日本の街の夜は都会の繁華街を除いて夜7時にもなるとシャッターが閉じ、暗くなる。
明るいのは街灯だけで、人通りもまばらだ。
2009年6月に初めて 台湾の高雄を 訪れたとき 利先生が 夜市 を案内していただいた。
台湾の主な町には 必ずこの夜市があり 大勢の人がまばゆい電気の光のもとで楽しんでいたのに驚いた。
一つには 年間を通じて暑く、夕方の涼しい時間帯が過しやすいこともあろう。
しかし日本の南九州などでは、せいぜいお祭りの、「はれ」の日でなければ、これほど人々でにぎあうことがないということを思うと、風土と文化が培ってきた風習であろうか。
先日、台北のJさんが、「藤三郎プロジェクト」の成功を「天燈(テンダン)」を空にあげて祈願していただいて感激した。
ランタン祭りというのが盛んだという話は聞いていたが、
日本で川へ流すところが 天へあげるというのも その宗教観も何かしら影響しているのかもしれない。
宮沢賢治も 「銀河鉄道の夜」 で からす瓜のランタンに火をともし、川に流す場面が冒頭に出てくる(それはまた終章の友の水死の伏線にもなっている)が
その幻想的な場面を もっと壮大にしたような イメージを惹起する。
台湾ランタンフェスティバル 笑顔照らす 幻想世界
2013.2.28
台湾最大級の祭典「2013台湾ランタンフェスティバル」が2月24日、北西部
の新竹県竹北市で始まった。メーン会場の台湾新幹線「新竹駅」周辺には、大きさがさまざまなランタンが数百万個も飾られ、揺らめく明かりが幻想的な光景を生み出した。
「3、2、1、点灯」。午後7時過ぎ、新竹駅そばで行われた点灯式。馬英九総統の合図で高さ20メートル以上ある巳年にちなんだ「メーンランタン」が赤、青、緑など、さまざまな色を帯びて輝き出した。圧倒的な光のショーに、訪れた100万人の観客が感嘆の声を漏らした。
ランタンフェスティバルは、旧暦1月15日(今年は2月24日)の元宵節(げん
しょうせつ)に満月を祝うため、ランタンをお寺などに飾った風習にちなむ。ランタンをともすのは、夜空を照らして精霊を眺めるためだともいう。
メーン会場だけでなく、周辺の街頭にもさまざまなデザインのランタンが飾られた。新竹名物の柿を模した伝統的なランタンや、ライトを散りばめた光のトンネルなど。かわいいアニメキャラクターのランタンは家族連れに人気だ。夫や子供と来ていた、新竹市の陳音攸さん(33)は「にぎやかさが大好き。お正月気分をいつまでも味わえる」。
15日間の期間中、国内外から計1000万人の来場者が見込まれるという。
≪伝統とハイテク融合 復活誓う≫
台湾ランタンフェスティバルは「伝統」と「ハイテク」が融合した一大国家イベン
トだ。欧州債務危機の影響で輸出が減り、経済成長率が落ち込むなどして、最近、少し元気がない台湾。しかし、華やかな光の祭典のにぎわいを見ると、台湾政府が胸に強い復活への決意を秘めているのがうかがえるようだ。
実際に、ランタンフェスティバルに使われる明かりは、台湾お得意のハイテク技術が使われている。発光ダイオード(LED)照明の明滅をコンピューターが制御しているものもある。
飾られるランタンは提灯型から、アニメキャラクター、動物をかたどったオブジェ型まで、さまざまあるが、高さ20メートル以上ある「主役」のメーンランタンは、巳年にちなみ、1000年で龍になるという神獣「蛟(みずち)」が天を駆け上る姿をかたどった。
コンピューター制御で発色するこのランタンは、開発・製作に1000万台湾ドル(約3000万円)をかけた。スマートフォン(高機能携帯電話)やテレビの生産が経済を引っ張る、台湾のハイテク技術の粋だ。色の組み合わせは、2000パターンに上るという。会場の竹北市の隣には研究機関やIT企業が集まる「台湾のシリコンバレー」と呼ばれる新竹市もある。
馬英九総統は点灯式のあいさつで、メーンランタンの神獣が龍に生まれ変わるエピソードを交えながら「経済の再成長を成し遂げたい」と決意を語った。テクノロジーに裏打ちされたランタンの数々。その技術は新しくとも、ランタンの優しげな色合いや、キャラクターのデザインにはどこか懐かしさも漂う。
ランタンを眺めながら、案内役の宋家芬さんが、昔の祭りの様子を語ってくれた。
「小中学生だった30年前は、円筒形の脱脂粉乳の缶に穴を開けて明かりが漏れるようにし、中にロウソクを立てた手作りランタンをこしらえたものです。その手作りランタンを手に友達と町を練り歩き、幽霊スポットを探したりして」
今では、子供たちが手にしているのは、ロウソクと缶のランタンではなく、発光ダイオード照明を使った市販のキャラクター型のライトなど。
ただランタンフェスティバルは、テクノロジーに彩られた今もなお「お年玉の次に来る、毎年心待ちにしているイベント」(宋さん)として、子供たちの楽しみであり続けているようだ。(山口暢彦、写真も/SANKEI EXPRESS)
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■台湾ランタンフェスティバル 台湾で最大規模の祭り。小正月の旧暦1月15日(今年は2月24日)に、提灯(ランタン)を寺院に飾るなどして満月をことほぐ祝日「元宵節」が起源。観光振興のため、台湾観光局が1990年代から毎年主催。毎年会場は変わり、24回目の今年は、3月10日までの15日間、台湾北西部の新竹県竹北市で開催