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2006年12月24日
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カテゴリ:戦争映画
ビデオ2002 フランス  監督:ベルトラン・タヴェルニエ
出演者:ジャック・ガンブラン、ドゥニ・ポダリデス、シャルロット・カディ、マリー・デグランジュほか
170分 カラー 


 ドイツ占領下のフランス・パリを舞台に、映画製作会社で働く二人の「ジャン」を描いた長編ヒューマンドラマ。対独協力を拒む脚本家のジャン・オーランシュと、フランスレジスタンス活動に参加する助監督のジャン・ドヴェーヴルの織りなすハラハラドキドキのサスペンス的要素も多分にあるが、愛情や友情、そしてユーモアも十分に含んだ内容となっている。実際に存在したドイツ資本の映画会社コンティナンタル社を背景にジャン・ドヴェーヴル(2004年4月死去)の回想をもとに脚色したもので、登場する脚本家ジャン・オーランシュもシャルル・スパーク、ル・シャノワなど皆実在の人物だ。逸話には多少のフィクションも入っているのだろうが、フランス人にとっては、ドイツ支配当時のフランス映画界の裏話として栄誉的な要素も多分にあるようだ。従って、フランス人にとっては、物語の内容云々以前に愛国的映画として賞賛を得ているのだとか。

 映画自体はいかにもフランス映画らしく、悠長で会話中心の作りとなっており、映像もセピア色を強めに古いイメージを意識した撮り方。他のフランス映画同様に登場人物が多い割に、登場人物の意識付けが乏しいため、名前がなかなか覚えられない。主人公の二人の「ジャン」はともかく、脇役の脚本家や映画人が次々と登場し、誰が誰だかわからなくなることも。加えて、ドヴェーヴルの回想録というだけあって、波瀾万丈のエピソードがあっちこっちで勃発する。170分という長編にこれだけのエピソードを盛り込めば、焦点がずれていったりするものだが、後で述べる理由からしっかりと筋の通ったものに仕上がっている。
 また、息をつかせぬ緊張シーンかと思えば、悠長でユーモアたっぷりのシーンだったりと飽きさせない作りはさすがだ。特に、フランスユーモア?なのか、オーランシュの愛人女性との復縁シーン(殺人の嘘)やドヴェーヴルの英軍による審問シーン(紅茶)は、心に残る名シーンと言っても良いだろう。このほか、ドヴェーヴルの自転車を走らせるロングシーンも記憶に残るし、ドヴェーヴル役のジャック・ガンブランの風邪を引いた演技は素晴らしい。しわがれ声が耳に残る。

 ちなみに、レセ・パセとは通行許可証のこと。パリのユダヤ人狩りも見聞に漏れずひどかったらしいが、フランス人とてもこの通行許可証なしには自由に行き来する事さえできなかったのである。残念なのは、タイトルにもなっているレセ・パセの重要性やフランスレジスタンスの活動状況の描写が今ひとつだったこと。幾人も登場する映画人らがレジスタンスだったり、共産党員だったりするのだが、逃亡したり逮捕されたりする背景が今ひとつ理解しづらい。また、親ドイツ派の人物やドイツ人に媚びを売らざるを得ない娼婦たちの人生も描かれているのだが、時代の事情を知らないとわからないことも多い。もちろん、余計な説明を極力省いて、ユーモア豊かな脚本家オーランシュ、生真面目な助監督ドヴェーヴルの人間性と生き様を前面に出すことによって、多くのエピソードの中で一本筋の通ったストーリーを堅持できたのだと思う。テンポを速くして多くの解説を盛り込み、作品に厚みを持たせた方が良かったのか、このままおフランス的な優雅な流れで視聴者の情感に委ねた方が良かったのか、といえばやはりフランス映画としては後者を選択せざるを得ないだろう。
 一度見て終わりという作品ではなく、何度も見て味を噛みしめるタイプの良作と言える。

 登場する兵器類はほとんどないが、主人公が英軍情報部と連絡に用いる機体がデ・ハビランドDH.89ドラゴン・ラピッド。飛行可能な実機が実際に飛行しているようだ。フランス貸与機という設定のようでCZ-A(222squadron)のスコードロンマーク。このほか、実機かどうかは疑わしいが同じく主人公が帰路に用いるのがDH.95フラミンゴのような機体だ。映像が暗いので機体の判別に結構手間を食った(汗)。
 

興奮度★★★
沈痛度★★★
爽快度★★★★
感涙度★★



!(以下 あらすじ ネタバレ注意 反転でご覧下さい)
 1942年3月3日、パリ。映画脚本家のジャン・オーランシュはアパートに愛人の女優(娼婦)スザンヌ・レモンと密会中。そこに英軍の爆撃機が空襲を始め、オーランシュは慌てて逃げまどう。オーランシュはドイツ軍も嫌いだが、戦争で死ぬのも馬鹿馬鹿しいと考えている。ドイツ資本のコンティナンタル社からの誘いを受けるが、固辞してなんとか逃げようとする。
 映画助監督のジャン・ドヴェーヴルは空襲の中、妻子の安否を気遣いに行く。空襲の最中でもフランス映画の撮影は続けられるが、レジスタンス闘士でもあるドヴェーヴルはコンティナンタル社から「悪魔の手」の撮影助監督に乞われ、内偵を兼ねて就職することを決意する。コンティナンタル社はドイツ人の事務支配人バウアーマスター、責任者のグレフェンのもと、脚本部門責任者には同じレジスタンスのクルーゾーがいた。また、社の一室にはSD(ドイツ親衛隊幹部)のフォン・ツェルテルが間借りしていた。
 コンティナンタル社に籍を置いたドヴェーヴルはレセ・パセ(通行許可証)を貰う事が出来た。一方で、レジスタンスのティドと協力して列車爆破などにも手を貸す。
 コンティナンタル社でドヴェーヴルはトゥールヌール監督のもとで新作の撮影を行うが、ドイツ軍の魔の手が侵食し、ユダヤ人の音楽担当者が連行され、監督の妻(アメリカ人)も強制収容所に連行されてしまう。
 グレフェン氏はドイツ人だがフランス映画人に理解のある人物でもあり、社内に共産党員がいることを知りながらも黙認していた。グレフェンはオーランシュの喜劇脚本に興味を示し、オーランシュに契約するよう依頼するが、オーランシュは固辞し続ける。しかし、路頭で親友の脚本家ルネが靴紐売りに堕ちているの見て、共同執筆という形で契約に同意する。
 1943年3月、ドヴェーヴルはドイツ人のカイヤット新監督のもとで撮影に入ることとなる。撮影機材は限られ、大道具は東部戦線の棺桶に回される始末だ。そんな矢先、ドヴェーヴルの妻シモーヌに召喚状が来る。シモーヌの弟ジャックがアジビラを所有していた角でフレーヌ収容所に入れられてしまったのだ。ドヴェーヴルはフォン・シェルテル等に頼んでジャックの行方を追うが、結局行方はわからないのだった。
 オーランシュはドイツから逃げるため愛人の女優オルガや娼婦のスザンヌの間を転々とする。愛人と喧嘩などを繰り返しながらも、結局はレーヌのもとに作家のボストとひっそりと身を隠す。
 ドヴェーヴルはひょんなことからフォン・シェルテルの機密書類を目撃し、写真に収めてレジスタンスに引き渡す。危険を感じたドヴェーヴルは妻子を田舎に疎開させる。そして、妻子に会うためにパリから400kmの道のりを自転車で往復する。その道のりでレジスタンス闘士ルネと出会う。パリでは実弟のルイがベルリンから脱走して来ていた。風邪を引いたドヴェーヴルはルイに留守番を頼み、フォン・シェルテルの書類を盗み出す。レジスタンスに引き渡したつもりのドヴェーヴルだったが、列車に乗せられさらに輸送機の乗せられて英軍情報部の審問を受けさせられる。早く帰りたいドヴェーヴルだったが英軍の緩慢な審問と紅茶攻撃に辟易としながら、帰りはパラシュート降下までさせられるはめに。
 パリに戻ったドヴェーヴルだったが、会社では書類盗難騒ぎで脚本家のスパークが逮捕された。スパークはグレフェンの取り計らいで逮捕されながらも脚本の執筆を続ける。
 1943年11月、共産党はレジスタンス活動を活発化する。共産党員の脚本家ル・シャノワは共産党からコンティナンタル社で働いていることを非難される。そのル・シャノワが逮捕されると、ドヴェーヴルはレジスタンス闘士ルネのもとに走り、二度と戻らなかった。そのル・シャノワはグレフェンの要請で3日後に釈放されている。
 <戦後談>
 監督トゥールヌールは戦後2年間の撮影禁止処分。
 親友思いのオーランシュはボストが死ぬまで側を離れなかった。
 女優オルガは1944年(親ドイツの罪で)頭を丸坊主にされるが、1947年に念願の店を開店。
 ドヴェーヴルは「11月の貴婦人(ル・シャノワ脚本)」「七つの大罪の農場」などの名作を製作。


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最終更新日  2006年12月24日 08時58分31秒
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