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カテゴリ:イマジン
映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』は、20世紀半ばのハリウッド黄金期に最も人気のあった脚本家、ダルトン・トランボの実話に基づく作品だ。なぜ彼は、自分の名前で作品を発表できなくなってしまったのか? そこにはハリウッドの華麗な歴史の中で汚点になっている“赤狩り(マッカーシズム)”と、どんなに理不尽な目に遭っても、映画への思いと家族のために書き続けた1人の男の脚本家としての矜持があった。
物語の始まりは1947年。米ソの関係が悪化する中、共産主義者を弾圧する赤狩りの矛先がハリウッドにも向けられる。標的にされた1人が、本作の主人公トランボ(ブライアン・クランストン)だ。自らの信念を貫き、下院非米活動委員会の公聴会で証言を拒んだ彼は、議会侮辱罪で投獄されてしまう。 こうして国家への反逆者のレッテルを貼られ、1950年に投獄されたトランボだが、翌年に出所。しかし彼に脚本を依頼する映画会社はどこにもない。そんな彼を救ったのは、B級映画専門のキング・ブラザーズ社のフランク・キング(ジョン・グッドマン)だ。政治には一切興味がない彼は、破格の安値で「質は最低限、量は最大限」というのが信条。その依頼を受け、トランボは低予算のアクションやSFの脚本を書きまくる。 そんな折、トランボが書きながらも自分の名前で発表できず、旧知のイアン・マクレラン・ハンターに託していた脚本を映画化した『ローマの休日』が、1954年3月のアカデミー賞で原案賞に輝く。もちろんトランボはこの賞を受け取れなかったが、さらに1957年3月には、長年温めていた企画をロバート・リッチ名義で脚本化した『黒い牡牛』が、再度アカデミー賞原案賞を獲得するのだ。このとき授賞式に現れなかったロバート・リッチなる人物を巡り、業界内でさまざまな憶測が飛び交い始める。 やがて少しずつだが、トランボを取り巻く環境に改善の兆しが見えてくる。 そんな彼が、安価で受けながらも質を落とさない脚本で、徐々に形勢を逆転させていく展開は、本作でカタルシスを感じられるところの1つだろう。また、『ローマの休日』や『黒い牡牛』と同様に、彼が自分の名前で書けなかった映画も登場。あの映画も彼が書いていたのかという驚きがあるのも、この作品の楽しみの1つだ。 そして、何よりカタルシスを感じられるのが、トランボがスピーチをするクライマックス。名誉を回復したトランボは、 「あの暗闇の時代を振り返るとき、英雄や悪者を探しても、何の意味もありません。いないのですから。いたのは被害者だけ」 という言葉を口する。 主人公のトランボ役を本作でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたブライアン・クランストン。トランボの妻クレオ役にダイアン・レイン。娘のニコラ役にエル・ファニング。トランボを執拗に糾弾するコラムニストのヘッダ・ホッパー役をヘレン・ミレンが演じている。 最後にアカデミー賞原案賞に輝いた『ローマの休日』について触れておこう。イアン・マクレラン・ハンターが受賞したこの賞について、アカデミー賞選考委員会は1993年に改めてトランボに1953年度最優秀原案賞を贈呈している。1976年にトランボが亡くなってから、17年目のことだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年07月24日 23時49分08秒
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