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テーマ:『BLEACH』(613)
カテゴリ:いじりの話
今日は砕蜂。
実に扱いにくそうな、彼女の斬魄刀の能力についてでございます。 ではどうぞ。 ・・・それはまだ昔。 砕蜂が二番隊の隊長となる前のお話。 「・・これが・・・私の・・『雀蜂』 の始解の姿か・・!!」 虚と戦う死神がまず目指すのは、己の斬魄刀の始解だ。 始解に必要なのは斬魄刀本体との「対話」と「同調」。 基本的にその二つが叶った証が、斬魄刀の名を知ることである。 持ち主が斬魄刀の名を呼ぶことにより、解放と共に形状が変化し、固有の特殊能力が付加(解放)される。 砕蜂が持つ斬魄刀『雀蜂』は、通常の斬魄刀の始解の形態を著しく外れたものであった。 右手中指にはめて使うようになった『雀蜂』は、その名の如く針のような形状をしていたのである。 きわめて特殊な形態だ。そしてその能力もまた当然のように特殊なものであった。 ・・弐撃決殺。 いかなる強敵といえど、同じところにこの『雀蜂』で攻撃を受ければ死ぬ。それがどんな強敵であってもだ。 この特殊能力は、砕蜂を大いに奮い立たせた。 『なんと・・なんと暗殺部隊である私にふさわしい斬魄刀なのか・・!』 砕蜂は自分の斬魄刀が誇らしかった。 砕蜂は自分が隠密機動であるのを誇りに思っていた。 それよりも今は、四楓院夜一と言う忠誠と尊敬を一身にその身に集める素晴らしい主君に使えることを誇りにしている。 とすれば・・当然、夜一に知らせたくなるものである。←笑 砕蜂は夜一に報告すべく、二番隊隊首室へ駈けて行った。 夜一は自分になんと言うだろうか。 「『雀蜂』とは良い名じゃのう、砕蜂。」と言ってくれるだろうか。 「なかなかよい始解じゃ。ニ撃決殺の能力など聞いた事無いぞ?」と驚いてくれるだろうか。 それよりも、 「これまで以上におぬしの働きに期待しておるぞ。儂はよい部下を持って幸せじゃ。」な~~んて言って貰っちゃった時には、砕蜂どうしよう!!(笑)←どうもせんやろ 果たして夜一は居た。 「あの・・今よろしいでしょうか。夜一様。」 「何じゃ?相変わらず堅苦しいのう。遠慮など無用じゃ。入って来ぬか。」 夜一はいつも同じように迎えてくれる。 女子と言う性質上、日によって機嫌が悪かったり良かったりの差があるはずなのだが、夜一に限ってはそう言うものがまるで無い。 それも砕蜂が尊敬する一つだ。 「どうした砕蜂。」 「あの・・私、本日始解を会得いたしましてございます。」 「ほう!!そうか!!それはめでたい!!してどんな始解じゃ!見せてみよ!」 「え・・?ここでですか?」 ここは隊首室だ。 隊首室で、隊長級でも無い者が始解をすることなど、反逆に等しい。 「そうじゃ。はよう見せてみよ。」 「しかしここは隊首室・・。」 「なんじゃ、その事か。儂が良いというておるのだから、おぬしに責めが飛ぶようなことにはせぬわ。ホレ、とっととやってみぃ。」 ここまで言われれば、始解あるのみだ。砕蜂は解号を唱えた。 「尽敵螫殺『雀蜂』!」 そして、始解の姿が現れた。 夜一は難しい顔でそれを見ていた。 「・・ふむ、これはまた珍しい形をした斬魄刀じゃのう。 能力は何じゃ?」 「二撃決殺です。」 「ほう、二撃決殺とな?」 「はい!あらゆる敵でも、同じ場所にこの雀蜂を喰らえば、死ぬという能力です!」 砕蜂は得意だった。 そう。どんな強敵でも倒せるのだ。ニ撃さえ決めれれば。 そんな斬魄刀など、どこにもないはず。自分の斬魄刀が最強と言ってもいい。 しかし、夜一は何やら難しい顔を崩さない。 「・・なるほど。二撃決殺か・・。」 この後の夜一の正直な感想は、砕蜂の予想を覆すものだった。 「・・なかなかに使いどころが難しい斬魄刀じゃのう・・。」 「・・え?」 砕蜂は気づいている。夜一は決して褒めていない。 それどころか、『雀蜂』は使いにくいと暗に言っているのだ。 「・・何か問題でもあるでしょうか・・?」 心配そうな砕蜂に、夜一の方が気を利かせた。 「いや、強力な斬魄刀であることには違いが無いぞ? 始解の段階で、二撃決殺などおぬしの斬魄刀くらいじゃろうからの。」 「隠密機動にふさわしい斬魄刀だと私は思っているのですが・・。」 「確かに暗殺向きじゃ。それはそうなのじゃが・・。」 「何か?」 「真に手ごわい敵に、同じところに二撃食らわせるのはなかなかに難しいぞ? 一撃は喰らわせられても、二撃目はそうはいかぬ。 相手も構えてくるじゃろうからのう。 斬り合いになるのも必定じゃ。そうすれば、この形状では少々斬り合いには、向かぬでのう。 ニ撃を一回で行うくらいの技量が無ければ、これを使いこなした内には入らぬかもしれぬぞ?」 「・・は・・・はい・・・。」 砕蜂は段々と自分のテンションが落ちていくのを感じていた。 夜一の言う通りだ。暗殺にニ撃を基本などと意味はない。 暗殺の基本は一撃必殺。 あくまで一撃で決めるのが重要なのだ。 二撃でどんな強敵でも屠る事が出来るなどと、浮かれていた自分が猛烈に恥ずかしくなってきた。 しかも特殊力を手に入れた代わりに、自分の斬魄刀の間合いは極端に狭くなってしまっている。 『・・何が始解だ。・・全く実用に適さぬではないか・・。』 萎む気持ち。夜一がそれを勇気づけた。 「何をしぼんで居るのじゃ。胸を張らんか! おぬしの斬魄刀じゃぞ!おぬしが誇りに思わずしてどうする! おぬしが使いこなせると思うたからこそ、斬魄刀はその形になったとは思わんのか!」 「・・夜一様・・!」 砕蜂はそれまで以上に、スピードを上げる修行を重ねた。 それは、己の斬魄刀の能力を最大限に生かすためだ。 ニ撃を決める為には、相手の攻撃をかいくぐる若しくは知られぬうちに懐まで入らねばならない。スピードは死活問題だ。 ・・そして流れる時と共に事態は変化した・・・。 砕蜂の目標であり憧れであり、敬愛の対象であった夜一の姿は尸魂界にはもう無い。 砕蜂にも、そして誰にも知らせず、夜一は姿を消してしまった。 心酔していた主君に裏切られたという絶望は、砕蜂を更に過酷な修行へと駆り立てた。 必ず、隠密機動の頂点に立つ。そして、自分を裏切った夜一を超える存在となるのだ。 それ以外に、砕蜂の心の隙間を埋めるものは無い。 そう思って修行をしていた。 二番隊の隊長にも当然ならねばならない。 そして砕蜂が隊長になるための絶対条件である卍解。 これを会得せずして先には進めない。 卍解には「具象化」と「屈服」が必要だ。 「・・卍解か・・。」 卍解を使用する時。 つまりそれは、砕蜂のニ撃決殺は不可能な状況である時だ。 敵の懐にどうしても入れない時。若しくは、二撃決める事が出来ない時。 雀蜂の欠点。 同じ場所にニ撃を決めなければならないという点。そして、あまりにも短すぎる間合いだ。 卍解ではそれを克服するものではならない。 つまり、遠距離からでも攻撃が可能で、一撃必殺が可能とするもの。 隠密機動で一撃必殺と言うと、通常は急所への一撃、もしくは致死量を何千倍に超える猛毒の使用だ。 急所への攻撃など、いつもの事だ。既に隠密機動にある者にとっては意味がないと同じ事。 「・とすると、猛毒か?」 だが毒の扱いは難しい。明らかに致死量であっても予め中和されればそれまでだ。相手がマユリのように耐性がある敵であってもおかしくはない。 手段は選ばない。敵を倒す目的さえ達せられるのならば。 ・・そして、砕蜂は終に卍解を会得する。 『雀蜂雷公鞭(じゃくほうらいこうべん』 巨大な砲身を右手に装着し、敵を粉砕するという、これまでの砕蜂の戦いとは真逆の戦闘方法の卍解となった。 確かに、強力だ。しかも遠距離の間合い。 これならば、確かに今までの欠点であったニ撃決殺と狭い間合いは解決するだろう。 「・・しかし、これでは・・。」 動くたびに派手にガシャガシャと音がする砲身。 しかも大き過ぎて、隠すことなどまず無理だ。 加えて重い。持ち運ぶのは砕蜂だから出来ることであって、同じ体格の者なら、まず移動すら無理だろう。 加えて攻撃は音も破壊力も絶大で、反動もすさまじい。 こんなものを持っていては、隠密機動としての戦いは無理だ。 隠密機動の総帥になる者が、この卍解では・・。 暗殺とは人知れず殺すことにある。 この卍解はそれにことごとく反するものだった。 だが、その破壊力は確かに魅力がある。捨てがたい。 砕蜂を新たなジレンマが襲うのだった。 そして今はとりあえず・・ 「・・隊首試験のときはこれを見せねばらならぬのか・・。」 隊長となるには、卍解を見せねばならぬ。 だが、隠密機動の砕蜂がこのような卍解を持つなど、隊首試験の監督として立ち会う者は鼻で笑うだろうか。 出来れば見せたくはない。しかし、見せねば隊長にはなれない。 こちらもまたジレンマであるようだった。 なんちゃって。 いじっていて、ますます砕蜂の斬魄刀って使いにくいなあと思ってみたり。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年06月10日 00時00分20秒
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