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2008.06.14
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カテゴリ:yuuko
ぼんやりと、コーヒーを淹れるテツヤの動きを眺めていると、
「名前」
といわれて我に返るユウコ。
「え?」
「君の名前も聞いてなかった」
コーヒーを運びながらいうテツヤ。
「あ、ユウコ。。」
「ユウコちゃん、か。僕の名前は言ったよね?」
「うん、テツヤくん」
「そうそう。どうぞよろしく、ユウコちゃん」
「こちらこそ。でも、、」
「ん?」
「呼び捨てにしてほしい。ちゃんってなんか、かわいすぎて」
「そう?了解。じゃあ、俺もテツヤって呼んで?」
コーヒーを飲みながら、芝居の感想や、裏話、そしてまたカナダの話なんかをする。テツヤが何かを話すたびに、胸が震えるユウコ。
そうか、胸が痛いのは、彼にドキドキしてるからなんだ。
「・・コは、恋人いるの?」
突然、聞かれ戸惑っていると、
「その、反応は、、いるってことなのかな?」
と残念そうにいうテツヤ。ユウコは慌てて首を振り、
「いないいない。別れたところなの」
「おっと、それは悪いこと聞いちゃったかな?」
「ううん。もう、終わったことだから。」
「本当に・・?」
「うん」
頷くユウコ。テツヤは嬉しそうに、
「じゃあ、僕、本気でユウコのこと、考えてもいい?なんか、めちゃくちゃスキになりそうな気がするんだけど。あ、もちろん、今日どうこうっていうことじゃないよ。ゆっくり、ちょっとずつ、僕のことも知ってもらって・・」
「あの」
さえぎるユウコ。
「何?」
「今日、から、、じゃダメかな?」
ユウコの言葉に戸惑うテツヤ。
「今、なんて?」
「今日、、から、じゃダメ?私、、、」
あまり時間がない、と言いかけて、少し考えるユウコ。そして、
「私は、もう、テツヤのこと、大好きだから」
テツヤは、目を細めてユウコを見る。真剣な目つきに、ユウコは、急に恥ずかしくなり、
「ダメ、だよね。。?会ったばかりでこんなこと言う女じゃ、信用できないよね。ごめんね。やっぱり、私、。。。忘れて」
と立ち上がり玄関に急ぐユウコ。なんてみっともないこと言っちゃったんだろ。。情けなさに涙が浮かんだ。バカみたい。私だって、本当は、ちゃんと、ゆっくり、、時間をかけたいのに。。自分の体が恨めしかった。
「ユウコ!」
テツヤは廊下を追ってき、ユウコの腕を掴んで抱き寄せた。
「ちょっと待ってよ」
ユウコは慌てて涙を拭きながら、
「いいの。ごめん。私、ほんとに、バカみたい」
テツヤが抱く腕に力を込める。
「・・・本気にしてもいいの?」
と囁くように聞かれ、そっと目を上げるユウコ。
「後悔しない?」
「テツヤ。。?」
「さっきはちょっと余裕あるフリして、、カッコつけたけど、僕も、君の事好きなんだ。一目ぼれだよ、完全に。」
「・・・」
「僕は、どっちかっていうと、、真面目じゃないと思う。これまで、たくさんの女の子と寝てきた。会ってその日に、、寝たことも、そしてそれっきりってことも、何度もある。恋人って呼べる人も何人かいたけど、いつも、女グセの悪さに愛想つかされてフラレテきた」
「ど、う、して、、そんな話?」
テツヤはかまわず続ける。
「でも、さっきも言ったけど、こんな風にいきなり、家に誘うことは本当に、ないんだ。たった一晩きりの相手のつもりなら、家まで連れてこない。最初から違ったんだ、ユウコのことは」
「最、初から・・?」
「って、説得力ないかな?ユウコが僕を受け入れてくれるなら、もうダレとも寝ない。僕は、今、そう思ってるんだけど」
ユウコは首を振り、
「そんなことどっちだってかまわない。他の人と寝たいなら寝ていいのよ」
テツヤは少し傷ついたように、
「それって、ユウコは、、、遊びってことなのかな?」
ユウコは少し笑って、
「違うの。そうじゃなくて、、」
「何?」
「私、少し、心臓が弱くて。。2週間に1度しか、、、その、、し、ちゃいけないの。」
「2週間に1度?」
「そう。それに、、激しいのも、、ダメ。。だから、きっと、物足りないでしょう?だから、いいの、私、テツヤを独り占めできなくていい。私といる時に私のことだけ考えてくれるなら、他に何人いたって、かまわない」
余命が短いことは言わない。前の彼にも言わなかった。言えなかった。言っても悲しい思いをさせるだけだ。ユウコは、ただ、誰かを愛して、愛されて、残された時間を過ごしたかった。
「ユウコ1人で十分だよ。心が満たされるなら、性欲なんて些細なことだ」
「・・・ほんとに?」
「ほんとに」
「、、別に、嘘でもいいんだけど、ね」
テツヤは心外そうに重ねる。
「ほんとに!だよ。」
ユウコは笑う。テツヤのその表情に、男、というよりは、男の子の感情を見つけて聞く。
「ねえ?」
「何?」
「歳、いくつ?」
きっと年下だ、とユウコは思う。
「19」
「え~??」
「何?ユウコは?」
「22」
「え~~??嘘だろ?」
「ほんとに。女は上にサバ読まないよ。」
「3歳も上?絶対、年下だと思ってた」
「年上はキライ?」
「ユウコならなんでもスキ」
「・・・」
「あ、調子よすぎた?」
「うん」
「でも、・・・ほんとだよ」
「うん。ありがと」
テツヤはそっとユウコを抱き寄せて、キスをした。


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最終更新日  2008.06.14 00:02:42
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