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2005.01.27
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カテゴリ:批評
  監督・脚本はティム・マッキャンリーズ。実はこの映画、どうやら、かの感動作ティム・バートンの「ビッグ・フィッシュ」へのいわば対抗馬、いや、二匹目のどじょう映画であるようだ。マッキャンリーズは「アイアン・ジャイアント」の監督。感動ならお手の物、ということで、「ティム」バートンの対抗馬として担ぎ出されたのかもしれない。


 父親がいない14才の少年ウォルター(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は、「大金を隠し持っているらしいから、とにかく見つけてきて!」と興奮気味の母親に、今までまったく付き合いのない母方のおじ二人の住む家へおきざりにされる。
 おじ二人は、最近このテキサスに戻ってきたらしいのだが、その「億万長者」のうわさとは裏腹に、粗末な暮らし振りだ。無愛想なハブ(ロバート・デュヴァル)とガース(マイケル・ケイン)の2人に馴染めないウォルター。しかし、屋根裏部屋のトランクケースからエスニックな美女の写真を見つけたウォルターに、ガースが意外な物語を語り始めたことから、三人は心を通わせていく・・。

(以下「ビッグ・フィッシュ」も含めたねたばれが多数含まれますので、ご注意ください。また、以下にかかれたものはあくまでも筆者の観点であり、皆さんの感動を損なおうという他意はありません。)


 さて、この映画の何が「二匹目のどじょう映画」であるのかといえば、その基本構造そのままである。

 「ビッグ・フィッシュ」(原作のある、文学作品でもある・原作者はその後同じテーマで違う物語を書いているが、ここでは、ウソのように話した父親を責めている)では父親が生涯にわたって息子に聞かせ続けた夢のような話が、実は多少の誇張はあるもののすべて真実であった、という物語であった。

 かつてアーサー・ミラーの「セールスマンの死」で暴き出した、「人によく知られること」・「リッチになること」=「アメリカンドリーム」をすばらしいとする価値観が(これはアメリカのマスメディアのつくったものだ)実ははかなく、非現実的でありむなしいものであること・・を、きれいにひっくりかえし、現代においては「アメリカンドリームを信じよ」と、ストーリーのすべてをまるごと裏返しにした
のが、この原作であった。

( 左・ビッグ・フィッシュ  右  セールスマン)
 「息子たちに語ったままの凄腕セールスマン」⇔「実際は解雇寸前のセールスマン」
「浮気をしていそうでしていなかった父」⇔「真面目なようで浮気をしていた父」
「町中すべてが知り合い」⇔「町中すべてが知り合いという、ウソ・夢」

といった具合である。そこに対立しているのは、「アメリカンドリーム」の構図だけでなく、セールスマンの父親が、「信じられない父親」(死で愛を示すほかない)のに対し、ビッグ・フィッシュの父親は、「本当は信じるべき父親」であったという点でもある。ここに、原作者の(そして出版社、仕掛け人たちの)アメリカにおいての「父親を信じよ」というメッセージが(それは同時に、現在の父権崩壊を示唆するものでもある)読み取れる、と以前実はもう消してしまった批評で書いたことがある。くれぐれもいっておくが、これは感動作を批判しているわけではない。「ビッグ・フィッシュ」はすばらしい感動作である。ただ、この物語の登場・評価に、アメリカのそういう傾向が見える、というだけの話である。

 さて、「ウォルター少年と夏の休日」は、なぜこの「ビッグ・フィッシュ」の二匹目であるのかといえば、その基本構図が同じであるからだ。そして、上に同じく「セールスマンの死」をひっくりかえした部分が存在するからだ。

明日はそれについて、書いてみようと思う。






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Last updated  2005.01.27 13:25:35
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