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カテゴリ:blue night
出てきた自分と入れ違いにシャワーを浴びに行った碓氷を見送り、蒼夜はふっと息をついた。
蒼夜にだって迷いがあった。 いいのかな、こんな風に、碓氷くんに抱かれても。 それはもちろん母のことを気にしてではなく、自分の中の「心」に対して後ろめたかったのだ。 碓氷に惹かれているのかも? そう感じた想いがどんどん大きくなってきていた。 だけど。。。 『僕はキミを愛してもいないし、二度と誰も愛することもない。』 碓氷がさっき断言した言葉がまた思い出される。 ・・・絶対好きになっちゃいけないんだ。 私にとって彼が、ずっと探していた「その人」、だったとしても、彼にとっての「その人」は、もう、既に存在しているのだから。 2度と会えない人だとしても。 碓氷くんは、あんなにその人を愛して。。。 心ごと持っていかれたって言ってたっけ。。 ・・辛い思いをするだけだ。 大体、碓氷ほどの男が、こんな、小娘に真剣になってくれるはずあるだろうか? ましてや、知らない男たちと寝まくっていた馬鹿な私に? ・・・ありえない。 ソファにもたれて目を閉じる。 あ~あ~あ~、なんで、よりによって碓氷くんなの? お母さんや水野くんの反対になんて立ち向かう気はある。 だけど、碓氷くんが私を好きになってくれる可能性はないんだ。 そう考えて、蒼夜は半ば泣き出しそうになる。 これ以上、好きになっちゃだめ。 惹かれちゃだめ。 心にしっかり言い聞かせる。 シャワールームから碓氷が出てくる気配。 でも、蒼夜は両手で顔を覆って逆のことを想ってしまう。 所詮、まだ、ハタチ。 恋も知らなかった小娘が、初めて知った胸の痛みから逃れられるはずもなかった。 ・・・今夜だけ、、いいよね? きっと、碓氷くんとの、最初で最後の夜。 愛してる人に抱かれるんだ、そう想うことは、とても危険だけれど。 圧倒的に心を襲う強い想いには勝てなかった。 なんといっても初恋なんだ。。。 だけど・・・碓氷くんには気づかれないようにしなくちゃ。 彼は、私のために、私のことを思って、抱いてくれるんだから。 そう、愛とは違っても。 だからこそ、そのことが、彼の負担になったら、、申し訳ないもの。 自分は後でどれだけ、、傷つくことになるとしても。 どれだけ辛い思いをすることになるとしても構わない。 やっと出会えた初恋を、、、押さえ込むなんて、無理。 ドライヤーの音が止み、蒼夜は心を落ち着かせる。 心の中では正直にいよう。 だけど、彼には、、、絶対にそれは見せない。 ・・・できるかな? できるよね、私。 ←1日1クリックいただけると嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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