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カテゴリ:鈴木藤三郎
八月十二日 晴 桑港発出 午後七時桑港出発。気車〔汽車〕にてヲークランド迄北嶋氏同車せり。是より同氏に分袂す〔別れる〕。是より気車は東北に進行し、峡間〔山あい〕を経てトンネルを抜け、四顧する〔四方を見る〕に前は漠たる〔果てしなく広がる〕平地にて青草を敷き、東北は雲に接し山を見ず。平野に一つの巨流あり。即ちサンジヨウキン河なり。霎(小雨)時にして、ヲナユロツプ・ストツトンを通り過ぎ、サクラメントに着す(桑港から百三十九英哩)、是処はカルホルニヤ州の首府なり。是より平地を走ること五十哩余にして、ニユーカストル辺より地勢漸く高くなり、ブロメルゴツトの狭路より岡巒〔山なみ〕重畳峻しくて進行頗る至難なり。コルハツキスに達するとき、汽車は傾斜して仰登す。谿坡を渉り、橋を越へ、眺望絶景の城に着く。背後は厳嶂〔きびしい峰〕壁をなし、樹木を負て嶄然〔ひときわ目立つ〕たり。前は深谷で洞然〔ぽっかり〕と窪く、且つ其の谷底に一村落あり。遥に豆人や寸馬を見る。是よりコールドロン村を過ぐ、此辺には谷間より渓水を引き金砂を淘する桶を処々に観る。ドツチユルラツト村を経てヲルタに至るも、各家皆、採金家にして亦桶の仕掛けあり。是即ち世界三大金鉱の一つなりと云ふ。偖て列車は険を走せサデールンに登りしが、峻坂〔険しい坂〕倍々急なり、機関車を増して三となし、サデール・チウナリングの両高山前後を塞ぎて聳へ立ち、険峻最も極まれり。此辺よりは鉄道は雪覆の設あり。其よりウエストボーターの隧道を抜け、スシツト村に着したり。此駅はシーラネヴアタ山脈の絶頂にして、海面を抜くこと七千〇十七尺〔約二千メートル〕なりと云ふ。峰巒波を成し、此地に一宇[一棟の家]を建設して列車を寄す。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年10月06日 22時30分23秒
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