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2005.02.07
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カテゴリ:批評
 監督は「ビューティフル・マインド」「アポロ13」のロン・ハワード。トミー・リー・ジョーンズとケイト・ブランシェットを主役に迎えた、手堅いアメリカ開拓時代劇である。

 1885年、アメリカ・ニューメキシコ州。医術師として生計を立てている中年女性マギー(ブランシェット)は、夫はいないものの二人の娘と、信頼できる愛人ブレイクとの簡素ながら幸せな日々を過ごしていた。そんなある日、20年前にアパッチ族との生活を選び妻子を捨てた父親(リー・ジョーンズ)が治療に立ち寄る。父親を許せないまま帰すマギーだったが、ブレイクと娘二人がインディアンに襲われ、ブレイクは死亡、娘の一人が誘拐されるという事件が起こる。マギーはしぶしぶ父親に手助けを求めることになる・・・。

 さすがロン・ハワードというべきか、その「西部劇」的背景は、美しく、そしてリアルである。えてして「セット臭く」なりがちな西部劇を、衣装からそのたたずまいから、明暗をうまく際立たせることで(部屋や町、荒野が「明るすぎる」ことが一番西部劇をアンリアルにする)、開拓時代の「簡素で質素な暮らし」を再現してみせたのは、まさにロン・ハワードの手腕ならではだ。

 また、インディアンに魅せられ妻子を捨てた過去を持つ「白人インディアン」のリー・ジョーンズの渋さ、「癒すこと」だけを行っていたマギーが、「守るために戦うこと」を学んでいくそのりんとブランシェットの表情、立ち姿。インディアンにさらわれながら機知と勇気を失わない娘リリーの力強さ、泥まみれの美しさ。悪役インディアンたちの「清潔すぎない」恐ろしさ。そういったキャラクターそれぞれの描きこみは、まさに名人芸というしかない。

 また、原作からのものであるだろうが、娘たちを誘拐し殺戮をくりかえすインディアンたちは、元はアメリカ軍隊のために働いていたインディアン部隊の脱走者たち、という設定である。そして、追う側のアメリカ軍にも、それに協力するインディアン達がいる。インディアン対インディアンの構図である。

 そこに見え隠れするのは、アメリカという国のご都合主義である。殖民してきた国の原住民を追い出し、彼らが白人と、そして同族同志とすら戦わねばならぬ状況を作りだしたのは、他でもないアメリカ人本人なのである。また、正義であるはずのアメリカ軍隊は、殺戮を受けた家を略奪するような有様の酷い部隊であり、一方、白人の生活を捨てた父親は、中途半端な存在でありながらも、意思と知恵、力を兼ね備えた者として描かれている。

 インディアンの精神世界への憧れ、というものは、ここ数年とくに顕著にアメリカでは現れているように思われるが、モラルの無いアメリカ軍隊に、呪術を使うインディアンのおどろおどろしい悪と、インディアンから良い面のみを学んだ「白人のインディアン」の対比が、アメリカ人の目指すべき姿を提示しているようにも、思われる。

 さて、それぞれのキャラクター描写の素晴らしさについて先ほどは賛辞を述べたが、ストーリー展開としては、やけに細かく描いたシーンがあれば、やけにささっとすんでしまった場面もある、といった具合で、幾分かあらがめだつ。ラストの一連の展開も、見せ場であるはずなのに「力が尽きた」ようなスカスカな描写となっていて、どうも山場としてはぱっとしない。そのため、「あぁおもしろかった」と手放しでおすすめできる出来とはいえないのが、残念である。

映画として 6.8/10

西部開拓劇として 8/10






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Last updated  2005.02.08 02:35:15
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