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カテゴリ:小説
「時は太平洋戦争時の日本。
とある街に、一組の若い男女がいた。 二人は愛し合っていた。 そんなとき、男が戦地に行くことになった。 生きて故郷に帰ってこれるか分からない。 そこで男は恋人に『これを自分と思ってほしい』と 形見として、軍服の二番目のボタンを渡した。 これが始まりとされているのだけど、 本当なのかは定かではないんだよね。 だから、都市伝説と呼ばれるのかも」 最後に笑いながら語ってくれた。 「なかなか深い歴史だね」 私は、ただただ感心するだけだった。 「さて、授業のテーマの話でもしようか」 羽鳥くんが一転して、真剣な表情に変わった。 今日、こうして集まったのは授業の発表の話し合いである。 発表のテーマは、日本史の教科書問題だった。 「何をやっていいか分からないんだけど」 と、私は少々、投げやりだった。 羽鳥君は少し飽きれた声になるつつも真剣だった。 「オレさ、この授業に結構、力を入れたいんだよ」 私は自分が恥ずかしく思えた。 と、同時に、なぜ彼がこの問題に真剣になるのが聞きたかった。 「何か、思うことがあるから、真剣なんだよね?」 思わず、聞いてしまった。やはり、マズかっただろうか。 その不安を一掃するように、彼はこの質問に答えてくれた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005年11月24日 13時18分22秒
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