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2014年06月14日
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カテゴリ:広井勇&八田與一
ボーイズ・ビー・アンビシャス第4集の原稿が完成して、印刷所にメール便の速達で送った。

「青山士の語る荒川放水路工事」を8頁分付け加えた。

その中で、心に響いた発言があり、冒頭にメモっておいた。もう少し詳しい考究が必要だが、

青山士には 軍備より「人類愛の努力をもって 人類の願望のため」の土木事業を という発想があり、

それは 師・内村鑑三の考えに由来するように思われる。

戦後日本の平和憲法こそは ある意味、内村鑑三の精神を受け継いだものといえるのかもしれない。



青山士の語る「荒川改修工事」
 機械学会雑纂第三十六号(大正十一年四月)に内務省技師・工学士 青山士の「荒川改修工事について」の講話が掲載されている。
青山は加茂機械学会長から荒川改修工事見学の依頼を受け、「自分の仕事の広告になるかもしれない。エンジニヤーは連合して自分たちのできうることを広告したほうがよいと考え荒川改修工事の大体を話し、土木工事に対する興味を惹起すると同時に、視察の時の案内にもなろうかと思って講演を引き受けた」と前置きして話す。印象深い事は、青山が「軍人は又戦争の時には敵を殺すか又は再び戦闘することが出来ないやうにすると云ふやうなことをそれ自身が能く広告して居る」と言い、荒川改修工事の予算が「二千九百四五十万円と云ふと大分大きな金のやうに思はれますが、軍艦一艘拵へれば三千二百万円掛ることであります。軍艦たった一艘、それで荒川の水害を除くことが出来るのであります」と軍備に金を掛けるより荒川改修に金を掛けたほうが「百姓が助かるのみならず、新隅田川の沿岸に工場を持って居る方々も非常に助かる」と言っていることである。これは恐らく青山の師・内村鑑三の非戦論・小日本主義の影響であろう。また大正末期の言論の自由な時代(大正デモクラシー)だからこそであろうか。また雨量二百ミリなど技術屋らしく数字で話を進めるところも面白い。(略)








「余が非戦論者となりし由来」は、内村鑑三が明治37年9月22日に「聖書の研究」に載せたものだという。
しかし、この論は今でも生き生きとした生命をたたえている。
内村鑑三は率直に以前の自分の可戦論の過ちを認め、新しい非戦論を説いた。
この人は生涯誠実にその魂を高め続けた人であるらしい。

余が非戦論者となりし由来

私も武士の家に生まれた者でありまして、戦争は私にとりましては祖先伝来の職業であります。
それでありますから私が幼少の時より聞いたり、読んだりしたことはたいていは戦争に関することでありました。
源平盛衰記、平家物語、太平記、さては川中島軍記というように戦争にかかわる書を多く読んだ結果として、私もついこの頃まで、戦争の悪いということがどうしても分からず、キリスト教を信じて以来ここに23,4年にわたりしも、私も可戦論者の一人でありました。
現に日清戦争の時においては、今とは違い、英語をとって日本の正義を世界に向かって訴えんとするものはごく少数でありましたゆえに、ヨセばいいのに、私は私のまわらぬ鉄筆をふるいまして「日清戦争の義」を草してこれを世に公にした次第であります、
カーライルの「コロムウェル伝」を聖書に次ぐの書とみなしました私は正義はこの世においては剣をもって決行すべきものとのみ思いました。

 しかるに近頃にいたりまして、戦争に関する私の考えは全く一変しました。
私は永の間、アメリカにあるクエーカル派の友人の言葉に逆らいて可戦説を維持してきました。
しかるにこの2,3年前よりついに彼らに降参を申し込まねばならなくなりました。
ある人はこれがために「変説」をもって私を責めますが、ドーモいたしかたがありません。
私は戦争問題に関しては実に変説いたしました。
西洋のことわざにも「智者は変ずる」ということがありますから、私のごとき愚かなる者も、もし充分なる適当の理由がありますれば、かかる問題に関しては説を変じてもよろしかろうと思います。

 さて何が私をついに非戦論者となしたかというに、それにはだいぶ理由があります。
私はここではその主なるものだけを述べようと思います。

1 私を非戦論者にしたものの中でもっとも有力なるものは申すまでもなく聖書であります、ことに新約聖書であります。
私は段々とその研究を続けてついに争闘なるもののその総ての種類において避くべきもの、嫌うべきものであることを覚るにいたりました、
新約聖書のこの句かの句を個々にとらえないで、その全体の精神を汲み取りまして、戦争はたとえ国際間のものでありとするも、これを正しいものとしては見ることができなくなりました。
十字架の福音がある場合においては戦争を可(よ)しとするとは私にはどうしても思われなくなりました。

2 私をしてほとんど極端なる非戦論者とならしめし第二の原因は私の生涯の実験であります。
私は3,4年前にある人たちの激烈なる攻撃にあいました。
その時ある友人の勧告にしたがいまして、私は我慢して無抵抗主義を採りました結果、私は大いに心の平和を得、私の事業はその人たちの攻撃により、さしたる損害を被ることなく、それと同時に多くの新しい友人の起こり来りて私を助けくれるのを実験しました。
私はその時に争闘のいかに愚かにしていかに醜きものであるかをしみじみと実験しました。
私は確かに信じて疑いません。
私がもしその時に怨みをもって怨みに報い、暴をもって暴に応じましたならば、多少の愉快を感じましたろうが、私の事業は全く廃れ、今の私は最も憐れな者であったろうと思います。
ロマ書12章にあるパウロの教訓を充分に覚りましたのは実にその時でありました。
この事はもちろん私事ではありまするが、しかし私はそれによって総ての争闘の愚にしてかつ醜なることを覚りました。
何人でも己れ自から無抵抗主義の利益を実験したる者は必ず彼の国に向かっても同一の主義の実行を勧めるであろうと思います。

3 私をして非戦論者とならしめし第3の動力は過去10年間の世界歴史であります。
日清戦争の結果は私にツクヅクと戦争の害あって利のないことを教えました。
その目的たる朝鮮の独立はかえって危うくせられ、戦勝国たる日本の道徳は非常に腐敗し、敵国を征服し得しも故古河市兵衛氏のごとき国内の荒乱者は少しもこれを制御することができなくなりました。
これは私が私の生国なる日本において見た戦争(しかも戦勝)の結果であります。
(略)

4 私を非戦論者になした第4の機関は米国マッサチューセット州スプリングフィールド市において発行せらるるThe Springfield Republicanという新聞であります
私は白状します、
私は過去20年間のこの新聞の愛読者であります、
かくも永く私が読み続けた新聞は勿論日本にもありません、
私の世界智識の大部分はこの新聞の紙面から来たものであります、
この新聞は私の見た最も清い最も公平なる新聞であります。
これを読んで頭脳(あたま)が転倒するような思いは少しもありません。
常に平静で常に道理的で、実に世界稀有の思想の清涼剤であると思います、
しかしてこの新聞は平和主義者であります、絶対的非戦論者というわけではありませんが、しかし常に疑いの眼をもって総ての戦争を見る者であります、
彼はかの国人の世論に反対していたくフィッリッピン群島占領に反対しました、・・・
しこうしてこの新聞を20年間読み続けまして、私もついにその平和主義に化せられました。(略)

 この外にもまだ私を非戦論者になした勢力はありましょう、
しかしこの4つのものがその重なる者であります、
ことに近頃私をして非戦論に関する私の確信を固めしめましたものは哲学者故スペンサー氏の戦争に関する意見であります。
氏の戦争論については他日別にお話しいたしたく思います。

 私はついに非戦論者となりました。
しかし非戦論とはただ戦争を非とし、これに反対するということばかりではありません、
非戦論の積極的反面は言うまでもなく平和の克復並びにその耕修であります、
私は神に祈り、神もし許したまわば、国民の世論に逆らって、この時に際して非戦論を唱えた賠償として、微力ながらも、出来得るだけの力を尽くして、平和克服の期を早め、敵国との行意交換の基を作りたく思います。
ドウゾ本誌読書諸君においてもこのために御祈り下さらんことを願います。





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最終更新日  2014年06月14日 06時25分12秒
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