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2006年06月19日
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カテゴリ:戦争映画
かちんこ2006 東映  監督:出目昌伸 
出演者:松平健、ブルーノ・ガンツ、阿部寛、國村隼、オリバー・ブーツ、コスティア・ウルマン、大後寿々花ほか
134分 カラー


 早速今年の話題作を見てきました。

 知る人なら知っている有名な開放された捕虜収容所「板東俘虜収容所」を題材にした作品。板東俘虜収容所は第一次世界大戦時に、ドイツの極東占領地青島要塞で降伏したドイツ兵の一部を収容したものである。父を会津藩士に持つ収容所所長松江中佐の人道的配慮が様々な逸話を残している。是非とも映画化して欲しかった話であった。
 ところが、出演者がマツケンサンバの松平健、阿部寛と聞いて、シリアスものはあまり期待できないと感じた。両者ともあまりにコメディ路線の印象が強すぎる。対するドイツ軍総督役にはあのブルーノ・ガンツ。「ヒトラー~最期の12日間~」でヒトラー役を演じた名優である。果たしてこの作品はどうなっていくのか、ちょっと期待と不安が入り交じるのであった。

 鑑賞した結果は・・・・感動あり、笑いありで映画としては結構楽しむことが出来た。松平健が扮する松江所長のコミカルな場面には幾度となく笑ったし、顔を隠し民衆に混じって阿波踊りを踊るシーンは、暴れん坊将軍の城抜けそのものである。阿部寛にしても厳つい顔をしながらも、憎めないおかしさが随所に表れていた。また、感動シーンも幾度となくあり、私が一映画で三度以上涙したのは久しぶりである。その感動の主役を担ったのはドイツ人とのハーフ少女役の大後寿々花で、かわいらしい顔立ちに哀愁と奥ゆかしさを見事に演じていた。さすが名子役だけある。

 ところが、全体評価が冒頭の★3.5とはどういうことか。それは、本作はコメディ映画ではないだろうということだ。松平は冒頭から最後までコメディのマツケンにしか見えなかったし、奥方役の高島礼子はあまりにはまり役。二人の夫婦役では完全に架空の物語という印象でしかない。もちろん、コメディタッチが映画に入ることは何ら問題ないが、配役があまりにもコメディ寄りの印象だ。他の収容所長役の板東英二はベタな演技だし、上官役の泉谷しげるは言う言葉すらない。これが外国映画で字幕だったなら何でもなかったろうが、もう少し配役はなんとかならなかったのか。また、ブルーノ・ガンツはほとんど存在感なし。あの名優をこの程度の使い方では失礼かな。
 もう一つの問題は構成。松江所長一家のストーリーと、ドイツ一等水兵の母への手紙が基軸となっている。しかし、別の次元で起こっているコメディと感動の逸話にすっかり打ち消されていて、ストーリー自体にまとまりがなく、スムーズな時間的進行が感じられないのだ。あと、最大の苦言としては、本作のウリでもあった「ベートーベンの第九」の登場があまりに遅いこと。クライマックスでの登場のつもりだろうが、私としてはおまけ的にしか感じられなかった。その第九がおまけで延々と流されるとなると興ざめだ。しかも、ドイツの映像や、現在の交響楽団の映像などは全く不必要ではなかったか。
 また、ブルーノ・ガンツも台本を読んだときに思ったらしいが、日本人を褒めすぎている点。確かに、松江所長の人道的部分が本作の焦点ではあるが、ちょっと良い所どりしすぎの感じ。もちろん、このことは相手のドイツ人にも言えることで、本作全体が良い子ぶりっ子になっているのだ。見ていて「ムルデカ」を思い出した。本作もムルデカも日本人として見ていて心地よいし、好きな作品ではあるが・・・・もう少しうまい描き方があるだろう・・・・
 以上の点で、せっかくの名題材を配役と構成で壊してしまった感がある。本作から伝えるべき事はいろいろあると思うが、どうも出目監督の考えていることがわからなかった。「きけ、わだつみの声 (95)」の監督でもあり、ちょっと本作を作るには力不足だったのではないかな。ドイツ公開を視野に入れて、ドイツに気を遣って表面的な体裁を整えたようにも見える。

 冒頭の青島攻防戦シーンは、日本映画にしては珍しくいい。火薬の発火が赤いのはいただけないが、ほんのちょっとのシーンではあったが、日本映画もやるじゃないかと思わせた。軍装類は時代考証はしっかりしているようだが、衣装が綺麗すぎる。また、松平健は衣装がきつそう(笑)。ピチピチの後ろ姿はちょっと可哀想だ(コミカルだけど)。

 なお、本作の準主役でもあるカルル・バウム(オリバー・ブーツ)は、その後日本に残りバームクーヘンのユーハイムを興した人でもある。この他にも、板東俘虜収容所には数多くの逸話があるので、その辺りも触れて欲しかったとは思う。本作はドイツでの公開も決まったそうだが、果たしてどのような評価を受けるのか、いささか不安である。
 とはいえ、日本人として知っておくべき歴史の一つ。笑えるし、涙できるし見ておいて損はないでしょう。

興奮度★★
沈痛度★★
爽快度★★★★☆
感涙度★★★★


!(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧ください)

 第一次世界大戦の最中の1914年、ドイツに対して日本が参戦する。日本軍はドイツ軍守備隊5,000名が守る中国の山東半島の租借地、青島要塞の攻撃に出る。久留米第18師団を主力とする2万8000名が包囲し、日本軍も多大な損失を出しながらも、わすか1週間足らずで攻略する。捕虜となったのはクルト・ハインリッヒ少将以下の3,900名余りだった。
 捕虜は日本に移送され、当初は全国12箇所の収容所に入れられるが、戦争が長引いてきたため、全国6カ所の収容所に集約された。その際に設けられた四国徳島の板東俘虜収容所は久留米についで1,028人を収容する規模となった。
 海軍上等水兵のカルル・バウムや一等水兵のヘルマン・ラーケら90名余りは久留米収容所から板東収容所に移動するが、板東収容所の雰囲気は、厳しい待遇の久留米とは想像の付かないほど自由であった。板東俘虜収容所の所長は会津出身の松江中佐で、地元住民との融和を図り、捕虜の外出も自由で、オーケストラあり、パン焼きや新聞、酒なども自由であった。松江所長はドイツ人捕虜を信頼し、彼らから様々な技術を学ぼうとした。その裏には彼の父親が敗北者会津藩士として受けた恥辱と苦しみがあり、敗者へのいたわりの心があったのだ。
 ヘルマンは所内で発行している新聞「ディ・バラッケ」の記者として働きはじめ、見聞きすることをドイツにいる母親に手紙にするのだった。一方、カルル・バウムは久留米でも脱走して酷い処罰を受けたにもかかわらず、板東でも脱走を試みる。しかし、傷ついた所を板東の住民すゑ(市原悦子)とたみに助けられ、板東の人々の温かさに触れて心を開いていく。収容所に戻ったカルルに待っていたのは、厳しい処罰ではなく、松江所長のパン職人への斡旋だった。
 こうして、捕虜と松江所長、そして住民との交流は深まり、捕虜達の松江中佐への尊敬の念はますます高くなる。しかし、同じ会津出身だが松江中佐のやりかたに不満のあった伊藤少尉(阿部寛)の密告により、捕虜に甘いと上層部に糾弾されてしまう。そのため収容所予算を減らされ、松江中佐はやむなく山を買って捕虜達に木を伐採させたり、家具や生活機器を作らせて販売させる「俘虜製作品博覧会」などして収入を補うのだった。
 ある日、青い目をした日本人の少女志をがやってくる。ドイツ人の父親を捜しているのだった。その父親は塹壕の中で日本軍と戦うことを拒否していた男で、そのことが原因でカルルは喧嘩をしていた。しかし、父親は戦死してしまい、検死に立ち会った中尉から形見のロケットを手渡される。志をは松江中佐の家族のもとに身を寄せることとなるが、使用人の宇松は息子が青島戦で戦死したことからドイツ人嫌いとなっており、志をにもつらく当たるのだった。

 1918年11月、ドイツが降伏する。戦勝に沸く徳島だったが、板東ではドイツ兵への気遣いからひっそりとしていた。そんな中、ハインリッヒ総督が自決を図ろうとする。自殺は未然に防げたが、ドイツ兵には動揺が広がっていく。松江中佐はハインリッヒ総督に、会津藩士の厳しい生活が誇りだけで支えられていたという自らの体験を語り、生きて兵達に希望と誇りを与えるべきだと説得する。 
 いよいよ捕虜達は解放され、ドイツへ戻ることとなるが、ドイツ兵たちは感謝の印として、ベートーベンの「交響曲第九番 歓喜の歌」の演奏会を企画する。板東の住民を集めて開催された演奏会ではドイツ兵捕虜と日本人住民の心が一つになっていくのだった。また、カルルは日本に残ってケーキ職人となり、志をを養女に引き取って育てる決意をするのだった。


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最終更新日  2006年06月19日 07時28分12秒
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