｢乾坤一擲｣　橋 亭 瓦 版

みっちゃんは物色が好きだ。

来て早々、袋に入っていた焼酎を勝手に取り出し、しげしげと見てやがる(ーー;)

ラックの上においてある大きな寸胴鍋を仕事も忘れて見上げている。

「どうした？」

「鍋があるな～と思って････」（そりゃ、あるわな）

保温器を「ほーおんき」などというので、

「みっちゃん、ウチの息子と同じぐらいのレベルだな」

といったら、態度が豹変し

「それは言いすぎですよ。いくら私でも小学三年生には負けません！｣

思い切りムキになって否定した。

みっちゃんにもプライドがあったようだ。(*´Д｀)=зホッ。 

と、

「ひっ！」

いきなり息を飲み込んだ。

「あ、あれ・・・・」

指をさす方向は、店の階段がある。

「なに？」

「い、いま、人影が見えたんですぅ」

（ついに、ここまできたか）

と私が案じていると

「ついに幻覚まで見るようになったの？と心配になってきましたぁ」(#^.^#)

「ああ・・・・」

私は人影が見えたという階段のドアを開けた。

そこには！

息子がニコニコとして立っていた。(＠_＠;)

幻覚の正体は息子だった。

ま、初めからわかりきっていたことであるが、

お前ら同類だな！おい！

「よかったぁ。今日眠れなくなるかと思いましたぁ｣

息子は息子で

「乱入キャラ出てきたよ！見せたいから上に来て！」

と、ゲームの話。

みっちゃんはみっちゃんで

「急にお腹がすいちゃった。ババロアが食べたい！」

かくして、昨夜の営業はパッとしないまま終わった････。(ﾉ_-｡)

きょうのBGM　「ホネホネロック」BY子門真人