イップス(第五話)を観る。
■フジ金9ドラマ/痛快ミステリーコメディ■イップス/第五話(2024.5.10)/「法廷画家は誰が為に」あらすじ↲この刑事は「イップス」だ。――たった一行ですが、ミステリー小説を書けるようになっている黒羽ミコ(篠原涼子)。↲抽選で傍聴券が当たったミコは運転手の坂浦猛(渡辺大知)と一緒に小説のネタ集め目的で東京地方裁判所鳥河支部での裁判を傍聴。大手建設会社による不当な圧力が原因で起きた建設現場での死亡事故の責任を問う裁判(701号法廷)です。隣席には法廷画家の板野恭二(渡部篤郎)がいます。本来は洋画家である板野は、現在、裁判中の法廷内の様子を描き、それをテレビニュース番組に納品することで生計を立てています。15年前、「破顔/A smile broadly,or come……」という個展が評判を呼び、画家として漸く一本立ち出来る状況になった頃、それまで支えてくれた妻、美幸(空美)を交通事故で亡くし、それから洋画が描けなくなっている板野。妻の絵も描けていません。そんな板野は、法廷画家活動をしながら、妻を殺した交通事故加害者を弁護し微罪で逃がした杉本浩紀(田中要次)への復讐の機会を狙っていました。――で、この建設現場事故裁判では、被告の発注元、大手建設会社(茄子原建設)の弁護士、杉本浩紀が施行計画書の合理性を主張し、原告の梅坂工務店が利益を上げる為に施行行程を省略した結果起きた事故と主張。逆に、原告側を攻撃。で、この裁判の閉廷後、ミコは弟の慧(染谷将太)がテレビドラマ現場アシスタントの原告(髙山純平)代理人弁護士を勤めるパワハラ裁判(505号法廷)を傍聴。これは若いアシスタントがドラマ監督(阿曽山大噴火)のパワハラを訴えている裁判です。この裁判にも法廷画を描く人物(実は板野が雇った背格好が酷似している別人<榊>の法廷画家)がいます。その裁判中、「酷い、パワハラ野郎なんて、ぶん殴ってやれば好いのよ!」とミコがヤジを飛ばし、「傍聴人は静粛に」と裁判長に叱責されます。↲その頃、「15年前に法廷でお会いした者です。ちょっと、お聞きしたいことが……。ここじゃあ何ですから……」と言って、杉本弁護士を屋上に連れ出していた板野。板野は妻を死亡させた加害者には「危険運転致死罪」の適用を訴えていましたが、それを逃れる弁護をしたことを非難。「あの時の加害者はたった数年で刑務所を出て、再び事故を起こして死んだ。私は憎むべき相手を失なった。私がどれだけ苦しんで来たか分かって貰えませんか?」と言って、屋上のヘリに立つ板野。板野は、屋上から投身自殺するかのように振舞います。それを杉本弁護士が押し留めようと接近した時、「うっちゃり」の要領で杉本を屋上から投げ飛ばした板野。その後、法廷画を自身の身代わりで描かせた人物(榊)から505号法廷を描いたスケッチブックを受け取っていました。――裁判所の屋上から杉本弁護士が転落死。頭部から流血。板野(らしき人物)が裁判中の法廷画を描いているタイミングでの落下事故です。ミコは慧が原告弁護人を担当する案件の裁判中、板野(らしき人物)が傍聴席にいるのを見ています。が、杉本の落下地点が真下ではなく、かなり建物から離れているのが不自然であり、これは突き落とされたものと考える臨場の森野徹(バカリズム)。怨恨殺人の可能性が高いと睨むミコと森野。杉本の背中に黒鉛(鉛筆の芯)の付着していたことから、改めて法廷画家の板野に話を聞きますが、「確かに私は妻のことで杉本さんを恨んでいました。が、殺意と恨みは違う」と余裕の板野。森野がアリバイの有無を板野に問いますと、犯行時間帯に505号法廷で描いていたという法廷画を示します。ミコ自身が板野のアリバイ証人になっています。↲建設会社の事故裁判と、テレビ局のパワハラ裁判で法廷画を描いている人物の姿勢の違い(左腕でスケッチブックを抱える姿勢と膝上に乗せて描く姿勢)に気付くミコ。その疑問をミコが板野にぶつけると、森野は「たまたまそういう姿勢になっただけなのでは」と取り合いません。で、板野を取り逃がし悔しがるミコ。「あっ、あんたは、どうせこの現場からも逃げるつもりでしょ。さすが卑怯者。匿名でアンチやってる卑怯者」と森野に当たり散らすミコ。「もう現場には来ないでください」と言って酷く落ち込む森野。↲ミコが板野の身代わり偽装を見破り、それでアリバイが崩れたことになって、森野に連絡。しかし、森野の応答は無し。仕方なく弟の慧を連れて板野のアトリエを訪ねるミコ。「あなたは、本当にパワハラ裁判の法廷(505号法廷)に居たのですか?」と問うミコに、「そうじゃなかったら、この絵は描けない」と言って、原告弁護人の慧が描かれているスケッチブックを示します。「この絵を完成させたら証拠として認めてくれますか?」と板野が言い、スケッチに彩色を始める板野。「出来ました」と言って、彩色を施した法廷画を提示。それを見て「あなたは、あの法廷には居なかった」とミコが断言。板野は慧のネクタイ色をピンク系の彩色で塗っています。が、それは裁判が終わった時点でミコがプレゼントしたネクタイであり、法廷での弁護士活動中にはブルー系のネクタイをしていました。それで法廷画のスケッチは別人が描いていたものということになります。また、パワハラ裁判では、ミコが被告のパワハラ監督に向かってヤジを飛ばし、それで裁判長に叱責されていましたが、その理由を答えられない板野。「どうして私が裁判長に怒られたのか分かりますか?」という問いに返答できません。「私は、先入観から505号法廷にいた法廷画家をあなただと思い込んでいた。私が目撃したのはあなたに変装した別人」とミコ。変装した別人は、杉本弁護士に恨みを持ち、当日の裁判所内で彼に掴み掛っていた榊浩介(辻川慶治)でした。杉本に恨みを抱く榊に身代わり法廷画家を依頼していた板野。↲「杉本さんを殺したのは私です」と板野が自白。機動捜査隊の酒井純平(味方良介)刑事にメールを送るミコ。――警察に出頭する前に「妻との約束だけは守らせて」と板野。板野の理解者で板野のファンだった妻の美幸。一人前の洋画家になって絵が売れるようになり、それで立派な個展を開けることになった際、「何か欲しいものは?」と板野が尋ね、「じゃあ、私の絵を描いて」と言った美幸。が、その絵が完成する直前、個展に向かった美幸が事故死。以来、絵が描けない板野。「でも、あれ以来、杉本さんは犯罪被害者の遺族を支援する会を立ち上げ、多額の私財の寄付を続けています。そのことを知っていれば、あなたは杉本さんを殺さずに済んだのではありませんか?」と言うミコに、「そのことは知ってます。それ、私に関係ありますか?」と板野。そう言って板野が美幸の絵を完成させようとしますが、「違う。あの人を殺せば描けると思ったが……。そうか、もう、妻は帰って来ないんだ。……では、警察へ」と、板野は美幸の絵の完成を断念。「私も一緒に警察に行って好いですか?」とミコ。「板野さんは、もう一度、描けるようになりたかっただけ。もがき続けたら、きっとリスタートできる」とミコが板野の心情を分析。↲ミコの小説の模倣犯を追う森野が背後からスタンガンで襲われ、誘拐されます。↲