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「福音の少年」あさのあつこ著 おおた慶文装画(角川書店 平成17年7月25日初版発行)
十六歳の永見明帆は同級生の北畠藍子とつきあっていた。 図書委員の藍子が仕事を終えるのを明帆は「日本の野鳥」を手に待った。 図書室の一番奥、辞書と図鑑の棚と古典の棚に挟まれた通路唇を重ねる二人。 ぱさっ。藍子の足元に本が落ちた。拾い上げるためにしゃがんだ藍子の無防備なうなじ。 そこへ「どうも」と藍子の幼馴染・柏木陽が現れた。美しい声。 「すっげぇ、お邪魔なタイミングやな。悪ぃ」 三年前の十三歳の時、父の故郷であるこの街にやってきた明帆にとって今でもここの風景は美しい。三年間の間に母が亡くなり藍子と知りあった今でも。 「一周忌になるまで花を絶やさないで・・・」自分だけが聞いた母の遺言。父は今でもかたくなに守ろうとしている。 父に頼まれ花屋によって百合とばらを買った明帆と藍子。突然の雨。 「走れ」 明帆の家の玄関にたどり着いた時には水滴が滑って落ちるほど。 「上れよ。タオル持ってくるから」 しかし断り帰るという藍子。 「おれのこと、怖がってる?」 否定する藍子は逆に明帆を誘うが、外の音に現に引き戻された二人は熱が冷め身体を離す。 「同じこと訊かれた」「柏木にか」 「あたし、アキくんにだけは、忘れてほしくない。一生覚えていてほしい」 夏休みの補習の最後の日、藍子は倒れた。藍子を送る明帆。途中立ち寄った寺の涼しさ。 「かわいそう」 耳元で囁く藍子。 携帯に非通知の電話が掛かった明帆。「つれていってあげるから。君達にふさわしい場所に・・」 その日泊りがけでバイトに向かった藍子。 そっとしておいて欲しいのに声をかけてきた母と喧嘩して明帆のところに家出した陽。 あれが最後に交わした会話になるなんて・・・ 表紙の美しさに惹かれて手に取りましたがとげとげしく、艶かしく、生々しいです。 藍子が危険なバイトを始めたきっかけは明かされなかったし(明かす必要はなかったかもしれませんが)、明帆や陽の身体に潜在している破壊衝動や支配欲は表情や言葉では出てきてもそれが殺し屋家業に結びつくと考えるのもどうかと思う。(その筋の人は同じ眼をしているなどとほとんど勘で勧誘するのでしょうか?) 秋庭が余命わずかである必要もなかったように思うし、藍子の相手を国会議員にする必要もなかったと思うし。ましてやプロの殺し屋なんて非日常過ぎるように思う。 明帆が最後どうなったのか、多分陽と秋庭が呼んだ警察が間に合って助かったのではないかと予想はしていますが・・・秋庭がスクープを物に出来たかどうかは分からないけれど一応これ以上誰も殺されはしなかっただろうと考えていますが・・・ 読んで何か残る感じがしません。 大きな事故や事件でも他人事だと直ぐに忘れさり、年々そのスピードが上っていることは分かりますが・・・ 中高生の頃特有のいらいらを感じただけかな。 心や身体を持て余している少年二人を眺めて終わったように思う。 危うい二人の描写や会話は面白かった。 結局陽の声が聞き、その声にうっとりする明帆を見てみたいの一言に尽きると思う。というかそれしか残らなかったなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年10月12日 15時43分02秒
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