構想（「大学ユートピア特区」）の申請を目論んでいることで、国籍はそのままで永住権を獲得した某国出身者の多くが本国から親戚一同を呼び寄せてコロニーを形成し、一定の地域を占有し、やがて地方都市全体を占有して実効支配していく過程は世界のあちこちで問題化している現象だけに、そこまでして京都府民は京都という地域や日本という国を売り飛ばしたいのか？　京都行政の欺瞞の象徴は、外国籍居住者ではなく、”外国籍府民”という用語を行政の長達が平然と使っていることだと思いますし、それでいて、肝心の日本国籍府民の福利厚生や学生への京都府の支援はおざなりのままで、反日教育を掲げ実際に不法占拠や軍事侵攻を繰り返している国も無条件で外国籍府民として福祉と生活向上のために日本の税金から支出することに積極的に取り組むと公言している京都府知事ってどこの国の誰が選挙で選んだ政治家？？　ちなみに、2012年の大まかな数字として、東京都(4万3500人)､大阪府(1万521人)､福岡県(1万434人)で、京都府で学ぶ留学生の6900人というのは４番目の規模ですが、その国別内訳で１位と２位を占めている国がどこかは敢えて書く必要が無いでしょう。　素朴な疑問として、尖閣諸島はもちろん沖縄県そのものの強奪を公言している中国や、島根県の竹島を不法占拠し海外で積極的に日本を誹謗中傷している韓国に、なんでそこまで手厚く対応する必要があるのか？分かりやすく書けば、日本と同盟関係にある亜米利加でさえ、経歴や学業成績、資格などを不問にして、単に亜米利加の大学を卒業したというだけで日本人留学生にグリーンカードを提供したり永住権を与えたりしていない現実があるということ。　以前、”怪奇大作戦”という昭和の特撮ドラマの話に”京都買います”という回があるという話をしたことがありますが、京都府民がこの京都府知事の（私に言わせれば）暴挙を食い止めないとすれば、まさに”京都？売ってもいいわよ！”と劇中で、自分が既に手にしているものの価値を軽視し当事者意識が欠落していて実に気軽に買収に応じていた京都の人達と重なる気がするのは気のせいか？ここまでやられて日本国籍を有する住人から府知事リコールの運動が起きないようなら、琉球独立ならぬ京都独立が現実になる日は近いでしょうなあ　・・・　それこそ、首都陥落。　また、なぜ国会が京都府知事を即座に国会に呼びつけて公の場でこうした京都府知事の売国行為を問責も叱責もしないで、１日開催することで億の金が必要な国会の場でサザエさんに登場する波平さんの年齢当てクイズに興じて良しとしているのか？それは国会閉会中の茶飲み話では済まされない緊急性が高く重要な質疑応答なのか？衆議院議員選挙で大勝した国会議員には、日本が未だに民主党政権下で加速した亡国の危機に晒され続けているという危機感や切迫感というものが無いのか？　この国政を預かる国会議員達のいい加減さというか当事者意識の低さは（その給与や待遇から考えても）ＫＹな猪瀬都知事より酷い気がしますが、戦前戦中も、民間人にまで潔く死ねと玉砕を強要したり、サイパン陥落以降の戦略的に無意味な作戦で戦死者を増加させていながら、敗戦となったときに政治家も軍人も上へ行けば行くほど身の処し方が見苦しい人が増加し、東京裁判の是非よりも東京裁判で被告となった、かって国のために潔く死ねと主張していた日本の上層部が自らが死に直面した際に晒した醜態を前に、”なんでこんな連中のために玉砕したり戦死する必要があったんだ？”と急に冷めたという人は（当時）意外と多かったそうです。　堂々と、自らの主義主張を戦争裁判の被告人として述べたのが、満州国の発展と充実を優先し中国との戦争拡大に反対したことで東条英機と対立し、首脳部に冷遇され事実上軍から追放されて退役していた陸軍中将の石原莞爾（1889～1949）だけだったあたりで、なんだかな～と思うわけです。　それは、民主党政権が東北関東大震災や福島原子力発電所事故などの後処理で晒し続けた醜態や無責任さ、尖閣諸島や竹島、新潟の中国大使館への広大な大使館用地売却といった領土問題で国売り行為を続けた際に、旦那さんを大戦で亡くされた未亡人の方が”こんな国にするために、夫は戦死したんじゃない！”と憤慨されていたのと根底のところで共通しているのではないかと。　私は、”ゆとり～君”世代が御利口さんと馬鹿に２極化しているとは思いますが、別に”近頃の若い者”だけが急に道徳心が欠落したりモラルハザードを起こしているとは思っていませんし、どうも年輩者ほど自分たちを美化して考えている人が多いようで、道徳教育や武道教育で礼節を若い世代に教育して云々と主張する人が珍しくないことは御存知の通り　・・・　あんたたちの日頃の言動はどうなのさ？という気がしてしかたが無いのですが。　中国からの輸入食材などが毒食品と揶揄されるようになって久しく、中国人が乳児用の粉ミルクを海外で買い漁るため世界のあちこちで地元の乳幼児が消費する粉ミルクに不足が発生してニュースになることが繰り返されている現実だけでも、安価な中国食材を利用することのリスクの高さが分かりそうなものですが、それで利益が１円でも高く出るとなると平気で人の健康や将来まで売り飛ばして恥じない日本の経済人のモラルハザード（道徳心崩壊現象）を前にするとき、”近頃の若いモノは道徳心が云々”という年輩者の主張が虚しく聞こえるのは私だけか？　政治と経済は別という詭弁というか欺瞞で誤魔化して、通すべき筋を通してこなかったことが事態をここまでこじらせることになった原因の一つであると私は考えていますが、かっての戦中派の経済人達が自分が豊かになることもさることながら”同胞を飢えさせないこと”や”欧米諸国並に豊かになること”を共通した目標としていた、ある意味で国政レベルの”大儀”や”理念”を商売人も持って四苦八苦していたのに対して、戦後世代の商売人になると己の利益を上げるためならなんでもありになっていて、”何のために儲けるのか？”といった、かっての”大儀”や”理念”の部分がどこかへ消えていることは御存知の通り。　例えて言えば、当初は家族を養うために稼いでいた人が、稼ぐために稼ぐようになり、ふと気が付けば家族も常時所有しているのは不経済だからと売り飛ばし、安価に働く外国籍の赤の他人で周囲を固め、銀行の口座残高だけが死ぬまでに使い切れない額になっているという姿が現在の日本の経済人の中核の姿になりつつあるということです。　社会の実態が、安価な給料で死ぬまで働き続ける働き蜂と、その数倍の年収を手にする幹部蜂、働くことなく資産を運用するだけで働き蜂の数十倍の年収を手にする女王蜂といった構図へ変貌していながら、かっては最初に就職した会社に（概ね）保障されていた定年までの生活さえ不確実にされた働き蜂達やその予備軍の子蜂達に、従来と同じように滅私奉公や会社への忠誠心、さほど金をかけなくても維持できていたモラルやサービス提供、セキュリティなどを同等以上に期待する方が厚かましいのと違うか？　結局、戦後の日本人が辿り着いた理念が”拝金主義”で止まっていて、”金を儲けたら、儲けた金で何をするのか？”というあたりが欠落していたり、”こういった目的を実現するために金を儲ける（儲けたい）”と逆から考える人が減少したり、金を稼ぐ最終目的が天下国家を左右するとかではなく個人の酒池肉林とか贅沢三昧くらいと、明らかに”しょぼく”なってスケールダウンしているのではないかと。　ＫＹで当事者意識の低い為政者や、私欲だけで動く経済人、精神的にも引きこもりがちな民草を相手に、首都防衛論の類を語っても仕方がない　・・・　滅んでから気が付くのを待った方が私も楽ですが、”なぜあの時に言ってくれなかった！”と小さい子に言われるのも嫌ですし、それはそれで可哀想ですしねえ？（溜息）。(2013/04/23)

  2013.05.09

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• 一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第７０４話　「首都防衛考」

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第７０４話　「首都防衛考」　淡路島を震源とする最大震度６の地震が2013/04/13に発生したわけですが、首都直下型地震や富士山噴火が今日、明日にでも起こるような情報を垂れ流し続けている日本の公費で研究している地震関係の研究者や大手マスコミが、直前を含めて淡路地震などの予知や警告報道ができていなかったことは御存知の通り。　誤解して欲しくないのは、それが直下型だろうが逆断層型だろうが海溝型だろうが、東京に大規模震災が起こらないと主張しているわけでは無く、大規模地震に限らず台風、洪水、土砂崩れといった大規模自然災害全般に対する備えをしなくても良いと主張しているわけでも無いということです。　どちらかといえば、地震予知に数百億円単位の税金を投入するくらいなら、地震が発生する前の建物の耐震対策への援助や地震が発生した後の救済に使用した方がコストパフォーマンスが高いという立ち位置で話をすることが多いのですが、本当に不思議なのは、それで飯を食べている地震学者やマスコミが直近にやってくるかのように１９７０年代くらいから延々と主張し続けている東海地震が（起こらないにこしたことはありませんが）未だに起こらず、阪神淡路大震災（1995/01/17、震度７、直下型）や東北関東大震災（2013/03/11、震度７、海溝型）といった彼等が発生直前に警告らしい警告をしていなかった大規模地震の方が先に起こっている現実があるわけです。　地震予知絡みの研究成果として、一定の地域で一定規模以上の地震が一定の期間内に起こる可能性をランキングにして公表することも行っているわけですが、例えばＡＢＣにランク分けして、Ａがもっとも発生する確率が高い大規模地震で、Ｃが発生確率が低い大規模地震とすれば、阪神淡路は事実上ノーマークに近く、東北関東大震災も直近でもＡランク入りしていなかったことは比較的知られた話になります。　面白いぐらい専門家が”直近の数年以内に高い確率で起こる”とか”この数年は特に警戒が必要”と主張した地震が沈黙を守ることが多く、発生した後に”想定外だった”と主張する大規模地震が起こっているということで、震度６～７といった大規模地震でさえ直近に警告されていた例が無いことから考えれば、”そんな研究にこれ以上金と時間をつぎ込んでも無駄じゃね？”と思うわけです。　それでいて、過去に大規模地震の発生を的中させた実績が無い連中が、なぜか首都直下型地震などセンセーショナルな大型地震に関しては”発生する年（期間）”が分かっていると言うより、あたかも発生する年（期間）が決まっているかのような情報を公式に垂れ流し、それをそのままというより尾ひれどころか角まで生やして大手マスコミが投げっぱなし報道している現状はいかがなものかということです。　例えば、私に言わせれば都市伝説に区分している話に、”２０１２年から３年以内に東京で震度７級の大規模直下型地震が９０％以上の確率で発生する”といった奇妙なというか根拠が今一つ不明確でありながら某・専門家筋の予測といた話が一人歩きしていて、既にバリエーション的には３年以内、５年以内、７年以内といった具合に増殖していますが、日本のマスコミが関連する煽り報道を継続的に続けていることは御存知の通り　・・・　それでいて、前述した20123年の淡路島地震の発生は、地震学者達にとって想定外だったのか警告らしい警告もしていなかったことは御存知の通りで、阪神淡路大震災の本震から１８年後の大きな余震とか言い出す人が出るに至っては（溜息）。　ちなみに、阪神淡路の死者は発生当時で６４３４人、行方不明者は3人、負傷者は43792人、建物被害が689776棟で、被害総額は約10兆円とされていて、東北関東大震災の場合だと、死者・行方不明者が約１万９千人、負傷者は6143人、（福島原発事故の被害を含まない）震災被害のみで（政府推計）25兆円ですが、阪神淡路大震災以上のスケールで東京の都心から東京湾にかけてを震源とする直下型の地震とか海溝型の最大震度７級の地震が起こった際にどういった対応をとるかということの方が、少なくともオリンピック東京誘致で１００億円を超える税金を浪費するよりも優先順位が上ではないかと。　さすがに唖然としたのが、北朝鮮が東京も攻撃対象にしていると明言して国中が（それなりに）緊迫していた時期に、猪瀬直樹都知事が公費で、なぜか夫人同伴で、政務担当特別秘書ら（全12人）を引き連れて5泊6日のNY出張に出かけていた（19日に帰国）ことで、これは解釈の仕方によっては、”東京がミサイル攻撃を受ける可能性があるから、都知事が家族連れで公務を言い訳に公費を使って海外へ逃げていた”と言われてもしかたのない行為ではないかと。　紐育旅行で猪瀬のバカが何をやったかといえば、ボストンマラソンでテロ事件が発生（15日）して３名の死者と141名以上の負傷者が出た翌日（16日）に、五輪招致をアピールするＴシャツを着て､セントラルパークを１時間、約６キロ走るパフォーマンスをやらかしたわけで、”せめて喪章でも付けて走れよ、ＫＹ全開じゃん！”と短気な私は憤ったわけです。　わかりやすく書けば、2001年9月11日の同時多発テロからこちら、米国内でのテロ事件の封じ込めに概ね成功していたのに、ボストンマラソンという注目度の高い伝統のマラソン大会の終盤に市民ランナーとその家族などを狙った無差別テロが発生して死傷者が出たことで亜米利加中に再び緊張が走り、テロの被害者達を気遣い哀悼の意を示す人達が続出していた時間帯に、”今度、東京でオリンピックを開催したいからよろしく～”とＰＲしながら紐育のど真ん中のセントラルパークをジョギングするパフォーマンスを、見たこともない東洋人（で東京の都知事という肩書きの人）が行ったというニュースに紐育やボストンの市民達、あるいはネット経由で世界中の人がリアルタイムでテロ事件騒動のニュースと同時期に遭遇したということですが、ちなみに、この時期の紐育遊行に関して都知事本人の自己評価は高いようです（溜息）。　素朴な疑問として、東京都知事は東京という首都機能が集中している大都会の地方行政の長で、首都圏（直下型）地震対策、（北朝鮮に限らず）東京へミサイルが打ち込まれたときの対策、首都圏で打規模テロ活動が実施された際の対策、福島原発事故絡みで都内でホットスポットが形成されて濃度がかなり上昇していることへの対策、積み残しになっている築地移転問題　・・・　などなど解決も対応も困難な未解決問題が早急な解決を求めて山積みになっている現実があるわけです。　少なくとも、東京が軍事攻撃の標的として名指しされ、北朝鮮が着々と攻撃態勢に入っていた時間帯に、東京へのオリンピック招致活動を敢えて紐育で行う状況でもなければ、その必要性が低いどころか、ボストンマラソンのテロ事件直後という時期を考えれば、そのＫＹな言動が反感さえ買ったと私は思いますが、この猪瀬都知事の危機管理能力の無能さとＫＹな対応を見る限り、非常時の指揮官としての適性に不安を感じるわけです　紐育遊行は３月２９日に最終決定したようですが、その段階でも半島情勢の緊迫化を知らなかったとは言えず、その対策を講じることも都知事の重要な職務であり職責であるだけに、”こいつに非常時の適切な指揮が執れるのか？かえって被害を拡大して無用な犠牲者を量産することになるのではないか？”という気が私はしたわけです。＊　ちなみに、私は都知事選挙では、ドクター中松に投票しましたから、その分、猪瀬都知事への評価が辛くなっているかもしれませんので、その旨、御了承下さい。　それはそれとして、これを書いている時点での直前の地震予知といえば、東北関東大震災の頃から携帯電話に緊急地震速報が自動送信される機能があることを知った人が多かったようですが、例えば新幹線を含む走行中の列車を地震の揺れが到達するまでの間の数秒程度であったとしても多少なりとも減速させることができれば、犠牲者を減らし、災害復旧の障害物を減らす効能があると思いますから、運用時の経費削減と情報伝達の効率化が前提にはなりますが、東海地震予知に関する研究などよりも存続させる価値があると（私も）思います。　私に言わせれば、発生する年（月日）や震源地、被害者数などを特定せずに、”どこそこに大地震が発生し、大きな被害が出る”とやらかすのは、宝籤をすべて購入しておいて”当たった！俺って凄い！！”とのたまう人とやっていることは大差がないと思いますし、大規模地震予知に関しては、専門の学者先生の主張より、２ちゃんの予知予言からみの板の方が（統計的に処理して比較してみても）よほど予測精度の高い預言者（や霊能力者、超能力者の類）を抱えているのではなかろうか？　いずれにしても、日本の地震関連で飯を食っている学者さん達は”地震は予知できます。だから地震予知関連の予算を億を越える単位で下さい。”と１９７０年代から主張して予算を（税金から）確保し続けておきながら、震度６を越えたり、死者数が百人を越えるような大規模地震でさえも事前予知にことごとく失敗していて、彼等が今にもおこるかのように主張し続けている地震の代表格である東海地震が（これを書いている2013/04/20の段階で）発生していないことは比較的知られた話になります。　　まあ、科学に疎い私的としては、”では、後どのくらいの予算を投入すれば地震予知が可能になるのか？”と具体的な地震予知が可能になるまでのロードマップが提示できないようなら税金を投入する必要が無いか優先順位が低い研究と評価してしまいますし、先が見えない地震予知の研究に巨額の金と優秀な人材を浪費するよりも、地震が起きた後の罹災者支援や復興費用の基金として積み立てておいたり、耐震や免震で家屋を建築したり補強する際に金銭的な補助を行う財源にした方がトータルの被害が抑えられることは指摘するまでもありますまい。　例えて言えば、地震予知というのは癌検診のようなもので、”ああ、癌になってますねえ”ということはわかっても、癌の治療は別の話になるのと同じように、予知の精度が上昇したからといって地震が発生しなくなったり、地震で生じた被害が勝手に修復されたりするようにはなりません。　　他に気になっているのが、首都（圏）直下型地震という表現で、以前、日本の首都はどこか？というネタは、2-759”遷都”の回などでしつこくやったことがありますが、怪しい話としての首都論争の結論は、”日本の首都って未だに京都ですけど？”ということで落着していることは昔から懲りずに読んでいる人達にとっては御存知の通り（笑）。(2013/04/22)

  2013.05.08

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• 一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第７０３話　「沖縄地政学２」

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第７０３話　「沖縄地政学２」　沖縄の不幸は、まさに沖縄が”その場所にある”ことに起因しているが故に主義主張に左右されない宿命的なものと言えますし、観念論や感情論に流されると本質が見えなくなってしまうところがあるのですが、それ故に、ミスリードを誘いたい側からすれば観念論や感情論を多用することになりがちです。　ただし、沖縄の特殊事情として”周囲を海に囲まれた島”ということがあり、これは日本という国の縮図であることも意味しているというか、地政学的には沖縄の置かれている状況と日本の置かれている状況との間に大差が無いことを意味していて、周囲が海であるが故に敵対勢力が（もっとも安価な移動手段である）歩いてやってくることが無く、それ故に、防衛に関する認識が甘くなりがちな傾向も共通しています。　なるほど、手漕ぎの舟や帆船が主流だった時代ならば海は城で言えば掘のような軍事的な障害物たりえたわけですが、薪や石炭を燃やして走る動力船が登場し、それが石炭、原子力と動力源が多様化し、速度と積載量が増加していくに連れて軍事的障害としての価値が低下していくことにもなったのでした。　海が軍事的な障害物としてほぼ無効化されるようになったのは飛行船が実用化された頃からで、戦場が陸戦と海戦に限定されていた２次元戦争の時代から、航空機やロケット、人工衛星などが投入される３次元戦争の時代になると、制空権を確保した空域の下にあれば陸地だろうが海だろうが等しく攻撃が可能となったわけです。　３次元の航空機攻撃を加えた観点からすれば、海に点在する島を攻略する戦争と、砂漠に点在するオアシス都市を攻略する戦争との間に大差が無いわけですが、Ａ地点とＢ地点との間の障害物が海だろうが砂漠だろうが大都市だろうが関係なくなったことでもたらされた変化は軍だけでなく民間の物流でもかなり大きなものだったとも言えます。　ちなみに、２１世紀に入った辺りから本格的に別次元とも言える電脳空間を加えた４次元戦争の時代になったわけですが、回線で繋がってネットワークが形成されているという前提はありますが、社会の高度化をコンピュータネットワークが下支えしていて、他国とも相互接続して相互利用して国境が無効化されている社会ほど利便性が向上して生活全般の効率化が進んでいることは御存知の通り。　しかしながら、実際の経済は”計画通りの物流が維持されること”によって下支えされていて、注文した物品が何年待っていても”いま出ました”と蕎麦屋の出前状態で遅延して届かないのに代金の支払いだけは発注と同時に行われて先行しているような状況は、往々にして”詐欺”に区分されることが多いのですが、軍事作戦と同じように民間物流の面でも海は次第に以前ほどの物流を阻害する障壁たりえなくなってきています。　つまり、船舶で物資を輸送する場合、船舶が大型化すると一度に大量の物資が輸送できるようになるメリットの他に、安定性の向上（一般論として大きな船ほど波の揺れの影響が少ない）に伴って走破性が向上し、船体の大型化は積載可能なエンジンなどの大型化も意味することとなるが故に速度アップを伴うようになることが多いということです。　その辺りは単純な算数の話で、船舶が１０～２０ノット程度の速度が主流だった頃と、３０～４０ノット程度の速度が主流になった頃を比べれば、同じ距離を進むための時間は半減するということで、時速が２倍になるということは船の数が倍になる以上の意味を持つというか、浮いた時間を別のことに使えるというメリットも生じるわけです。　分かりやすく書けば、Ａ島まで往復２４時間かかっていたのが往復１２時間に短縮されれば、それまで１日１便だったＡ島への定期航路を１日２便にすることもできますが、隣接するＢ島、Ｃ島、・・・　などにも寄港しても２４時間以内に母港へ帰港できるようになるメリットがその地域全体としては生じるわけです　・・・　Ａ島の住人にとっては従来とさほど利便性が向上していない感があることは否めませんが。　或いは、同じ速度でも、船舶で一度に１０トンくらいしか運べなかったものが５０トン運べるようになれば、従来の船が（手続きや接岸、荷の上げ下ろしといった付帯作業を含めて考えれば）５隻以上になったのと同じですし、一台というか一つで１０トンを超える重量物を運ぶことができるようにもなる　・・・　それまで自転車やリアカーくらいしか運べなかったところへ大型ダンプを運べるようになるメリットが生じるわけです。　軍事的には、前者の場合は、一定の時間内に１ヶ所の島しか補給出来なかったのが、同じ時間内に複数の島の補給が可能になるメリットであり、後者の場合はそれまで重量的に装甲車くらいしか陸揚げできなかったのが、大型戦車や大型対空ミサイルなど陸揚げできる兵器や機材の多様性が増加するメリットが生じるわけです。　そういった構図は基本的に航空機に関しても共通していて、いわゆる貨物機の大型化、高速化、航続距離などの増加といった改良が進められ続けていることは御存知の通りですが、輸送用の船舶の場合、時速６０～８０キロが主流だとすれば、輸送用の航空機の場合は時速３００キロくらいは出せる機種が珍しくありませんから、１／５以下の時間で人や物資を輸送することが可能というメリットが生じることになります。　では、なぜ船舶による物資輸送が廃れないのか？といえば、例えば、亜米利加から日本まで１キロの荷物を送った場合、航空機だと１日で着くものの送料が２千円かかり、船舶の場合は１ヶ月以上かかるものの送料が２００円で済むといった場合、支払う側の財布の厚みと運ぶモノの種類によってどちらを選択するかという話になりやすいわけです。　沖縄で言えば、墜落リスクで言えばヘリコプターだろうが他の航空機だろうが大差が無いにもかかわらず、不思議なくらいオスプレイの配備に反対する人達がいるわけですが、オスプレイと従来の軍用ヘリコプターとを比較して気が付くことは、その高速性と航続距離の長さ、積載量の多さで、例えば、某・諸島に国籍不明の一団が上陸して陣地を形成しはじめたとして、ヘリコプターだと現地での作戦行動もあり往復できるかどうか微妙な距離を片道３～４時間かかったとすれば、オスプレーだと１時間程度で到達でき、ヘリコプターだと完全武装の兵員や資材をホバリングしながら５名程度降下させるのが精一杯とすれば、オスプレーだと１０～２０名単位で降下させることが可能なわけです。　当然、Ａ島に１０名、Ｂ島に５名、Ｃ島に　・・・　といった部隊展開も１機のオスプレイが一度飛行するだけで可能になるわけですから、攻める側からすればこれくらい嫌らしい輸送機は無いと言えますし、守る側からすれば、島嶼部奪還作戦や防衛作戦を有利に運ぶことができる機体と言えます。　私が不思議に思うのが、日本政府がこういった具体的な説明を沖縄県はもとより日本国民全体に対しても行っていない公報活動軽視の姿勢で、なにかと言えば札束で顔をはたくようなゴリ押しを強行することを繰り返して”信”を失い続けていることです。　情報戦というのは何も００７のようなスパイ活動だけを意味するわけで無く、公式なアナウンスも総て情報戦の一環ですし、民主国家において末端の国民の支持無くして政策が徹底されるわけがないどころか、政権の維持さえおぼつかなくなることは、小泉内閣のなし崩し的な崩壊から野田内閣の自爆解散選挙までの一連の政権の移り変わりだけでもわかりそうなものではなかろうか？　こと電脳空間が主戦場となってきた情報戦において、物理的な距離は意味を為さなくなっているわけですから、それこそ日比谷公園に沖縄県庁があるくらいの距離感で政府は対応すべきだと私は思いますが、どうも物理的な距離によって自分たちは守られているかのような錯覚から抜け出せない日本人が国政政治家や官僚にも多いなあと。　話を戻すと、”なぜオスプレーを配備することが必要なのか”という点をアナウンスすること無しに、オスプレーの配備だけを強行すれば軋轢が生じるのは当然で、そこに左系が付け込んで切り崩しにかかっていることは明白でしょう。　沖縄にだけ負担を押しつけるな！というのも無理がある話で、沖縄というのはその存在している場所が極東地域のホットスポットであり、中東方面への人や物資輸送の中継点であるが故に米軍側も大規模な軍事基地を維持し続けているわけで、沖縄から米軍が出ていったとしても、同規模の自衛隊か、中国、北朝鮮、韓国、台湾の軍隊が駐屯するようになることは不可避な地域という現実があるわけです。　世界有数の経済大国の一部で、大規模な米軍の基地が至近にありながら中国が尖閣諸島にあれだけちょっかいをかけていて、尖閣諸島を盗ったら次は沖縄だと明言している現状で、沖縄が独立国となれるのかどうか？と言い換えてもかまいませんが、きつい言い方をすれば、沖縄も本土と同等に平和ボケしていますな。　沖縄独立に関して”瑞西のような東洋の永世中立国　・・・”とか”軍では無く豊富な海底資源を武器に　・・・”とか耳に甘い寝言を口走る阿呆も出てくるとは思いますが、瑞西は事実上の国民皆兵性の国で資源らしい資源は無く伝統的に周辺諸国の秘密金庫として機能することで中立を維持してきた側面もあるくらいしたたかですし、これといった地下資源が大量には無く地形が峻険という利点があります。　資源を武器に云々というのはもっと非現実的で、交通の要衝を抱えていたりエネルギー資源が豊かな国ほど紛争地域と化したり大国の支配を受けていることは阿弗利加や中東界隈を俯瞰したり歴史を少し紐解けば嫌でも直面する現実で、少なくとも、これを書いている時点の中国が中国共産党の一党支配が続く社会主義国家であり、社会主義国家の看板を下ろしてもいなかれば、共産主義を廃棄してもいないわけです。　まあ、米軍が撤退し、日本から独立を強行したとしても、その後は、香港のような特区としてか、政府の直轄地として中国に編入されるのは時間の問題だと私は思いますし、そうなった場合、今度は逆の構図が生じるようになることは指摘するまでもありますまい。　沖縄が琉球として独立すること自体は可能だと思いますが、独立したからといって沖縄人の好きなように統治ができるのかと聞かれれば疑問符が付きますし、何より、いつまでその独立が維持できるのか興味深いというのが結論ということです。　賭けても良いですが、琉球として独立したら、中国、亜米利加、日本に対抗できるだけの自前の軍隊を有して独立を維持するか、どこぞの国と軍事同盟を結んで基地ないし特定の海域を提供することで国防を行う必要に迫られるようになるでしょうし、韓国において徴兵制が実施されていることからも分かるように、琉球も徴兵制を実施するか傭兵を雇用して必要な兵員を確保する必要に迫られるでしょうなあ。(2013/04/20)

  2013.05.07

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• 一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第７０２話　「沖縄地政学」

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第７０２話　「沖縄地政学」　中国が2010年頃から尖閣諸島に本格的に軍事侵攻を始めたあたりで、以前に書いた2-64”琉球独立論”が洒落にならない話であることを認識された人も多かったようですが、琉球独立論（2004/10/12）を書いてから１０年近く経過し、民主党が与党になっていた２～３年の間で日本人の大半が”国が滅ぶ”状況にリアルに直面する、死神がすぐ後に立って首筋に息を吹きかけているような感覚さえ覚えたことは御存知の通り。　自由民主党が民意をあまりに軽視し、小泉内閣の主張する改革が実を結ぶ気配を見せず格差が拡大し”痛み”だけが延々と続く状況に嫌気がさしたことも背景にはあったのですが、半ば自滅する形で与党の座から陥落し、私的には”いくらなんでも、まさか”な民主党が安定多数の与党になって大陸や半島の国々に日本国を売りまくる悪夢のような時代に直面していったと書いていいような気がしますが。　また、民主党が与党になった直後から露呈したのが、外交能力の欠落で、亜米利加からは露骨に距離を置かれるようになり、かといって中国や半島国家と互するだけの才覚は無く舐められっぱなしになっていき、韓国の（当時）現職の大統領に”天皇は土下座してわびろ！”と言い放たれてもなお国際舞台で反論せず、韓国の大統領としての公式の謝罪を引き出せなかったことで国内の風向きが完全に変わったこともまた御存知の通り。　政治的には、鳴り物入りで始めた”事業仕分け”が法律の裏付けが無く、逆に言えば、事業仕分けの結果を実行させるための裏付けとなる法改正を平行して行う地味で困難なところにほとんど手を付けず、政治ショーやパフォーマンスに過ぎないことが早々に露呈し、事業仕分けの作業そのものが時間と金の無駄と言われるようになるまでに１年程で十分だったとも言えます。　日本を外交面でも経済面でも壊滅の淵に追いやりかけていた民主党政権をやっと表舞台から追いやる切っ掛けにもなったのが、2011/03/11の東北関東大震災と続く福島原子力発電所事故という未曾有の国難で、文字通り地図から日本という国が消えても不思議ではなく、３万人近い人的な損失が生じ、首都圏どころか東日本全域が壊滅しかねないチェルノブイリ原子力発電所事故を越える規模の原子炉事故が首の皮一枚を残してなんとか踏みとどまっているわけですが、こうした国が滅びかけるような大規模災害があの時点で生じていなければ、民主党の国売り行為で日本という国は再起不能な致命傷を受けて解体消滅への道を辿っていたのではなかろうか？　原子力発電所事故への民主党の対応の悪さは、米国による再占領か強行介入がありうるところまで話が進んでいただけに洒落になっておらず、東京消防庁のレスキュー隊による原子炉への注水作業が成功して炉心温度が低下して冷却に成功していなければ少なくとも東日本には人が１万年単位で住めなくなっていたと私は思います。　これを書いている時点で福島原子力発電所事故から２年以上が経過していますが、福島原子力発電所の事故現場において事故から２年以上経過してなお施設の多くが”仮設”のままで、燃料棒を冷却しているシステムが原因不明の停止を起こして冷却水の温度が上昇したり、汚水を貯めていたプールが水漏れを起こしたりと、一歩間違えば何が起こっても不思議ではない、未だに死神が後に座って待っている状態が続いている危機感を日本人は持つべきでしょう。　民主党が衆議院議員選挙で大敗して自由民主党が復権し、アベノミクスを主張して意図的にハイパーインフレを惹起させる危険な経済政策に足を踏み入れているわけですが、民主党政権（おそらく）最後の総理大臣となった野田君が何を思って何を根拠に事故は終息したと言ったとしても現実の福島原発事故は終息しておらず、事故現場からの大量の放射性物質の流出は止まらず、除染作業という奇妙で不毛な金のばらまきは続き、事故から２年以上経過して”被災者”として援助を要求する姿は海外の難民キャンプの様子と重複する感があります。　　首都圏の住人も他人事では無く、都内でもホットスポットと化している地点の汚染は事故の起こった（中略）並かそれ以上の数値ですし、危機感を持っている人達は屋根や外壁を高圧水で洗浄したり、除洗後の外壁塗装のやり直しを１～２年目くらいで完了させていますが、都内では公共の場の除染が絶対値ではなく（中略)になっている地域が多いが故に、情報収集の段階から自己防衛が不可欠ではないかと　・・・　オリンピック誘致に金を使う以前に優先すべき事項が山積みだと私は思いますし、世界の財産である優秀なアスリートのＤＮＡを放射能汚染のリスクに晒すことは犯罪行為でしょう。　オリンピックの開催中に、福島原子力発電所の事故現場周辺で震度６～７級の地震が発生し暴走が始まった場合、オリンピック選手のＤＮＡレベルを含む安全をどう保障できる気でいるから誘致を主張しているのか？東京でオリンピックを開催したければ、少なくとも福島原子力発電所の事故現場から燃料棒を完全に撤去してからにすべきで、現状でオリンピック開催を主張するのは無責任としか言いようが無いのではないのか？　或いは、首都圏直下型の大規模地震の到来を３～５年以内のタイムスパンで警告して危機感を煽るだけ煽って置きながらのオリンピック誘致に１００億円を超える税金を投入していることも納得できないところで、仮に、今日、明日に首都圏に大規模直下型地震が発生したり、富士山が噴火するような事態が起こった場合、オリンピックに金を使っている余裕はもはやこの国には無いと私は思いますが？　民主党が与党だった時代に、日本の国防、公安、警察といった分野や社会インフラの機密を要する部分はガタガタになり、その建て直しだけでも数年はかかると踏んでいますが、世界では戦場が電脳世界にも広がっていて、サイバー攻撃と防衛が先進国ほど軍の緊急の課題となり、軍に専門の部隊を増設する国が増加している中で、日本だけは旧態依然のコンピュータが普及していなかった時代の戦争を前提に話をしていて、旧態依然の（縦割り行政に象徴される）組織体制のまま硬直化していることは御存知の通り。　比較的歴史の長い（といっても１０年そこそこの）コンピュータ犯罪対策組織を持つ警察組織にしても、”なりすまし”事件などの失態でその技術水準の低さが露呈したわけで、農林水産省からはＴＰＰ関連のデータがネットワーク経由で大量流出した痕跡が発見されたと公表され、１０数年前に私が懸念していた”外部組織の技術の向上と、日本の官公庁の電脳関係専門職員の不足によるセキュリティホールの拡大”が現実のものとなっていると言えます。　つまり、ハッキングやクラッキングをしかける側は同じ人物が経験と知識を積み重ねながら成長し、日本の官公庁では（中略）年程度で職員の担当を変える人事が電脳関連部門でも行われ、総務や会計のような専門人事が電脳関連部門で行われて（中略）故に、常にフレッシュな素人がセキュリティ担当や機密情報を扱う部門の責任者になりかねない体制がセキュリティのアキレス腱になるというシンプルな話で、（中略）の認識が今になって高くついてきているということに関して、少なくとも私は”だから言ったでしょ。知っていたのに言わなかったとは言わないでね。”と言っていい立場でしょう。　ところで、自由民主党が政権与党に返り咲いた直後くらいから、沖縄県出身者が琉球独立を主張しはじめ大学教授などを含めて具体的な行動に出ているのですが、・・・　まあ、民主党政権下では活動せず、自由民主党政権になった途端に動き出したあたりであれこれ邪推しないでもないですが　・・・地政学的に考えて、亜米利加が沖縄が日本の領土だろうが独立国だろうが簡単に手放すわけがないことは指摘するまでもありますまい。　しばしば指摘されるように、中国大陸の側から太平洋を望めば東の端は、樺太、日本列島、台湾に蓋をされていて、台湾から赤道にかけても南沙諸島が象徴的ですが、ベトナム～フィリピンなどの周辺国が領有している島々に軍事侵攻してこじ開け空けなければならない地形になっているわけです。　ここで、日本～台湾の間に琉球列島がぽっかりと丸ごと中国領になったら太平洋への中国の出入りは自由自在で、底の抜けたバケツのような状態になることは馬鹿でも分かる理屈になるわけです。　この大前提を抜きにあれこれ語ることは無意味で、耳障りの良い美辞麗句を並べて沖縄独立を煽動するのは勝手ですが、日本から円満に独立したとしても、中国に吸収されるか、半島国家に吸収されるか、亜米利加に吸収されるか、台湾と手を組むかの４つの”その後”しか待っていないことはちゃんと説明し、独立する前に納得しておくべき現実でしょう。　また、日本にとっては、シーレーン防衛の面で琉球列島を失うことは水道の蛇口を失うことに等しく、南回り航路の総てをハイリスクに晒すことになり、これまで直線で移動できた海域を迂回して進むことにもなるだけに、沖縄にそのリスクに見合っただけの投資をすべきで、現状のようにリスクだけ余計に押しつけている状態でリターンが他の都道府県並では納得しろという方が無理なことを自由民主党政権は認識すべきでしょう。　沖縄は望むと望むまいと、その存在する位置と形状によって大国の思惑と無縁に過ごすことは不可能と言い換えてもいいのですが、沖縄を日本に留めておく気があるのなら、沖縄が背負っているリスクの分だけリターンを与えるのが当然で、在日半島人にあれだけの特権を与え続け、外国人に生活保護をあれだけ支給しているのに、沖縄の県民所得の平均値がどのくらいのままで放置され続けているか？という話です。　それこそ、”防人負担経費”として、沖縄県民の成人に九州全体の平均所得との差額を支給してもいいくらいで、その財源が無いというのなら、外国人への生活保護支給や医療補助費を即時打ち切り、それで浮いた金額を全額回すくらいのことはすべきでしょう。　もちろん、それは、他の対馬や佐渡島など日本海側の離島に関しても言えることですし、どこに住んでいるにしても、もう日本には国防なんぞ考えなくても金儲けだけしていればいいといった平和ボケした余裕なんぞ無いことを自覚した方が良いと思います　・・・　ま、世界中に資産を分散していて複数の国で永住権もあるから日本国なんぞ無くなってもかまわんという日本人が多ければそこまでの話でもあるのですが。（2013/04/19）

  2013.05.06

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• 馬の速度

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第１７８話　「馬の速度」　馬（奇蹄目ウマ科）の先祖は、第三紀の初め（5000万年前くらい）に北亜米利加に出現したものの、北亜米利加では絶滅し、第四紀初めに亜細亜大陸に渡った種が現在の馬へと進化していったと考えられています。　なぜに北亜米利加で馬の先祖が滅んだのか？は定かでは無いのですが、大航海時代になって欧羅巴から馬や牛、羊、豚といった家畜が持ち込まれたとき、南北亜米利加大陸に馬の姿が無かったのは確かな話になり、ある意味で、恐竜が姿を消したのと良い勝負のミステリーかもしれません。　亜細亜に渡ってきた馬は、イラン高原、西トルキスタンの草原などなど、幾つかの地域で紀元前3000年頃に家畜化されているのですが、不思議なことにほぼ同時期に家畜化されていますから、この頃に何処かで誰かが馬を家畜化するノウハウを開発したと考えられます。　当初は１種類だったと考えられる馬（の先祖）も、分布する地域が多様化するのに比例するかのように多彩な進化を遂げ、現在では大きさや形の違いまでいれれば２００を越える品種に分かれているのですが、意外なことに、縞馬は骨格的に馬とは別物でロバ類と同じように別枠の類を形成しています。　これを書いている時点で”馬”といって連想する人が多い種は競馬などに用いられているサラブレッドですが、その歴史は意外と浅く、17～19世紀中期に英国の在来種に東洋系の馬種を交雑させて産まれた雌馬に、ゴドルフィン・バルブ、ダーレー・アラブ、バイヤリー・タークを交配させて創り出されています。　サラブレッドの体高は約160センチ、体重は480キロくらいが平均どころですが、サラブレッドにアラブ種の馬を交配させるアングロ・アラブ種もだいたい体高が160センチくらいですから、そのくらいが馬の走る速さと飼育の難度などから落ち着いた上限なのかもしれません。　ちなみに、アラブ種はペルシアやイエメンの馬を2000年以上かけて遊牧民のベドウィン族が作出した種で、種として安定していることから、品種改良の原種として利用されることが多いのですが、体高が150センチくらいでサラブレッドなどよりやや小柄になります。　もっとも、それを言い出すと、モウコノウマ系の日本在来の馬はもっと小柄だったようですが、渡来はどうも秋田のあたりだったようで、東北の南部馬、秋田馬、三春馬が種として知られ、牧の発達も東日本の方が西日本より早く広範囲に広がっているようです。　馬が平原に適応し丘陵や山岳地帯を苦手とする動物であることは比較的知られた話ですから、日本で馬の生息に適した地域は自ずと限られてくるのですが、興味深い事に、日本の在来馬に関して言えば、山岳地帯での活動に対応して進化していったようで、サラブレッドなどと比べればですが、山岳地帯の走破性などには適性を示しています。　ただ、サラブレッドなどより小柄で、平原というか比較的平たい場所での速度が遅く、荷馬としても体力に劣る上に、気性が荒いため、中国大陸などでの戦争が前提になっていく明治以降になると、外国産の品種を輸入し交配する機会が増加し、在来馬の原種はほとんど姿を消していってしまい、北海道和種（いわゆる”道産子”）、木曾馬、宮崎県都井岬の御崎馬などなど７馬種がほぼ原種として残存している程度になっています。　まあ、馬の不幸は、桜肉（さくらにく）が独特の癖と匂いで好みが分かれるものの、脂肪分が少なくタンパク質とグリコーゲンに富むことから食用肉として利用されていることで、籠城戦などで食料が不足してくるとしばしば生姜を加えて味噌で煮込んで食べられてしまった記録が残っていますが、現在でも桜鍋(さくらなべ)やニュー・コーンビーフなどの缶詰肉に供されていたりします。　これまたちなみに、現在の加工肉製品で原材料のところに馬肉とある場合、競走馬として勝ち残れなかったサラブレッドなどが含まれている事が多く、その意味では現在の馬たちの方が戦国時代の馬たちより過酷な運命に晒されている気がしないでもありません。　それでも、日本では仏教が伝来して以降、明治になるまでは肉食がタブーとされ、”薬食い”という抜け道はあったにしても、籠城戦とか飢饉年といった特殊な状況でもなければ、一般人がおおっぴらに馬を食べることは無く、武家においても馬が一種の”いつかはクラウン”という感覚に通じるところがあるステータスになっていたようです。　以前にも書いたように、戦国時代の兵種で騎馬隊というのは、全体の１割程度なら多い方だったようで、そもそも平地に乏しい日本で騎馬にどれほどの優位性があったのか？は疑問が残るところですが、３０キロを越えるような鎧甲冑を身に纏っている戦国武将ともなると、徒歩で長い距離を移動するのが無理といえば無理ではあります。　逆に言えば、日本の戦時における騎兵というのは、鎧甲冑を身に纏って徒歩で移動するのが難しくなった武士の移動の足としての役割が主だったということで、西洋などの騎馬隊による突撃という戦術が主流になることは無かったようで、いろいろ調べてみても、騎馬隊が騎馬隊と激突した戦いというのが皆無に近かったりします。　つまり、日本の戦場で馬というのは、伝令役に多用されたり、荷馬として利用されている事例の方が騎兵の乗馬として利用されている事例より圧倒的に多いということですが、体高が１３０センチくらいのサラブラッドなどより小柄な馬が主流だったようですから、大柄な人はそもそも乗ることのできる馬が限られていたようで、馬が報償として与えられているあたりでも、良質な馬を手に入れることが難しかったことが分かります。　日本で騎兵による突撃攻撃が普及しなかった理由として、騎馬が疾駆できるだけの平原が限られていた（戦場が狭い）ことと、歩兵が長柄の槍を装備し密集体系で迎撃する、いわゆる槍襖（やりぶすま）を形成することで騎兵を刺し殺す対処法が戦国時代には既に普及していたことがあり、長柄の槍が普及したことで、日本の歩兵が古代羅馬のファランクスと同じような戦術に辿り着いたとも言えるのですが、不思議なことに日本では古代の馬に引かせる戦車が普及しなかったこともあって騎兵の突撃は封殺されてしまいます。　中国では、重武装した歩兵に対応する騎兵の戦術が幾つか開発されていますし、馬が引く戦車に近い装備も実用化されていますから、なぜ日本で騎兵が戦場の主役に返り咲くことが無かったのかは謎ですが、時代的には、長柄の槍が普及するのと、火縄銃が普及するのがほぼ同時期だったようですから、槍には対応できても火縄銃には対応できなかったと考えると筋が通ります。　また、丘陵地帯が多く木材に恵まれ、平たい場所は河川の堆積土壌や火山灰土など土地が柔らかい場所が多い日本では、人力だけでも陣地形成が容易で、壕を掘ったり、馬防柵を張り巡らせたりすることで騎兵の生命線である移動速度を削ぐことができ、突破力とでもいったものが陣地形成によって封殺されるようにもなっていきます。　この、騎兵の機動力をある程度制限した上で圧倒的な火力で封殺するという戦術発想は、日露戦争当時の世界の騎兵の最高峰と目されていたコサック騎兵隊に対して劣勢というか脆弱な日本の騎兵が簡易陣地を形成してマシンガン（機関銃）を使用して対抗する戦術にも見ることができ、実質的に馬は荷物の運搬と兵の移動に用いて戦闘には（主力としては）用いないという日本以外の国ではあまり普及していない発想は、戦国時代まで遡れば騎馬に対抗する定石であったと言えなくもないわけです。　そういえば、以前、内藤新宿の由来に関して、天正18(1590)年に、家康の鷹狩りの供をしていた関東奉行の内藤清成が家康から”（１日の内に）馬で乗り回せただけの土地を与える”と言われて実際に馬を乗り回して手に入れた内藤氏の土地だから内藤新宿と後に呼ばれるようになったといった話を書いたことがあるのですが、実は、同じ時に他にも同じ条件で土地を入手した家臣がいたことになっています。　そんなにアバウトに土地を配分していたのか？と言いたくなる逸話ですが、もう一人は、青山忠成（ただなり）で、現在の東京の青山の地名の由来はその時に馬で駆けてもぎ取った土地から来ているそうですが、別の説では、青山の地名は青山街道に由来するとされていて、微妙～な部分もあるのですが、内藤新宿の由来がどうも実話ベースのようですから、青山もまた青山の土地を通っている街道だから青山街道という呼称が定着したと考えた方がいいのかもしれません。　もちろん、たまたま青山氏の土地になった場所に昔から青山街道が通っていた可能性もあるのですが、おそらく内藤氏と青山氏が家康からそういった奇抜な方法で土地を与えられたという話は当時かなり話題になったでしょうから、古くからの名称が”ナントカ街道というのは、あの、青山氏の土地を通っている街道”とかいった具合に言い換えられていってもさほど不思議でも無い気が私はしています。　この、１日（とか半日）と期限を切って、その時間内に馬で走った土地を与える話という話は、中国の古典に類似した話が無いわけでもないのですが、家康がそういった話を知っていてやってみたかったのか、後の講釈師がでっちあげた”お話”なのかは実のところ（今となっては）定かではなく、そもそも、どうやって走った範囲を特定できたのか？という肝心のところが謎で、家康も一緒に走ったのか？見届け人が何人か併走したのか？自己申告だったのか？謎の残るところではあります。　ちなみに、中国の古典などで散見される類似の話では、弓の名手に放った弓矢が届いた範囲の土地を与えるといった話で、この方式の場合は実際に与えても豪邸を建てればいっぱいいっぱいで、１ヘクタール（１００メートル×１００メートル）ももぎ取ればたいしたものでしょうから、報償として適当なサイズのような気がしないでもありません。　家康の晩年の逸話とされるものには、頓知話というか講釈師などが練りに練ったような逸話が多く、どこまでが本当でどこからが嘘か微妙～な気がしてくる話もあるのですが、ま、素直に話の面白さを楽しめばいいだけのことかもしれません（笑）。初出：一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第１７８話：(2011/08/02)

  2011.08.08

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• 戦国と鉄砲

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第１７３話　「戦国と鉄砲」　学校の授業では、日本に鉄砲（火縄銃）が伝来したのは天文１２（１５４３）年頃に葡萄牙人が雇った中国の交易船（ジャンク船）が薩摩(現・鹿児島県)の種子島に漂着したときとされ、１４代・領主の種子島時尭(ときたか：1528～1579）が購入した２挺からコピー生産することに成功していますが、２挺のうち１挺は種子島家でコピー品を造るために分解研究の対象となったというのは知られた話ですが、もう１挺は？というと、紀伊根来（ねごろ）の津田監物（つだけんもつ）に渡っています。　その辺り、当時、琉球貿易や南蛮貿易（フィリピン～マレーシア界隈）に向かう、現在の大阪～名古屋あたりを根拠地とする商人にとって、種子島を経由する航路は一種の定期航路になっていたようで、鉄砲のコピー生産の成功と量産開始の情報もそういった商人を通じてそれぞれの地元へもたらされたからこそ、津田監物がオリジナルの火縄銃の１挺を入手できたわけですが、種子島でコピーできたとすれば、他の製鉄業や金属加工が盛んな地域でも可能だったと考えられます。　となると、種子島時尭が余程の暗愚な君主でもなければ、津田監物にオリジナルの火縄銃を渡すことが何を意味するかは理解できていたと（私は）思いますが、堺の商人の橘屋又三郎らを通じて堺にも製造法が広まり、全国に普及していくことになります。　初期には、堺鉄砲鍛冶や薩摩鉄砲鍛冶、1617年に江戸幕府の御用鍛冶職に上り詰めた近江国坂田郡国友村（現・長浜市）の国友鉄砲鍛冶など、特産品として火縄銃生産に特化する鉄砲鍛冶職人や鉄砲産地が形成されていったのは御存知の通り。　では、肝心の種子島が南九州の鉄砲産業の拠点となったか？というとさにあらず、種子島銃の製造法は伝来から１０年ほど経過した１５５３年頃には、九州だと、鹿児島の坊津(ぼうのつ)、長崎の平戸（ひらど）、大分の豊後(ぶんご)などに広まって鉄砲産地が形成されていて、戦国時代末期には、近江の国友、同じく日野、紀州の根来（1585年に秀吉に攻められ壊滅）、和泉の堺などなど、各地に専門の鉄砲鍛冶（産業）が興って、戦国大名の多くが保護育成しています。　しかしながら、鉄砲の先進地の多くが、海外との交易港であることから種子島に鉄砲が伝来する以前に火縄銃が渡来していた可能性が高く、火縄銃というカテゴリーで考えると既に輸入されていた可能性が高かったりします。　つまり、種子島銃は、葡萄牙語でエスピンガルダ、英語でアーキバスと呼ばれるタイプの国産コピー品にすぎないわけで、コピー元になったエスピンガルダかどうかはともかく、少なくとも1543年以前に、いわゆる”南蛮筒”に遭遇して国内に持ち込んでいた記録があり、種子島でコピー製造を模索していた時間帯の、１５４２年に周防の大内氏が尼子氏を攻めたときの記録に、尼子側が鉄砲２０挺で応戦していて、大内氏側に損害が出たという記録が、おそらく、日本国内の合戦で鉄砲が使用された最初の記録事例と考えられます。　となると、実戦に投入しないまでも少数の火縄銃を輸入していたり、個人で１挺程度の輸入品や略奪品の類を使っていたとなるとさらに時代を遡る可能性が高くなり、南蛮貿易に従事しているような連中にとっては、火縄銃は種子島以前から注目商品になっていたのではないか？と考えることはそれほど突拍子もない話ではないと（私は）思います。　では、なぜ火縄銃＝種子島（銃）と呼ばれるようになったのか？というと、これはやはり輸入品は高かったからとしか言いようが無いのですが、ちなみに、種子島時尭が購入した２挺の火縄銃に支払った対価は金２０００両とされていますから、実際にはシンガポール辺りの相場ではそれほどの高値では無かったとしても、それほど市場に潤沢に出回っていなかったか、気軽に購入できる価格帯では無かったのではなかろうか？　その辺りは謎としておくとしても、伝来して６年後の1549年の”薩摩黒川崎の戦”で島津貴久（しまづたかひさ）の軍勢に対して肝付氏方が鉄砲を使っていて、島津貴久も大隈攻めで鉄砲を使っていますいから、やられたらやりかえすという次元で初期の鉄砲が普及していった気がしないでもありません。　その後、1550年の畿内というか京都の市街戦で細川晴元の軍勢が三好長慶の軍勢に種子島銃を発砲した記録が”言継卿日記”に残っていますから、国産化の成功と大量生産によって本格的な普及が始まったと考えられますが、さらに５年後の弘治２（1555）年の川中島の第２回合戦の時には、武田信玄が３００挺の鉄砲を信濃の旭山に用意していますから、とんでもないスピードで普及していたと言えます。　ちなみに、千挺を越える単位で鉄砲が合戦に投入された記録といえば、織田信長が元亀元（1570）年に摂津の野田・福島城を攻めたときになるようで、紀州からの増援が３千挺の鉄砲を担いできたようで、双方で銃撃戦が繰り広げられていることから全体では少なく見積もっても４～５千挺程度の鉄砲が投入されていた可能性があります　・・・　種子島に鉄砲が伝来して３０年も経過していませんが。　さすがに、この頃になってもまだ”種子島って何？”と言っているようでは時流に乗り遅れているとしか言いようが無いのですが、日本刀の産地としても知られる肥前（佐賀県）、備前（岡山県）、米沢（山形県）、仙台（宮城県）といったやや後発の地域でも鉄砲生産が本格化していくことになります。　産地が増えてくると、火縄銃も独自の進化というか分化をするようになり、その区分も産地ごとで微妙～に違っているのですが、例えば、代表的な国友鉄砲の場合だと、・　細筒：六匁玉の口径（約15.8ミリ）以下。・　大筒：五十匁玉の口径（33ミリ）以上。・　中筒：細筒と大筒の間の口径。と区分するのが一般的で、多く造られ実戦に投入されたのは中筒クラスだったようです。　ちなみに、馬上筒という騎兵が馬に乗った状態で使用するために全体（銃身や銃床など）を短めに造ったモデルもあるのですが、連発ができない先込め式の火縄銃であることを考えれば、実戦というより競技用に進化したと考えた方がよさそうです。　なお、口径といいながら、さらりと匁（もんめ）と書いたのですが、匁は御存知のように重量の単位ですから、その重量の鉛を溶かして製造した弾丸の直径がだいたい口径になっていると考えておいて下さい　・・・　ちなみに、鉛玉の作り方は、一定の量の鉛を溶かし、それを高いところから落とすと球状になり、下に水を張っておくことで一気に冷却して形を固定する方法で量産した地域が多いようです。　他の区分だと、・　小筒：二匁半～三匁五分程度の玉。威力が低いものの安価で、雑兵クラスにも支給された。・　中筒 ：六匁程度の玉。小筒級の鉄砲に対応した当世具足や竹束の盾などの防御が普及した結果、用いられるようになっていくが、やや高価なことから主人持ちの足軽クラスに支給された。・　士筒（さむらいづつ）：十匁程度。銃身が長く威力も強いが、高価なため支給される武士も一定の階級以上ということが多かったようです。・　大鉄砲： 二十～三十匁以上の玉。百匁クラスのものも存在する。通常の弾丸の他に焙烙火矢などを射出でき、攻城戦・海戦で用いられた小型の大砲と書いても過言ではない。　火縄銃の定義を、黒色火薬を使用するライフリングのない滑腔銃身の銃とすれば、大鉄砲も含まれるのですが、大鉄砲、大筒、石火矢が明確に区分されていないあたりで、大鉄砲クラスになると、火縄銃とは別枠のカテゴリーにした方がいいのかもしれません。　いずれにしても、滑腔銃身で、柔らかい鉛の弾丸（ソフトポイント弾）を撃ち出せば、貫通力こそ銅などで被覆したフルメタルジャケット弾に劣りますが、殺傷能力に関しては的に衝突した衝撃などで鉛がちぎれやすこともあって、上になります。　ライフリングを銃身に切っていないことで、射程距離が延びず、直進性に劣るものの、２５メートル程度の近距離での殺傷能力や破壊力は現代の散弾銃を（玉のサイズにもよりますが）凌駕するかなり物騒な代物で、”ブラックラグーン”においてロベルタがフリントロック式の先込め銃を使用したのも絵空事とは言い切れないところがあります。　これまた、どのような玉を使ったのかにもよるのですが、戦国時代の一般的な足軽向けの具足（鎧ですな）を火縄銃で実際に撃ってみると、装甲が厚い胴体正面部分に直撃を受けると、その衝撃で鉛玉は分裂し、散弾状態になるものの、背中側の鋼板まで貫通するようです　・・・　ま、だいだい即死と考えていいのではないかと。　火縄銃の射撃の要領として、胴の中心を狙うのが基本で、相手の目の白黒が見える位まで引き寄せて撃つとしている流派が多いようですが、一度発射してから再装填して次玉を発射するまで、熟練兵士で一分間に四射くらいできたようです。　黒色火薬を使っている関係で、１発撃つと銃腔などにカーボン（煤）がこびり付き、その量が多くなると弾が入らなくなるため、専用の杖の先に水に湿らせた布を巻き付けたもので拭って洗浄する必要があり、これは、無煙火薬などに火薬が改良され銃の構造などが変わった後も、完全には無くなっていない弱点といえば弱点になります。　種子島銃の場合、７発程度の連射で清掃が必要になるとする流派が多く、銃膣などが狭くなるのならそれに併せて玉の方を小さくすればいいという”劣り玉”を採用した流派もあるのですが、その場合も１０数発が限度になるようで、現在主流の銃と比べるのも可哀想な話になります。　念のために、匁（もんめ）に関して少し補足しておくと、１匁は明治24（1891）年に公布された度量衡法で”3.75グラム”とされ、ちょうど５円玉の重量が該当しています。　この単位の名称が”匁”になったのは明治時代以降で、それまでは”銭（せん）”と呼ばれていたのですが、その由来は、１文銭の重さで、一文銭の目方ということから”文目（もんめ）”という呼称が普及したわけですが、更に遡れば、唐代の銭貨１０枚の質量が１両という基準でつくられています。　日本では、１匁の千倍が貫（かん）、１０倍が両（りょう）とされ、逆に１０分の１が1分（ふん）、百分の１を厘（りん）、千分の１を毛（もう）としていたのですが、今となっては昔の話になってしまったかもしれません（笑）。参考ＵＲＬ：日本銀行金融研究所貨幣博物館：http://www.imes.boj.or.jp/cm/htmls/index.htm初出：一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第１７３話：(2011/07/27)

  2011.08.02

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• 気象兵器概論

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第１０１話　「気象兵器概論」　世界の大量殺戮兵器の主流は既に核兵器から気象兵器へとシフトしているという噂があり、中でも亜米利加と中国の軍事バランスが危うくなっていると話が続くことがままあるようです。　少なくとも、核兵器が主力兵器にはなりえないことは、冷戦時の代理戦争の結果に象徴されているわけですが、戦術核兵器レベルであっても、大気中で使用した際にまき散らされる放射性物質や、巻き上げられる地表の微粒子の問題が、ある意味で自爆兵器の性質を持っていることを意味しています。　その意味で、使いたくても気軽には（少なくとも自国の領土の側では）使えない兵器が核兵器なわけですが、ダーティボムと呼ばれる、従来の核兵器では重視されていた熱や衝撃波、中性子線などによる破壊ではなく、放射性物質による広域汚染を主目的とした爆発しない核兵器とでもいったジャンルが登場することになります。　視点を変えれば、焦土兵器なわけで、仮に敵に占領されたとしても、大量の放射性物質で汚染されていれば占拠する意味が無いというか、占拠することで生じるメリットよりもリスクの方が高くなるものの、使ってしまえば、”誰も利用できない広大な土地”が数万年単位で広がることになりますから、これもまた自滅兵器の一種と言えます。　チェルノブイリ原発事故が発生するまでは、核兵器を利用したことによって生じる放射能汚染や、いわゆる核の冬に象徴される環境への影響が具体性を帯びるようになり、2011年に発生した日本の福島原発事故に至ってはダーティボムの爆発と大差が無い状況になってきているのは御存知の通り。　いずれにしても、核が絡むと、核兵器にしろ原子力発電にしろ、放射性物質の拡散が止められなければ、前述したように拡散の中心地から次第に焦土と化していくわけで、それも（現在の技術では）回復させようとしても数万年単位の放射性物質の半減期が立ちふさがることになります。　それはともかく、核兵器が気軽に利用できないとなると、通常戦力で戦争するしか無くなるのですが、それだと経済的な負担が大きくなり、国際経済も破綻しかねないということで、研究開発が進んだのが気象兵器の分野とされ、その基本技術は米ソ冷戦時代に既に研究が始まっていたという噂があります。　米ソ冷戦時代に、亜米利加がソ連の穀物の予想収穫量を計算して、その一部を公表していたのは昔の話になりますが、人工衛星から赤外線写真を撮影することで、植物の生育状態を判定し、過去のデータを参考にしながら作柄を予測したのが始まりという説もあるのですが、ま、軍事機密も絡む分野だけに噂の域を出ないところがあります。　もちろん、主要な農作物の生育データと人工衛星からの観測データをマッチングさせていけばいくほど、予測の精度が向上していくでしょうし、スパコンが高度化し、その年の気象の長期予報と連動させれば、最終的な予想収穫量との誤差も小さくなっていくことが予測されます　・・・　一応、私は20年くらい昔に新技術の導入ということで人工衛星を利用した米の作況調査を提案したことがあります（笑）。　が、少なくとも、私が在職中には議題にされることも無かったのですが（笑）、他の人工衛星絡みの新規技術開発だとＧＰＳと連動した無人トラクターによる耕作実験とかには人気がありましたが、逆に、私は”トラクターを運転できる人はたくさんいるじゃん？”ということもあって、まったく興味がありませんでした（大笑）。　話を戻すと、米ソ冷戦時代から、敵国の食糧生産に壊滅的な打撃を与えることで国力を弱体化させたり、政権を転覆させることが出来ないか？という研究がさまざまな国で進められていたのは実話だそうで、遺伝子組み替え植物に拒否感を示す国が多い理由の一つを当時の研究結果に求める説もあるくらいですが、確かに、軍事力でねじ伏せるよりも、エネルギーと食糧を支配することで他国を系列化していく方が効率的です。　また、そのために気象兵器を利用するとしても、当初はそのリスクが軽視されていたようで、実際にある程度の成果が出るようになってから、”可能ではあっても実用的ではない”という結論に到達した国や組織が多かったのではないか？と勘ぐるのに足りる状況証拠が幾つか知られています。　つまり、”エルニーニョ現象”で総ての異常気象が解説できるかのような報道傾向になり始めた頃から話は始まっていたというか、そういった論調が初期の気象兵器の実験の副産物であったという都市伝説にやっとここで繋がるのですが（笑）、気象を人為的に変動させた場合、予測不能な変化が生じる　・・・　ある意味でバタフライエフェクトが現実となる事態に直面したわけです。　例えば、従来は年に数ミリ程度の雨しか降らないような地域に、１日に数十ミリの雨を降らせただけでも、最終的にどこぞの低湿地帯に巨大な台風が上陸し壊滅的な被害を与えかねないリスクが指摘され、実際、それなりの連動が観測されたことで実験が中断されたという噂もあるのですが、核兵器の開発実験が凍結された余波で、シミュレーションの分野にも新規業務開拓が必要で、単なる客寄せのシミュレーションに過ぎないという噂もありますが。　なお、広い意味では地震兵器も気象兵器に入るのですが、こちらはニコラ・テスラ（1857～1943）の人工地震発生実験がベースになっているというのが定説で、それ故に、テスラの実験データを独占することに成功した亜米利加政府が独占し先行している　・・・　と話が続く事が多いようです。　ちなみに、テスラはクロアティア生れで米国に帰化した異端の電気技術者として知られ、プラハ大学を出て1884年渡米し、エジソンの研究所に勤めたものの1887年にはエジソンとの対立もあって独立し電気会社を創立し、従来主流だったエジソンの直流電流技術に対して、交流電流技術の優位性を主張し、1895年にはナイアガラ滝で彼の設計による交流発電機を用いて10万馬力以上の発電・送電に成功してみせて、交流の勝利を決定的にしています。　天才肌で異端の技術者とは言うものの、テスラコイルやテスラ（単位）など現在でも使われている技術や単位に名を残していることからも分かるように、技術者としてはエジソンよりもかなり優秀で、優秀であるが故にエジソンに疎まれ政治的に抹殺されたのですが、極貧といって良い状態で彼が死ぬと、その直後にＦＢＩを名乗る一団が彼の住居に押し入り、主立った研究資料などをいずこともなく持ち去ったというのは実話です。　問題は、ＦＢＩなどの公式記録にそういった活動が記録されていないことで、結果的に、テスラの晩年の記録が闇の中に消えているのですが、テスラが桑港界隈で人工地震を発生させることに成功したというのは定説だけに、それから半世紀ほど経過し、周辺技術が劇的に進化していったことを考えるとき、地震兵器の一つの完成形としてハープ計画が指摘されるのは意味深といえば意味深かなと。　これに対して、中国の気象兵器は、オーソドックスといえばオーソドックスな大気中にヨウ化銀など、雨の芯になる微粒子を高空で散布し、それに大気中の水蒸気が着低することで雨粒が形成され、下層では降雨となるといった人工降雨実験から話が始まっているという説があるのですが、これまた軍事機密の壁の向こうの話なので噂の域を出ません。　しかしながら、世界が驚いたのが、北京オリンピックのときに、中国がオリンピック会場を快晴の状態にするために気象兵器を投入して、一つの農村集落がその余波で壊滅したという噂もありますが、事前の天気予報（というか予測）を覆して快晴を実現してみせたことで、それ以降、国家レベルの行事で快晴が望ましいときにはしばしば用いられているようですが、その反動として異常気象が頻発するようになったという噂もあります。　余波を含む完全な制御が不能という点では、地震兵器も大差が無いのかもしれませんが、そもそも地震発生が予知できない技術レベルで人工地震が発生させられるのか？というあたりが素朴な疑問としてあるのですが、これまた幾つかの点で米軍が既に実用化していると指摘する先進国には多く、逆に、そういった兵器が存在しないとする日本死府の方が少数派になっているのですが、その辺りは、海外のニュースサイトなどをまめに閲覧していれば分かる話ですから以下略。　ちなみに、日本の某国会議員が公式の場でハープ計画の一環で東北関東大震災が発生したといった主旨の発言をしてマスコミなどから袋叩きにされていましたが、仮に、亜米利加がハープを発動させた結果として東北関東大震災が発生したとしても、その後の原発事故の拡大や災害復旧の停滞の責任は日本政府の不手際にあるのは確かな話で、仮に事前に亜米利加が幾つかのパターンでシミュレートしていたとしても、その最悪のシナリオより日本政府の対応は悪かったのではなかろうか？　気象兵器に関して言えば、狙った結果が出せる程度には精度が向上しているとしても、そこに予想外のオマケがついてくるリスクを考えると、そうそう気軽に使うわけにもいかなくなってきているのではないか？という気がしますが、核兵器や原発事故と違って、余波で災害が発生してもその復旧にだけ対応すれば放射性物質の拡散のような致命的な問題が生じない分、使いやすいといえば使いやすいのかもしれません。　日本の気象兵器の水準ということでは、西日本などで夏場の渇水期にダムの水が枯渇する問題が解決されていないことで実証されているように、少なくとも世界の最先端といは言い難い水準のまま推移しているようで、地震兵器に関しては、東北関東大震災のような大規模地震でさえ事前に予測できなかったあたりで、その技術水準は押して知るべきではなかろうか？　もっとも、東北関東大震災が自然に発生した地震としては奇妙な前兆現象が観測されていることも事実なのですが、その辺りを詳しく書いてしまうと（中略）なので、”いずれにしても、生データを見たわけでもないですし、噂の域を出ませんよ。なにしろここは怪しい話ですからね～。あっはっは～。”ということで幕とします。初出：一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第１０１話：(2011/05/04)

  2011.05.10

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• 菊水作戦の裏

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第０９６話　「菊水作戦の裏」　大東亜戦争を分析していて、世間一般の定説と異なる結論に達することは珍しく無いのですが、調べるほどに疑問となるのは、”海軍は本気で戦争をしていたのか？”ということだったりします。　例えば、そもそもの当時の対米戦争の基本戦略として、亜米利加海軍の艦艇は西海岸から太平洋を横断するコースを選択する確率が高く、東海岸から大西洋、印度洋を経て日本へ到達するコースを選択する確率は低いということがあり、それを前提に何十年もかけて軍の整備をしてきていたわけです。　具体的には、太平洋側から接近してくる場合でも、印度洋側から接近してくる場合でも、途中の島嶼部を要塞化し、小刻みな攻撃を繰り返して本土に近づくまでに兵力を徐々に削ぎ落としておいてから、戦艦や空母を投入した艦隊戦を行って雌雄を決する戦略が前提だったということです。　そういった戦略が前提にあったからこそ、主砲の口径が４６センチの大和や武蔵に代表される史上最大規模の大艦巨砲の戦艦を製造し運用していたわけですし、長門や陸奥といった主砲の口径が４０センチ級の戦艦が旗艦だった時代から戦艦の保有量に国際的な制限が軍縮会議の名の下に加えられたのは御存知の通り。　一般論として城を攻め落とす場合、余程、武器や将兵の質に差が無い限り、城を陥落させるには守る側の戦力の３倍以上を投入する必要があることが経験的に知られているのですが、逆に言えば、劣勢の兵力で物量にまさる相手に対して積極策を採用すれば戦力の削り合いの末、先に消耗してしまい、自滅しか待っていないとも言えます。　しばしば、真珠湾攻撃を奇襲と表現することがあるのですが、なぜか、”真珠湾（の米艦隊）を奇襲する”という戦略はその数ヶ月前の夏の頃から民間にも漏れていたというか、新聞などでさえその可能性を検証しているくらいですから、亜米利加の諜報網がその可能性まで無視していたとも思えません　・・・　ダブルスパイや内通者は何時の時代にもいるわけですし。　別の視点では、真珠湾の奇襲に成功し、当方の損害が軽微で、ハワイの主力艦艇と航空戦力の大半を撃破できた場合は、ハワイに上陸して橋頭堡として活用しなければ、単に艦艇にダメージを与えましたというだけの話で、戦略的にはほとんど意味が無いだけに、従来の削り落とし戦略を放棄してまで行う必要があった攻撃とも思えません。　もちろん、外務省の亜米利加に対する宣戦布告に関するサボタージュ活動が海軍の”真珠湾の戦力を一瞬で壊滅させて戦意を砕いて早期に和平へ持ち込む”という戦略を破綻させたという説のような解釈も可能ですが、その場合でも、ハワイを占領していれば、ハワイを返還することで有利に講和へ持ち込む事ができたのではないかと。　敵の空母が湾内にいなかったから被害が軽微な内に引き上げたというのも詭弁で、その米空母部隊が帰途に就いた日本海軍に対して送り狼になる可能性もあれば、たまたま帰途の途中で遭遇戦に陥る可能性もあるだけに、撃沈される心配が無いハワイの島嶼部へ上陸して居座り、米軍のハワイの地上にある滑走路や備蓄されていた燃料も利用すればいいだけのことです。　兵力的には、真珠湾の奇襲攻撃に参加した部隊だけでも地上制圧と米軍基地の占拠と設備の利用というのは可能で、上陸して占拠しないのなら、備蓄燃料タンクの破壊を行うべきという指摘と、その為の作戦行動を下すように現地で既に要求が出ていたようですし、真珠湾攻撃が一か八かの奇襲だったとすれば、兵力温存は無意味ではないかと。　あの段階でハワイの占拠に成功していれば、そこで給油して亜米利加西海岸を大艦隊で攻撃することも可能になるわけで、西海岸から上陸して大陸横断鉄道やハイウエイを利用して東進し、首都の華盛頓を陥落させることもあながち絵空事ではなくなるわけですが、流石にハワイという補給の中継点無しに西海岸を攻撃して上陸する事は難しい戦略になります。　仮に西海岸への上陸が現実味を帯びた場合、中国大陸に展開していた陸軍の戦力を振り替えて投入する必要も出てきますから、中国やインドシナから印度にかけての戦略的に無意味な広域展開戦も押さえられただけに、”なぜそうしなかったのか？”というか”何がやりたかったのか？”がハワイ攻撃に関する（私にとっては）謎です。　ハワイ攻撃が必要だったのかどうかはともかく、一応、南洋の石油などの資源を確保し、戦争継続を可能とするという初期の名目もあったのですが、それも英吉利海軍が亜細亜に展開していた艦艇の主戦力を撃破した段階で南方の油田地帯を押さえて防御陣地を強化すれば、他に戦力らしい戦力は無かっただけに、いたずらに南方戦線を拡大し、戦略的には有害なことをした理由がよくわかりません。　いずれにしても、戦争継続に必要な資源の確保という基本戦略を無視して、補給能力を越えた戦線拡大を行ってでも上層部ほど、大戦果を挙げた同僚などに対抗して自分も手柄を立てたがっただけのように思われてくるのですが、補給線が延びきったあたりで相手側の反転攻勢で進軍が止められてしまっただけに、英吉利本土を攻撃する気が無いのなら、印度を確保する戦略的な意味も無かったりします。　手持ちの石油備蓄などが限られているから、石油備蓄に少しでもゆとりがある間に亜米利加との戦争を始めるとしていながら、不思議なくらいインドネシア界隈の油田地帯の確保を行わない不思議もあるわけで、それこそ大和や武蔵をインドネシア界隈の守備の中核として貼り付けて、地上基地に防空戦闘機部隊を配置して守りの布陣にしておけば良かったのではないかと。　その場合も、ハワイを占領して、そこに長門など主砲４０センチ級の戦艦を４～６隻、空母を２～３隻配置し、陸上基地にせっせと零戦など戦闘機を主体とした航空戦力を増強させていけば、米軍がどちらか一方に主戦力を向かわせることはかなり難しくなるわけです。　艦艇を撃沈し、航空機を撃墜したところで、亜米利加の工業生産能力を考えれば、時間が経過すれば盛り返されるのは必至なだけに、”いかに早い段階で有利な条件で講和へ漕ぎ着けるか？”を考えるべきではなかろうか？　それでも、当初は勝ちに奢った判断ミスという言い訳が可能としても、明らかに敗戦が濃厚となった時間帯に菊水作戦を決行したのは無意味を通り越して、政治家や軍上層部の保身に過ぎない計画的な犯罪行為ではないかという気がするわけです。　御存知のように、日本には石油資源がほとんど存在しませんから、インドネシア界隈の油田地帯の側に艦隊の主力を置かない限り、満足な作戦行動がとれなくなるのは時間の問題だったのに、なぜか主力艦隊を日本近海に留め続け、南洋に拠点とする母港や大本営の類を移すことは行われていません。　結果的に、戦線が拡大すればするほど、内地と最前線までを往復する石油の消費量の増大に直結し、かといって油田地帯を死守するために陸軍や海軍の兵力を重点配備せずに戦略的には無意味というより、日本の国力からすれば有害な、印度方面への戦線拡大を行ったわけです。　時は流れて、相手の反転攻勢が始まり、次第に押し戻されてくるわけですが、”どこまで押し戻されれば講和に着手するのか？”がどうも決まっていなかったようで、いわゆる大東亜共栄圏の内側にまで押し込まれても一向に戦争終結に動こうとしていません。　押し戻されればされるほど、戦争終結へ向けて講和会議を行うにしても、テーブルに載せる材料が減っていくだけに、南方戦線で玉砕が頻発するようになった段階で、戦争を継続する戦略的な意味が既に無いわけですが、そうなると、”敗戦の責任を誰がとるのか？”が現実問題になるわけです。　大東亜戦争の末期の1945/04/01に、米軍はアイスバーグ作戦（沖縄上陸作戦）を開始し、それに対抗して日本側が行ったのが菊水作戦ですが、第１次作戦の、戦艦大和を中心に、軽巡洋艦１、駆逐艦７による海上特攻が有名ですが、後の宇宙戦艦ヤマトなどで広まった”片道だけの燃料”ということはなく、それこそ”それはあまりに酷い”という現場の判断で”往復の燃料”が給油されています。　逆に言えば、軍の上層部は片道の燃料で作戦行動を実施させ、戦略的に無意味な作戦で約２５００名の乗員を死なせて平気だったということですが、実は、大和と軽巡（矢矧）、駆逐艦（磯風、浜風、朝霜）が撃沈された後も、菊水作戦は航空機による特攻を主に続行され、戦争終結までの時間を考えると、若い衆をあまりに無意味に戦死させています。　菊水作戦で奇妙なことは、大和は投入しても長門は戦後まで温存したことで、燃料の問題ならば軽巡や駆逐艦の燃料を使うか、大和の帰途の分の燃料を長門に使えば良かっただけに、あの段階で、なぜその後の菊水作戦にも投入せず出し惜しみをしたのかが良く分かりませんし、結局、長門が戦後は米軍の核実験の標的艦にされて沈んだことを考えれば、菊水作戦に裏の意味があったのではないのか？という気がしてくるわけです。　その後の日本でも、何度と無く、上層部の無能な作戦や指示で現場に多数の犠牲が生じる事があり、民間人にまで不要で無意味な犠牲が生じているのは御存知の通りですが、それはそれで、日本の中堅どころから下層階級にかけては大東亜戦争の戦訓から何も学んでいないという気もしてくるわけです。　過去の事例からすれば、上層部が”一丸となって”とか言い出すときは、自分たちが責任を取る気がないことを婉曲に表現していることが多いとかいったことですが、なぜか下々の者は、その犠牲を伴うことが多い”一丸”に上層部も含まれると考えがちで、ほとんどの場合、事態が落ち着いた頃になって”あれ？”とか”え～！”といった”上層部関係者は例外扱い”になっていることに気が付く事例が多かったりします。 初出：一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第０９６話：（2011/04/28）

  2011.05.04

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• ネットのデマ

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第０７４話　「ネットのデマ」　ネットなどで「被災地で強盗や性犯罪が多発している」といったデマが口頭やネットなどで飛び交っているとされる問題で、警察庁は2011/04/01に、３月３１日までに把握したネット上のデマ２４件の削除をサイト管理者に依頼したことを公表しています。　ちなみに、警察庁は2011/03/17から民間業者に委託してネットチェックを強化していて、特に悪質なものは摘発を検討するともしているのですが、そもそも、（これを書いている時点で）まだまだ混乱が続いている被災地で、それがデマかどうかどうやって判定したのか、その判定方法や基準までは公表されていません。　その辺りが明確にされないと、公的な権力が自分たちにとって不利な情報を”デマ”として意図的に抹消しているのではないか？という疑惑も出てくるだけに、”どうしてその情報がデマだと断定できたのかという客観的な理由とそれを裏付ける証拠”も併せて公表すべきではないかと。　少なくとも、”我々がデマだと思ったから”という程度の理由で、公権力が一定の情報を一定の恣意の元に排斥しているとすれば、どちらかといえば（そもそもネット上に個人レベルで発信されている情報を信じるかどうかは自己責任ですから）、不正確な情報発信より問題がある行為だと私は思います。　実際、そうした措置を強行している根拠らしきものの一つと考えられる、警察庁のアナウンスによると、”震災後、岩手、宮城、福島の３県の被災地では、強盗、強制わいせつといった被害の届け出は一件もない”というアナウンスも同時に流されたのですが、となると、新聞やＴＶで既に報道された内容は”やらせ”なのか？ということにもなります。　例えば、今回の東北関東大震災の被災地のコンビニなどの小売店の中には、施錠されて無人になっている店舗にガラスを割って侵入されて、店内から金銭を払うことなく物品などが持ち出されている現場の写真や映像の類を私たちは既に目にしているわけで、ガラスを割って店舗に無断で侵入して金を払わずに物品を持ち去る行為は、空き巣の類だから窃盗や強盗ではないという言葉の遊びに近い話なのでしょうか？　或いは、現場で取材していたＴＶ局のクルーや記者などがそうした盗難の現場に遭遇したものの、犯罪行為を止められなかったといった話もフィクションなのでしょうか？　ちなみに、警察庁のコメントとしては、”阪神大震災や中越沖地震などの発生直後は犯罪全般が減少しており、今回も同様の傾向にある”ということなのですが、少なくとも、阪神大震災の直後に被災地で警察組織が通常のように機能していたと主張するのは警察関係者くらいのもので、発生直後に犯罪が減少していたのか、発生直後に警察活動が機能不全に陥っていて把握できていないのかは意見が分かれるところではないかと（わずかながらでも当時を知る私はですが）思います。　もっとも、東北関東大震災に関して言えば、前述した盗難被害にあったコンビニなどに対して、”自分の店は自分で自衛する必要がある”といった旨の発言をしていた地元の某公務員もいましたが、そもそも、警察に届け出たら捜査して逮捕できる状況でしょうか？記憶が確かなら、震災の影響で証拠や証言を得るのが困難な事と被疑者の安全を保証できないことなどを主な理由にして既に逮捕されていた被疑者を検察が釈放した事例もあったと思いますが？　平時に逮捕されていた被疑者さえ釈放される現場で、現在進行形の犯罪に関しては逮捕し有罪にできる能力があると言われても、或いは警察署や交番の中には地震や津波被害で深刻なダメージを受けている地域もあれば、現場の警察官が地震や津波のために消息不明になっていた地域もあるわけですから、素直に首肯しろという方が無理ではないかと。　そもそも、犯罪に遭遇して、１１０番通報しようとしても電話が通じず、道路が瓦礫で塞がったり崩壊していて自動車などで移動する事が事実上不可能だった地域で犯罪が発生していた場合、どうやって警察は情報を把握して現地に出向いて対応できたというのでしょうか？通報の有無と実際に犯罪が発生していたかどうかだけでも、その間にはかなりのギャップがあると考えないのならば、そちらの方が私には問題があると思いますが？　微妙なのが警察庁のアナウンスの表現で、官僚答弁の典型といえば典型のような気がしますが、特定の犯罪行為に関して”被害届は一件もない”とはしていても、”実際に犯罪が一件も発生してない”とは言っていないあたり、それはそれで”どんなもんかな～”という気がしますが、いずれにしても被災地の治安維持は警察の仕事なわけです　・・・　物理的に可能ならばですが。　そもそも論で言えば、日本政府のアナウンスに対して諸外国の政府や組織までがイライラして”意図的な情報隠し”を疑う人が増加しているのですが、日本政府のアナウンスに関しては”大本営発表”と似ているという声が国内からさえ出始めていたりもします。　その点で、興味深いのは、水素爆発で建屋が崩れたりしていた頃に、”再臨界”が起こっていたのに国民にはそうした状況が知らされていなかったのではないか？という疑惑に繋がる、観測データや物証などに基づいた海外の原子力関連の専門家筋からの指摘があるのは比較的知られた話になってきています。　仮に”あの時”に再臨界が局所的に発生するか発生しかねない状況になっていたとすれば、その情報を公式にアナウンスしなかったのは、数千万人の命に関わるかなり重大な犯罪行為と言われても仕方がないとも思いますし、そういった意味で、デマを流すことの問題性よりも、民主国家の公権力が意図的に情報を隠匿し封鎖することの方がよほど問題がある行為だと私は思います。　或いは、”自主避難を促す”という自主的に判断していいのか？政府が促しているのか？意味不明で奇妙な言い回しをして姑息な責任回避をしていると受け止められかねない政府の姿勢もあるわけです　・・・　デマの定義が不正確で不明瞭な情報ということなら、政府の公式アナウンスも少なからず該当する気がしてきていますが気のせいでしょうか？　東北関東大震災に関する政府のアナウンスで目に付くのは、政府のアナウンスが”大東亜戦争中の大本営発表”に近い信憑性しかない気がしてくる曖昧さと不正確さで、観測データなどが公表されなかったり、そもそも諸外国なら即座に観測して公表するような放射線や放射性物質絡みの観測データがそもそも観測されずに放置されていた（とされている）ことではないかとも思います　・・・　痺れを切らしたのか米国は早い段階で無人観測機を飛ばして放射線や放射性物質関連の情報を収集していますが、自衛隊などは自前の移動式の観測システムを所有していなかったのでしょうか？　また、福島県天栄村産の牛のもも肉から食品衛生法の暫定規制値を超える放射性物質（セシュウム）が高濃度で検出された（2011/03/31）という公式アナウンスがされ、翌日になると”そういった汚染は存在しなかった”（厚生労働省）という訂正アナウンスが流れたわけですが、この案件では３１日の検査では、”もも肉から規制値を１０ベクレル上回る５１０ベクレルのセシウムが検出された”とされたものが翌日になると”同一個体のもも肉とサーロインを改めて検査したら、ヨウ素131、セシウムのいずれも検出されなかった”とされたわけです。　この案件に関して厚生労働省は”検査過程を検証中”としていますが、なんらかの政治的な圧力があって”無かったこと”にしたのではないか？という疑惑が囁かれても仕方がない事態の推移で、これはもう日本政府とは一線を画しているＩＡＥＡなど海外の機関によって複数の宮城県産の牛の肉を何週間か連続して検査し、その情報を公開しない限り払拭されない疑惑になったのではなかろうか？　最初のアナウンスが誤報だとすれば、政府がデマを流したことになり、翌日のアナウンスが虚偽だとすれば、政府が情報を隠蔽しようとしたことになるだけに、これはもう外部の第三者の情報で判断するしか日本国民には検証ができない状況に陥っているとしか言いようが無いわけです。　この外部の測定データに基づく指摘と日本政府のアナウンスの乖離の一つの象徴になっているのが、福島第１原発から約４０キロ離れた福島県飯舘村の避難に関する助言で、 国際原子力機関（IAEA）は、飯舘村の土壌から、IAEAの避難基準の約２倍にあたる放射性物質のベクレル量を検出したことから日本政府に対して避難させるように助言（というか事実上の勧告を）したのに対して、日本政府は「直ちに健康へ影響するものではない」とか、「人体への影響については、（日本当局の方が）より正確な値」として避難させていません。　もっとも、原発から半径４０キロの地域も人の居住に問題がある濃度で放射性物質の汚染が進んでいる地域があるとなると、では他の地域は？という連鎖が当然のように生じるでしょうし、そもそも、政府が３０キロ圏内くらいまでしか対象としていないことも問題になるのは必至な状況下だけに、果たしてどちらのアナウンスを信じる人が多いか？ということになっていくのかもしれません。　不思議なのが、現在進行形で汚染域が拡大している状況なのに、震災被害地の復興とか、その財源としての増税や新たな政府組織などの新設には熱心な国会議員達が、飯舘村に限らず自らが”直ちに健康へ影響するものではない”としている地域を（これを書いている時点では）公式に訪問して現地の不安を払拭することはせずにいるわけで、事ここに至っても、亜米利加の大統領だと恐らくやるであろう定期的な国民に対しての演説というか呼びかけを某国の総理大臣は行おうとせず、偶に思い出したようにしか出てこないでいる現実もあるわけです。　かなり早い段階で亜米利加政府が在日アメリカ人に対して半径８０キロ圏内からの退避を勧告し、他の国も同様の指示をしているのは御存知の通りで、”自国民の保護”という観点から比較した場合、既に日本政府の判断基準が国際的な標準の１／２以下の安全マージンしか見込んで無いんじゃないかという疑惑が生まれる根拠にもなっているのではなかろうか？　それとも、亜米利加政府などの８０キロ圏内からの退避という判断やその観測データなどがデマの類とでも言うのだろうか？　少なくとも、後になって大量の犠牲者が出てから”遺憾でした”とか”因果関係は不明”で済まされたのではたまったものではない案件だけに、もうそろそろ迷走というより雲隠れして後手後手に回っている上にパフォーマンスには意外と熱心な某総理大臣を退陣させて、臨時救国体制へ移行しないと回避可能な犠牲が現在進行形で増えているのではないのか？と考えてしまうくらい、政府の公式アナウンスの信憑性が低下している気もしています。初出：一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第７４話：（2011/04/02）

  2011.04.08

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• 核武装学

  一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第００２話　「核武装学」　日本が世界最大の空母艦隊を所有していた時代もあったのですが、それ故に、大東亜戦争終結後は徹底して日本が空母を所有しないように仕向けられてきたのは御存知の通り。　私的に国防上の謎になっているのは、なぜ日本が空母を所有してはいけないのか？ということと、なぜ日本が核武装をしてはいけないのか？ということで、特に核武装に関しては、”これくらい安上がりな抑止力は無い”だけに、日本の財政赤字を考えるとき、早晩、不可避の選択肢になっていくのではあるまいか？　なにしろ、ＧＮＰやＧＤＰで日本と比較するのも馬鹿らしい経済規模の北朝鮮でさえ、数発の核兵器と、それを搭載可能な準・大陸間弾道弾とでもいったロケット兵器を所有しているだけで、世界最強と自負する米軍が手出しできない現実があるわけです。　別に、亜米利加の核の傘に入らなくても、自前で傘を用意してさせばいいだけのことで、在日米軍のサイパンやグアムなどへの移転費用を肩代わりする予算が出せるなら、自前の核兵器を保有すべきでしょう。　実に単純明快に、核兵器を持たなかったイラクは米軍に一方的に押し込まれて、自国の大統領が縛り首にされたのに対して、北朝鮮は”核施設”と”核兵器”のカードをちらつかせるだけで米軍の行動を封じ込めることに成功しているわけで、怪しい話で何度か書いてきたように、空母や爆撃機は国家戦略レベルでは無力化されて久しいわけです。　興味深いのは、フォークランド紛争（1982）当時にアルゼンチンの沖合に派遣された英海軍の軽空母「インビンシブル」が、インターネット上で競売に掛けられて話題になったことで、約１万トンの鉄塊として評価した場合で２００万ポンド（約２億６０００万円）の時価評価になるという説もあります。　これを書いている時点では、まだ売れていないのですが、インビンシブルは1980年に就役し2005年に老朽化に伴って退役した後、エンジンを撤去した状態で繋留されていたそうですが、国防予算の削減ということもあって売りに出されたようです。　垂直離発着も可能な艦載型のハリアー戦闘攻撃機の場合、２０機程度を搭載して運用する能力を持っていたのですが、ハリアーの方は海軍仕様の艦載型ではなく英空軍仕様のハリアーがやはりネットに出品されているそうです。　このことは、技術革新が激しい時代の艦艇の寿命は２０～３０年くらいということを暗示しているわけですが、考えてみればフォークランド紛争当時でさえ、対艦ミサイルで英国艦艇が撃破されて甚大な被害が生じて大騒ぎになっただけに、ミサイル兵器に対抗できない艦艇を所有していてもさほど意味が無いのではないかと。　いわゆるイージス艦の次世代型が、ステルス性能の向上と電子戦闘能力の強化などを盛り込んでいるのも、対艦ミサイル対策という比重が大きいようで、目視不可能な水平線の向こう側からでも飛んできて着実に（誤差数十センチという説もある）命中するミサイル兵器に対応できなかければ、それはもう射的の的と大差が無いのではないかと。　特に２０世紀末くらいからは、コンピュータ開発や運用技術の面でも（軍事転用が可能な民生品を含めて）亜米利加が一人勝ちをしていた時代が続いていたのですが、その圧倒的な電子戦闘の優位が、よりにもよって最高峰であるスーパーコンピュータのジャンルで（3-950”天河１Ａ1”の回で触れたように）、2010年で中国の前に崩れたのは御存知の通り。　そして、信じられないことに、ことここに及んでも”武器輸出三原則”を絶対不可侵のものであるかのように持ち出して、日米で共同開発していた”ミサイル迎撃システム”を日本の政治家達が頓挫させたことで、かなり亜米利加側を激怒させる事になっているようです。　つまり、スパコンで中国が世界１になったということは、日米が開発を急いでいた”ミサイル迎撃システム”より前に、中国が中国版の”ミサイル迎撃システム”を完成させてしまいかねない事態になっているということで、事態は、ソ連がスプートニクの打ちあげに成功した直後の軍事的な緊張に匹敵していると言えます。　当時、亜米利加側の基本戦略は、日本を焦土と化したＢ２９の戦略爆撃に象徴されるように、核兵器の運用も可能な大型爆撃機を数百機単位で運用して、核戦争が勃発した場合も戦略爆撃機の集団で対応するとしていたのですが、ソ連が宇宙ロケットを開発し人工衛星の実用化に成功したことで、その優位が一瞬にして崩れたわけです。　実際、大陸間弾道弾と宇宙ロケットの間に技術的な差はほとんど無く、人工衛星の実用化が可能なロケットを所有している国は大陸間弾道弾を所有しているのと大差無いと言えます。　また、Ｂ２９やＢ５２といった自慢の戦略爆撃機が敵国の領空内に侵入して攻撃するまでに最短でも数時間必要なのに対して、大陸間弾道弾の場合、２０～３０分程度で攻撃可能な上に、戦闘機や迎撃ミサイルなどによる撃墜が期待できる戦略爆撃機と違って、大気圏外からマッハ１０～２０といった高速で飛来してくる大陸間弾道弾を確実に迎撃できる兵器が存在しません。　他にも、核兵器搭載可能な原子力潜水艦のように、攻撃対象国と指呼の間に潜伏して攻撃の指令を延々と待っている場合も、数分から十数分で相手国の首都を壊滅させることが可能なだけに、核兵器＋ロケット兵器という組み合わせを（かなりの高確率で）無効化できない限り、相手が同等の核兵器を所有していればいるほど、核兵器はとても使いにくくなっていったわけです。　その膠着状態の一つのターニングポイントが、レーガン大統領が提起したいわゆる”スターウオーズ計画”で、人工衛星と高性能コンピュータやレーザー兵器を組み合わせることで、相手が核兵器を搭載したロケットを発射した瞬間に撃破できないだろうか？という研究とそのための兵器開発を行ったことでしょう。　人工衛星による宇宙空間からの地球表面の観測というのは、グーグルアースを持ち出すまでもなく、既に民間でも可能な時代になっているわけですが、軍用監視衛星のカメラの解像度に関しては（軍事機密の向こうにあるだけに）幾つかの伝説を産んでいます。　というか、ベトナム戦争当時でさえ、地面が剥き出しになっているような場所に残るキャタピラの跡やタイヤや轍の跡は綺麗に確認できる精度ですから、湾岸戦争の頃には、乗用車のナンバープレートの文字や数字などが読めるという説もあれば、ナンバープレートの文字や数字は読めないがナンバープレートの存在は確認できる精度になっているという噂が流れたこともあります。　もっとも、当時は、人工衛星の監視カメラの精度よりも、米軍が運用しているＧＰＳシステムが戦争が始まると暗号強度が上がるのか、通常よりも誤差が大きくなることの方が話題になり、それこそカーナビ上では海の上を走っているように表示される珍現象が実際に発生したことは比較的知られた話だったりします。　いずれにしても、ミサイル迎撃システムというのは、複数の自前の高性能な人工衛星を自由に運用できることと、ロケットなどの弾道を短時間でシミュレートできるスパコンがあることが大前提で、そこに文字通り光速で攻撃可能な大出力レーザー兵器の類が組み合わさって、迎撃システムとしての運用が可能ということになるのかなと。　核兵器が無効化できるかもしれない新兵器という解釈も可能なだけに、亜米利加以外の先進国にとってもミサイル迎撃システムは魅力的だったのですが、その開発でネックになったのが意外なことにスパコンで、自前で主要部分が調達できるだけの国となると、亜米利加と日本くらいになっていたわけです。　また、ソ連が崩壊して露西亜として再編する際の経済的な大混乱もあって、”それほど開発を急ぐ必要も無くなった”ため、スターウオーズ計画は棚上げというか店晒し状態になっていったのですが、北朝鮮の核開発と中国軍の急速な近代化に伴って、（核兵器搭載可能な）大陸間弾道弾を撃墜するシステムの必要性が再燃したとも言えます。　しばしば指摘しているように、露西亜、中国が既に核兵器を保有していて、北朝鮮も核兵器を保有した現状では、台湾が中国と緩やかな連邦を形成したり特区として合併を行い、北朝鮮と韓国が統一した場合、日本の周辺で核兵器を所有していない国は日本とモンゴルくらいになるわけで、そういった中長期的な変化の可能性も念頭に在日米軍がグアムやサイパンなどへ移動し始めていると考えないのは日本人くらいのものではないかと。　皮肉なことに、2010年に発生した尖閣諸島のトラブルで、日本人も自分たちがかなり際どいところに立っていることに気が付いたのに、日本の政治家達は責任回避と理論のすり替えに終始し、領海内で違法操業をしている中国籍の漁船と漁師は取り締まらないが、同じ海域で合法的な漁をしている日本籍の漁船と漁師は”執拗な臨検”などで取り締まるという冗談のような対応をして話題になったのは御存知の通り。　それでいて、自国の領土や領海さえ保持できていない某国政府が、自国民に対して新たな税負担だけは声高に要求するというのも奇妙な話で、税金で橋や高速道路、あるいは空港や港湾といた社会インフラを整備したところで、どさくさの内に外国の軍隊が実効支配を始めたら取り戻そうとするどころか明確な抗議さえもしないでいる政府をどこの国の国民が支持すると考えているのか？　こうなってくると、経済、外交、軍事などなど緊急性を要する複雑な案件に関して、日本の国会議員には優先順位が高い順に対策を講じていく当事者能力がそもそも無いんじゃないのか？”と思うわけで、そんな人達に核兵器のボタンなんて危なくて渡せないなあとも思ってしまうのでした。初出：一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第００２話：(2011/01/01)

  2011.01.07

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• ケムトレイル

  一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第６４８話　「ケムトレイル」　ケムトレイル（chem trail）といのは、ケミカル・トレイル（Chemical：化学、trail :尾を引く）の略称で比較的新しい造語というか略語で、特殊な飛行機雲らしきものを意味しています。　この現象は２００５年頃から世界規模で話題になって来ているのですが、始まりが何時だったのかに関しては記録が曖昧なようで、主に亜米利加合衆国の上空で観られる現象ということもあって、例によって亜米利加政府の陰謀説とリンクするという説もあります。　従来のよく知られている飛行機雲に関しては今更説明の必要もないでしょうが、プロペラ機の時代から、飛行機のエンジンから排出される排気ガスや排気煙などに含まれる細かな粒子を核に周辺の大気に含まれている水蒸気が凝結し、雲を形成する現象で、地上からよく観察されているのはこのタイプだったりします。　従って、比較的高度が高い寒冷多湿の大気中を飛ぶ飛行機の航跡に沿って形成されやすいのですが、稀に、低空でも一定以上のスピードで飛行するとプロペラや翼端の部分で空気が急に膨張して飛行機雲が形成される事があり、これは映画”紅の豚”でポルコ達の乗っている飛行艇が終盤の高速飛行でバトルするシーンで”豚の野郎、雲を引きやがった”というときの飛行機雲が該当します。　では、従来の飛行機雲とケムトレイルのどこが違うか？といえば、通常の飛行機は点（飛行場）と点（飛行場）を結ぶ最短距離（一定の航路）を飛ぶ事が多いことから、一直線で飛行機雲を形成することが多いのに対して、ケムトレイルの場合は、不可思議な模様のような雲を形成するところに特徴があります。　Ｘの字型や、格子型の飛行機雲なんてものは、曲芸飛行をしているのでもなければまず形成されないのですが、ケムトレイルの場合はそうした通常の旅客機や貨物機などではありえない複雑な飛行機雲の方が一般的ということです。　それだけならば、軍が曲芸飛行の練習しているのではないか？という気がしないでもないのですが、軍の記録にケムトレイルに該当するような訓練や演習の記録は無いそうで、新型戦闘機の開発とかいった軍事機密に該当するような話でもないようです。　ただ、これを書いている時点では、ケムトレイルの正体は飛行機雲ではなく、飛行機から散布されている”何か”という説が有力で、ずばりと、”飛行機から散布された化学物質が結晶化したり核になって周辺の水蒸気を凝結させて雲のように見える現象”という説に人気があります。　このあたり、ケムトレイルの存在が知られ、発生頻度が上昇すると、ケムトレイルの科学的な分析も行われるケースが出てきているようで、塩化バリュウムや臭化エチレンといった濃度によっては人にとっても毒物や劇物となる成分が検出されているという話があります。　実際、ケムトレイルが発生した後、その地域の住民たちが体調を崩すことが多く、それ故に一般社会でも話題になっているわけですが、極端な事例だと、ケムトレイルが発生してしばらくすると、極細の糸が絡まった繊維状のものがゆっくりと降ってきて、庭で作業していてそれに触ると肌が爛れたという話もあります。　もっとも、多いのは、インフルエンザのような症状を発症することで、悪寒や鼻水（時には鼻血や血痰など）、関節の腫れや目の充血などの症状を訴える人が多く出ているようです。　そうしたこともあってか、軍が何か怪しげな人体実験を”また”密かに行っているのではないか？という疑念の声が上がっているのですが、ケムトレイルの雲が大気中に薄いベールのように拡散していきながらも、通常の飛行機雲よりも長く大気中に形状を留める事が多いことも、軍が何らかの（本番用よりは低い毒性の）化学物質を散布してそれが地上の人間に与える影響に関してデータを収集しているのではないかと言われれば、一理あるかなと。　考えてみれば、ほとんどの国で空を飛ぶには事前にフライトプランの提出が関連機関に義務付けられている事が多く、ケムトレイルのような曲芸飛行の結果のような形状の雲が出来るような飛行を繰り返していれば、該当する日時から誰が飛んでいるのかは分かりそうなものではあります、　仮に、民間人がそうしたことを愉快犯のように繰り返していたとすれば、早い段階で航空法違反などで逮捕されるか、少なくともマスコミが奇人変人か犯罪者かはどもかく取材の対象とするでしょうし、下手をすると空軍がスクランブルしてきて撃墜しかねない行為ではあります。　逆に言えば、明らかに民間機の飛行としては常軌を逸している飛行を何年もの間、何度と無く繰り返していながら、該当空域を管理している空軍などがスクランブル発進して強制着陸させたり、撃墜したことが一度もないということは、ケムトレイルを形成しているのが民間機ではなく軍用機ないし、軍の関係している航空機の可能性が高い事を意味していると言えます。　それでいて、最近では欧州でもケムトレイルの出現する頻度が増加しているそうで、欧州の場合はマスコミが取り上げる頻度もそれに比例して増加してきているそうですが、それでもなお、誰が何を何のために散布しているのかは、謎のままになっているわけで、見事なくらい事の真相を知っていそうな人達が誰も口をつぐんで”私は知らない。知らないから責任が無い”と主張しているように見えなくもない状況になっています（笑）。　ブラックな説には、化学物質のパラシュートにウイルスや細菌などを付着させて、より広範囲に散布し、地表近辺で長期間感染力を維持させるための基礎研究という説があり、豚インフルエンザや鳥インフルエンザなどの次ぎに来る新型のウイルスは、どこぞの軍の施設で現在開発中で、それらの揺りかごとしてケムトレイルは利用されるのではないか　・・・　とでもいったことになるようです。　まあ、伝染性の病気を蔓延させるためにそこまで手の込んだ事をやらなくても、感染した人を何人か一斉にマスクを着用させずに何日間か都会の人混みの中をウロウロさせれば、パンデミックスがあっさり起こるような気はしますから、パンデミックスを加速させるために、ケムトレイルから人の免疫力を弱めるような微量の化学物質を散布する実験をしているのかもしれません（邪推）。　そういえば、豚インフルエンザに限らず、都市部の一つの傾向は、ゲホゲホやっている人ほどマスクを着用せずに人混みに出てきて”みんな不幸になれ～”とばかりにわざとのようにゲホゲホ咳を周囲にまき散らし続ける事が多く、健康管理をしっかりしている人ほど予防的にマスクを着用している光景が多いことではないかと。　明らかに、不摂生と用心不足の結果として風邪を引いたりインフルエンザに感染したのだろうという、朝っぱらから酒臭く（あるいは昼過ぎにニンニク臭く）どことなく不潔な男性のゲホゲホする姿は、誰にも同情されないどころか、明らかに傍迷惑な生物に区分されているわけですが、当事者にその自覚があるかどうかは微妙～なところではあります。　話が逸れましたが、ま、日本でもケムトレイルが頻発するようになれば、何らかの伝染性疾患のパンデミックスが（極めて）近いという合図になっているのかもしれません。 一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第６４８話：(2009/11/14)

  2009.11.20

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• UFO兵器

  一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第３９４話　「ＵＦＯ兵器」　亜米利加政府がＵＦＯに関するデータを隠匿している　・・・　というのは、都市伝説における１つの定説なのですが、事の真偽は定かではありません（笑）。　もっとも、これが亜米利加政府がフライングソーサー（空飛ぶ円盤）に関するデータを隠匿している　・・・　となると、１００％実話だったりします。　早い話、ナチス独逸が研究し、試作機まで開発していた空飛ぶ円盤に関する資料を一切合切米軍が押収し独占した歴史的な事実があるためです。　米軍が独逸や日本が降伏した後、軍事技術を含む最先端の研究データを根こそぎかっさらっていった事は（一部では）有名な話で、日本だと当時としては世界最大級の潜水艦「伊号」シリーズに関して実物を含めて根こそぎ持ち去っています。　伊号シリーズというのは潜水空母と呼ばれることもあるのですが、折り畳み式の航空機を３機程度運ぶ事ができ、数隻の船団を組んで亜米利加西海岸を急襲する事が可能な性能を有していました　・・・　燃料さえあればですが。　摂取された資料は、後の原子力空母の母胎として利用される事になり、米軍が大型潜水艦を開発する期間をずいぶんと短縮したようです。　欧米と比べると技術後進国だった日本でさえそれですから、当時、世界最先端を誇る分野を幾つも抱えていた独逸からの接収品に関しては後の軍事兵器で主流となっていくものがずいぶんとあったのでした。　例えば、大陸間弾道ミサイル（ＩＣＢＭ）の母胎が、ナチス独逸のＶ２号ロケットである事は有名ですが、そこに搭載されている核爆弾も実は独逸が一番最初に開発に成功していたという話があります。　ただ、それを運搬する手段が当時の独逸に既に無く、核兵器を使うとすると独逸国内という状況にまで攻め込まれていたことで時期を逸した　・・・　とされています。　その完成品を米軍は押収し、自主開発した原爆として日本へ投下したと話は続くのですが、それ故に、米軍の核爆弾にはウラニュウム型とプルトニュウム型の２種類が当時既に存在し（中略）という辻褄が合ってくるわけです。　戦後、指摘されたように、ナチスがＶ２号に固執せずに、その資源を爆撃機や戦闘機などの生産に振り向けていれば欧州戦線は英吉利が早期に陥落して独逸の勝利で終結していた可能性が高いといわれるほど、多量の物資と頭脳を投入しています。　ただ、ヒトラーの頭の中に、Ｖ２号に核兵器を搭載して英仏海峡を越えてロンドンを直撃するというプランがあったとしたら、それだけの物資と頭脳を投入した理由というのは辻褄があってくる気がしないでもありません。　このあたり、”空飛ぶ要塞”の別称があるＢ２９の開発に成功した米軍が、第二次世界大戦後も、爆撃機による核兵器の投下を前提として国防戦略を構築し、それに対して空軍力に劣る（当時）ソ連が、やはり独逸から接収したロケット技術と技術者を駆使してＩＣＢＭを開発し、米軍の国防戦略を根底から崩壊させた事を歴史的な経緯を考えると、戦後のソ連のロケット兵器を切り札とした国防（というか先制攻撃）システムという発想そのものがナチス独逸のプランをアレンジしたものという可能性があるわけです。　独逸に侵攻したソ連が、独逸人の軍事関連の科学者を中心に戦争捕虜という名目で事実上の”拉致”を行い、自国のロケット技術の開発に投入した結果は、戦争終結から１０年も経たない間に、後のスプートニク・ショックに繋がる圧倒的なロケット技術格差（＝宇宙技術格差）を米ソの間に生じさせたわけです。　逆に言えば、ナチス独逸のどの最先端の分野の技術とそのスタッフを確保したかで、戦後、それぞれの国で躍進した技術分野が分かれた　・・・　ということになります。　独逸や日本の”人道に関する罪”を主張しながら、その成果はちゃっかりと利用するというのは矛盾しているような気がするのですが、例えば、生物化学兵器の研究や各種の人体実験を行っていた日本の７３１部隊のデータが、隊員の免責と幾つかの特典と引き替えに米軍に渡った事は比較的知られている事実だったりします。　ただ、ヒトラー生存説根強く囁かれていた根拠の１つでもある、空飛ぶ円盤に関する次世代航空機のデータと技術者はどの国も摂取に成功しなかったという話があります。　大戦末期に独逸軍が少数ではあってもジェット戦闘機やロケット戦闘機を実用化し、その高速と機動性の良さで連合国側の航空機に対して圧勝していながら、燃料不足と総数の不足から逆転にまでは至らなかったわけですが、ロケット戦闘機よりも上の機動力を持つ次世代航空機開発が平行して行われていてもそれほど不思議ではないわけです。　ただ、当時の連合国側の技術レベルではまだ戦線に投入されていなかったナチス独逸の最先端の兵器開発が理解できたかどうか？という疑問もあるわけですし、空飛ぶ円盤という単語が造語されるのでさえ3-391”ケネス事件”まで待つ必用があったくらいですから　・・・。　逆に言えば、空飛ぶ円盤の目撃事例が増加するに連れて、摂取していたナチス独逸の軍事資料の中に類似した円盤兵器が含まれていた事に気が付いた人が多くなっていったでしょうし、もしかしたらソ連がこの技術を根こそぎ摂取しているかもしれないと考えた人もいたかもしれません。　そうした焦りが、ロズウエル事件を捏造してあやふやな情報を流し、ソ連の出方を窺う情報心理戦へと繋がったという説もあるくらいなのですが、１９６０年代くらいまでは、ナチスから押収したロケット技術を自前の物にする事で各国が手一杯だったようですから、独逸と連合国側の技術格差は最大で２０年近くあった計算になります。　このあたり、一説には１９６０年代末に南極に造られていたナチスの秘密基地の占領に米軍が成功した段階で、敗戦時に隠匿していたナチスの先端技術が技術者ごと米軍に渡ったとされ、ベトナム戦争の頃から米軍が戦場に投入した最新兵器の幾つかはそこから流用されたものであるという説があります。　当然、ロケット技術関連のノウハウもその時に米軍に大量に渡り、それを利用したからソ連との絶望的だった技術格差を埋めることに成功し、期限内の月着陸に漕ぎ着けた　・・・　と話は続くのですが、どこまでが本当でどこからが嘘かは定かではありません。　ちなみに、空飛ぶ円盤に関する技術スタッフと実物が稼動している秘密基地は南米の複数の国にあるという説と、既にナチスは月面基地の建設に成功しているという説があり、それぞれ一定の支持を集めています。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第３９４話：(2009/01/22)

  2009.01.28

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• 魔弾の射手

  一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第３３７話　「魔弾の射手」　軍隊における狙撃の重要性というのは、一般論としては、銃が高性能になればなるほど高まっていったようで、大雑把に言えば、普通の兵隊に支給される軍用ライフルの射程距離が２００～７００ｍ程度だとすると、狙撃手に支給される狙撃用ライフルは１ｋｍを超えるような射程距離で、アウトレンジから一撃必殺という事になっているようです。　或いは、同じ程度の距離での撃ち合いならば、その命中精度や速射能力の差が普通の歩兵と狙撃手との間には存在し、１対多の闘いが可能なケースが多いとされています　・・・　が、そもそもの狙撃のアドバンテージは相手が気が付かない距離からの一方的な射撃にあるわけですから、普通の軍用ライフルの射程内で撃ち合うというのは本末転倒ではあります。　軍隊の狙撃手を扱った映画では、”山猫は眠らない（SNIPER）”シリーズが思い浮かびますが、軍隊に入る前から狩猟で生計を立てていたり狩猟が生活の一部だったという狙撃手は銃が開発された頃から多かったようで、それも、国に関係無く、水鳥の類を撃っていた人から名スナイパーが出る傾向があるようです。　戦場における嫌らしい狙撃の戦術としては、映画の”フルメタル・ジャケット”の後半にも登場した、わざと致命傷を負わせずに脚などを撃って行動不能にして”囮”とし、それを助けに近よってくれば次々に射殺ないし行動不能にしていくというもので、即死させずに泣き叫ばせる余力を残すこの方法は、足止めの方法としても有効な事が知られています。　ところで、映画”ランボー”ではあるまいし、たった一人の狙撃兵がいたからといって数十～数百人の敵歩兵と交戦して勝てるわけがないだろうと思う人の方が多いかもしれませんが、実際には、ランボーが霞んでしまうような伝説の狙撃手が　・・・　それこそ現代版の魔弾の射手が実在していました。　戦場で狙撃をまだしているときから伝説の狙撃手として有名だったのが、フィンランドのシモ・ヘイ（Simo Hayha：1905/12/17～ 2002/04/01）で、第二次世界大戦中にソ連軍を相手に超人的な狙撃をした事で知られています　・・・　一部ではですが（笑）。　１９２５年に軍隊に入隊したとき、幼い頃から狩猟で生活していたこともあってか、既に優秀な狙撃手としての記録を残していたそうですが、１９３９～１９４０年のフィンランドとソ連の冬戦争でフィンランド国防陸軍第６中隊に所属し最前線で任務に就いた時に、前人未踏、おそらくは後人未踏の世界記録を樹立しています　・・・　公式に記録された戦果だけでもですが。　その軍歴の中でも映画以上の現実となったのが、１９４０年の”コーラ河の奇跡”と呼ばれた３２名のフィンランド軍と４０００名のソ連軍が対峙した戦いで、ヘイの獅子奮迅の奮闘もあって、実に１００倍以上の敵を追い返す事に成功しています。　ちなみに、当時のフィンランド軍は、ヘイが使っていた狙撃銃を含めて、旧式のソ連製ライフルを使っていて、ヘイの狙撃銃（モシン・ナガンM28）は最新式というわけでもなければ、（ヘイの希望もあって）スコープも装備されていなかったそうです。　最終的に冬戦争の戦争開始から負傷するまでのわずか約100日間だけで、ヘイに狙撃されて死亡したソ連軍兵士は５０５名を数え、KP31サブマシンガンなどを使った戦闘を含めると、ヘイが殺したソ連兵の総数は公式記録でも７００名を超えているのですが、実数は１０００名を超えていたのではないかという説もあり、まさに一騎当千を地でいったことになります。　白色の冬季迷彩服を着用していたことから”白い死神”とソ連側は呼ぶようになったのですが、装備に優れたソ連側のスナイパー達にとっては、一方的に甚大な被害を与え続けるヘイを葬ることが最優先課題になっていったであろうことは想像に難くありません。　結論から書くと、冬戦争の末期の1940年3月6日にヘイはソ連側のスナイパーに狙撃され、顎を打ち抜かれ意識不明に陥る重症を負ってしまうのですが死なずに戦争の終結を病院で向かえています。　狙撃された時の怪我が原因なのか、祖国を救った英雄を死なせるわけにはいかないと上層部が判断したのかは微妙ですが、その後は戦場に出る事は無く、コラー十字章を受勲、兵長から少尉へと五階級の特進を餞に現役を引退しています。　装備に劣るヘイが、当時、既にスナイパーはスコープの使用が当たり前になっていた中で、レンズに光が反射する事で自らの位置を悟られるリスクを嫌って、銃身に付いた鉄製の照星と照門のみを頼りに狙撃をして圧勝した事もまた彼が伝説のスナイパーと呼ばれる由縁の一つなのですが、冬戦争から６０年近く経過した１９９８年にフィンランドのＴＶ局に狙撃のコツをインタビューされて”練習すること”と一言だけ答えた事もまた伝説になっています。　ちなみに、軍に入隊した後の狙撃訓練課程で、１５０ｍの距離から１分間に１６発の射的に成功し、３００ｍ以内だと頭部に弾丸が秘中（いわゆるピンヘッド）していたそうで、まともに正面から銃で撃ち合っても普通の兵隊に勝ち目は無かったようです。　ヘイを調べていると、同時期に、もう一人の天才スナイパーとして、スロ・コルッカ（Sulo Onni Kolkka, 1904/12/20～1988/08/21）が存在していたという話も出てくるのですが、彼も公式の確認戦果だけで400名以上を射殺したことになっていて、ヘイと並ぶ狙撃の名人で冬戦争の最前線で戦い抜いたということになっています。　ただ、彼の最終階級が曹長で終わっているのは、ヘイの昇進と比較するといささかか過小評価すぎるのではないか？という指摘があり、その戦績や戦闘におけっる逸話などが後半になるほどヘイのそれと酷似していたりすることなどから、コルッカの戦績は後半になるほど、シモ・ヘイヘの記録を元に公認で捏造されていて、それ故に最終階級は実際の戦績に見合った曹長で止まっているのではないか？という説もあります。　要するに、ソ連軍との冬戦争において、救国の英雄は一人でも多い方が良かった時期に、ヘイに次ぐ記録を残していたクルッカに白羽の矢が立って、２人目の”白い死神”が多少の水増しを経て捏造されてプロパガンダに使われたのではないか？ということで、一種の戦場都市伝説とでもいったものなのかもしれません。　このあたり、戦争終結後のソ連軍の報復をクルッカが怖れて、意図的に昇進しなかったとか、フィンランド軍における記録を入隊に遡って抹消したとかいう説もあるのですが、記録を抹消していない狙撃のナンバー１のヘイが２１世紀まで生き残っていたわけですから、今ひとつ説得力には欠ける気がします。　もちろん、当事者が亡くなった今となっては、どこまでが本当で、どこからが嘘なのかは定かではないのですが、シモ・ヘイが故国を守るために自分の力の限り戦い抜いた事だけは確かな話ということになります。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第３３７話：(2008/11/17)

  2008.11.22

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• 地震兵器

  一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第２５８話　「地震兵器」　地震を意図的に誘発させることができるとしたら、軍事兵器として効果的なのではないか？と誰が考えたのかは定かではありませんが、既に実用化されているという説もあります。　歴史的には、異端の科学者としても知られるニコラ・テスラ（1857～1943）の電磁波発生装置を使った人工地震実験（1889）が有名で、彼の死後、人工地震関連の資料を含めてほとんどの研究資料をＦＢＩを名乗る人々が根こそぎ押収していったとされているのですが、その時の押収された資料が闇の中へ消えている事は一部では有名な話だったりします。　フィクションの世界では、山田ミネコが描く最終戦争シリーズで、人類をほぼ滅ぼした最終兵器として選択したのが地殻を崩壊させて人工地震を誘発する装置で、結果的に人類が製造した最終兵器となった地殻変動兵器”メビウス”だったりします。　個人的には、わくわくしながら２０１０年を待っているのですが、最終戦争シリーズの年譜では、西暦２０１０年頃、英国の技師であるディック・トレーシーが”四次元コイル”を発明したことで、人類はエネルギー問題を解決し、新たな時代に突入することになります。　ちなみに、ニコラ・テスラはテスラコイルも開発（1891）しているのですが、それは高電圧の高周波振動電流を得る特殊な変圧器で、大雑把に説明すると、巻き数が違う同軸円筒形のコイルを２つ使い、一次側に火花放電によって振動電流を作ると、一次側よりも巻数を多くしてある二次側コイルに数十万ボルトに高められた振動電流が溜まっていくというもの　・・・　今ひとつわかりにくいとは思いますが、これ以上簡単に説明する自信がありません（笑）。　ちなみに、四次元コイルの方は、膨大なエネルギーを虚空から引き出す事ができる（らしい）のですが、ほぼ無尽蔵にエネルギーを無料に近いコストと高い安全性で取り出す事ができる手段を人類が手にした結果は、後に２つのとんでもない発明へ繋がっていくことになります。　あっさり書いてしまうと、１つは前述した地殻変動兵器”メビウス”で、もう１つは”タイムマシン”なのですが、前者が最終戦争の技術的なバックボーンとすると後者はパトロールシリーズの技術的なバックボーンだったりします。　最終戦争シリーズの中では、西暦２２９６年に、人類は突如としてメビウスを用いた最終戦争に突入し、先進国に限らず大陸の大半が海中へと没してしまう惨劇に見舞われてしまいます。　その背後には、宇宙を漂流して地球に辿り着いていたデーバダッタと呼称される不定形の寄生型宇宙生命体の暗躍があったのですが、まあ、そんなものがいなくても、早晩、あれこれ理屈を付けて人類が自ら使って自滅していった気がしないでもありません　・・・。　なぜ、山田ミネコが核兵器による人類滅亡ではなく、地殻変動兵器による人類の滅亡を選択したのかを私は知らないのですが、そこには何らかの予知現象が働いていたとしてもさほど驚きはしません　・・・　日本の漫画には”まさか！”という予知現象が（作者も知らない内に）描かれている事がありますから（結構、本気）。　現実問題として考えると、核兵器が強力になればなるほど、”核の冬”のような使った場合のリスクが巨大になって来ますから、大規模にＩＣＢＭで攻撃するような全面核戦争を行えば、（仮に一方的な攻撃であったとしても）使った側も無傷では済みません。　したがって、限定的な戦術レベルの核兵器の必要性というのも検討され、それこそ、アタッシュケースサイズで運搬できて敵国の首都だけ壊滅させる（か放射性物質で汚染する）規模の超小型核兵器が生産されて実用段階に入っているという噂は１９６０年代頃から既にあります。　しかしながら、核兵器よりクリーンで自分たちには火の粉が降りかかって来にくい大量殺戮兵器としての地殻変動兵器というのは、ある意味で、大規模な自然災害が自然発生するのと限りなくイコールですから、技術的に可能ならば、核兵器よりも扱いやすい次世代大量殺戮兵器として軍が飛びついても不思議ではないわけで、かなりリアルな設定だと言えます。　ちなみに、物語の中で最終戦争が勃発する西暦２２９６年には、自分は死んでいるから関係無いと思うのは早計で、なにしろタイムマシンも実用化されている時代ですから、過去に遡って死ぬ寸前や死んだ直後の人間を未来に運んで蘇生させて人類存続の為に延々と再度死ぬまでこき使う話も途中から珍しくなくなっていきます　・・・　・・・　というか、人類と人類の間で行われた最終戦争後に勃発した、人類とデーバダッタの生存闘争を描いた最終戦争伝説あたりになると主人公が過去からスカウトされた少年だったりします（笑）。 　もっとも、最終戦争伝説シリーズそのものが途中で（山田ミネコの体調不良ということで）断筆のまま幾星霜過ぎていて、小説の形では話が多少進んでいるそうですが、滅びかけている人類が最終的にどうなってしまうのかは未知数だったりします。　そうした漫画の話はともかく、現実世界における地震兵器に関しては、例えば周辺技術として、人工衛星やスペースシャトルを使って宇宙空間から地中の遺跡や石油やレアメタルのような地下資源を探査する技術はすでに実用化されています。　このことは、既にアメリカはプレートの移動や活断層などに関する地球規模のデータを集積していて、その精度が刻々と向上している事を意味しています。　逆に言えば、ロシア、ＥＵ、中国などが熱心に自前の人工衛星を打ち上げている理由の一つが、宇宙からの情報収集をアメリカだけに独占させておく気が無いということで、”必用なデータは外国から安く買えば良い”と考えている日本のような国は先進国の中では少数派と言っていいのではないかと。　簡単に言えば、既に地中を含めた地球資源のデータは宇宙から特定できる時代になっていて、そのデータは国益を左右する事から赤の他人と情報共有するよりも軍事機密として一国で独占する傾向が顕著になってきているということ。　他の技術では、米軍が電磁波を兵器として利用する研究の一環としてニコラ・テスラの時代からさまざまな実験を実施していたことは有名で、いわゆるフィラデルフィア・エクスペリメント（1943/10/28）に関しても、駆逐艦エルドリッジを使ったレーダーからの不可知実験が失敗暴走したという説もあれば、そもそもの目的が強力な電磁波を使った空間歪曲実験だったという説などもあることは御存知の通り。＊　エルドリッジの甲板を実験終了直後に撮影したとされる写真は一部ではメジャーで、甲板から男性の右手が前腕の半ばあたりから生えているシュールな代物も中にはあります　・・・　どこまで本当かはさだかではありませんが。 　その後も米軍は電磁波や高周波などの軍事利用研究を続けているようで、１９８０年代に入った頃から、次世代兵器として利用できるものが幾つか実用段階に入っているという話が囁かれるようになり、スターウオーズ計画もそうした長い話の一部に過ぎないという説もあります。　その後、プラズマ理論などの進展もあって、プレート型の大規模地震を人工的に狙った場所に発生させる事ができるところまで来ているのではないかという話が囁かれるようになったのですが　・・・　もちろん、確たる根拠や証拠があっての話ではありませんから噂やノイズ情報のリークの域を出ていません（笑）。　ただ、スマトラ島沖地震の際、ディエゴ・ガルシニア島の米海軍基地の不可解な対応や、あまりに異様なプレート型地震の震源地や発生頻度などなどから、”誰か”が地震兵器を実際に使いながらデータを収集しているのではないかと勘ぐる人は増えているようです。　そうなってくると、日本では都市伝説に区分されている幾つかの地震絡みの話も別の意味を持って来るのかもしれませんが、ただ、日本の大規模地震の場合は、どこで大規模な地震が発生しても、地震予知などに関わって飯を食っている学者が”そこはノーマークだった！”と言う震源の方が多いのが現実ですから、どれが自然災害で、どれが地震兵器によるものなのか判定する事がそもそも不可能な気がしてくるのがネックかもしれません（大笑）。 初出：一夢庵　怪しい話　２５８話(2008/08/16)

  2008.08.22

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• 帝国銀行事件

  一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第１６０話　「帝国銀行事件」　時は１９４８年１月２６日午後三時半前後の事。　所は東京の池袋の界隈、最寄りの駅なら西武池袋線の椎名町駅が近い帝国銀行で奇妙な殺人事件が発生した。　生き残った４人の証言によると、東京都のマークが入った腕章を左腕に巻いた男がふらりと入ってきて、”近隣で集団赤痢が発生しました。”と告げたという。　その男の名刺の肩書きは”東京都衛生課”だったそうで、見た目の年齢は５０歳前後、身長は５尺３～４寸（約１６０センチ）くらいで、中肉中背という、まあ、どこにでもいるといえばいるような男性だったらしい。　その時の帝国銀行内部には、残務整理をしていた銀行員１４名と、その家族が２名いたのですが、”感染者のひとりがこの銀行に来ている”と説明され、都の消毒班が来る前に予防薬を飲むように指示されたそうです。　これもまた生き残った人達の証言によれば、男は持参していた金属製のケースから２種類のビンを取り出し、第１薬を飲んでから第２薬を飲むようにと指示し、”飲み方を教えます”と言って実際に用意させた湯飲みを使って飲んで見せたことになっています。　そして、ほぼ同時に１６名が第１薬を服用し、約１分後に第２薬を服用したそうなのですが、第１薬を飲んだ直後から胸焼けを起こしているような状況になったそうで、第２薬を飲み終わった頃にはかなり悲惨な状態になりはじめていたようです。　ただ、幸か不幸か被害者の一人の女性が、痙攣や失神を繰り返しながらも、なんとか建物の外に出た事で事件が発覚し、この奇妙な事件は完全犯罪では終わらなくなります。　もっとも、警察と救急車が駆けつけた時には、１０人が死亡していたそうで、病院に搬送された残る６人も２人は死亡したそうです。＊　使われた毒物は青酸化合物。　ちなみに、事件現場からは、犯人が提示した都職員の名刺も、茶碗の類も持ち去られていて、かなり用意周到な計画を練っていたのではないかと推測されています。　ただ、この事件の疑問点として、銀行を襲ってお金を取る事が目的だったのか、大量殺人を行う事が目的だったのかという事があり、状況証拠からは、後者の目的の方が大きかったのではないかと私などは考えてしまいます。　おそらく、外に逃げ出した女性というのは犯人の計算外だったとは思うのですが、それでも、銀行にあった金を掻き集めるには十分な時間はあったはずなのに、机の上の現金約１６万円と小切手１枚（約１万７千円）しか持ち去っていなかったのです。　他の机にあった４０万円程度の現金や金庫に入っていた多額の現金などには手をつけておらず、はたして何が目的だったのかには意見が分かれるわけです。　こうした事件が発生した場合、あまり詳しくマスコミが事件の詳細を報道してしまうと模倣犯が出てくる事が多いのですが、帝国銀行事件の場合は、帝国銀行事件の前、１９４７年１０月１４日に安田銀荏原事件、１９４８年１月１９日に三菱銀行中井視点事件が発生していて、それこそ帝国銀行事件は三度目の正直とでもいったことになるようです。　警察は１９４８年８月２１日に平沢貞通を逮捕し強盗殺人などで起訴されているのですが、どうも確たる証拠があったとは言い難い逮捕だったようで、１９５５年４月６日に最高裁で死刑が確定した後も、再審請求が何度となく出されたことで有名だったりします（というか、しました）。　結局の所、平沢死刑囚は死刑では死なず、１９８７年５月１０日に八王子医療刑務所で死んでいるのですが、その時の年齢は９５歳だったそうで、死刑が確定してからでも３０年を越えて留置が続いていた計算になります。　この話が怪しくなっていくのは、事件の背後にＣＢ兵器の専門家ともいえる７３１部隊に所属していた某軍医中佐が真犯人ではないか？という説があるため。　というのも、７３１部隊の部隊長であった石井四郎の指摘によれば、７３１部隊の毒物実験の手法と帝国銀行事件の手口が極めて類似しているのだそうで、無駄の無い侵入～逃走経路もまた軍事作戦で採用される手法に類似しているという指摘もあります。　現実問題として、平沢は毒物などに関する知識が皆無の画家で、事実上、逮捕された後の”自白”だけが死刑の証拠だったわけで、あれほどあざやかに事件を仕切れたか？というとかなり疑問が残るのではないかと。　ちなみに、警察は某軍医中佐も本命候補としてマークしていたのですが、ＧＨＱからの横槍が入って途中で捜査が打ち切られたようです。　ただ、不思議なことに某軍医中佐は事件の翌年急死していまして、当然のように”消された”のではないかと指摘する人は意外と多かったりします。　あれこれ考えていると、事件の動機に関して、お金が目的、人殺しが目的という他に、実験（仮説や理論値など）の検証という動機も入ってくるような気がしないでもありません。 初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第１６０話(2008/04/24)

  2008.04.30

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• キスカ

  一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第１５７話　「キスカ」　大東亜戦争中に、日本軍が南へ南へと攻め込んだ事は比較的知られているのですが、北というか北東の方向へも攻め込んでいたりします。　時期的には、ミッドウエー海戦と同じ昭和１７年の６月頃の事なのですが、ミッドウエー海戦が大敗北したのに対して、北東へ進んでアリューシャン列島のキスカとアッツという２つの島を占拠する作戦の方は上手くいったわけです。　もっとも、それには理由があって、キスカやアッツといった島々の周囲の環境は人が住むのには向いておらず、夏は濃霧に覆われ、冬は暴風雨が吹き荒れるとなると”そこを占領して何をするのか？”というような場所だったわけです。　ただし、地政学的には、千島列島からアリューシャン列島を経由するとその先はアラスカなわけですから、奪還することを急ぎはしなくても完全に無視することも出来ないと言う微妙～な地点でもあります。　実際、アメリカ軍が奪回作戦をアッツに対して仕掛けるのは昭和１８年の５月に入ってからで、ブラウン少将を指揮官として総勢１万１０００名の米軍がアッツを攻撃しています。　日本軍のアッツ守備隊は総勢約２６００名だったのですが、”城を攻めるとき、攻撃側は守備側の３倍以上の兵力が必用”という原則から考えると、陥落は時間の問題だったと言えます。　ただし、この時、日本軍守備隊が採用した戦術は、後の硫黄島攻防戦などとも共通しているところが多く、水際での戦闘を極力避け、山岳部に立て籠もって徹底抗戦するというものでした。　いずれにしても、彼我の戦力差を戦術レベルの抵抗では埋める事ができず、５月３０日に守備隊は２９名の捕虜を除いて全員死亡し、アッツは陥落しています。　意外かも知れませんが、大東亜戦争に置いて日本軍が”玉砕”したのはこのアッツ島攻防戦が初めての事だったりします。　それはさておき、アッツが陥落すれば、次はキスカということになるのですが、参謀本部としては珍しく、キスカの兵力（５６３９名）を撤収させる決断をしています。　が、アッツで懲りていた米軍は、３万人に増員した上で耐寒訓練を受けている加奈陀兵５千名も加えてキスカを包囲していたようで、”で？どこから抜け出すんだ？”という状況だったのではないかと。　当初は、潜水艦を使った脱出も行われたのですが、当時の日本の潜水艦で運べる人数は多くても８０名くらいですから、延べで７０回以上往復しないと運びきれない計算になりますし、実際、途中で断念しています。　で、一か八か駆逐艦を中心とした１４隻の移送船団を編成して、濃霧に紛れて接近して一度で解決することになったわけです。　そんな中、７月２６日に米軍艦艇のレーダーが霧の向こうに日本の艦艇を感知して、米軍側の砲撃がはじまります。　話が怪しくなってくるのはこのあたりからで、いくらなんでも日本の艦艇らしきレーダー上の反応が減少してもよさそうなものなのに、不思議なくらい消えなかったのだそうです。　この幽霊艦隊に対する追撃は２９日まで続くのですが、さすがに３日も戦闘を続けていると、砲弾と燃料が不足し、将兵も疲労したようで、戦果も挙がらないまま補給のために撤収するハメに陥ったようです。　この幽霊艦隊については、ミッドウエーで沈んだ日本海軍の空母を中核とする機動部隊が幽霊になって出てきていたのではないかという説が当時からあるそうですが、未だに何が起こったのかはわかっていないそうです。　ちなみに、もう一つの奇跡がキスカ島では起こっていて、キスカ湾のあたりだけが霧が晴れていたそうで、１時間ほどで守備隊全員の撤収が完了しています。　その後、日本軍が撤退したことに気付かなかった米軍は濃霧に覆われたキスカに４０日ほど爆撃を加えているのですが、その時に、複数の爆撃機の搭乗員が”地上から対空砲かで攻撃された”と証言しています　・・・　島には３匹の子犬しか残っていなかったのですが（笑）。　キスカへの上陸作戦は８月１５日に行われているのですが、決死の覚悟で上陸し、二昼夜にわたって同士討ちを演じた米兵を待ちかまえていたのは、誰も居ない兵舎と前述した３匹の子犬だけだったそうです。　ここまででも十分不思議な話なのですが、”私がキスカ撤収作戦時の天候を予測して作戦を成功させた　・・・”と主張する当時の気象予報官を名乗る人が登場するあたりから怪しい話になっていきます。　一部でメジャーな、”富士山大爆発（1982）”を世に出し、その中で富士山の大爆発は1983年9月×日と主張して社会現象を巻き起こした、相楽正俊が、”自分がキスカの奇跡の撤退の決め手となった天候を予測した気象予報官だった”と主張していた（1999年に死去）わけです。　ただし、「私記キスカ撤退」（阿川弘之）によれば、霧の予報をしていたのは、当時の第五艦隊気象長であった竹永一雄少尉とされ、相楽正俊どころか、類似した名前さえ登場しませんが　・・・。　もちろん、１９８３年に富士山が大噴火していたら、日本はバブルに踊らされることもなく、もう少し違った歴史を歩んでいた事は言うまでもない　・・・　一つの分岐年ではあったのかもしれません。 初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第１５７話(2008/04/21）

  2008.04.26

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• 陸軍の横暴

  怪しい話　第３シリーズ　第１１０話　「陸軍の横暴」　大東亜戦争中の日本の陸軍が横柄だったという話には事欠かないのですが、実のところ、明治の頃から既に横柄で知られていたりしまして、今回はそういった明治の頃の話。　時は明治１８(1885)年の１月４日のこと、大阪にあった松島遊郭で発生したささやかといえばささやかなトラブルに端を発するのですが、歴史に残る大騒動になっていきます。　事の始まりは、午後３時頃に付近を警邏していた巡査に対して、松島遊郭の２階から遊郭の客であった陸軍兵士が意図的に小便をかけた事ですから、軍組織以外の常識だと軍の方に非がある事件ということになるのではないかと。　もちろん、職務遂行中に小便をかけられた側の巡査は激怒して遊郭の２階へ乗り込み、放尿してきた兵士を拘束しようとしたのですが、それを遊郭にやはり客としていた仲間の陸軍の兵隊達が阻止したことで混乱に拍車がかかっていきます。　当然、多勢に無勢の無勢の側となった巡査は応援を呼んで戦力の増強を図ったのですが、ねずみ算式に次第に双方の加勢が増加していき、近隣の警察署にも非常呼集がかかる規模へ拡大した頃には、”（何が原因なのかはよくわからいが、）横暴な軍人達を懲らしめるべし！”とか、”（何が原因なのかは良くわからないが）生意気な警官達に舐められるな！”といった程度の勢いとノリになっていたようです。　早い話が、よくわけもわからずに”喧嘩に負けるな！”というレベルのモチベーションでありながら、かなり壮大な規模の”軍と警察の意地の張り合い”になっていたわけです。　あまりに大規模かつ偶発的な事件であったため、かなりアバウトな数字にはなっているようなのですが、最終的に、兵士側が１４００名、警官側が６００名ほど松島遊郭界隈で大乱闘を繰り広げたようで、それこそ、兵隊の剣と巡査のサーベルが火花を散らし、死者２名、重軽傷者５０名以上という喧嘩というより争乱近い事態になってしまいます。　騒ぎを聞きつけた軍の側は、大阪憲兵隊の憲兵隊長が１００名ほどの部下を連れて現地に入って騒ぎを収めようとしたのですが、憲兵隊が到着した時点で既に１００名やそこいらではどうにもできない状況だったようです。＊　武力制圧するのなら、鎮圧する側は（素手ならば）６０００名程度、射殺が可でも２０００名程度の兵力を一気に投入すべきだったのではないかと。　結果的に、この争乱を収束させたのは、大阪警察の部長だったのですが、本来ならば、放尿した最初の兵を警察側が拘束するのを妨害せずに引き渡し、部隊長あたりが警察側に（道義的な）謝罪をして払い下げて貰い、部隊内で処罰すれば収まる程度の話が、こじれにこじれて大規模な争乱となり、大規模な裁判沙汰になってしまったわけです。　騒動の規模が大きくなったこともあって、陸軍というよりも軍部全体と警察を管轄していた内務省の面子をかけた裁判となったのですが、裁判所が軍から圧力をかけられたこともあって警察側の１０名に懲役刑という裁定を下したのに対して、軍法会議にかけられた兵の側はいずれも微罪で結審しており、その後の軍と警察の決定的な遺恨になった事件とされています。　歴史的に見て、どう見ても軍の方に非がある横紙を破る行為をしておきながら、”我々は陛下の（直属の）軍である！我々に謝罪しろというのは陛下に謝罪しろと言っているのに等しい！”とかなんとか屁理屈で居直って恥じとしなくなるのは確かにこの事件以降のことだったりします。＊　その後も、軍関係者が平時に法律違反を犯しているところを警察に現行犯で逮捕されかかって、大乱闘騒動になったり、軍と他の組織との意地の張り合いにまで発展した事件は、交通違反を巡る、いわゆる”ＧＯ・ＳＴＯＰ事件”などのように思い出したように発生しています。　もっとも、西南戦争（1877）の時には警察も事実上の軍事組織として戦場に投入されていた経緯がありますから、火砲を用いない近接戦闘において当時の軍と警察の戦闘能力に現在ほどの差が無かった時代だったから、死者が２名程度で済んだのかなと。　考えてみれば、明治になって失業した武士達の再就職先として軍や警察組織が整備された歴史もあり、本来は、いがみ合うような仲でもないハズなのですが　・・・。　陸軍の屁理屈は、その後も拡大を続け、大東亜戦争中に、”中国大陸において、これ以上の戦線の拡大は日本の国力から考えて困難であり、適切な相手と講和を結んで戦線の縮小をすべきである。”というもっともな主張をする参謀がいても、”死んでいった兵士に申し訳が立たない！”という主張で強硬派が何度も押し切っていたりします。　ほとんど、アキレスと亀の競争の理屈のようなもので、冷静に考えれば、”今後も戦争を続ければ１０００名の戦死者が出る可能性が高いから戦争を中断し、政治的な折衝をして体勢を立て直そう”という提案を、”これまでに死んでいた１０名に申し訳が立たないから、手に入れたモノは絶対に手放さない！”と主張して却下したわけです。　戦争を継続すれば、”これまでに死んでいった○名”がどんどん多くなっていくのは目に見えているにもかかわらず、終わりのない戦線の拡大を続け、結果的に、大陸における権益をすべて無くすという最低の結末を迎えたわけです。　素朴な疑問として、大東亜戦争中に、なぜ中国全土を物理的に困難であるという事前の予測があったにもかかわらず、日本が単独で押さえる必用があったのか？ということがあり、適当なところで中国側の代表的な軍閥と講和して対米戦争に集中する必用があるという計算がなぜできなかったのかと。　既に、大東亜戦争の頃は、国家の工業力の差が軍事力の差に直結していたわけで、広い意味で工業力と考えた場合、専門知識を持つ（熟練した）工員、地下資源や水、電気などを確保しながら規模を拡大する事が要求されるわけで、読み書きも怪しい専門教育を受けていない素人が何百人いてもあまり意味がないわけです。　そう考えていくと、当時の日本人の発想が、軍人も政治家も、 ”やあやあわれこそは～”という戦国時代の武家の発想からたいして進歩していなかったのではないのか？という気がしてくるわけです。　つまり、”土地（農地）を確保して、米をたくさん手に出来るようになった状態が国が豊かになった状態”とどこかで考えていた人が意外と多かったのではないかということです。　まあ、極論すれば、絹糸や絹織物を売ったお金で戦争用の武器を調達していた戦前の日本人に多くを求める方が悪いのかもしれませんが、近代化が遅れていた当時の中国の都市をいくら軍の制圧下に置いたとしても工業生産の増強にそれほど寄与するとは思えないわけです。　そんなわけで、陸軍は中国大陸で戦線を拡大して何がやりたかったのか、考えれば考えるほどわからなくなるのですが、最終的に全てを放棄する事となり、しかも、”あれほど威張っていた軍人やその家族達が我先に内地へ逃げ帰って、民間人は置き去りにされた”と糾弾する声が、外地からやっとの思いで生きて帰って来た民間人達から出ていたのは御存知の通り。　もっとも、戦後の東京裁判は有名ですが、実際には、日本が進軍していたあちこちで、公式、非公式さまざまな即席の裁判が開廷され（どこの国の法律で裁いたのか定かではありませんが）”死刑”にされた軍人は珍しくありませんし、外地の戦犯収容所などでリンチなどで死んだ軍人もいたわけで、軍関係者の全員が全員、無傷で民間人より早く逃げ帰っていたわけではもちろんありません。　あれこれ考えていくと、当時の日本の軍や政府というのは、日本（国民全体の生活）を豊かにするといった事よりも、”自分たちの利権を拡大する”事を戦争の目標にしていたのではないかという気がしてくるわけです。　まあ、丁髷を結って、”やあやあ、さようさよう、しからば、ごもっとも　・・・”と侍達が裃姿でやっていた江戸時代から１世紀（大政奉還が1867年）も経過していなかった時代ですから、身分や性別でさまざまな権利が区別されていた江戸時代の思考から抜けられなかった日本人達が多くても不思議ではなかった時代なのかもしれません。　いずれにしても、海外で通用する思考形態とは思えませんが、その海外でさえ、それほど男女同権とか身分制度とか人種差別とかから無縁だったと言い切れない時代だったわけで　・・・。＊　・・・　と思っていたのですが、これを書いた後に発生したイージス艦と漁船の衝突事故の経緯や、総理大臣や防衛大臣などの言動を見ていると、時代の制約でああいったごり押しをしていたというだけではなかったのかもしれないと思うようになっています。＊　”テロとの戦い”を強調して、イージス艦の護衛派遣を伴うインド洋での給油業務を再開しておきながら、自国の領海内というか沿岸部で自国民を事故に巻き込んだ今回の事件をどのように処理するのかは、国としての今後を占う試金石になるのかもしれません。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第１１０話(2008/02/19)

  2008.02.25

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• 戦場の橋

  怪しい話　第２シーズン　第１４話　「戦場の橋」　戦争映画などで、あの国境の橋を渡って向こう岸は違う国だから、渡りきることができれば亡命して平和な生活を送ることができるといったストーリーが織り込まれていることがあるのですが、これは概ねそうした実話が下敷きになっています。　ただ、そうした橋がスナイパー（狙撃手）の狙撃ポイントになっている事が多く、国境を越えようとして撃ち殺されたカップルの悲劇という、これまた実話が幾つか存在しています。　戦場の橋と言えば、日中戦争の発端とも言われる1937（昭和12）/07/07の夜半に盧溝橋（ろこうきょう＝北京の南を流れる廬溝河に架かる橋）で勃発した盧溝橋事件や、映画の”遠すぎた橋”で知られるマーケットガーデン作戦や、やはり映画の”戦場に架ける橋”で知られるクワイ河の鉄橋などが思い浮かびますが、戦術的な拠点になったり戦略的な目標になったりするだけに記憶に残りやすいようです。　ちなみに、戦後しばらくの間、中国共産党軍の兵士向けのパンフレットなどには、「廬溝橋事件は我が優秀なる劉少奇同志の指示によって行われたものである」と明記されていましたし、1949（昭和24）/10/01の中華人民共和国成立の日に、周恩来首相が、「あの時（廬溝橋事件の際）、我々の軍隊（つまり共産党軍）が、日本軍・国民党軍双方に発砲し、日華両軍の相互不信を煽って停戦協定を妨害し、我々に今日の栄光をもたらしたのだ」と発言している史実があります。　盧溝橋事件が無ければ、その後の日中全面戦争が発生したかどうかは微妙な時期であり、欧米諸国軍に対して日本軍と国民党軍の共闘がありえただけに、共産党軍の謀略が盧溝橋で成功した意味は確かに大きいなと　・・・　まあ、盧溝橋で成功しなければ成功するまで別の場所で何かやり続けたとは思いますが。　もちろん、こうした中国側の謀略云々もあったのですが、日本側の霞ヶ関界隈の首脳部の無能というか非常に甘い状況判断と夢想に近い現状認識が盧溝橋事件以降の戦局をエスカレートさせたのも事実なわけで、謀略には引っかかる方が悪いと私は思います。　いまだに戦中の日本軍が大陸で行った残虐行為というのが声高に非難されるわけですが、日本軍がそうした行為をやらなかったとは言いませんが、日本軍が進軍していない場所や物理的に不可能な日数でも、彼等が主張する日本軍の犯罪が行われていたことになっていたりしますので、他人の犯罪や妄想まで背負い込む必要は無いだろうと。　戦争というのは残虐なモノであり、非戦闘員をいかに虐殺するかが戦局を左右するという事は、東京大空襲に代表される住宅地への爆撃空襲や長崎・広島の原爆投下による無差別殺戮でさえ、連合国側が積極的に”戦争を早く終結させ、自国の将兵の犠牲を少なくするため”に行った適正な作戦行動であると主張していることでもわかる戦闘行為の一形態だと言えます。　しばしば話題になる南京大虐殺（1937/12/13）にしたところで、そこで殺害された人数と、東京大空襲に代表される空襲で焼き殺された民間人の数を考えれば、連合国側の方が作戦行動としてそれ以上のことを行ったじゃないかと思うのですが？　なお、実際に戸籍や名簿等ではっきりしている３月１０日の東京大空襲の民間人被害は（１００万発以上の各種焼夷弾を使って）約８万数千人、広島の原爆で約１４万数千人、長崎の原爆で約７万４千人になっていますが、不思議なことにこの３つの民間人虐殺行為の被害者総数が約３０万人になります。　ちなみに、実質２ヶ月の間（の掃討戦を行っていた６週間の前半という説もある）に行われたといわれる南京大虐殺に関しては死者の数にかなりの隔たりがあるのですが、日本側の資料で１万数千人、中国側の公式見解で３０万人ということになっていることが多いようです。　私は、２ヶ月で１万数千人の民間人を殺害しているだけでも大問題だと思いますが、数十万人規模という物理的にありえない数字に納得する気はありません。　このあたり、単純計算で、中国側の主張する３０万人という数は、いつ中国側が軍事反抗してくるかわからない情勢下で（最長でも６０日の間に）、２４時間フル稼働したとして、１分間に３人以上のペースで殺した場合に可能な数値になります。　仮に、そうしたペースで虐殺が行われていたとして、それだけの大虐殺が行われていれば嫌でも情報は外部に漏れるわけですから、ではなにゆえに中国軍は南京奪回戦や南京解放戦とでもいった戦いを６０日の間に仕掛けず３０万人を見殺しにしたのか？とか、どうせ全員殺されるならと南京住民が暴徒化したり集団脱走しなかったのかが私には分かりません。　というのも、当時の南京は広く解釈しても約４０平方キロほどで、これは世田谷区（約５９平方キロ）より狭いのですが、陥落前にかなりの数の南京の住人が中国軍主力が撤退する以前から逃げ出していたこともあり、”陥落前後の南京の総人口は約１５万人”とライフ紙（米）などの欧米系メディアが現地からの報告を記録している史実があるからです。　このあたりは南京の難民区を管理していた第三国の国際委員会の”南京に残留していた中国人約２０万人”という残留者が多い説を採用しても良いのですが、いずれにしても、”３０万人の南京住民が殺害された”というのなら、”城内に残った南京の住人を全員殺害した上に、最低でも１０万人ほどの民間人をどこかから数日で連れてきて殺さないと無理”な計算になるわけです。　しかも、蒋介石が率いていた中国軍主力は陥落前に撤退しているわけで、後の日本軍のように最後の一兵まで玉砕覚悟で徹底抗戦し、南京戦で中国の命運が決したという戦いでもありませんから、相手が余力を温存して撤退している環境下で民間人を相手に数十万発を越える弾薬の浪費を行い、将兵に２４時間体制で処刑を行わせている”ゆとり”が（当時の日本の）工業生産力や物資の運搬能力などの面から考えてありえたかどうかも問題でしょう　・・・　現在の日本の工業生産能力が当時は無かったというあたりまえのことがあるわけです。　その後、敗戦までの約７年間は日本軍の占領下に南京は置かれたわけですが、中国側が主張するような大虐殺を行った軍隊が管理していたにしては人口が多く、占領から２ヶ月後には日本軍が発行した南京（城内）居留に関する認定書などから推定しても（国際委員会などの記録で推定しても）３０万人を少し越えていたようで、当時の南京の都市機能で維持できるほぼ上限に達していたようです。　都市機能というのは、イラク戦争で都市機能が麻痺したバグダットの様子を見ればわかるように、統制されていない素人が何人いたところで機能するものではなく、専門技術を持った者を要所に配置し、計画的に一定の指揮下で運営しないとゴミ処理や飲料水といった基本的なところでさえ機能しません。　ところで、南京城内に限らず、中国軍があらゆる戦線で行った軍服を意図的に脱ぎ民間人と同じ格好をしてのゲリラ戦という戦時国際法を踏みにじった行為の有効性は、その後の亜細亜の独立戦争やアメリカの９１１テロのような事件にも継承され、大東亜戦争終結後に米露といった軍事大国を筆頭にゲリラ戦及び対ゲリラ戦用特殊部隊が先進国では正式に創設され拡張される契機となり現在に至っています。　なお、ゲリラ戦部隊そのものは歴史が古いのですが、対ゲリラ戦専門という部隊が必要となったのは、連合国側の将兵が東南亜細亜植民地独立闘争で実際にゲリラ戦に直面した経験からで、英国のＳＡＳなどが草分け的存在になっている理由でもあります。　ちなみに、歴史的に見たとき、計画的に非戦闘員まで無差別に殺戮する近代戦における軍事行動は独逸軍がスペインのゲル二カで行ったものが有名ですが、それをベースに民間人まで無差別に殺戮することで軍の行動を支える物資や労働力の供給を遮断するという戦略的発想を組み合わせて体系化したのは米軍がということになります。　そして、この手法が有効であるが故に、その後も世界中の紛争地域で採用され、戦争が軍人だけの殺し合いだったのは第一次世界大戦以前くらいまでの牧歌的な時代の話になっていると言えるようです。　いずこの国でも、自分の国は自分で守るしかないというのが大原則であり現実だということで、南京大虐殺の数値ひとつとっても他国の善意なんてものを期待するだけ野暮だということは言えそうです。初出：一夢庵　第２シリーズ　第１４話　（2004/08/16）

  2008.01.27

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• ガンダム計画

  怪しい話　第３シーズン　第１９話「ガンダム計画」　ネットを流れる怪しい噂として、防衛省の「ガンダム計画」が2007年10月末頃から話題になったのですが、「ガンダム」を防衛省が「開発中」というニュースを読みながら、”どうせならＶ作戦とかすればいいのに”と思った事は言うまでもない。　それはさておき、現在４０代以下の世代には”ガンダムとは何か？”を説明する必用は今更　・・・　余程の変人でもなければ　・・・　無いのですが、人が乗り込んで戦う”モビルスーツ”と総称される機密性が高く堅牢な多目的ロボットの一種でございます。　どのくらいモビルスーツの機密性が高いかと言いますと、宇宙空間や海中で核兵器が使用される戦場での戦闘が可能なほどの機密性と堅牢さを備えています。　それはさておき、「防衛省がガンダム開発中」というネタ元は、防衛省技術研究本部のホームページで公開された資料だそうで、2007/11/07～08に東京都内のホテルで行われる「防衛技術シンポジウム2007」の「展示セッション」の展示品名欄に「ガンダムの実現に向けて」という項目があったことになるようです。　このシンポジュウムは一般公開なので、気が付いていれば民間人でも参加できるのですが、残念ながらモビルスーツの展示は無いそうですが。　ちなみに、「ガンダムの実現に向けて」の項目表記の後には丸括弧書きで「（先進個人装備システム）」という追記があるのですが、防衛省技術研究本部の言う”先進個人装備システム”というのは、一種のパワードスーツで、コンピューターを内蔵しデータリンクをして各種の情報共有も行うハイテクシステムのことになるようです。　自分の身体状況なども分かる各種のセンサー付きの防弾チョッキやＧＰＳ対応で現在位置が把握できる特殊ヘルメット　・・・　といった一昔前のＳＦに出てくる機動歩兵の装備に一歩近づいているという理解でいいようで、既に米軍では実戦に投入されてバトルプルーフが始まっているという噂があります。　既に、軍用車両では通信ネットワークでリンクしてリアルタイムで情報を共有するシステムを実用化している国が増加中で、以前のように、戦闘状態に突入した後は事前の打ち合わせに従って行動するしかなかった時代は過去のものになりつつあります。　つまり、Ａグループが発見したＢ地点の敵に関する情報は瞬時に全部隊で共有され、状況の変化に応じた作戦の変更などの司令部の指示も瞬時に全部隊で共有されることで、作戦に参加している全部隊が一つのアメーバーのような生命体にも似た（従来よりは）柔軟な対応が可能となってきているということです。　このあたり、スタンドアローンのパソコンと、ＬＡＮやインターネットに接続してあるパソコン端末との差に類似しているところがあり、単独ではいくら高性能で優勢であっても全体で見た場合に劣勢に追い込まれるようです。　そういった、現時点では、戦車や装甲車などで実用化されたシステムを歩兵にも拡大してより効率化を図ろうというのが、近い将来のハイテク歩兵システムの方向性になってきているようです。　もっとも、現時点では、”宇宙の騎士”のパワードスーツのレベルにも達していないのですが、「将来的には、ガンダムのようなものを目指す」としている将来の目標という程度の意味になっているようです　・・・　が、どちらかといえば、戦車や戦闘機の延長上にガンダムがあるような気がするのは気のせいか？　ちなみに、シンポジウムを担当する技術研究本部の企画課は「ガンダムというフレーズを使ったのは、堅いイメージの役所が行う発表会が少しでも分かりやすく親しみやすくなれば、という思いもあった」とコメントしており、現時点ではガンダムのガの字も完成はしていないようです　・・・　軍事機密の壁がどうこうとか、サイド７で秘密裏に開発されているとかいうことではなく。　考えてみれば、「モビルスーツ計画」ではなく、「ガンダム計画」と呼称する以上は、ビームライフルや怪しげな（ガンダリュウム）合金も開発してもらいたいところです。　ただ、それに成功してしまうと、核兵器がかなりの部分で無効化されるわけですから、世界の軍事バランスが崩れるかもしれません　・・・　まあ、冗談抜きでどこかの国で「ザク計画」が既に発動しているかもしれませんが。　もちろん、私の心配は、技術レベルで考えたとき、機動戦士ガンダムではなく装甲騎兵ボトムズの方が先になってしまう可能性があることだったりします　・・・　トヨタかホンダあたりで（笑）。参考URL：防衛省技術研究本部：http://www.mod.go.jp/trdi/ 初出：一夢庵　怪しい話　第３シーズン　第１９話（2007/11/05）

  2007.11.12

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