<映画レビュー>翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~
今回の映画は、前作に引き続き地域格差というものがテーマとなっております。ギャグとして描かれてはいるものの、本質を突いているな・・・と、私は思っております。地域格差があるだけに、隣接する地域においては対立が生じることがよくあるわけですが、それを象徴するものがあります。それが、ダービーというものです。ダービーとはサッカーの公式試合のうち、同じ地域どうしのクラブ、もしくは隣接する地域のクラブが試合をするものです。サッカーというものは、ボールがゴールに入ることで得点が入ります。試合中はなかなか点数が入ることがないだけに、ひとたびゴールが生まれると、その時点で熱狂が生まれます。これがダービーともなると・・・試合が盛り上がるのはもちろんなのですが、試合の外でも相当盛り上がる・・・どころか、ヒートアップするのです。観客どうし・・・サッカーではサポーターといいますが、そのサポーターどうしが挑発するのは当たり前だったりします。それがトラブルに発展してしまう・・・なんていうことはよくあります。まあ、世界のサッカーを見てみると、もちろんダービーともなるとトラブルが起きるのは当たり前のことで、ケンカなんてまだかわいげがあります。もっとすさまじいことがよく起こったりするものです。人を殺したりとか暴動が起きたりとか戦争が起きたりとか・・・。この映画のなかでは、浦和と大宮によるものがありますが・・・国内のダービーのなかでも苛烈なものがあったりします。まさにダービーのなかのダービー!ともいえるでしょう。まあ、映画では綱引き対決になってはおりますが、選手のなかには、実際にそのクラブで選手として活躍していた人物も紛れ込んでおりますので、本来のダービーよりも本気度は非常に高かったりします。・・・東京への通行手形が撤廃されてから3か月が経った頃。埼玉県内ではある揉め事が起こっていた。それは、埼玉から東京へと到達する五つの路線がストライキを起こしたのであった。その要因としては、埼玉ならびに千葉の周辺を結ぶ武蔵野線を設置する構想である。そのような揉め事を解決するためにも、麻実麗(あさみ・れい)は埼玉に海を作る計画を立案する。そのためにも、和歌山の白浜海岸の白い砂を持ってくるべく、千葉から和歌山へと船で向かうのであった。・・・冒頭で、五つの鉄道路線がストライキする場面がありましたが、それを見て宮城のことを思いました。それは、仙台を中心にした交通事情です。鉄道路線を見てみると、まさに仙台を中心にしているのが特徴となっております。仙台市営地下鉄は南北線と東西線が仙台駅で交わっており、まさに仙台を中心にしているのです。JRの路線もそうですね。東北本線は言わずもがなですが、仙石線は仙台からですし、仙山線もいったんは東へと進路を向けるのですが、途中からは東北本線を通り越して西へと向きを変えます。主要な道路もそうだったりします。国道4号線もそうですし、仙台を起点とする国道45号線や48号線がありますし、国道286号線もそうだったりします。そんななかで、武蔵野線のような道路というものが、仙台には実在しております。それが、仙台北環状線というものです。泉区の高森というところから八乙女を経て、そこからは大きくカーブを描くようにして西側にある折立(おりたて)というところまで到達します。あとはこういうものが鉄路で実現できればな・・・なんて思うのですが、仙台一極集中である現実があるだけに、実現は不可能であるのかもしれませんです。