|
カテゴリ:本
電脳コイル 8 宮村優子 著 磯光雄 原作 押山清高 カバー原画 (2009年4月30日初刷 徳間書店)
今より少しだけ未来の202X年。 小学生の間では、ウェラブルコンピューター《電脳メガネ》が大流行していた。 この《メガネ》をかけると、必殺技を手に入れたり、電脳ペットを飼ったり、子どもたちだけのとびきり刺激的な秘密の遊びをすることができるのだ。 ただし、《メガネ》を楽しめる時間には限りがあって……。 不穏な空気に包まれる大黒市で、”信者”たちによって「女王」として祭り上げられていくイサコ―。 裏で糸を引いているのは大黒小学校の優等生、イイジマだった。彼女の狙いは何なのか? そんな中、イサコの過去に関する噂がネット上をかけ巡り、その発信源である《三人組》のうちふたりが、何者かに《メガネ》を攻撃される。 不安にさいなまれるヤサコは、イサコをとりもどすためのある計画を実行する!(カバー裏より) 夏期講習最後の日、講習を終え親達が進路相談会に参加している時間。 はざま交差点近くの廃ビルに集うイサコの信者達。 イサコとヤサコに復讐を遂げる筈だった観音小の三人組の企みは黒客とコイル探偵局、そしてイサコにより阻まれたが… 大黒小でもトップクラスの優等生・飯島聡子が信者達を煽り…三人組は信者達に襲われ… 失墜させる筈だったのに一転イサコを称える宴へと… イサコを見失ったヤサコはイサコの主治医のシウ先生を訪ねるが…イサコは友達と帰ったと聞く… 今まで見せた事がない様な姿で…お友達に寄りかかるように…その友達は… 廃ビルで女王として信者の前に姿を見せるイサコ。 イサコの立てた赤い柱を見る事が出来る自分達は特別な存在。だから一人だった… 何でもする…イサコに再び柱を、えらばれた者達のしるしを、と願う信者達。 すごいと称え、間違っていたのは信者達をバカにしていた自分、それでも仲間に入れてもらえるのかと許しを乞うてみせるイイジマ。 イイジマの言葉は信者達を甘美にくすぐり… そこで盗み見ている者の存在を知らせるイイジマ。 オヤジを使い様子を探っていた黒客とヤサコ達に緊張が走るが… 三人組を指し制裁を命じるイイジマ。 メガネを使わずに…暴力で! 愚鈍な動きの信者達の拳は届かないが、押し返しても一向に減らない信者達に疲れをみせる三人組。 と、一人の信者の手が偶然三人組の一人の鼻に当たり鼻血が… 止めを! 突然俊敏に動きだす信者達が三人組に… 三人組の企みを阻止して以来姿を見せなかったハラケンを訪ねるダイチ。 ハラケン母入院と聞き食べ物を沢山持たせるダイチの母。 ハラケンと夕食をとりイサコや信者達について報告するダイチ。 メガネやイサコを批判していた筈のイイジマの目的は? 群れるのは嫌いな筈のイサコの本心は? 何故イサコはイイジマの言いなりなのか? イサコの横には立たず信者の側に立つイイジマが巧みに信者を… イサコのヤバさは理解できてもイイジマは… 信者達が帰る時を狙ってイサコに会おうとするヤサコ 立ち上がるヤサコをまだ危険だと掴んだのは…ハラケン。 タイミングを計りイサコを追う二人だが…待っていたのはイイジマ。 ヤサコ達の潜入を知っていたとイイジマ。イイジマには興味ないとハラケン。 互いに真意を腹の探り合い… 待ちかねたヤサコがイサコの行方を尋ね イサコや信者の悪口も言っていたのに…何故? 信者の前ではイサコ様と呼んでいたのに…信者が帰った今は… 信者達の様に会いにくればとイイジマ 背を向けるヤサコに会わせてと言えばいいのに…と言いだすイイジマに言う必要はないときっぱりと言うハラケン。 イイジマに遭ったのは偶然。自分達でイサコを探すとイイジマの元を去り上を目指す二人。 屋上の空中庭園。置き捨てられた植木が伸び放題に繁る、命を感じさせる場所。 霧雨の中イサコを呼ぶヤサコとハラケンの前にイサコが現れる。 話したいがイイジマの許可が必要なのかと問うヤサコに必要ないとイサコ。 用事かと問うイサコに興味があるだけとハラケン。 なんで天沢勇子がこんなの所にいるんだ? 原川研一はそんな事を言いだす人間じゃないと思っていたとイサコ。 突っかかってたくらんで、そうした自分に傷ついてくヒト 怯むと同時に安心するハラケン。 頭だけはむかしのまま… 王に収まった理由を話し出すイサコ。 イサコを捜し求める信者達を避けるために一旦は姿を消したが、ますますイサコを捜す信者 イサコとヤサコを痛めつけようとイサコ降臨と煽る三人組。 イサコの目的、キラバグを集めるために動く事も出来ない始末。 逃げ回れば追いかけられる 挑発に乗れば戦いはヒートアップ 発想を変えるしかない… まぎれればいい…味方の振りして…町の中へ消えて行く 提案したのはイイジマ。 何故そんなことさせた? 何故イサコが答えず他人のイイジマが答える事を許す? イサコが何も変わっていないと思ったのは勘違い? イサコの様子に気づいたヤサコは雨に濡れたイサコを… 感想 今回は社務所から失われていた猫目宗助の作文から始まりました。 作文は神隠しの噂を聞き恐れる猫目の気持ちや子ども達の間で"ひんけつ"が流行ったりメガネのイベントで猫目以外の子どもが倒れた事、倒れた事を皆忘れてしまっている事などについて書かれていました。 そして、子どもたちは町へと消えていく…メガネを疑え…と結んでありました。 メガネを疑った猫目は生紙に書き残す事で自分が忘れてしまう事に備えた様です。 作文のオリジナルをタマコに託して…消えてしまったのでしょうか? 部長さんは猫目の父。 アニメ版では父の汚名を晴らすために猫目が暗躍していました(その後の猫目が如何しているのかとっても気になります)が小説版では行方不明の息子を父が探していると… タマコは消えた猫目達を探しにいくようです。休職願を出して仲間を取り戻す旅に… メガばあに伝えるとメガばあは今のタマコに必要な電脳グッズを渡し、長い旅になるぞと送りだしてくれました。 8年も経っていますし、その間も部長さん達家族は必死に探した事でしょうし、神隠しから戻ってきた子どもはいないのかもしれません。 タマコは8年前の事件にイサコがいた事をヤサコに教え猫目の作文を託してくれました。 そして最後にヤサコの為に一肌脱いでくれました。サッチーの最後の仕事として… 子ども達を守る事に使命感を持っていたタマコですが、自分の気持ちに気付いていなかっただけで本当はもっと早く猫目達を探しに行きたかったのかもしれませんね。 タマコが仲間を取り戻す事が出来ると良いのですが… イサコに熱狂する信者達。 一人ひとりは孤独で互いに話す事がない信者達なのに礼拝に集まり、集団でイイジマに扇動される様子が…何とも言えず薄気味悪く、重苦しい。 イイジマ、怖いです! イサコを使って信者を思う様に動かしている様子もですが、期限付きのメガネなんかの力ではなく"生"の力で支配しようとする所が… 実際に手に触れる事が出来る世界には価値があり意味があるとは思いますが、イイジマが躊躇せずヤサコの頸動脈を押さえてみせる所など危な過ぎます。 優等生で見た目も綺麗なイイジマだけに… イサコが… 孤高で強いイサコが好きな人が見たら辛いかもしれません。が、これもまたイサコだと思いました。 イイジマはヤサコに脅した様にイサコにも? イサコが幸せならと…迷うヤサコ達ですがイサコを取り戻すために決断します。 ヤサコ…又思い切った… 次巻予告にも書かれていましたが、イサコの今後はまだまだ心配です。でも今度は一人じゃないから…どうかな? 三人組…打たれ強いですが… 二人は新型にやられてしまいました。 一人だけられなかったメッシュ。イサコを誹謗中傷する事はメッシュが持ちかけたと言うのに… メッシュの背後に感じられる何者か…一体? ヤサコと同行するハラケン。 イサコを探す時も、三人組のうちメガネを失った二人に会う時も… 二人組に会う直前になって落着きを失うヤサコに対してハラケンの突き放し方が良いです。 三人組の二人にヤサコが謝り話を聞かせてくれた事に自然とお礼を言うのも… 率直な言葉ならヤサコにもハラケンにも三人組の内の二人にも届くのですね。 今回もガチャギリとアキラが良い感じでした! と言うかガチャ、カッコイイよ!ガチャとアキラ二人の場面をもっと見てみたいかも。 ハラケンが色々苦悩して変化していく自分に自覚している様子も良いし、穏やかで嘘をつかない(イサコも信頼していましたね)デンパも良い。 ダイチがすっごく頼りがいがあるのも良いし、任務途中でも焼きそばの変化に目をつけるナメッチも良いし、男の子達が魅力的! フミエも勿論ですが、今回はゆきりんが良かった! ゆきりんが髪を梳いてくれたら…自分にとってのゆきりんの様な存在に気づいたなら…もっと幸せに日々を過ごせそうです。 イサコと接した時のヤサコ母も良い感じでした。 やっぱり鍵となるのは京子なのかな? 8年前のイサコは京子と同じ様にメガネ無しでも電脳世界を感じる事ができたのではと予想してますが… マリリンマリーンの登場は久々でしたが、ヤサコ達の先生の行方をぼちぼち知りたいところ。 先生も弟を探しに? 次の9巻はもう2学期に入りますし、先生が戻ってきたかどうかもわかると思うのですが… それとヤサコ父はヤサコにとって敵?味方?できればここはアニメ版設定と同じ展開を望んでいますが… 7巻からあまり間が開かず刊行され既巻を読み返す必要がなかったためか、登場人物が自分の視点で語るスタイルが上手くこなれてきたためか今までよりすっと話に入っていけました。 そしてどの登場人物も良く動いていて良かった。 第9巻は2009年夏刊行予定!待ち切れません! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[本] カテゴリの最新記事
|