5518823 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カテゴリ

フリーページ

カレンダー

プロフィール

kapon2

kapon2

日記/記事の投稿

バックナンバー

2024年04月
2024年03月
2024年02月
2024年01月
2023年12月

コメント新着

お気に入りブログ

蕎麦&もつ煮&ごは… New! M-65さん

うる星やつら GLITTE… New! 第三権兵衛丸 漁労長さん

ファインモールド F… あずま、さん

気になったことを調… ASDICさん
天は人の上に人を造… 鳩ポッポ9098さん
2006年05月26日
XML
カテゴリ:戦争映画
かちんこ 2005 フランス・ドイツ・イギリス  監督:クリスチャン・カリオン
出演者:ダイアン・クルーガー、ベンノ・フユルマン、ギョーム・カネ、ゲイリー・ルイスほか
117分 カラー


 ちょっと気になっていたので、東京に行ったついでに銀座シネスイッチで見てきました。結論から言うと、悪くはないけど、きれいにまとめすぎかな。

 公式の戦史には残っていないが、イブ・ビュトフ「フランドル地方とアルトア地方の戦い」という書籍に登場する、最前線でのクリスマス休戦と敵兵同士の交流を描いた、史実に基づくヒューマンドラマ。原作を読んだことがないので、どこまで史実に沿っているのか、またはどこまでが史実なのかはわからないが、戦争において、最前線では時としてこういうことも起きるのである。特に第一次大戦のような武士道、騎士道が色濃く残る時代は、このような事は頻繁に起こっていたようである。もちろん日本においても日露戦争の二〇三高地の戦いでの死者収容休戦の逸話などが知られている。
 従って、本作が決して特異な例というわけではない、という視点で見た場合、いささか美化されすぎた印象が強い。製作にあたり軍からの反対を受けたということもあるのだろう、登場人物の設定には相当気を遣っている様子がわかる。休戦の申し入れはオペラ歌手であるドイツ兵側からであり、極悪非道のドイツが善者扱いとなるのに抵抗があったのだろう、ドイツ軍、フランス軍、スコットランド軍が平等に、腫れ物をさわるかのように描かれている。多くのシチュエーションが設定されているが、どれも深くは掘り下げずにさらっと流されている。ストーリーとしてはわかりやすく面白いかも知れないが、リアリティとか盛り上がりという点に欠ける。そのため、戦闘シーンも及び腰で、クリスマス休戦に至るまでの悲壮感と緊迫感が描き切れていないのが残念。唯一スコットランド軍兵士の兄の戦死という設定のみが戦場での憎悪を醸し出しているが、逆に浮きまくっている。

 映像的にはごく普通で、幅100m程度の塹壕線の雰囲気は良く出ている。しかし、背景はCGなのか、スケール感は感じられない。戦闘シーンも今ひとつだが、塹壕内での砲撃シーンはなかなか秀逸。ドイツ軍、フランス軍、スコットランド軍の3軍が登場するが、軍装は明確に異なるとはいえ、特に何軍というテロップも少なく、ミリタリーに詳しくない人にとっては、一体これはどの軍だといささか混乱するかもしれない。
 休戦の花形はなんといってもソプラノとテノールの歌声。それは素晴らしい歌声で、いかにも役者が歌っているかのようにも見えるが、アフレコでプロのソプラノ歌手ナタリー・デセイとテノール歌手ロランド・ヴィラゾンという人だそうだ。これに、キリスト教の信仰が重なってクライマックスは厳かな雰囲気を醸し出す。国籍を超えた宗教への崇拝は何と強いのだろうと感動を覚えるが、逆にその宗教が紛争の火種となっていることも事実であり、なんとも矛盾なことである。
 本作は感動大作と銘打っているわけであるが、私が感涙したシーンは1カ所だけであった。ドイツ兵歌手がノーマンズランド(中間地帯)に入っていくシーンであるが、その後のシーンはいささか蛇足の感がある。もっとこのクライマックスを強調していればより感動作になったであろう。
 本作は数多くのエピソードが背景に描かれている。先にも書いたが、あまりにもさらっと流されているのはもったいなく、テレビドラマシリーズのようなもので全8話といった風に仕上げた方がよかったのではないだろうか。それだけ、素材は良いものがあるのでちょっともったいない感じだった。
 ちなみに、2005年フランス観客動員数第1位だそうだ。

興奮度★★★
沈痛度★★★
爽快度★★★
感涙度★★★


! (以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)
 1914年、第一次大戦下のフランス北部の最前線デルソー。ドイツ軍と対峙する塹壕にはフランス軍オードベール中尉がおり、ドイツ軍陣地の奪取を命じられていた。オードベール中尉はフランス将軍の息子であり、父である将軍から後方への異動を勧められるが、聞き入れない。生まれたはずの子供と妻がドイツ軍の占領地にいるからである。フランス軍の援軍にスコットランド軍がやってくる。そこには志願してきた兄弟や従軍司祭のパーマー司祭がいた。
 ドイツ軍陣地への突撃でスコットランド軍の兄弟の兄が戦死する。弟はノーマンズランド(中間地帯)に兄を置き去りにした事を悔やむ。
 
 一方、ドイツ軍側の指揮は厳格なホルストマイヤー中尉が取っており、その部下の一人にオペラテノール歌手のシュプリンクがいた。シュプリンクの妻でソプラノ歌手であったソレンセンは、夫に会いたい一心で、クリスマスイブの日に戦地にいる皇太子に聖歌コンサートを開きたいと申し出る。たった一晩でも夫が戻ってこれるかもしれないからである。司令部は却下したが、直接皇太子の許可を得て、司令部でコンサートが開かれることとなる。シュプリンクは急遽呼び戻され、皇太子の前で聖歌を披露する。
 シュプリンクは前線の仲間の事が気になり部隊に戻るが、妻のソレンセンも無理に付いてきてしまう。前線の兵は喜ぶが、ホルストマイヤー中尉は渋い顔だ。

 クリスマス・イブになり、スコットランド軍の陣地ではバグパイプの演奏でクリスマスを祝う。その音がドイツ軍塹壕にも届き、シュプリンクはドイツ兵のために聖歌を歌い始める。すると今度は、そのシュプリンクの歌声にあわせてスコットランド軍のバグパイプが応える。両軍の歌声が共鳴をはじめ、それに惹かれるようにシュプリンクはホルストマイヤー中尉の制止を無視し、ノーマンズランドに歩み出る。それを見た、スコットランド軍の指揮官とフランス軍のオードベール中尉が姿を現し、さらにドイツ軍のホルストマイヤー中尉も歩み寄り、停戦の申し出を行った。
 クリスマス停戦の合意がなされ、3軍の兵士らはノーマンズランドで酒を酌み交わし、合同のミサを行うのだった。
 両軍は自陣に戻るが、翌朝ドイツ軍のホルトマイヤー中尉がフランス軍側にやってくる。ドイツ軍の砲撃が始まるのでドイツ軍陣地に避難するよう勧めに来たのだ。ドイツ軍の砲撃が終わると逆にフランス軍陣地へ避難し、フランス軍の砲撃を避ける。続いて、ノーマンズランドに残された両軍兵士の遺体を埋葬することにする。さらに、ホルストマイヤー中尉の計らいでオードベール中尉の妻子の健在も判明した。
 しかし、こうした停戦行為はいつまでも続くわけもなく、両軍の上層部の知るところとなる。シュプリンクとソレンセンは自由の身になるためにフランス軍に投降し、フランス軍、スコットランド軍の兵士は解散させられ他の最前線へ飛ばされることに。また、ドイツ軍兵士もロシア戦線に回されていくのだった。
 両軍の公式記録には残されていないが、両軍兵士の心にはしっかりと交流が刻み込まれているのだった。


かぽんの戦争映画レビュー新着順

かぽんの戦争映画レビュー分類別





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006年05月26日 08時40分52秒
コメント(2) | コメントを書く
[戦争映画] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.