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2017年01月25日
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カテゴリ:イマジン
直木賞に恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」が直木賞に決まってのコメントが出ていた。

そのなかの一節の文章が心に残った。

「『蜜蜂と遠雷』を書き始まる前、ぽつんと頭の中に浮かんでいたイメージは、明るい戸外の野原に一人の少年が立っていて、蜜蜂の羽音に耳を澄ましている、というものだった。

彼はその羽音に、至上の音楽を聴いている。

それは、私が漠然と感じていたことでもあった。

なんだかよく分らないけれど、自然界には、ものすごく活き活きとした音楽が溢れている。

普段は気づいていないが、何かの拍子に意識してしまうと、そのことに圧倒される。

 音楽を「意味のある音」に分類するならば、言葉がまさにそうだ。

『蜜蜂と遠雷』を書き始めてしまってから、音楽を文章で表すことに正面から向き合わざるを得ず、

「なんという無謀なことを始めたのか」と数限りなく後悔したが、

長い苦闘ののちに書き終えてみれば、「なんと音楽と言葉は似ていることか」に変わっていた。

 言葉は、楽譜のようなものだ。

ある人にとってその言葉が「意味のある」ものならば、必ずそこに音楽を聴くことができる。

人は、文章を通して自分の頭の中に至上の音楽を鳴らすことができる。

このことは、読んでくれた皆さんが実感してくれ、この賞をいただけたことで、ある程度証明できたのではないかと思う。」




人間の言葉は非常に不完全なもので、ある意味真実をなぞっているものにすぎない。

そこで映像や音楽などで真実を伝えようとするが、十分ではない。

しかしまた、思想は言葉を通じてしかよく表現できない。

仏教の経典のなかに、華厳経であったろうか、宇宙はさまざまな世界に満ちていて、

ある世界では音楽で説法し、ある世界では香りで説法し、ある世界では言葉で説法しというように、それぞれの世界がそれぞれの方法でコミュニケーションをはかると記述されているものがある。

この世界の人間のコミュニケーションの主たる方法は言葉であって、その苦闘の歴史が哲学や文学の世界であり、

それぞれの先人の文章はそれぞれの「意味のある音楽」でもある、それこそが文体というものかもしれない。


宮沢賢治の文章のなんと妙なる音楽をならすことか。

「ただいちばんのさいわいに至るためにいろいろのかなしみもみんなおぼしめしです。」 青年が祈るようにそう答えました。





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最終更新日  2017年01月25日 05時31分49秒
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